著者
鈴木 一弥 落合 信寿 茂木 伸之 山本 崇之 岸 一晃 浅田 晴之
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.117-129, 2014 (Released:2016-03-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

高さが可変できるデスクを使用した立位の挿入がデスクの作業者の下腿周径,主観的疲労感,作業パフォーマンスに及ぼす影響を検討した。12名(男性6名,女性6名)の被検者が実験に参加した。2時間のパソコン作業(文章転写)を(1)座位条件,(2)20分間の立位と40分間の座位の繰り返し(転換条件),(3)立位条件,の3条件で実施した。左足の下腿周径,主観的疲労感,身体違和感,反応時間課題が作業開始前,作業開始後20分,60分,80分,120分に測定された。左足・足首および膝・下腿の違和感は立位と比較して座位および転換条件で有意に低下した。臀部の違和感は座位条件と比較して立位および転換で低下した。眠気の平均評定値は,座位>転換の傾向差を示した。下腿周径は,座位と比較して転換条件で有意に低下した。(図8)
著者
鈴木 隆文
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.15-20, 2004-01-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
33
被引用文献数
1
著者
鈴木 雄大 山川 樹 坂本 真士
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.2021, (Released:2022-03-16)
参考文献数
12

本研究では,感情的視点取得(i.e., 他者の視点にたって,その人の感情を想像すること)と認知的視点取得(i.e., 他者の視点にたって,その人の考えを想像すること)を区別し,これらを他者にされたと知覚すること(i.e., 被感情的視点取得の知覚と被認知的視点取得の知覚)が被共感の知覚に及ぼす影響を検討した。参加者は自身の意見を述べるエッセイを書くよう求められ,それを読んだ別の参加者(実際には存在しなかった)が感情的視点取得および認知的視点取得をしたかどうかがフィードバックされた。その結果,被感情的視点取得の知覚および被認知的視点取得の知覚は,ともに被共感の知覚を促進することが示された。ただし,被共感の知覚を生じさせるかどうか検討したところ,被感情的視点取得の知覚のみが被共感の知覚を生じさせることが示唆された。他者に感情的視点取得および認知的視点取得をされることの効果について考察した。
著者
鈴木 明哲
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.21-33, 2014-03-30 (Released:2016-07-02)
参考文献数
16
被引用文献数
5

本稿の目的は、日本スポーツ界における暴力的指導に関して、体育・スポーツ史研究及び教員養成の観点からいくつかの問題提起をすることである。 本稿による提言は以下のようにまとめられる。 1)注意すべき最も重要な点は、スポーツにおける暴力的指導に対して我々が「自己反省」の意識をもつ必要があり、これらの問題に関する全ての発端が体育やスポーツの内部に由来しているという認識をもつ必要があるということ。 2)日本のスポーツ界における暴力的指導が軍隊のシステムに由来しているという説明がなされている。が、しかし、この説明は歴史的史料に基づいておらず、実際にいつ、どのようにして学校の体育やスポーツに入ってきたのか、その過程についてはほとんどわかっていない。それゆえ我々は、史料に基づいた歴史的事実の提示をしなければならない。 3)スポーツにおける暴力的指導に関する歴史的研究が進展してこなかった理由は、問題史研究という手法に注目してこなかったからであり、我々はこの研究手法に注目する必要がある。 4)体育やスポーツのあらゆる分野で暴力のない新しい、創造的な指導法を構築するために、我々は体育やスポーツについて全く知らない多くの人々と意見を交換しなければならない。 5)教員養成系大学における学生たちの受講態度に留意することは、カリキュラム改革よりも重要である。 最後に重要な点として、本稿では以下の点を強調しておきたい。日本のスポーツ界から暴力的指導を排除することはおそらく困難であろうと思われるが、我々は、そのためには、相当に長い時間を要することを覚悟しなければならないということである。
著者
許 鳳浩 阿部 哲朗 鈴木 信孝 太田 富久 川端 克司
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-8, 2017-03-31 (Released:2017-04-05)
参考文献数
16

