著者
前川 昌則 鈴木 正宏 打林 明夫
出版者
The Imaging Society of Japan
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.450-453, 2015

近年のモバイル/SNS/クラウド/ビッグデータというIT環境の変化でワークスタイルが 「いつでも·どこでも業務」 へと変わっていく中,複合機も 「大型·高機能複合機への集約」 から 「しっかりした基本機能を備えた軽快な複合機を適材適所へ分散配置」 することが見直される傾向にある.このような環境に適した省スペース·高印刷品質·しっかりした基本性能·高メンテナンス等の特長を備えた商品が今回紹介する新MC8シリーズである.  2015年7月に発表した本商品のコンセプトは,複合機の 「ダウンタイムの削減」 であり,「仕事コストをダイエット」 をキャッチフレーズとして複合機市場での新しい価値を訴求する商品である.
著者
鈴木 正崇
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.186, pp.1-29, 2014-03

伝承という概念は日本民俗学の中核にあって,学問の成立の根拠になってきた。本論文は,広島県の比婆荒神神楽を事例として伝承の在り方を考察し,「伝承を持続させるものとは何か」について検討する。この神楽は,荒神を主神として,数戸から数十戸の「名」を単位として行われ,13年や33年に1度,「大神楽」を奉納する。「大神楽」は古くは4日にわたって行われ,最後に神がかりがあった。外部者を排除して地元の人々の願いを叶えることを目的とする神楽で秘儀性が強かった。本論文は,筆者が1977年から現在に至るまで,断続的に関わってきた東城町と西城町(現在は庄原市)での大神楽の変遷を考察し,長いサイクルの神楽の伝承の持続がなぜ可能になったのかを,連続性と非連続性,変化の過程を追いつつ,伝承の実態に迫る。神楽が大きく変化する契機となったのは,1960年代に始まった文化財指定であった。今まで何気なく演じていた神楽が,外部の評価を受けることで,次第に「見られる」ことを意識し始めるようになり,民俗学者の調査や研究の成果が地域に還元されるようになった。荒神神楽は秘儀性の高いものであったが,ひとたび外部からの拝観を許すと,記念行事,記録作成,保存事業などの外部の介入を容易にさせ,行政や公益財団の主催による記録化や現地公開の動きが加速する。かくして口頭伝承や身体技法が,文字で記録されてテクスト化され,映像にとられて固定化される。資料は「資源」として流用されて新たな解釈を生み出し,映像では新たな作品に変貌し,誤解を生じる事態も起こってきた。特に神楽の場合は,文字記録と写真と映像が意味づけと加工を加えていく傾向が強く,文脈から離れて舞台化され,行政や教育などに利用される頻度も高い。しかし,そのことが伝承を持続させる原動力になる場合もある。伝承をめぐる複雑な動きを,民俗学者の介在と文化財指定,映像の流用に関連付けて検討し理論化を目指す。The concept of denshō ( tradition) has been central in the study of Japanese folklore, serving as the basis for establishing the study. This paper analyses Hiba Kōjin Kagura Performance in Hiroshima Prefecture as a case study to consider what tradition is and examine what keeps it alive. This kagura is dedicated in worship of Kōjin as a chief deity and performed in units called "myō," a group of several households. Once every 13 or 33 years, people conduct a large scale kagura, which in old times was performed for four days & nights and ended in a trance. That was a highly secret ritual held without any outsiders present and aimed at granting wishes to local people. This paper examines changes in a large scale kagura in Tōjō Town and Saijō Town (currently Shōbara City) in which the author has been intermittently involved since 1977. While reviewing the process of changes, continuity and discontinuity, the paper investigates the reality of tradition: how the long-cycle tradition of the kagura has been kept active. The kagura significantly changed in the 1960s, when it was designated as a cultural property. People had performed the kagura only casually until then, but they gradually became conscious of being "watched" as they were evaluated from outside, and the results of folklore research and studies started to contribute back to the community. Although Kōjin Kagura had been kept strictly secret, once visitors were allowed to see it, it became susceptible to external interventions, such as memorial events, recording, and preservation projects, and the trend among governments and non-profit foundations to make records and give public performances was accelerating. Thus, oral tradition and bodily techniques have become tangible by being documented in writing and recorded on film. The documents have been used as "resources" to produce new interpretations while films have transformed the performance into a new work, sometimes creating misunderstanding. Kagura in particular has a strong tendency that new meanings are added and transformations are made by documents, photos, and films. Moreover, it is frequently performed out of the context as it is used by governments and education systems. These tendencies, however, can also be a driving force to keep tradition alive. This paper is aimed at theorizing complicated movements concerned with tradition by considering them in relation to the intervention of folklorists, designation as a cultural property, and appropriation of films.
著者
二宮 和彦 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 箕輪 はるか 藤田 将史 大槻 勤 高宮 幸一 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 竹内 幸生 土井 妙子 千村 和彦 阿部 善也 稲井 優希 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として、福島県の帰還困難区域を中心として、100箇所で空間線量の測定と土壌の採取のフィールド実験を行い[1]、同時に計27箇所で土壌コア試料を採取した。本発表では、このコア土壌試料について分析を行ったので、その結果を報告する。土壌採取は円筒状の専用の採土器を用いて行い、ヘラを用いて採取地点で2.5 cmごとに土壌を切り取って個別にチャック付き袋に保管した。採取地点により、土壌は深さ20-30 cmのものが得られた。土壌を自然乾燥してからよく撹拌し、石や植物片を取り除いたのちにU8容器へ高さ3 cmに充填した。ゲルマニウム半導体検出器を用いてガンマ線測定し、土壌中の放射性セシウム濃度を定量した。なお、各場所で採取した試料のうち最低でも1試料は、採取地点ごとに放射性セシウム比(134Cs/137Cs)を決定するために、高統計の測定を行った。深度ごとの測定から、放射性セシウムは土壌深部への以降が見られているものの、その濃度は深度と共に指数関数的に減少していることが分かった。一方で土壌深部への以降の様子は土壌採取地点により大きく異なることが分かった。また、本研究の結果は同一地点で表層5 cmまでの土壌を採取して得た結果ともよく整合した[1]。[1] K. Ninomiya et. al., Proceedings of the 13th Workshop on Environmental Radioactivity 2017-6 (2017) 31-34.
著者
加來 洋子 山口 秀紀 石橋 肇 卯田 昭夫 下坂 典立 鈴木 正敏 田中 晃伸 渋谷 鑛
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.406-419, 2014-09

