著者
赤澤 威 西秋 良宏 近藤 修 定藤 規弘 青木 健一 米田 穣 鈴木 宏正 荻原 直樹 石田 肇
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

旧人ネアンデルタール・新人サピエンス交替劇の最大の舞台のひとつ西アジア死海地溝帯に焦点を当て、事例研究として、一帯における交替劇の真相解明に取り組み、次の結果を得た。両者の文化の違いは学習行動の違いに基づく可能性が高いこと、その学習行動の違いは両者の学習能力差、とりわけ個体学習能力差が影響した可能性が高いこと、両者の学習能力差を解剖学的証拠で検証可能であること、三点である。以上の結果を統合して、交替劇は両者の学習能力差に基づく可能性があり、この説明モデルを「学習仮説」と定義した。
著者
鈴木 和恵 立花 昭生 畠山 忍 岡野 弘
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.156-159, 1995-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

シロスタゾールによる薬剤性肺炎の1例を経験したので報告する. 症例は73歳男性. 3回目の急性心筋梗塞を発症し, シロスタゾールの内服が開始された. 約70日後に呼吸困難, 乾性咳嗽, 発熱が出現した. 高度の低酸素血症と胸部X線, 胸部CTでびまん性スリガラス様濃度上昇を認めた. 薬剤性肺炎を疑い, 硝酸イソソルビド (冠動脈拡張剤) を除くすべての薬剤の中止とステロイド治療を施行し, 改善した. シロスタゾールのリンパ球刺激試験は陽性であり, 同剤による薬剤性肺炎と考えられた. これまでにシクロスタゾールによる薬剤性肺炎の報告はみられず, 本症例が第一例と思われる.
著者
坂口 次郎 鈴木 雅和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.197-200, 1996-03-29
被引用文献数
1

本研究の目的は,大規模都市公園における空間構成を客観的に記述し比較検討するため,グラフ理論に基づいたグラフの計測示数により,空間構成を解析することにある。日本における15ケ所の国営公園を対象とし,ゾーニングされた空間をグラフの頂点,それらを連結する主要な動線を辺としてグラフ化を試みた。またグラフの規模,連結度,分散度,関連数などのグラフ示数を計測し比較することにより,大規模都市公園における空間構成を類型化することができた。大規模都市公園におけるゾーニングは1段階だけの単純な構造ではなく,空間を複数回分割する階層的な構造があるなど,空間構成上の特微か把握でき,本解析法の有効性が確認できた。
著者
今田 啓介 酒井 洋介 大塚 智宏 鈴木 順 樋口 淳一 飛鷹 洋一 天野 英晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.75, pp.163-168, 2008-07-29

NEC により開発が進んでいる ExpEther は,PCI Express と Ethernet を統合するネットワークインタフェースである.本稿では,ExpEther を対象とする RDMA 通信機構を実装したネットワークインタフェースコントローラを利用するためのソフトウェア環境が RDMA 通信機構の性能に与える影響についての評価を述べる.実験用システムにおいて,RDMA 通信に必要な通信用バッファの Physical Buffer List (PBL) の取得に要する時間を測定した結果,1MByte の領域に対して 8.35μsec で済み,同じ領域に対するピンダウン処理の時間の半分程度であり,十分実用的であることがわかった.また PCI Express NIC に対するメモリアクセスをユーザレペルで行った場合のメモリアクセスレイテンシは 0.58μsec であり,カーネルを経由した場合と比べて 54.3% 削減できることを確認した.ExpEther by NEC is a network interface for a bridge between PCI Express and Ethernet for network connected virtual computer environment. In this paper, evaluation of the software environment which supports access to ExpEther network interface card (NIC) is described. On our experimental system, it takes 8.35μsec to get Physical Buffer List (PBL) for RDMA data transfer using 1MByte buffer. It is almost a half of time for pin-down the same memory area, and practical. The user-level memory access latency was 0.58μsec, and the overhead of using the kernel corresponding to 54.3% of execution time is removed.
著者
鈴木 崇之 佐野 善一 小林 透 安達 克樹 持田 秀之 岩堀 英晶 立石 靖
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.71, pp.44-46, 2005-05-15

サツマイモネコブセンチュウ汚染圃場に薬剤処理区と無処理区を設け, サツマイモ(高系14号, 九州139号, ジェイレッド)-ダイコンの体系試験を実施した.無処理区で線虫に感受性品種である高系14号を栽培すると減収, 塊根の線虫害, 線虫密度の増加が顕著だったのに対し, ジェイレッドを栽培すると減収, 塊根の線虫害はほとんどなく, 線虫密度も栽培期間を通じて低く推移した.いずれの試験区でもダイコン根部には線虫による実害はなかったが, ジェイレッド跡では後作ダイコンの根こぶ指数も小さく, 線虫密度も翌年春まで低く維持された.
著者
角野 由夫 青木 知世 寺谷 尚子 梅村 宗太郎 片山 泰三 五十嵐 麻咲美 関口 玲奈 菊地 悠一郎 鈴木 友里 上本 季更 小林 雅裕 村上 英貴 澤崎 絵理子 土田 恭子 南谷 太一 西口 知久
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.7-17, 2012