シイタケ菌糸体抽出物は癌化学療法との併用時に,患者のQOLを維持・改善することが報告されている.本研究では,様々な治療背景および様々なステージのがん患者のQOLに及ぼすシイタケ菌糸体抽出物の影響を検討した.16施設で73症例を対象にシイタケ菌糸体抽出物を4週間(1,200 mg/day)連日経口摂取させ,摂取前後のQOLをEORTC-QLQ-C30調査票でスコア化した.シイタケ菌糸体抽出物摂取後のQOLスコアは被験者全体では,摂取前スコアに比べ,心理的,疲労スコアで有意に改善した.特にステージ3,4の被験者では,総体的,身体的スコアの改善も観察された.シイタケ菌糸体抽出物の経口摂取の併用は,進行性がん患者のQOLを改善することが示唆された.
著者
深谷 芽吏 鈴木 綾香 船津 太一朗 松島 友二 八島 章博 長野 孝俊 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.27-37, 2020-03-31 (Released:2020-03-28)
参考文献数
28

歯科用CT装置(CBCT)は,診断に必要な部位とその周囲組織の3次元的形態を評価できるだけでなく,指定した部位からの距離や角度の計測も可能である。デンタルX線写真などから推測した骨欠損形態は,実際の骨欠損状態とは異なる場合がある。特に歯周組織再生療法を行う場合,事前に正確な骨欠損状態を把握しておくことは手術の成功に大きく係わる。そこで当講座では,歯周組織再生療法を予定する患者に対しCBCTの撮影を行い,さらに3Dプリンターで模型を作製し,事前に歯周組織再生療法のカンファレンスを行うことを義務づけている。本症例報告は,当講座における歯周組織再生療法のカンファレンスの流れと,実際に行った2症例について報告する。本症例は,検査所見にて垂直性骨欠損を確認した。その後,手術予定部位のCBCT画像,3次元模型,臨床データを基に術前カンファレンスを行った。歯周組織再生療法時に比較したところ,3次元模型は実際の骨欠損形態をほぼ再現していた。歯周組織再生療法を予定している患者に対して,CBCT撮影及び3次元模型を作成することにより,手術部位の骨欠損形態を事前に把握することができ,手術前の十分な討論が可能となった。我々の取り組みにより,手術をより安全かつ効果的に行うことができると示された。また手術前に十分なカンファレンスを行うことは,若手歯科医師の育成,および患者への説明のツールとしても有用であった。
著者
戒野 敏浩 鈴木 智博
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.72, 2010 (Released:2010-11-15)

音楽市場における消費者ニーズの多様化とデジタル化の進展に伴い、ヒットの確率をあげる音楽マーケティングが求められている。しかし、既存の音楽ビジネスや楽曲そのものに関する研究は定性的なものが中心で、定量的な研究はあまり多くはない。本研究は、J-POP楽曲のヒット要因について感性情報処理による分析を試みる。具体的には、オリコン年鑑2007の邦楽売上ランキングにおける上位1位から1,000位までの楽曲について、楽曲のヒット要因と思われる感性ワードの形容詞対によるSD法に則った質問紙調査を行い、因子分析によるヒット曲の感性要因抽出を試みる。また、2人の実務家へのインタビュー調査を通じ、実務への活用の可能性について検証する。
著者
関 有沙 横山 祐典 鈴木 淳 川久保 友太 菅 浩伸 宮入 陽介 岡井 貴司 松崎 浩之 浪崎 直子
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

