著者
鈴木 良香 結城 美智子
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.9-18, 2022 (Released:2022-09-14)
参考文献数
19

本研究の目的は福島第一原子力発電所事故による避難生活で認知症高齢者を在宅介護する家族の生活状況と精神的健康を検討することである.全住民が避難指示による避難を長期継続している福島県A町の協力を得て,避難住宅で在宅介護している家族介護者79名を対象として,個別訪問による面接調査を行った.被介護者は約7割が避難後に要介護認定を受け,認知症の診断を受けている者は約3割であった.対象者は半数以上が女性の高齢者であり,心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorde:以下,PTSD)疑いは約3割で,避難住居形態別の有意差はなかった.介護負担感得点は,持ち家群が仮設住宅群より有意に高かった.結果から,長期避難生活中の在宅介護を担う家族への支援の必要性が示唆された.
著者
柏木 友太 鈴木 昭広 丹保 亜希仁 川田 大輔 西浦 猛 小北 直宏 藤田 智
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.43-47, 2016-01-01 (Released:2016-01-08)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

Ia群抗不整脈薬シベンゾリンを含む処方薬を過量服用し,心停止を来した症例を経験したので報告する。症例は10歳代後半,男性。家族に処方されていたシベンゾリン100 mg 30錠,バルプロ酸200 mg 118錠,ブロチゾラム0.25 mg 28錠,イブプロフェン100 mg 34錠を自宅で服用した。内服から70分後に当院救命センターへ搬送された。心電図は完全右脚ブロック波形であったが当初循環は保たれていた。しかし,来院15分後より心室頻拍(ventricular tachycardia, VT)となり,やがてpulseless electrical activity(PEA)となった。心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation, CPR)に反応しないため経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)を導入した。ICU入室後,血漿交換を行い加療したところ徐々に心拍出量が増加し,第10病日に後遺症を残さず独歩退院となった。過量服薬によるIa群抗不整脈薬中毒は稀であるが,作用機序に基づく治療法を知っておく必要がある。重症例では急激な循環不全に至る可能性があり,機械的補助循環の導入を考慮した初療対応や適切な血液浄化法の選択が求められる。
著者
鈴木 匡子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.300-303, 2004-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
22
被引用文献数
1

発語失行の責任病巣については長年議論されてきたが, どの部位が最も重要かに関しては異論も多い.これまで報告された左半球病巣による純粋発語失行例21例をまとめると, 1例を除き全例で中心前回下部が病巣に含まれていた.一方, 失語症で発語失行の要素を含む症例の検討では島前部を重視する報告が出された.われわれは, 言語優位半球病巣をもつ症例において構音を含む言語機能および行為について検討した.また, 脳腫瘍例においては皮質電気刺激による術中言語マッピングを施行した.その結果, 発語失行の責任病巣としては言語優位半球中心前回下部が最も重要で, 島前部は必須の領域ではないことが示された.術中マッピングでは, 中心前回下部は口舌の運動野やnegative motor areaと同定される例が多かった.以上より, 言語優位半球中心前回下部は高次の運動コントロールに密接に関係しつつ, “言語野”として働いていると推定された.
著者
小椋 康光 八幡 紋子 鈴木 紀行 ENCINAR Jorge ruiz
出版者
昭和薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

セレンは植物にとって非必須であるが、動物にとって必須元素であり、陸域の生物圏では、棲息する生物に毒性を発揮することなく、循環が起こっていると考えられる。そこで動物の排泄形であるセレノ糖が植物に対してどのような影響を与えるのか明らかにすることを目的とし、検討を行った。さらにセレンの代謝過程を明瞭にするため、同属のテルルの代謝との比較を行い以下の成果を得た。
著者
藤本 将志 伊藤 陸 小島 佑太 池田 幸司 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.33-39, 2022 (Released:2022-12-23)
参考文献数
5

We recommend performing a top-down physiotherapy evaluation rather than a bottom-up evaluation. During an assessment, it is desirable to detect problems at the impairment level and narrow them down to one problem in terms of order and relevance. By intervention for narrowed-down problems and re-evaluation of changes, a clearer physical therapy can be developed. In this study, we introduce abnormal postures and movements that are characteristics of patients with musculoskeletal diseases involving lumbar and hip joint impairment. Furthermore, we present one problem focusing on muscle weakness and decreased muscle tone as the possible underlying cause of impairment. We explain intervention methods for this impairment using kinematic and anatomical viewpoints and electromyography.
著者
白井 孝尚 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.433-437, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

