著者
鈴木 隆仁
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.11-17, 2013-02-28 (Released:2018-03-30)
参考文献数
19

Chaetonotids (Gastrotricha) are small 60-400μm in length, inhabit both the freshwater and marine environments. Their bodies are tenpin- or bottle- like shaped; flattened ventrally and arched dorsally. The sensory organs, brain, and pharynx are located in the anterior head. Posteriorly, a "furca" bears the adhesive organ. The locomotory cilia are restricted to the ventral surface, forming a pair of ciliary bands. The body wall is usually composed of the external cuticle of a flexible proteinous layer. In some gastrotrichs, the basal layer is locally thickened and specialized to form scales, spines, and hooks. The cuticular scales vary in arrangement and shape, depending on the species. The most common species are freshwater chaetonotid species that inhabit ponds, swamp, streams, and lakes. In these species male is entirely absent, thus the most chaetotonids reproduce by parthenogenesis. About 700 species of chaetonotids have been reported so far around the world. In Japan, 34 species were recorded from lakes, ponds, and swamps. Recently, 44 species have been found in the rice paddies. In this paper the natural history and diversity of chaetonotids are reviewed.
著者
菊池 友和 山口 智 鈴木 真理 荒木 信夫
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.480-483, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

1ヶ月以上薬物療法を行い効果の得られなかった反復発作性緊張型頭痛(frequent episodic tension–type headache:FTTH)と慢性TTH(chronic TTH:CTTH)に分類し,鍼治療を行い,Visual Analogue Scale(VAS)による自覚症状の評価が50%以上改善したのを有効として,両群の治療回数・期間について検討した.対象は,TTH221例.FTTH82例(男28,女54,平均年齢52.7歳)とCTTH139例(男44,女95,平均年齢50.4歳)である.FTTHの有効率80.1%,CTTHの有効率59.9%であり,FTTH群の方が有意に高値であった(p<0.01).回数・期間はFTTH 2.8回14.9日,CTTH8.9回35.9日であり,FTTHの方が少ない回数で短期間に改善した(p<0.01).FTTHは,鍼治療を3回または2週間継続し,さらにCTTHは9回または5週間継続し効果判定する必要性が示された.
著者
森川 健志 佐藤 俊介 荒井 健男 関澤 佳太 鈴木 登美子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.286-290, 2017-06-10 (Released:2017-06-20)
参考文献数
12

Developing a system for the production of organic chemicals via carbon dioxide (CO2) reduction is an important area of research that has the potential to address global warming and fossil fuel consumption. The present study demonstrates artificial photosynthesis for the direct production of organic substances under sunlight using a hybrid photocatalyst composed of a semiconductor and a metal complex catalyst. A solar to chemical energy conversion efficiency of 4.6%, calculated from the change in Gibbs free energy per mole of formic acid formation from CO2 and water (H2O), was demonstrated for CO2 photoreduction utilizing H2O as an electron donor under simulated solar light irradiation to a monolithic tablet-shaped device. These results which store solar photon energy in CO2 molecules could show promise for future progress in this field.
著者
雉子波 晶 杉本 誠忠 酒本 隆太 鈴木 智也
出版者
一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会
雑誌
ジャフィー・ジャーナル (ISSN:24344702)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.22-40, 2022 (Released:2022-06-08)
参考文献数
35