完新世の短期的な気候変動のメカニズムを明らかにする上で、古気候復元データの不足は深刻な問題である。本研究では、完新世の寒冷化イベントの古気候データが不足している東シナ海に位置する沖縄県久米島の化石サンゴ骨格のSr/Ca比と放射性炭素年代の分析を行い、完新世中期の表層海水温の復元を行った。その結果、PME(Pulleniatina Minimum Event)と呼ばれる寒冷化イベントにおいて、夏と冬の水温低下幅が異なることが明らかになった。今後、本手法でPMEの際の表層海水温復元をより多くの年代で行うことによりPMEの古水温変動を時系列で復元し、寒冷化メカニズムの解明に寄与することが期待される。発表では、新たに採取した化石サンゴの放射性炭素年代測定の結果を示し、その年代分布から、今後の研究の展望についても紹介する。
著者
平野 幹雄 鈴木 徹 野口 和人
出版者
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
雑誌
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.5, pp.22-30, 2010-06

本稿においては、筆者らが高機能自閉症およびアスペルガー症候群の子どもを対象におこなっている社会性発達の支援のための放課後実践について、その概要と開始から1年半の間の子どもの様子について紹介することを目的とした。対象児は、11歳から17歳までの高機能自閉症およびアスペルガー症候群の子ども5名で、あった。筆者らの放課後活支援においては、対象児が鉄道やコンピュータに興味を持っていたことから、両者を組み合わせて子どもがしたいと思う活動として組織した。具体的には、双方向型のブログの運営と定例会の開催、一日旅行を通じて支援をおこなった。学校行事と日程が重なる日以外の対象児の参加状況はほぼ皆勤であった。定例会を重ねることで、対象児から積極的に挨拶をする様子、自らの発言に対する他者の関心の有無に注意を払う等の変化が見られた。これらの変化は、長期的な支援をおこなったこと、筆者らの実践が対象児において主体的に参加できる場として機能したことによると考えられた。また、鉄道という共通の土俵ができあがったこと、リアリティをもって長期間かかわりを続けたことによって、対象児にとって筆者らが親しくもリスペクトされる存在となったことが重要であると考えられた。
著者
鈴木 貞美
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.377-391, 2009-11

福沢諭吉ら明治啓蒙思想家たちは、明治維新を「四民平等」を実現した革命のように論じたが、黒船ショックが引き起こした倒幕運動は、開国か、尊皇攘夷かが争われ、紆余曲折を経て、尊皇開国に落ち着いたもので、その過程で政治の自由や四民平等がスローガンにあがったことはない。すでに、江戸時代のうちに、いのちの自由・平等思想がひろがり、身分制度も金の力でグズグズになっていたため、デモクラシーは至極当然のことのように受けとめられたのだった。明治新政府は、一八三七年一月に徴兵令の告諭を発し、国民の自由・平等を認め、それと引きかえに「国家の災害を防ぐ」ために、西洋でいう「血税」として、二十歳に達した男子に三年の兵役義務を課した。「国民皆兵」制度は、国民各自が自分の権力の一部を国家に提供し、秩序を維持し、各人の安全の保証を得るという自然権思想に立つものだが、明治啓蒙家たちの思想においては、自由、平等が未分化で、自然権思想や社会契約説の定着が見られないことが、すでに指摘されている。しかし、その理由については、これまで恣意的な分析しか行われてこなかった。 その理由は、ヨーロッパやアメリカにおけり各種の「自由・平等」思想をひとくくりにして、天賦人権論として受けとめたこと、それらのリセプターとして、江戸時代に公認されていた朱子学の「天理」や、ひろく流布していた天道思想が働いたことに求められる。そして、江戸時代の通念では、いのちの自由と平等とがセットになっていたため、天賦人権論者たちは、あらためて自由と平等の関係について、それぞれを社会や国家と関係づけながら考えようとしなかったのである。それゆえ、個々人の諸権利についても、いのちにおける、社会における、国家におけるそれが切り分けられないまま、個人、社会、 国家の相互の関係についての考え方が、時どきの状況により、また論者の立場によって、たえず変化することになった。ここでは、まず「自由」「平等」が、どのように受け止められたのかについて検討し、そのうえで個々人の社会論、国家論を考えてみたい。外来の概念とその「リセプター」となった伝統概念とをあわせて考察すること、また、「自由と平等」のように、複数の概念を組み合わせて、個々人の概念形成を解明することは、社会的に流通する概念組織(conceptural system or network)の形成を解明するために有効かつ不可欠な方法である。
著者
玉川 裕夫 齊藤 孝親 江島 堅一郎 佐々木 好幸 鈴木 一郎 多貝 浩行 冨山 雅史 日高 理智 森本 徳明 紀 山枚 岡峯 栄子 遠藤 明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.183-195, 2014 (Released:2016-04-20)
参考文献数
74