〔目的〕結帯動作は肩甲骨前傾,下方回旋が重要である.肩甲骨前傾,下方回旋に関与する僧帽筋上部線維が弛緩しにくい場合の結帯動作に与える影響を知ることを目的とした.〔対象と方法〕健常成人20名の僧帽筋上部線維に電気刺激を与え,弛緩しにくい状態を再現させた結帯動作と電気刺激を与えない結帯動作を実施させた.肩関節外転,伸展,内旋角度や肩甲骨前傾,上方回旋角度,結帯距離を比較した.〔結果〕電気刺激により結帯距離の延長,肩甲骨前傾角度減少,上方回旋角度増大を認めた.〔結語〕僧帽筋上部線維の筋緊張は,結帯動作に影響することが示された.結帯動作の実用性改善には,僧帽筋上部線維の筋緊張や肩甲骨運動が重要であることが示唆された.
著者
田中 周平 垣田 正樹 雪岡 聖 鈴木 裕識 藤井 滋穂 高田 秀重
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.III_35-III_40, 2019 (Released:2020-03-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

本研究では,下水処理場の処理工程におけるマイクロプラスチック(以下,MPs)の挙動と琵琶湖への負荷量を把握することを主目的として,2017年11月~2018年2月に4か所の流域下水処理場(分流式)の流入水,放流水,処理工程別において100μm以上のMPsを,流入水と放流水ではさらに10~100μmのMPsの分析を行った.その結果,下水,処理水,汚泥,スカムなどから合計30種類のMPsが検出され,流入水中のMPs濃度は158~5,000個/m3であった.放流水中のMPs濃度は0.3~2.2個/m3であり,放流先の琵琶湖水中のMPs濃度と同等であった.一方,10~100μmのMPsの除去率は76.3%であった.100μm未満のMPsの除去は急速砂ろ過を行っても不十分であると示唆された.4つの下水処理場からの合計負荷量は501,630個/日と推計され,晴天時の琵琶湖流入河川からの総負荷量とほぼ同じであることが示された.
著者
白井 孝尚 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1197-1203, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

目的:結帯動作には2種類の動作方法が存在する.移動させる上肢と同側の肩甲骨付近を触れる外転方法と,対側の肩甲骨付近を触れる内転方法である.本研究は,各方法時の肩甲骨運動と筋活動を知ることを目的とした.方法:健常男性10名に外転方法と内転方法を行わせた.肩甲骨上方回旋・前傾・内旋角度を三次元動作解析装置で計測し,多重比較法で比較した.僧帽筋上部線維・中部線維・下部線維,前鋸筋の筋活動を表面筋電計で計測し,分析した.結果:外転方法は肩甲骨が前傾・上方回旋した.内転方法は下垂~L5・T12で肩甲骨が前傾・上方回旋し,L5・T12より高位で下方回旋した.僧帽筋上部線維の筋活動は,外転方法では下垂~T7で常に増大したが,内転方法ではT12より高位で減弱した.結論:内転方法の獲得には,肩甲骨の前傾や下方回旋,僧帽筋上部線維の筋活動に着目したリハビリテーション治療が重要となる.
著者
渥美 亮 鈴木 亘 吉田 伸子 伯水 英夫
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.209-216, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
13

To examine the drug interaction between LC9018 and tegafur, the tegafur was administered to LC9018 treated or control mice and plasma concentrations of tegafur and its active metabolite, 5-fluorouracil (5-FU) were monitored.1. In 300μg LC9018/animal (intravenous, i.v.) treated group, the maximum plasma level(Cmax) of 5-FU and the area under the curve (AUC)decreased to 43% and 64% of control values, respectively. On the other hand, no change was observed in tegafur level, suggesting that LC9018 inhibited the conversion of tegafur to 5-FU at this dose.2. In 300μg LC9018/animal (intrapleural, i. pl.) treated group, 5-FU level decreased to 55% of the control at 30min after administration. But the influence on the metabolism of tegafur was smaller compared to the intravenous treatment of LC9018.3. In 180μg/animal (i.v.), 150μg/animal (i.pl.) and 300μg LC9018/animal (subcutanous, s.c.) treated groups, both tegafur and 5-FU level did not alter compared to the control.4. From above results, influence of LC9018 on the metabolism of tegafur depends on the dose and the administration route (i.v.> i.pl.> s.c.). It is considered that LC9018 slightly affects the metabolism of tegafur at clinical dose (200μg/animal i.pl.).
著者
鈴木 栄之心
出版者
会計検査院
雑誌
会計検査研究 (ISSN:0915521X)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.33-50, 2022-03-22 (Released:2022-03-22)
参考文献数
18