本研究は,外国為替証拠金取引業務におけるロールオーバー戦略について検討した.一般に実務においては流動性の観点より,受渡し日が短いトゥモローネクストでロールオーバーするのが一般的である.しかし理論的には金利のタームプレミアムを考慮すると,1週間や3週間など長期のフォワード取引を活用することにより受取りスワップポイントの上乗せを期待できる.しかし稀に短期のスワップ金利が急騰する場合があり,その際に長期フォワード取引を選択していれば高いスワップポイントを逃してしまう.そこで我々は機械学習によって長期のフォワード取引を積極的に選ぶべきタイミングを検出し,短期のトゥモローネクストおよびより長期のフォワード取引を組み合わせた混合戦略を提案する.このタイミングは,対象通貨における為替相場のみならず,株式・債券・商品先物など様々な要因が非線形的に影響すると考えられる.またフォワードレートは一般的にカバー付き金利平価説によって定式化できるが,突発的な政治経済情勢などの変化によって,現実のフォワードレートは理論値から乖離する可能性がある(Du et al. (2018a)).その結果,タームプレミアムの逆転現象(短期と長期のフォワード取引から得られるスワップ金利の逆転現象)も実際に度々観測される.本研究ではこのような状況を踏まえ,理論値からの乖離に影響を与えうる要因を説明変数とし,機械学習によって適切なフォワード期間を選択するための判別モデルを構築した.教師データとして過去の最適解を学習し,その後の判別を行った結果,約70%の正答率を実現できた.さらに獲得したスワップポイントのリスクリターン比によれば,我々の混合戦略は長期のフォワード取引と同等の安定性を維持したまま,短期のトゥモローネクストと同等の収益性を実現できた.
著者
鈴木 雄大
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.5-25, 2016-12-20 (Released:2017-09-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The aim of this paper is to argue for the anti-causal theory of action by associating separate ideas of action with one another: the logical connection argument, the anti-psychologism of reason, teleology, the disjunctivism of intention and the disjunctivism of bodily movement. I will also defend the anti-causal theory from the famous objection called “Davidsonʼs challenge” and reveal that the fundamental idea of the anti-causal theory is that an intention to act and the action itself do not exist independently of each other.
著者
鈴木 新一 浜田 光誉
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第54回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.73, 2011 (Released:2012-03-09)

NHKロボットコンテスト大学部門は1991年から開催され、既に20年継続している。筆者が所属する豊橋技術科学大学は、このロボットコンテストに1992年から参加しており、これまでに6回優勝している。ロボットコンテストの歴史は、3つの時期から成っている。第1期は1992年から2000年であり、この間は人がロボットに乗り、それを操縦して競技が行われた。第2期は2001年か2008年であり、この時期は、数台の自動ロボットと1台の手動ロボットが競技に使われた。試合展開が複雑になるルールであったため、この時期には、多くの種類のロボットと多彩な戦略が開発された。第3期は2009年以降である。本論分は、NHKロボットコンテストのこれまでの発展と現代の工学教育の問題、そして、ロボットコンテストが工学教育に与えた影響を述べる。
著者
鈴木 匡子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2+3, pp.83-89, 2009 (Released:2009-03-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

大脳の機能を知るためには,高次脳機能の系統的な診察が欠かせない.高次脳機能は背景症状と局所症状に分けて考えると理解しやすい.背景症状として,全般性注意障害,見当識障害,情動変化など全体像をとらえたうえで,個々の局所症状の診察に入る.局所症状としては,言語,計算,行為など主に左半球が司っている機能と,視空間機能,方向性注意など主に右半球が司っている機能について検討する.記憶は両半球が関わるが,障害側や部位により質的特徴がことなる.高次脳機能障害を的確に把握することは,大脳の機能低下の範囲や経時的変化を知るのに役立つ.さらに,ヒトでしか検討できない言語など複雑な機能の神経基盤を探る手がかりになる.
著者
波戸岡 清峰 瀬能 宏 矢野 幾維 鈴木 寿之
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館(旧神奈川県立博物館)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.50, pp.47-53, 2021 (Released:2021-03-30)

八重山諸島西表島のユチン川の淡水域から Gymnothorax polyuranodon (Bleeker, 1853) と同定される本邦初記録のウツボ科魚類の一種が採集され、コクハンカワウツボという新標準和名を付し、標本の詳細な記載を行った。今回の出現は偶発的なものと思われるが、今後、保全生物学的観点から本種の動態を注視していく必要がある。
著者
鈴木 敦真
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-74, 2014-03-25

首都大学東京, 2014-03-25, 修士(文学)
著者
五野 由佳理 小田口 浩 早崎 知幸 鈴木 邦彦 及川 哲郎 村主 明彦 赤星 透 花輪 壽彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.828-833, 2010 (Released:2010-12-24)
参考文献数
14
被引用文献数
12 9 3