1980〜2013年の34年間に全国の報道機関紙(誌)が取り上げた歯科医療事故に関する記事について調査し,発生した事故内容について原因を分類し検討を加えた.1.報道件数の推移 1)34年間(1980〜2013)の全報道例数は167例,全報道件数は462件であった.2)全報道件数は,1980〜1989年:36件,1990〜1999年:56件,2000〜2009年:285件,2010〜2013年:85件で,2000年以降で急増し,2005年の57件が最多であった.2.全報道件数の内訳 1)民事訴訟関連:229件/110例が最も多く,次いで,事故発生関連:131件/29例,刑事訴訟関連:95件/25例,示談成立:7件/3例であった.2)民事訴訟関連:229件/110例の内訳は,賠償命令:85件/37例が最多で,次いで,提訴・控訴:68件/37例,和解:27件/11例,口頭弁論:26件/13例,棄却:22件/11例,調停申立て:1件/1例の順であった.3)事故発生病院種別からみた全報道件数の内訳は,歯科医院:296件/106例が最も多く,次いで大学病院:94件/36例,公的病院:63件/20例,国立病院:4件/1例,その他:5件/4例であった.3.全報道事故例数の内訳 1)全報道事故例数は100例であった.2)発生年別では,2001年の12例が最も多く,次いで1986年の9例,2002年の7例の順であった.3)診療行為(原因)別による内訳では,麻酔:18例(18.0%)(うち笑気吸入鎮静法:1例,全身麻酔:1例)が最多で,患者転帰別による内訳では,身体的後遺症:44例(44.0%)が最も多かった.4.診療行為(原因)別による報道件数の推移 麻酔:180件(39.0%)で,次いで,口腔外科手術:65件(14.1%),抜歯:57件(12.3%),一般診療:43件(9.3%),インプラント手術:41件(8.9%),誤認抜歯:21件(4.5%)の順であった.5.民事裁判で「賠償命令」が下された事故例について 賠償命令:37例中,34例が地裁判決,3例が高裁判決であった.診療行為(原因)別では,抜歯:10例が最多で,次いで,インプラント手術:7例であった.賠償請求額の最高額は,1億8,500万円で,智歯の抜歯手術後の身体的後遺症(2004年8月)に対しての訴訟で,地裁で4,000万円,高裁で3,310万円の支払いが命じられた.
著者
中村 幸雄 吉村 泰典 玉樹 有告 山田 春彦 飯塚 理八 鈴木 正彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.2157-2164, 1987-12-01
被引用文献数
1