Since 1992, geodetic measurements with GPS have been taken in the southern area of the Matsumoto basin, Nagano Prefecture, central Japan. The Matsumoto basin is located on the Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line, which has recently been regarded as a plate boundary between the Eurasian plate and the North American plate. The GPS network of Shinshu University, established along the Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line, consists of four observation stations: Shinshu University, Muroyama, Nakayama, and Matsumoto City Hall. The observed data were analyzed using broadcast ephemeris and default meteorological values with the double-difference technique. From the present GPS measurements, it was found that, during the period from 1992 to 2010, the distance between Muroyama and Shinshu University̶about 12km in the east-west direction̶contracted 4 cm (4 ppm). Subsequently, during the three years from 2010 to 2012, the temporal change of the baseline length between Muroyama and Shinshu University showed an extension of 4 cm (4 ppm). In particular, the steep change of the baseline length between them showed an extension of 1.5 cm following the massive Tohoku Earthquake, with a magnitude of 9.0 on March 11, 2011. The distance between Nakayama and Shinshu University̶about 6 km in the north-south direction̶extended 1 cm (2 ppm) during the period from 1992 to 2010. Subsequently, in 2011, it contracted 1.5 cm following the Naganoken Chubu Earthquakes, with magnitudes of 5.4 and 5.1, on June 30, 2011, which struck Matsumoto city. Crustal deformation in the southern area of the Matsumoto basin, Nagano Prefecture during the last twenty years, 1992-2012, is reported and discussed in the present study.
著者
林 一也 鈴木 敦子 津久井 亜紀夫 高松 直 内藤 功一 岡田 亨 森 元幸 梅村 芳樹
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.589-596, 1997-07-15
被引用文献数
6

The characteristic anthocyanin, vitamin C, dietary fiber and sucrose contents of new types of colored potatoes were studied. The total dietary fiber level in the violet, red and yellow potatoes w[ere 0.75, 0.66 and 0.85o%, respectively. The total vitamin C contents of the violet, red and yellow potatoes were 25.3, 14.l and 31.5mg/100 g, respectively, while the anthocyanin contents of the violet, red and yellow potatoes were 142,148 and 17 mg/100 g, respectively. The main anthocyanin structures in the violet and red potatoes were determined to be petanin and pelanin by FAB-M S and ^1 H-NM R analysis. The red potato anthocyanin was very stable to heat and UV irradiation. Sucrose in the red and yellow potatoes increased during low-temperature storage.
著者
大槻 桂右 鈴木 哲 河野 英美 渡辺 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.793-796, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
13

〔目的〕簡便な方法で無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold; AT)を測定することが求められている。本研究の第一の目的は,心拍数二乗(HR)2法によってATの検出を試み,基礎的データを提供することとした。さらに,第二の目的はV-slope法ならびに二重積屈曲点(Double Product Break Point; DPBP)法を用いて検出されたATを比較し,(HR)2法の有用性を検討した。〔対象〕健常成人男性10名(23.8±2.5歳)を対象とした。〔方法〕自転車エルゴメーター上にて,5分間の安静座位の後,0 wattでのウォーミングアップを3分間行い,続いて30 wattsから開始した。運動負荷は2分ごとに10 wattずつ負荷を増加させる多段階運動負荷試験を用いた。〔結果〕(HR)2法,DPBP法,V-slope法によるAT検出時のVO2は,それぞれ有意差を認めなかった。また,AT検出時のwattsもそれぞれ有意差を認めなかった。〔結論〕(HR)2法はAT検出に関わる心拍数ならびに負荷量を簡便に知ることが可能な方法の一つであると考えられた。
著者
鈴木 省三 佐藤 佑
出版者
仙台大学
雑誌
仙台大学紀要 (ISSN:03893073)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.39-48, 1986-10

The heart rate of 5 bobsleigh players were measured during 7 races of Teine bob course. Heart rate, plasma catecholamines and white blood cell of 7 bobsleigh players were determined morning, pre-, post-exercise and evening. The results were summarised as follows: 1) The fine technique and high degree of muscle coordination of pilots were influenced by the anticipatory heart rate. The best anticipatory heart rate of pilots would like to be from 125 beats/min to 140 beats/min. 2) Plasma adrenaline increase of 5 times as much as the normal value was found in the pilot group after bobsleigh race. Seven bobsleigh players increased plasma noradrenaline just before the competition. 3) In Teine course, the mental stress of pilots was higher than the brakers and the physiological stress of brakers was lower than the foreign bob courses and Sapporo Olympic Winter Games.
著者
瀬尾 和哉 下山 幸治 鈴木 省三 太田 憲 仰木 裕嗣
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