2000年から2009年の9年間に当研究所にて,漢方薬による薬物性肝障害と診断した21症例について検討した。平均年齢55.2 ± 13.4歳で,男性5例,女性16例であった。服用3カ月以内には17例(81.0%)が発症していた。発症時,無症状が11例(52.4%)であり,肝細胞障害型と混合型が共に9例(42.9%)であった。起因漢方薬としては19例と9割以上が黄芩を含む処方であった。DLST施行例は5例のみであり,方剤陽性は1例のみであった。治療としては,原因薬の中止のみで肝障害の軽減および肝機能の正常化を認めたのが18例(85.7%)で他2例は同処方去黄芩にて正常化を認めた。今後,特に黄芩を含む処方の場合に無症状でも,薬物性肝障害の早期発見のために3カ月以内の採血が必要と考える。
著者
田中 直義 木村 小百合 木内 幹 鈴木 あゆ野 村松 芳多子 三星 沙織
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.167-174, 2012-04-15 (Released:2012-05-31)
参考文献数
33
被引用文献数
2

糸引き納豆は醗酵後の冷蔵中ににおいが変化してゆくことが知られており,品質の変化が早く生鮮飲食品並みの消費期限が設けられている.冷蔵中における主要なにおい物質の変化を以下の方法で検討した.(1) 購入直後の市販納豆および1週間冷蔵庫中で保存した市販納豆から臭い物質を連続水蒸気蒸留抽出によりエーテルに抽出し,濃縮した.得られたエーテル濃縮液をガスクロマトグラフ-におい嗅ぎ法で分析したが,試料間の差異が大きかったのでエーテル濃縮液を10の指数関数的に希釈することにより,主要な臭い物質を検索した.その結果,主要なにおい物質として2-メチルプロパン酸エチル,2-メチル酪酸エチル,3-メチル酪酸エチルなどの低分子脂肪酸エステル,2,5-ジメチルピラジン,トリメチルピラジンなどのピラジン類,酢酸,2-メチルプロパン酸,2- or/and 3-メチル酪酸などの低分子脂肪酸,およびエタノールが検出できた.1週間冷蔵中で保存するとそれらの物質の中で,低分子脂肪酸エステルのにおいは弱く,ピラジン類と低分子脂肪酸は強くなる傾向にあった.(2) 醗酵終了直後および冷蔵日数の異なる納豆からにおい物質をSPME法で抽出・濃縮し,ガスクロマトグラフで分析し,主要なにおい物質の変化を測定した.冷蔵日数が長くなるにつれて主要なにおい物質の中で,低分子脂肪酸エステルは減少,ピラジン類と酢酸以外の低分子脂肪酸は増加する傾向にあった.以上の結果から,冷蔵中のにおいの変化は,脂肪酸エステル類が減少し,ピラジン類および酢酸以外の低分子脂肪酸類が増加することによるものと推定した.
著者
首藤 敏秀 小薗 敬洋 鈴木 周一 和氣 聡
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.595-598, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
11

体軸性脊椎関節炎という新しい疾患概念の導入や生物学的製剤の進歩など脊椎関節炎を取り巻く状況は大きく変化している.しかしながら,本邦ではその進歩がいまだ日常診療に十分に反映されていないのが実情かと思われる.本研究では体軸性脊椎関節炎とその疑い例における脊椎関節炎および強直性脊椎炎の特徴的症状や所見の出現頻度を調査し,早期診断における問題点を検討した.若年者の慢性の腰背部痛に対して炎症性腰背部痛や脊椎関節炎の脊椎外症状,家族歴などが評価されてないために,整形外科を受診していながら体軸性脊椎関節炎の早期診断がされていない例を認めた.問診票などを利用してこれらを効率よく把握することが体軸性脊椎関節炎の早期診断に重要と考える.
著者
鈴木 亨
出版者
物理教育研究会
雑誌
物理教育通信 (ISSN:24238988)
巻号頁・発行日
vol.175, pp.53-63, 2019 (Released:2019-07-06)
参考文献数
7