Polycystic Ovary Syndrome (PCO) 9例に対し,Luteinizing Hormone Reieasing Hormone analogue(LHRHa,Buserelin)を900μg/day点鼻投与,human menopausal gonadotropin (hMG) を90分毎に律動的に皮下投与し (LHRHa+hMG法),hMG単独の律動的皮下投与法 (bMG法) と比較した.LHRHa+hMG法は,12周期全周期排卵し,2例妊娠 (1例単胎女児出産,1例流産),1例Ovarian Hyperstimulation Syndrome (OHSS) 発生した.hMG法は26周期中22周期排卵,妊娠0,OHSS 5 例であった.排卵迄のhMG使用量はLHRHa+hMG法 : M±SE : 1,700±203IU,hMG法 : 2,344±223IUでLHRHa+hMG法が有意に少なかった.LHRHa+hMG法では,LHRHa投与後LH,Fonicle Stimulating Hormone (FSH),LH/FSH比,Estradiolは有意に低下し,hMG投与後LHはさらに低下,FSHは上昇傾向を示した.hMG法では,hMG投与後,LH,FSH,LH/FSH比は有意に低下するが,LH/FSH比の低下の割合は少ない.以上,LHRHa+hMG法は,hMG法に対しLH,LH/FSH比を低下せしめ,hMG便用量少なく,排卵率高く,OHSS発生率の少ない排卵誘発法といえる.
著者
北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 箕輪 はるか 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 斎藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 阿部 善也 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 神田 晃充 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 南部 明弘 藤田 将史 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【研究背景】 2011年3月に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県を中心とする陸域に大規模な放射能汚染が起こった。事故後の2011年6月には、日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした有志の研究グループが、汚染状況の把握のための土壌採取のフィールド実験を実施した。これにより初期の汚染状況が明らかとなったが、航空機サーベイ等による汚染状況の把握は継続して行われているものの、実際に土壌を採取して汚染状況の詳細を把握する大規模な調査はそれ以降行われていない。事故から5年以上が経過し、土壌に沈着した放射性核種(主に放射性セシウム:134Csおよび137Cs)は環境中でその化学形態等を変化させ、土壌の深部への浸透や流出により、初期とは異なる分布状況に変化していることが予想される。帰還困難区域の除染作業が開始されようという状況で、土壌の放射性核種の汚染状況を把握するのはきわめて重要である。そこで本研究では、福島県内の帰還困難区域を中心として土壌採取のフィールド実験を行い、その分析により現在の汚染状況の把握することを目的に実施した。【調査概要】 本研究プロジェクトは、2016年6月から9月にかけての9日間、のべ176名で実施した。福島県内の帰還困難区域を中心として、公共施設等を選定したうえで、各自治体との情報交換を行い、除染が行われていない地点全105か所を土壌採取場所として選択した。まずはNaIシンチレーターもしくは電離箱を用いて地面から1 mおよび5 cmの空間線量の測定を行い、専用の採土器を用いて表層より5 cmの土壌を採取した。試料採取場所におけるばらつきを評価するために、1地点ごとに5試料の採取を実施し、5年間の環境中での放射性核種の移動状況を評価するために、土壌は表層部の0.0-2.5 cmと、深部の2.5-5.0 cmに分けて採取した。また放射性核種の移行過程をより詳しく調べるために、4地点につき1地点程度、深さ30 cmのコア試料の採取も行った。本講演では、この調査について概要を説明し、事故直後と5年後の比較などいくつかの初期結果について簡単に紹介する。より詳細な結果については、別の講演にて報告が行われる。
著者
斉藤 絢基 中村 聡史 鈴木 正明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

ひとは自身の手書き文字や,自身の手書き文字が融合された平均手書き文字に対し,好意的に捉える傾向がある.そこで我々は,コミック内での読者が感情移入するキャラクタの抜き出し内の発話について,読者の手書き文字を融合して提示する手法を提案する.本手法により,コミックの登場人物への共感度を増すことができ,コミック自体の面白さも変容させることができると期待される.また実験により手法の有用性について検討する.
著者
鈴木 正男 鎮西 清高
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.8, pp.173-182, 1973-03-31