本稿の目的は,公的介護保険制度が施行された2000 年から2014 年までの15 年間を対象として,介護保険料の設定における市町村行動と調整交付金の財政調整効果を検証することにある。 調整交付金は標準給付費の5%を総額として交付されるが,次期保険料の設定では,その他の各要素と同様に市町村の裁量によって決定されるため,調整交付金の目的どおりに市町村間の保険料格差が是正されるとは限らない。また,調整交付金の総額を標準給付費の5%とした特段の根拠は無く,これによって保険料格差が是正されるとは限らない。 そこで本稿では,まず,2 県47 市町村に対するヒアリング調査を実施して,保険料設定に係る市町村の裁量とそれに対する国や県のコントロールの成否を把握した。次に,調整交付金自体の財政調整効果を検証し,最後に,調整交付金による財政調整に市町村行動を加味した保険料格差を検証した。 ヒアリング調査の結果,市町村の裁量のうち保険料水準への影響が最も大きいのは準備基金取崩し額の調整であった。国や県は最低ラインを示しながら,可能な限り全額取崩すよう指導・助言を行っていたが,市町村のコントロールに必ずしも成功しておらず,当初の取崩し額を維持する市町村も散見された。 検証に当たっては,保険料概念を6 種類に整理した。そのうえで,厚生労働省およびすべての都道府県に対して情報公開請求を行い,過去15 年間のすべての市町村別保険財政データを収集して,「介護保険財政データベース」を独自に構築した。 検証の結果,調整交付金は市町村間の介護給付水準に係る格差是正に寄与しており,財政調整効果が制度施行当初から徐々に強化されていた。また,市町村の準備基金取崩しは,市町村間の保険料格差を拡大させていたほか,国の調整交付金による格差是正を阻害していた。 このような事態が起こる原因は,現状の制度設計が,保険料収入の剰余金を次期保険料の抑制に活用できるようになっていることにある。仮にすべての剰余金を当期計画期間において被保険者に還元する制度設計となっていれば,少なくとも市町村の準備基金取崩し額の調整について,国や県のコントロールに係る問題は生じない。 そもそも準備基金への積立金は保険料収入の剰余金であり,結果的に被保険者から過大に徴収したものである。したがって,国としては,市町村が被保険者に対して当期中に還元するよう,制度変更を行うことも検討するべきであろう。
著者
大鋳 史男 鈴木 達也 杉本 一臣
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-78, 2002-03-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Several methods that distinguish between a normal and an abnormal time series have been proposed. See Iokibe [3], Kaplan and Glass [4], and Wayland, Bromley, Pickett and Passamante [7]. These methods are algorithmically complicated, and then it is hard to clear the mathematical properties of them. In this paper we propose two simple methods for the problem of classification of time series data, which are called cos analysis method (CAM) and simplified cos analysis method (SCAM). Applying the proposed methods to the artificially produced chaotic time series data and the pressure data of an extruder, we show that we may practically use the methods for checking the strangeness of machines. Furthermore, using ergodic theory, we show that the quantity derived by the simplified cos analysis method equals to -1/2, when the time series data is random.
著者
星 宣次 折笠 精一 吉川 和行 鈴木 謙一 石戸谷 滋人 伊藤 明宏 近藤 丘 今井 克忠 木崎 徳 鈴木 康義 加藤 正和
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.46-52, 1997-01-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
20

(背景と目的) 腎癌肺転移切除例を検討し, その有用性と手術適応を明らかにする.(対象と方法) 1981年より1994年末までに腎癌肺転移の切除術を行った17例 (男性14例, 女性3例) を対象とした. 肺転移手術時の年齢は, 45歳から73歳で平均年齢61歳. 原発巣術後に肺転移が出現したのが11例, 6例は腎癌診断時肺転移があり, 3例は肺手術を, 3例は腎摘を先行した. 他臓器転移が4例に見られ, 脳転移摘出, 対側腎転移に対する腎部分切除, 胸壁と肋骨転移部切除, 対側副腎転移の切除がそれぞれ行われた. 肺の片側手術例14例, 両側手術例が3例であり, 12例に肺部分切除が行われ, 5例に肺葉切除術が行われた.(結果) 肺手術後生存期間は10ヵ月から10年9ヵ月で, 肺手術による合併症は認められなかった. 疾患特異的生存率, 無病生存率はそれぞれ5年で55, 48%, 10年で27, 14%であった. 癌なし生存例はすべて10個未満の肺転移例であった.(結論) 腎癌の肺転移切除により長期生存例が得られ, 症例によっては大変有用であった. 肺転移数が10個未満の症例に予後良好例が認められた.
著者
鈴木 多聞
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

