著者
鈴木 崇雅 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.16, pp.1-6, 2019-03-01

デジタルゲームAIのコンペティションを開催するWeb上のプラットフォームRiddles.ioでは,二人零和有限確定完全情報ゲームであるGame Of Life And Death(GOLAD)のAIコンペティションが行われている.GOLADは,AIに許容される思考時間が非常に短い上に分岐が非常に多いため,乱数対戦を行うだけの単純なモンテカルロ木探索では十分なシミュレーション回数が得られなかった.本研究では,Bitboard計算を用いて局面計算の高速化を行うとともに,プレイアウトに工夫を加えることでモンテカルロ木探索の効率化を図ることで,少ない計算量で妥当な探索ができるシステムを提案した.その結果、単純なモンテカルロ木探索のAIに対して有意に強くなることを確認した.また,現在CNNを用いた改良も行っており,発表までに間に合えば,その結果についても言及する.
著者
鈴木 剛
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教科教育センター研究報告 (ISSN:02881853)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.93-99, 1997-03-29

There are now widespread concerns about human rights issues and human rights education. In this paper, the author has attempted to clarify the concept of human right and to point out a new issue of human rights education by analyzing a historical development of the concept of human rights. The following are several theoretical-practical topics, for example, the right of the child as a new human right, the real significance of the civil right as the natural right, the human dignity as a fundamental element of human rights, and so on.
著者
大島 千佳 西本 一志 鈴木 雅実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.157-171, 2005-01-15

本論文では,演奏初心者の親が,初級者の子どもと容易にピアノ連弾できるようにするシステム“Family Ensemble” を提案する.近年,ピアノ・レッスンに連弾が取り入れられ,連弾を通じて生徒の練習意欲が高まったという報告がある.さらに連弾には,パートナーと呼吸を合わせることで,音楽性を育てるという効果がある.しかし子どもが,家庭内で演奏経験の乏しい家族と連弾を行うことは難しい.そこで,本研究で提案するFamily Ensemble では,子どもの親が担当する連弾のパートを,正確な音高列を出力する機能と,子供の演奏位置を追従する機能により支援することで,まったくの初心者の親が,演奏誤りの多い初級者の子どもとでも連弾できるようにした.Family Ensemble を使用する場合としない場合の両方について,合同練習を5 組の被験者ペアに行ってもらったところ,使用した合同練習では,連弾の回数とFamily Ensemble に支援されていない子供の独奏による練習回数が大幅に増加した.この結果から,Family Ensemble によりまったくの初心者と初級者によるピアノ連弾が可能になることだけでなく,支援されていない子どもの練習意欲が増すことが示された.さらに,初心者と初級者のペアでありながら,お互いに音楽的なアイデアや演奏技術について意見をかわしている様子が見られた.
著者
王 俊貞 大月 翔平 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 大野 泰史 川尻 由美 神崎 務
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2014年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.113-114, 2014-09-01 (Released:2015-03-01)

蚊を模倣した低侵襲性のマイクロニードルを開発するため,蚊の穿刺行動および吸血動作を観察した.本研究では蚊の穿刺対象として、マイクロ流路を有する透明な人工皮膚の開発を行った.この人工皮膚はアガロースとグルコマンナンを主材料とする.
著者
近藤 夕騎 望月 久 加藤 太郎 鈴木 一平 板東 杏太 滝澤 玲花 吉田 純一朗 西田 大輔 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20012, (Released:2020-10-30)
参考文献数
8

目的:Ehgoetz Martensらが開発したすくみ足の詳細を把握できる質問紙Characterizing Freezing of Gait questionnaire(C-FOGQ)の日本語版を作成し,患者による回答時間などの予備調査を行うこと.方法:日本語版C-FOGQは,原著者から許可を得た後,異文化適応に関する国際的ガイドラインに準じて,①順翻訳,②逆翻訳,③予備調査のプロセスを経て作成した.予備調査では,すくみ足を訴えるパーキンソン病関連疾患患者39名から日本語版C-FOGQによる回答を得て,回答時間,誤回答・無回答率を調査した.結果:英語原版から日本語への順翻訳ならびに英語への逆翻訳過程において,重大な言語的問題は生じなかった.予備調査の結果,平均回答時間は526.8秒であり,誤回答・無回答率は1%未満であった.SectionⅡにおける総合得点の平均は20.0点であった.結論:作成した日本語版C-FOGQは言語的妥当性を有し,10分程度で回答でき,誤回答や無回答率も少ないため,本邦でもすくみ足の評価として使用可能と思われる.
著者
土屋 範芳 鈴木 舜一 小田 幸人 飯島 章夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.89-96, 1989-03-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
44