高校物理の教育課程のほぼ終わりに,原子の構造,特にボーア理論と呼ばれるもの が不変の教材として置かれている。これは,水素原子のスペクトル公式を説明できる ものの,現代的な視点からは完全な理論ではないとされる。1913 年の原論文を読み返 すと,再評価されるべき面もあり,そのことを通じて,高校課程の教材としての意義 が改めて浮かび上がってくる。
著者
杉 直樹 清水 昭彦 上山 剛 吉賀 康裕 沢 映良 鈴木 慎介 大野 誠 大宮 俊秀 吉田 雅昭 松崎 益徳
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement4, pp.34-40, 2008-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
4

症例は32歳,男性.主訴は動悸.心電図で左脚ブロック型のwide QRS tachycardiaを指摘された.電気生理学的検査ではHRAからの期外刺激法にてnarrow QRS tachycardiaが誘発され,心房最早期興奮部位は僧帽弁輪後壁で,心房早期捕捉現象がみられることからAVRTと診断した.RVAからの期外刺激法では臨床的に認められたwide QRS tachycardiaが誘発された.同頻拍はすぐにnarrow QRStachycardiaへと変化し,AH間隔およびVA間隔の延長により頻拍周期は延長した.最終的に副伝導路への2回の通電によりwide QRS tachycardiaおよびnarrow QRS tachycardiaはともに誘発不能となった.一般にAVRT中に副伝導路と同側の脚ブロックとなった場合頻拍周期は延長を認めるが(Coumel現象),本症例では房室伝導路および副伝導路の特性のために脚ブロックにより逆に頻拍周期は短縮したと考えられた.
著者
松村 亜矢子 石井 成郎 尾方 寿好 鈴木 裕利 竹林 正樹
出版者
日本健康支援学会
雑誌
健康支援 (ISSN:13450174)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.191-198, 2022-09-01 (Released:2022-12-13)
参考文献数
26

BACKGROUND:Enjoyment, realization of benefi ts, and interaction with peers are important factors in continuing exercise. Although rhythm synchro exercise is designed to incorporate nudges into the program to elicit enjoyment, the enjoyment felt by participants in response to the rhythm synchro exercise program and the effects of implementing the program have not been verifi ed. OBJECTIVE:This study aimed to subjective changes felt by participants of performing rhythm synchro exercise and the factors that promote enjoyment. METHODS:Thirteen elderly people, who participated in a rhythm synchro exercise class for three months, were interviewed individually to determine the factors promoting enjoyment and subjective changes through the class. RESULTS:A categorical analysis of the interview content showed that enjoyment was promoted by four factors: program component, psychological factors, social factors, and environmental factors. Subjective changes were summarized by six factors: psychological changes, physical changes, environmental adaptation, social changes, cognitive changes, and changes in daily life. CONCLUSION:The results suggested that rhythm synchro exercise incorporating nudges may be a program with respect to fun and exercise continuation.
著者
友清 睦子 鈴木 雅実
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.67(1991-NL-084), pp.151-158, 1991-07-18

The primary goal of this paper is a statistical investigation of the comparative form of Japanese Spoken Language using appropriable data from the ATR spoken language corpus. The analysis includes the choice of comparative phrase markers as well as more general comparative form phenomena. In addition the paper also examines the semantics of the Japanese comparative form and compares them with those of the English and French comparative forms. Also considered are the problems of describing the comparative form in a dictionary oriented J-E MT telephone conversation task. Finally some examples of description following the markers of the Japanese comparative form are shown.
著者
鈴木 進太郎 中田 裕貴 松原 克弥
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.22-29, 2022-11-28

クラウドサービスにおけるアプリケーション実行環境として広く活用されているコンテナ型仮想化は,不特定多数のユーザが単一のホスト内に同居するため,コンテナ間の隔離を強固にする必要がある.しかし,追加の隔離環境は,堅牢なコンテナ間隔離を実現する代わりに,コンテナの高速な起動という特性やアプリケーション性能が損なわれる.このトレードオフを解消するために,我々は異種 OS 機能連携によって OS カーネルの脆弱性を悪用した攻撃を回避し,異種 OS 固有のセキュリティ機能を利用できるセキュアコンテナの実現を目指している.本稿では,FreeBSD の OS 機能を活用した Linux コンテナ互換実行と FreeBSD 固有のセキュリティ機能の適用について検討し,異種 OS 機能連携による特定 OS カーネルを対象にした攻撃回避の実現可能性について議論する.