スポーツスキルとスポーツ用具を同時に最適化する手法の開発に成功した。これによって、世界記録を産み出すような最適な用具と最適なスキルを提案することが可能になった。また、障がい者アスリート等、様々な個性の競技者へ対して、そのスキルにマッチした最適な用具形状を提示することも可能になった。この成果は、特許出願済み(出願番号:2014-217501、飛翔体形状の計算方法、計算装置、計算プログラム、及び計算システム)であり、公知とした。今後は、この技術を様々な競技へ応用し、実際のものづくりと選手のスキル改善へ活かしていく実践的な局面である。
著者
鈴木 弘之 田村 明弘 鹿島 教昭
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.374-384, 1989-05-01
被引用文献数
18

歩行者空間のスライド映像の視覚情報と道路交通騒音のスピーカ再生音の聴覚情報を同時あるいは別々に用いて、二つの心理実験を行っている。これらをもとに、緑の持つ喧騒感緩和効果の存在条件とそのメカニズムを検討し、次の結果を得ている。1)緑による地区の喧騒感の緩和効果が存在する。2)地区の喧騒感は視覚情報による喧騒感と聴覚情報による喧騒感の平均化作用によって形成される。3)平均化作用は注意配分が関係し、聴覚情報への注意配分が大きくなると緑の効果は認めにくくなる。4)視覚情報から得られる喧騒感に対応する騒音レベル、すなわち期待騒音レベルが推定される。5)一方、緑の存在が騒音の侵入による地区の喧騒感の増加を誘発する効果も認められる。
著者
口田 圭吾 栗原 晃子 鈴木 三義 三好 俊三
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.853-859, 1997-09-25
被引用文献数
21 4

ロース芯断面内の脂肪割合を画像解析により客観的に測定する方法について検討した.脂肪交雑の2値化は,粒子ごとに閾値を決定する多重閾値法により行った.使用した入力機器はデジタルビデオカメラ,デジタル静止画キャプチャーボードおよびカラーイメージスキャナーである.これらの装置を使うことにより,フルカラー(255<sup>3</sup>色)の画像をコンピュータに取り込むことが可能となる.測定対象は畜試式牛標準脂肪交雑(BMS)の標準模型および黒毛和種去勢牛5頭のロース芯断面の写真である.ロース芯断面の写真は,カラーイメージスキャナーで,ビデオイメージはデジタル静止画キャプチャーボードでそれぞれコンピュータに取り込んだ.Visual C++で作成したプログラムで脂肪交雑粒子と赤肉部分とを多重閾値法により2値化し,その面積比から脂肪割合を算出した.画像解析による算出値と比較するための基準となる脂肪割合は,BMSをデジタルコピー機で,黒毛和種去勢牛のロース芯断面の写真をカラーレーザープリンターでそれぞれ拡大出力し,ロース芯と脂肪交雑の紙片の重量を測定することで算出した.多重閾値を基にした画像解析により算出した脂肪割合と,重量比により算出したそれとの差はBMS No. 2, No. 4, No. 7, No. 10およびNo. 12でそれぞれ0.2%,0.5%,2.1%,0.6%および4.6%以内であった.また,脂肪割合の範囲が13.6~24.4%であった黒毛和種去勢牛の画像解析による脂肪割合と重量比によるそれとの差は2%以内であった.画像解析に尾いる画像の解像度の影響は,低解像度において脂肪割合を低く算出する傾向が認められた.本研究で開発した方法を用いることで,ロース芯断面内脂肪割合の客観的で精度の高い計測が可能となった.
著者
鈴木 貴之 加藤 千幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.79, no.808, pp.2743-2758, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

Over the past two decades, many types of homogeneous models have been proposed for the numerical simulation of cavitating flows. Homogeneous models represent cavitation by the media whose density continuously varies from the value corresponding to liquid to that to gas. Recent studies have, however, revealed that the present homogenous models are unable to predict the breakdown characteristics of cavitating hydrofoils. The objective of this study is to clarify causes of such inability of homogeneous models to predict breakdown characteristics of cavitating hydrofoil accurately. Theoretical analysis shows that the present cavitation models inevitably cause kinetic energy loss through expansion and contraction of the media. To illustrate this fact, we computed cavitating flows in a venturi and around a hydrofoil (NACA0015) with a homogeneous model and investigated the computed flow field in detail. It is shown that the expansion and contraction of the media based on the homogeneous model do in fact cause kinetic energy loss and as a result, a region of low velocity appears downstream of the cavity. This results in a decrease of lift force in a partial cavitation condition, which is not observed in the corresponding measurements.