Carbonaceous material in pelitic rocks and limestones of the Ayukawa and the Daioin Formations in the Hitachi metamorphic rocks was investigated by means of X-ray powder diffraction technique. Carbonaceous material in these metasediments was graphitized under the conditions of greenschist facies. rystallite thickness Lc (002) ranges from 29 to 170 Å in the Ayukawa Formation and that from 120 to 300 Å in the Daioin Formation. Lc (002) of carbonaceous material in pelitic rocks containing biotite is more than 60 Å and increases with increasing metamorphic grade. Lc (002) value at a boundary between greenschist and epidote-amphibolite facies may be estimated 260-300 Å from the data of Lc (002) of the lower part of the Daioin Formation. Lc (002) of the Ayukawa Formation surrounding the sheared granite is above 200 Å. As compared with the general value of the Daioin Formation, Lc (002) of the Daioin Formation around the sheared granite is not so high. Thermal effect of the sheared granite was not marked, which suggests that the sheared granite intruded under low temperature condition.
著者
三浦 正勝 出口 明 武内 洋 細田 英雄 鈴木 智 平間 利昌
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.726-733, 1987-08-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5

To recover fuel oil from oily sludge, experimental studies were performed using a fluidized sand bed pyrolyzer. The heat energy for the pyrolysis of sludge was supplied from the heat of a partial combustion of sludge. It was revealed that the yield of recovered oil decreased with increasing bed temperature within the range of from 500 to 600°C. The viscosity of recovered oil decreased with the increase of the oxygen concentration in fluidized gas. The properties of the recovered oil ranked with those of the fuel oil. Moreover, the sulfur content in recovered oil was reduced to 70%, as compared with that in sludge. When lime-Stone or natural zeolite were used as the fluidized particles, relatively low viscous oil could be produced, but its yield value was small compared with the use of silica sand. The estimated value of heat con-sumption for pyrolysis was ranged from 390 to 530 kcal/kg.
著者
米谷 昇子 篠崎 優子 鈴木 由美
出版者
日本視機能看護学会
雑誌
日本視機能看護学会誌 (ISSN:24333107)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.6-9, 2022-11-30 (Released:2022-12-18)
参考文献数
5

要 旨 目的:患児とその家族,眼科手術周術期の一連の流れの理解を深めるために,絵本を改定し,その絵本を使用したプレパレーションの効果について評価を行う。 方法:疾患および周術期のタイムスケジュールの理解を補助するための絵本を他職種と共同で作成。調査期間は2019年11月〜2020年3月。斜視および睫毛内反手術で入院し手術を受けた患児の家族に対し,退院後初回外来時アンケート調査を実施した。 結果:平均年齢:7.1±2.4歳,絵本を「読んだ」95%,絵本は子どもにとって良い効果がありましたかという問に対し,『強くそう思う』30%,『そう思う』55%。「内容」「ボリューム」「文字の大きさ」「絵・写真」について適切かどうかの問に対し,90%以上が『強くそう思う』『そう思う』に回答。 考察:眼科看護師が他部署のスタッフと協力し,絵本作成し,プレパレーションを実施することで,患児と家族が安心して手術を受けることの一助になったと考える。
著者
鈴木亜由美
雑誌
日本教育心理学会第59回総会
巻号頁・発行日
2017-09-27