黒曜石は,ガラス質であるから,フィッション・トラック法による年代測定の試料として,実験操作,計数操作が容易で測定しやすい試料の一つである。これまで当研究室で得られた測定値の多くは,K-Ar法による測定値とよい一致を示す(KANEOKA and SUZUKI, 1970)けれども,中には,他の地質学的データと矛盾する値も測定されている。このような測定値の得られた試料は,黒曜石噴出後の熱的影響あるいは二次的影響が考えられる(KANEOKA and SUZUKI, 1970)。今回,新潟油田地帯で採取された黒曜石は,地質学的にみて,新第三系に由来する地層に含まれていたものである。これらの試料では,自発核分裂飛跡の部分的消失がみられ,この結果,自発核分裂飛跡の計数効率が大幅に減少して,若い年代が得られた。こうした若すぎる年代を補正するため,加熱による誘発核分裂飛跡の消失実験を行ない,補正曲線を各個試料について作成した。フィッション・トラック法による年代測定と,核分裂飛跡消失実験とを通じて以下のような結論を得た。i)自発核分裂飛跡の大きさの分布が単峰性であり,平均径が,誘発核分裂のそれと均しい場合(U1),測定された年代は,黒曜石が噴出した年代,または,臨界温度・熱条件以上に加熱された年代を意味する。ii)自発核分裂飛跡の大きさの分布が単峰性であり,平均径が,誘発核分裂のそれより小さい場合(U2),測定された年代は,黒曜石が噴出した年代,または,加熱された年代より著い年代を示すことになる。この場合,加熱実験により待られた補正曲線を用いて補正された年代が真の年代を示す。この際の加熱は,臨界温度・熱条件以下の加熱を意味する。FT 405,406,407MSの試料から得られたデータによれば,これらの試料は,30〜40℃/10^6yearsのthermal historyをもつと判断され,単に熱的影響だけでなく,二次的加水や,再結晶等の影響による自発核分裂飛跡の部分的消失も考えられる。iii)自発核分裂飛跡の大きさの分布が二峰性の場合(B),大きい飛跡の分布の平均径に基づいて得られる年代は,加熱された時から現在までの時間を示し,小さい飛跡の分布の平均径に基づいて得られる年代は,噴出から加熱までの時間の縮小された時間を示す。後者の年代をii)で述べた補正をほどこして得られる年代が,およその噴出した時から加熱された時までの時間を示す。結局,加熱から現在までの年代と,補正された噴出から加熱までの年代とを合計した年代が噴出年代を示すことになる。この場合の加熱もii)と同様,臨界温度一時間条件以下である。iv)核分裂飛跡の平均径の減少とそれに由来する飛跡密度の減少は一次関係ではない。この事実は,二次的(熱,加水等による)影響が単に,飛跡距離の一次関数的減少に帰結するのではなく,飛跡の三次元的な物理化学的変性に帰結することを意味する。この現象を他の天然鉱物・ガラスについて検討する必要がある。v)核分裂飛跡の二次的変性を厳密に究明することによって,その試料の経てきたthemal historyを解明することが可能である。そのためには,長期的な加熱による飛跡消失実験を行なう必要がある。
著者
鈴木 正信
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.303-308, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
参考文献数
4

「四国学」とは,e-Knowledgeコンソーシアム四国が中心となって推進している地域学の取組である.その目的は,コンソーシアムに加盟している四国の国公私立8大学の教育・研究資源を学問体系化した上で,四国の特徴をさまざまな観点から取り上げることにより,四国の魅力の新発見・再発見を促し,さらには四国の未来を構築していくことにある.また,この「四国学」を各大学がeラーニングによって共有するところに,他の地域学には見られない大きな特徴がある.本稿では,コンソーシアムが発足した2008年度から,eラーニングによる単位互換科目の開講が実現した2010年度に至る3年間の事業実施状況について,主に香川大学の活動の紹介と,単位互換科目を履修した学生に対して行ったアンケートの集計結果の分析を行い,あわせて今後の大学における地域学のあり方を展望する.
著者
疋田 孝彦 三輪 辰郎 橋本 是浩 鈴木 正彦
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第V部門 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.11-22, 1981-10-31