戦前から戦後にかけての昭和天皇と宮中を重点的にとりあげ、戦争終結のタイミングや条件の問題と戦後秩序の見通しの問題を明かにした。諸外国での文書館で史料調査を行い、史料を収集することができた。また、『昭和天皇実録』をカレンダー化し、時間の流れを整理することができた。研究成果の一部はすでに「『聖断』 と『終戦』の政治過程」(筒井清忠編『昭和史講義 最新研究てみる戦争への道』(筑摩書房、2015 年) 「鈴木貫太郎と日本の『終戦』」(黄自進・劉建輝・戸部良一編『「日中戦争」とは何だったのか』ミネルヴァ書房、2017年)として発表している。
著者
大久保 修三 黒川 忠英 鈴木 徹 船越 将二 辻井 禎
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.259-269, 1997-10-31 (Released:2018-01-31)
参考文献数
28

Generation of the streak-like flash in the inner-fold of the mantle in Ctenoides ales was investigated by video-camera recording, and stereo, light, fluorescence and electron microscopy. The stereo microscopy revealed the presence of a pale white band along the entire width of the marginal edge of the shell side surface of the inner fold. Since the flashing could not be seen in the dark, it was not due to the luminescence but the reflection of light. The light microscopy showed that the band region consisted of about ten rows of epithelial cells, cylindrical and 40 μm tall and 10 μm wide. The cytoplasm was densely filled with fine granules, eosinophilic in H-E staining. Under the electron microscope, those granules appeared as electron-dense vesicles, 0.5-0.6 μm in diameter, each containing a highly electron-dense spherical core, 0.2-0.3 μm in diameter. The cell had a nucleus, few mitochondria and lysosomes, however, other cellular organelles such as Golgi apparatus, rough and smooth endoplasmic reticulum were not evident, in the present observation. We assume that the electron-dense vesicles packed in the cytoplasm function to reflect light strongly. This highly reflecting structure found in C. ales is quite different from those have been reported in eyes of scallop and squid, and in iridophores of giant clam, cuttlefish, long-spined sea urchin and of fishes. The video observation showed that the mantle made a movement to roll the white band towards the shell-side and then, within a second, the rolling movement was released. The phase of the movement was different by the portions of the mantle, and the mantle edge made a wave-like motion. When the pale white band was hidden by the roll, the reflection of light disappeared. When the rolling was released, the reflection of light reappeared. Since the "roll and release movement" repeat quickly, it looks as though a streak-like flash run along the mantle margin.
著者
鈴木 尚 馬場 悠男 神谷 敏郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.441-468, 1986 (Released:2008-02-26)
参考文献数
2

元関脇出羽ヶ嶽の全身骨格に関する形態学的資料を報告する.計測はマルチンの教科書に準拠して行ない,結果を Table1~11にまとめた.写真はマイクロニッコール55mm で撮影し, Plate1~6にまとめた. X線写真は距離1.2mで撮影し,直焼像を Plate7~14にまとめた.X 線写真のスケールは骨自体の人きさではなく,フィルム面上の像の大きさを表わしている.骨格の形態学的記載および現代日本人との比較は,この資料報告に先行する本報告(巨人関脇出羽ヶ嶽骨格の形態学的研究,鈴木他1986)に載せた.
著者
早田 荘 赤松 圭介 藤本 将志 田尻 恵乃 水上 俊樹 貝尻 望 大沼 俊博 渡邊 裕文 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-62, 2010 (Released:2011-01-13)
参考文献数
1
被引用文献数
1