本論文は,歯科・口腔外科領域の標準化に関する経緯と現状を,具体的な例とともに整理した総論である.歯科医療情報の電子的交換が広がりつつあるなか,国際的な状況も含めて読者の理解を得ることを目的とした. 歯科の標準病名マスターは,齊藤らによってとりまとめられ,医科の標準病名集とともに一般財団法人医療情報システム開発センターでメンテナンスされて,保健医療情報分野の厚生労働省標準規格の一つとなっている.歯式は,標準病名とあわせて歯科・口腔外科領域の病院情報システムに欠かせないことから,日本の歯式表記の特徴を述べ,国際的な表記の具体例を挙げて比較した.また,SNOMEDとISO/TR 13668(矯正歯科領域の規約)を例に,診療情報交換の場で歯式がどのように扱われているかを解説した.そして,現在使われているその他の指標について紹介し,最後に,歯科領域の標準化に関する今後の課題を考察した.
著者
鈴木 久貴 湯浅 景元 Hisataka SUZUKI Kagemoto YUASA
雑誌
中京大学体育学論叢 = Research journal of physical education Chukyo University (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.41-46, 2002-11-08

This study investigated pitching motion reproducibility in baseball using two pitchers as subjects, a graduate student and a person on the university ball team. Both were asked to actually throw, and a photograph was taken with a high-speed camera. Analysis was done using 2-dimensional picture. The results revealed that the coefficient of variation of the arm motion [two subjects] increased among the seven items measures. From this, it is thought that the arm motion before release (forearm, upper arm, and elbow) is related to ball control.
著者
鈴木 春花 朝倉 隆司
出版者
日本健康相談活動学会
雑誌
日本健康相談活動学会誌 (ISSN:18823807)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-40, 2018

<p> 本研究は、性別意識に着目して、男性養護教諭の仕事の意識と体験の特徴を明らかにした。</p><p> 男性養護教諭4名を対象とし、約1時間程度の半構造化インタビューを実施した。分析は、テーマ分析の方法を参考に、共著者間で協議して進め、基本的問題意識とデータの読み込みから、5つのテーマを設定してカテゴリーを生成した。</p><p> 性別意識が現れたカテゴリーは、《養護教諭を目指した理由・動機》《養護教諭としての職業観》では、【男性でもなれるという思い】【専門性と性別は無関係】であるという認識のカテゴリーであった。男性の《養護教諭としての仕事上の体験》では【男性養護教諭に対するバリアへの挑戦】【少数派男性ゆえの孤独感と存在価値】【中年期の男性養護教諭イメージの不確定さからくる不安と期待】【子供が持つ羞恥心への理解】【セクハラの危険性の認知と予防策】【性別を超えた対人職の倫理】と特徴的なカテゴリーを見出した。《うまく働ける要因》では、【学校のニーズ】【男女の複数配置】【普通と思う受け入れ姿勢】という職場の条件、【本人のポジティブな性格】という本人の要因を見出した。《男性養護教諭の存在意義》に関しても、【子供に養護教諭の選択肢を与えることができる】【キャリア教育の一翼を担う】【これまでの当たり前を問い直すことができる】【多様なニーズへの対応ができる】のように、男性養護教諭の立場から養護教諭のあり方を問い直すカテゴリーを見出した。</p>