教員養成系の大学における小学校教員養成課程のカリキュラムには,「小学校専門」とよばれる科目がある。小学校では,全教科担任制が実施されていることから,小学校教員には国語・社会・算数・理科・音楽・図画・工作・家庭・体育の8教科全部にわたる広い知識が必要となる。この見地からも,免許法施行規則第2条において,小学校教諭1級普通免許状の場合は,それぞれ2単位以上計16単位以上を,小学校教諭2級普通免許状の場合には,それぞれ2単位以上,計8単位以上を修得するよう規定している。ところで,その性格,実態およびあり方については,教育大学協会においても,しばしば論議されいくつかの報告があるが,特定の教科について論じたものは少ない。数学については,東京学芸大学における研究「数学・理科の初等・中等教員の養成,現職教育及び大学院教育の体系化に関する研究」(研究代表 鳥塚一男,昭和55年3月)が注目される程度である。本研究ではとくに小学校専門の数学に焦点を当てて,その内容と方法とがいかにあるべきかを,実状をふまえながら探究し,できるならば,それらを策定し,それらにふさわしい教材の開発をすることを目的とした。なお,この研究は2年計画で行ない,その第1年次においては,主として実態をとらえることを主眼においた。したがって,研究方法としては,教員養成系の大学における小学校専門の数学の現状,困難点,望ましいあり方等についての分析と,現場教員の意識および大学への要望の分析とを,アンケートと直接面接によって行なった。本報では,各大学の教員養成機関へのアンケートの結果のつぎの諸点について考察を加える。(1)各大学での,一般教養(自然科学)の数学としての内容・範囲・程度(2)各大学での,専門科目の教科(数学)についての内容・範囲・程度また,現場教師へのアンケートの結果のつぎの諸点について考察を加える。(3)大学の数学および数学教育の内容・方法についての現場教師からの意見(4)算数指導上,どのような数学を必要と現場教師は考えているか(5)現場教師の数学観Our problem is what teaching materials of mathematics should be taught in pre-service training for elementary school teachers. For this purpose, we have inquired of (A) elementary shcool teachers about 1) whether materials of mathematics that they studied at unversity are useful for their teaching of arithmetic or not, 2) what materials of mathematics should be taught in pre-service training for elementary school teachers, 3) what teaching methods are good in pre-service training and (B) mathematics professors teaching the pre-service training course for elementary school teachers about 1) what teaching materials of mathematics they teach to the students who do not major in mathematics. The results of these questionnaires are summarized as follows: A 1) YES 15.5%, NO 56.5% 2) properties of the integral and real numbers, and set theory 3) seminar B 1) system of number, integral theory, algebra and geometry.
著者
淺野 玄 的場 洋平 池田 透 鈴木 正嗣 浅川 満彦 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.s・ix, 369-373, 2003-03-25
被引用文献数
6 28

1999-2000年に北海道で捕獲されたメスのアライグマ(Procyon lolor)242個体について,胎盤痕または胎子を分析して繁殖学的特性を調査した.捕獲個体の齢構成は,0歳69個体(29%), 1歳71個体(29%)および2歳以上102個体(42%)であった.1歳の平均妊娠率は66%で,2歳以上の平均妊娠率96%と比べて有意に低値であった.一腹産子数は1頭から7頭で,平均産子数は1歳で3.6頭,2歳以上では3.9頭であった.平均産子数には1歳と2歳以上とで有意差は認められなかった.北海道の移入アライグマの繁殖期は,2月が交配のピークで3月から5月が出産期であると推定された.しかし,7月に2頭の妊娠個体が確認されたことから,夏期にも繁殖することが明らかとなった.北海道のアライグマの繁殖ポテンシャルは北米における報告と同程度であり,個体数増加の主要因であると考えられた.夏期の箱罠捕獲における0歳獣の捕獲圧は,1歳以上の個体と比較して相対的に低いことが示唆された.移入アライグマの個体数を減少させるためには,個体数が多い0歳獣の捕獲圧を高める必要があり,効率的な捕獲方法の検討が求められる.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.572-581, 2013-08-01