The efficacy of physical therapy for a patient with impaired hair-washing motion due to dysfunction of the inferior fibers of the trapezius was assessed. Surface electromyography was performed to investigate the clinical implications, and to elucidate the relationship between changes in the speed of elbow joint flexion-extension during simulated hair-washing motion and the corresponding activities of the superior, intermediate, and inferior fibers of the trapezius and of the caput longum of triceps brachii. In a sitting position, the subject moved the shoulder joint approximately 110 degrees in flexion and the elbow joint approximately 45 degrees horizontally on the measured side, and performed flexion-extension of the elbow joint in which the middle finger on the measured side reciprocated between the torus occipitalis and vertex in a hair-washing motion-simulating task. The motion speed was set at 40, 80, 120, and 160 motions per minute using a metronome and electromyograms of the superior, intermediate, and inferior fibers of the trapezius and the caput longum of triceps brachii were measured for 10 seconds 3 times during each task. Electromyogram waveforms of these fibers at each speed and the influence of changes in the elbow joint flexion-extension speed on the relative integrated electromyogram value were investigated. In the caput longum of triceps brachii, the amplitude of the electromyogram waveform in a single elbow joint flexion-extension motion was compared among the tasks at different speeds. The waveform amplitude increased and the relative integral value tended to increase as the elbow joint flexion-extension speed increased only in the inferior fibers of the trapezius. These findings suggest that to evaluate and improve hair-washing motion in patients with impairment of the scapulothoracic joint, the arm should be maintained in an elevated position during this motion. Furthermore, attention should be paid to the activity of the inferior fibers of the trapezius, which are assumed to be involved in stabilization of the scapula during the elbow joint flexion-extension motion, in this posture.
著者
小林 義昭 長谷川 隆志 佐藤 誠 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.810-815, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

症例は47歳の女性. 平成2 (1990) 年から慢性肝疾患の診断で某院に通院していた. 平成5年4月に肝硬変と診断され, 中国産漢方薬「片仔廣」の内服を開始したところ, 5月頃より湿性咳嗽が出現, 増悪したため, 7月当科に入院した. 両背下部に fine crackle を聴取し, 胸部X線写真で両下肺野に網状影を認めた. 血液ガス分析ではA-aDO2の軽度開大がみられ, 呼吸機能検査では拘束性障害と拡散能の低下を認めた. 薬剤性肺炎を疑って, 片仔廣を中止して無治療で経過観察したところ, 自覚症状, 画像所見, 呼吸機能のいずれも改善した. また, 白血球遊走阻止試験では, 片仔廣による遅延型過敏反応が認められた. 以上の結果から, 片仔廣による薬剤性肺炎と診断した. 本症例は, 本邦における片仔廣による薬剤性肺炎の第1例と思われる.
著者
平石 健太郎 柴田 大地 西田 智裕 山口 直子 鈴木 祥太 芳野 魁 伊藤 孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2019-ICS-195, no.14, pp.1-7, 2019-03-11

本稿では,投稿文書の分散表現を用いたフィルタリング手法を提案する.近年,オンライン上での議論が活発化している.ただし,これらの議論には無関係のスパムなどの有害なコンテンツが多数あり,また相手を侮辱したり差別したりする激しい発言がある.従って,不適切な発言を削除して安全にオンラインユーザーが参加できる議論環境を構築することが必要になる.不適切な発言を削除するには,文書の意味を理解し分類することが必要である.本稿では,doc2vec を文書のベクトル化,ELMo を単語のベクトル化に用い,ベクトル化された文書を文書類似度計算とディープニューラルネットワーク (DNN) を用いてフィルタを構築した.評価実験では提案手法が高い精度で不適切文書を分類できたことを示す.また実際のリアルタイムの議論でも運用を行い実用性を確認する.
著者
礒 千聡 井原 晶子 鈴木 亜美 三藤 雄介 中川 諒 林 涼 小池 康子 新 智美 新 謙一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.202-205, 2018-05-01 (Released:2018-09-20)
参考文献数
9

77歳の重症慢性閉塞性肺疾患患者に対し,日常生活動作の呼吸困難軽減を目的に在宅にてHigh Flow Nasal Cannula(以下HFNC)を導入した.呼吸困難を伴う食事・入浴の際に使用し,SpO2の改善を認めた.継続使用における問題点として,機器運搬の煩雑さやカニューレのずれがあった.対策として小型の機種に変更し,延長回路を導入した.また,カニューレの固定性を高める為に,持続陽圧人工呼吸療法用ヘッドギアを併用した.HFNC導入4ヶ月後に悪性リンパ腫を併発し,その3ヵ月後に非侵襲的陽圧人工呼吸療法(以下NPPV)へ移行し,その後永眠した.HFNC期間中は体重を維持し,楽しみである入浴が可能な生活を継続できた.本症例より在宅でも安全なHFNC導入は可能であり,NPPV移行までの呼吸サポートとしての有用性が示唆された.