問題と目的 Aron(2002)の提唱した,感覚処理に敏感性を持つ子ども,Highly Sensitive Child(HSC)は,明橋(2015)によって“ひといちばい敏感な子”と和訳され,広く知られるようになった。しかしながら実証的な研究は非常に少ない。本研究では,Aron(2002)のHSCチェックリストを幼児用の尺度として作成する試みを行った。方 法調査対象者 調査会社(株式会社クロス・マーケティング)に登録しているリサーチモニターの中から,3-4歳の子を持つ母親300名を対象とした。年齢は,21歳から48歳であり,平均34.1歳であった。質問項目1.幼児用Highly Sensitive Child Scale 日本語版: Aron(2002)の23項目からなるチェックリストを日本語訳し,バックトランスレーションの手続きにより,原文の英語との等価性を確認した。Aron(2002)は各項目についてT/Fで回答するものであったが,本研究では成人向けに作成された,Highly Sensitive Person Scale 日本語版(髙橋, 2016)を参考に,“7.非常にあてはまる”から“1.まったくあてはまらない”の7件法により評定を求めた。2.Big Five尺度: 和田(1996)の形容詞による性格特性語を用いた尺度の,情緒不安定性と外向性の2つの下位尺度の中から,幼児の特性を測定するのに適切と思われる各9項目を選択した。3.幼児気質質問紙: 武井・寺崎・門田(2007)の尺度から,神経質尺度10項目,外向性尺度8項目をそれぞれ用いた。結 果因子構造の検討 幼児用Highly Sensitive Child Scale 日本語版23項目について,主因子法による探索的因子分析を行った。固有値の減衰状況と解釈可能性から2因子構造を採択してPromax回転を行い,因子負荷量が十分でない2項目を削除した。Prmax回転後の因子パターン,因子間相関係数を,Table 1に示した。髙橋(2016)を参考に,因子1を“感受性”,因子2を“低感覚閾”とした。信頼性の検討 全体の信頼性係数は,α=.91 であった。下位尺度ごとでは,“感受性”がα=.91,“刺激回避”がα=.76であり,十分な信頼性が示された。妥当性の検討 構成概念妥当性を検討するため,Big Five尺度と幼児気質質問紙の2つの下位尺度との相関係数を算出した(Ta考 察 妥当性の検討では,下位尺度ごとに異なる傾向がれた。“低感覚閾”と“幼児気質質問紙”の間には相関が見られなかったため,用いる尺度の再検討が求められる。また,幼児期の他の年齢も対象とし,年齢差についても検討する必要がある。
著者
天野 みゆき 鈴木 永子 河合 美重子 馬嶋 昭生
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.182-189, 1992-11-20 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

1986年より1990年までの間に愛知県総合保健センター視力診断部色覚外来を受診した色覚異常者296名(第1色盲35名,第1色弱46名,第2色盲122名,第2色弱93名)に対して,AO H-R-R表(H-R-R表),東京医大式色覚検査表(TMC表),大熊曲線表(大熊表)による程度判定と,市川式ランタン,パネルD-15によるpass fail分類を行ない結果を比較した。色盲表3表は色覚異常の程度分類につき,それぞれ独自の基準を持っている。296名のうち3表共に程度判定が一致するものは72名であり,3表共にそれぞれ異なった程度に判定されたものは41名いた。各色盲表の特徴として,H-R-R表は第1異常,第2異常共に強度に判定されるものは少なく,TMC表では2色型色覚である強度をよく判定した。また,大熊表は第1異常は軽く判定され,第2異常は強く判定される傾向を持った。パネルD-15においては2色型色覚の97%と異常3色型色覚の23%がfailを示し,機能的色盲と色弱および正常とを適度に区別した。また,2色型色覚の殆どが定型的なパターンを示したのに対し,異常3色型色覚では多くが非定型的なパターンを示した。
著者
鈴木 雄介
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.229-244, 2020-04-15

エンタープライズ領域においてデジタルトランスフォーメーション(以下DX)と言われるようなビジネスモデルの変化に合わせ,システム開発にアジャイル開発プロセスを導入する取り組みが増えている.しかし,実際に導入しても高いビジネス成果を上げることは容易ではない.本稿ではシステム開発手法を組織の意思決定プロセスと捉え,エンタープライズ領域におけるアジャイル開発の課題を論じる.また事例を挙げて,この解決に向けた取り組みを紹介する.
著者
鈴木 啓助
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.568-573, 1995-11-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
15
被引用文献数
4 5