近年,遊び手である人間の負荷を軽減することを目的に,遊び手が操作するキャラクタであるプレイヤキャラクタ(PC)以外にコンピュータが操作するキャラクタであるノンプレイヤキャラクタ(NPC)が導入されたロールプレイングゲーム(RPG)が増えてきた.従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたRPGのモデル化が行われているが,NPCを伴うRPGのMDPを用いたモデル化はまだ行われていない.そこで,本研究では,MDPを用いてNPCを伴うRPGのモデル化を行う.更に,MDPの真のパラメータ未知の場合に相当するNPCを伴うRPGについて,報酬の期待値をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を算出するアルゴリズムを提案する.
著者
平澤 由平 鈴木 正司 伊丹 儀友 大平 整爾 水野 紹夫 米良 健太郎 芳賀 良春 河合 弘進 真下 啓一 小原 功裕 黒澤 範夫 中本 安 沼澤 和夫 古橋 三義 丸山 行孝 三木 隆治 小池 茂文 勢納 八郎 川原 弘久 小林 裕之 小野 利彦 奥野 仙二 金 昌雄 宮崎 良一 雑賀 保至 本宮 善恢 谷合 一陽 碓井 公治 重本 憲一郎 水口 隆 川島 周 湯浅 健司 大田 和道 佐藤 隆 福成 健一 木村 祐三 高橋 尚 由宇 宏貴
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1265-1272, 2003-07-28
被引用文献数
2 12 4

遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤 (rHuEPO) が6か月以上継続投与されている慢性維持血液透析患者 (血液透析導入後6か月以上経過例) 2,654例を対象に, 維持Ht値と生命予後との関係をretrospectiveに調査, 検討した. Cox回帰分析による1年死亡リスクは, 平均Ht値27%以上30%未満の群を対照 [Relative Risk (RR): 1.000] とした場合にHt 30%以上33%未満の群でRR: 0.447 [95%信頼区間 (95% CI): 0.290-0.689 p=0.0003] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 0.605 [95% CI: 0.320-1.146 p=0.1231] と有意差を認めなかった. 一方, Ht 27%未満の群ではRR: 1.657 [95% CI: 1.161-2.367 p=0.0054] と有意に予後不良であった. また, 3年死亡リスクも1年死亡リスクと同様, Ht 30%以上33%未満の群ではRR: 0.677 [95% CI: 0.537-0.855 p=0.0010] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 1.111 [95% CI: 0.816-1.514 p=0.5036] と有意差を認めず, Ht 27%未満の群ではRR: 1.604 [95% CI: 1.275-2.019 p<0.0001] と有意に不良であった.<br>これらの調査結果より, 1年および3年死亡リスクはともにHt値30%以上33%未満の群で有意に低値であり, 生命予後の観点からみた血液透析患者のrHuEPO治療における至適維持目標Ht値はこの範囲にあると考えられた. ただし, 1年死亡リスクは, 例数が少ないもののHt値33%以上の群についても低値であったことから, このレベルについては今後再検討の余地があると考えられた.
著者
鈴木 正信
出版者
滋賀大学経済学部
雑誌
滋賀大学経済学部研究年報 (ISSN:13411608)
巻号頁・発行日
no.18, pp.110(1)-87(24), 2011-11 (Released:2011-12-26)

In this article,at first,I compared the ancestor of "Ki-no-Atai" clan. The ancestor of "Ki-no-Atai" clan is, " ① Kami-musuhi" , " ② Ame-no-michine" , "③ Nagusa-hiko" , "④ Uji-hiko" , "⑤Arakawa-tobe" , "⑥ Chinaso" , "⑦ Kimi-tsumi" , "⑧ Waka-hiko". Of these, as a result of having analyzed ①~④,in order of "Uji-hiko" , "Nagusa-hiko" , "Ame-no-michine" , "Kami-musuhi",their names become abstract from a concrete. These appear by this order. And, in this order,the number of same families increases. Furthermore,those distribution area spreads out,too. Therefore, it is thought that the ancestor of "Ki-no-Atai" clan was made in this order. Then, I considered it's process.In the first half of the fifth century, "Kii-no-Minato" was adiplomatic foothold of "The Yamato Dynasty". It's center was a "Uji-area". Therefore the ancestor of "Ki-no-Atai" clan was named "Uji-hiko". The sixth century middle,The power of "Ki-no-Atai" clan spread through "Nagusa-area". Therefore the ancestor of "Ki-no-Atai" clan was named " Nagusa-hiko". From around seven end of century eight century first half, "Nichizen-gu" that "Ki-no-Atai" clan enshrined was worshiped. Therefore the ancestor of "Kino-Atai" clan was named " Ame-no-michine ". And, from eight century latter halves the ninth century beginning, the number of clans who make "Kami-musuhi" an ancestor has increased. Therefore the ancestor of "Ki-no-Atai" clan was named "Kami-musuhi".The genealogy of "Kino-Atai" clan was formed in this way.