福島県会津地方の温暖積雪流域において,3水年にわたり渓流水質を継続的に調査した.降水量の極大は夏季に観測されるが,流出高は融雪期に最大となる.融雪時には,渓流水中のHCO3-濃度が減少し,Cl-, NO3-, SO42-濃度は増加する.そのために,渓流水のpHが一時的に低下する.暖候季の洪水時にも一時的に渓流水のpH低下が観測されるが,融雪期には比較的長い期間pH低下が持続する.夏季の渓流水中では,陰イオンでHCO3-が優先するが,融雪時にはHCO3-の比率が低下し,Cl-+NO3-+SO42-の割合が多くなる.
著者
鈴木 千晴 中山 満子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-148, 2021 (Released:2022-03-30)

ソーシャルメディアは近年ますます発展を続け,SNSをはじめ,オンラインゲームや動画配信アプリなど,新たなサービスが生み出され続けている。ソーシャルメディアを通じた見知らぬ人との手軽なコミュニケーションには,様々なメリットがある一方で,犯罪やトラブルに巻き込まれる危険も孕んでいる。自己情報の公開や誹謗中傷等のトラブルに関するリスクを扱った研究に比べ,見知らぬ人との出会いや交流に焦点を当てた研究は少ない。ネット上の見知らぬ人との交流手段が増え続けている現状において,青年期女性のネット上の他者との交流行動の実態を明らかにすることは重要であるといえる。本研究は女子大学生を対象に,ソーシャルメディアを通じた見知らぬ人との交流行動の内容と,ソーシャルメディア利用に関するリスク・メリットの知覚について尋ね,見知らぬ人との交流行動に関わる要因について検討した。
著者
山本 彩 鈴木 育美
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.109-123, 2019-02-01 (Released:2020-02-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

2017年12月に閣議決定された「再犯防止推進計画」で刑務所内において発達特性に応じた効果的な指導が必要であることが述べられた。一方現行制度下では,ほとんどの刑務所が発達特性を有する人の実態把握すら難しい状況にある。特に女子刑務所は過剰・高率収容状態に加え,一般社会のペース以上に収容者の高齢化が進んでいる。また収容者の多くが覚せい剤後遺症や性虐待・性被害の被害体験からくる反応,摂食障害など極めて処遇困難な症状を有しているため,発達特性に応じた効果的な指導を行うのは難しい状況にある。筆者らは,法務省がこうした状況を鑑み2014年度から行った「女子施設地域支援モデル事業(以下,モデル事業)」を用いて,女子刑務所において自閉スペクトラム症(以下,ASD)が疑われた人へ,ASD特性を加味した支援をおこなった。本報告では,その中の2事例を報告するとともに,「モデル事業」を用いてどのように継ぎ目のない(シームレスな)支援体制を整備したかを紹介した。最後に2事例を振り返り,2事例に共通して見えたことや当該支援の限界について考察した。
著者
澤田 康徳 鈴木 享子 小柳 知代 吉冨 友恭 原子 栄一郎 椿 真智子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.40-53, 2023 (Released:2023-03-08)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究ではGLOBEプログラムを例に,身近な自然環境調査成果の全国発表会に関する感想文から,生徒と教員の発表会のとらえ方および生徒の調査の継続志向の特徴を示した.発表会のとらえ方には,生徒の参加や発表,調査に関する観点が生徒と教員に認められた.発表会の多様性は生徒に特徴的な観点で,日本各地や他の学校の環境およびその認識などを含む.すなわち生徒において全国発表会は,自然環境の認識や理解を日本規模で深める場の機能を有する.また,異学年間の活動の継続を考え今後の活動意欲につながっている.教員において全国発表会は,充実した調査の継続に重要な自校の測定環境をとらえなおす場として機能している.生徒の調査の継続志向は,科学的思考より調査結果や探究活動過程全体,生徒をとりまく人と関連することから,継続的調査に,発表会においてとりまく人などと連関させた生徒の振り返りや教員の測定環境のとらえなおしが重要である.