著者
太田 久裕 山田 浩之 新田 清一 鈴木 大介 本間 大和 和泉 光倫 今村 香菜子 南 隆二 中山 梨絵 上野 真史 若林 毅 島貫 茉莉江 大石 直樹 小澤 宏之
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.556-564, 2022-12-28 (Released:2023-01-18)
参考文献数
14

要旨: 近年, 国民の難聴対策の必要性の増加に伴い, 政府や関連学会より言語聴覚士の活用や雇用の促進が訴えられている。今後は言語聴覚士 (以下 ST) の聴覚医療における貢献や活躍が期待されている。今回, 補聴器外来を医師1名から医師と ST の協力体制に移行する前後を比較し, 患者, 医師, 医療機関にどのような影響を与えたかについて検討した。補聴器購入後の補聴器全体の満足度は医師 1 名体制で平均82点, 医師と ST の協力体制で平均80点と同等の結果で, 高い患者満足度を維持することができた。1週間の最大患者枠数は14人から54人に増えた。1年間の補聴器適合検査数は1回目が2.2倍, 2回目以降が3.2倍に増加した。医師と ST の協力体制に移行しても満足度が維持できたことから, ST の積極的な参加は, 補聴器医療の需要に対応していく上で有効な選択肢で, 今後, より一層の ST の補聴器医療への関与が期待される。
著者
鈴木 智康 小野 孝也 髙橋 賢 野田 和彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.112-115, 2019-05-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
7
被引用文献数
5 4

物理現象としての結露時におけるACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサの出力挙動と腐食量の関係を明らかにするため種々の試験を行った.結露時のセンサ出力は降雨でのぬれや付着塩の吸水と比較して挙動が異なるため,切り分けて評価する必要があることがわかった.いずれの現象においても,その場測定(in situ)によって得られた出力と腐食量には相関が認められたので,ACMセンサ出力から短時間での腐食速度の推定が可能と考えられる.
著者
ノーリタ サンセダ 上田 久美子 ジュリア イバニェズ 鈴木 恵美子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.231-238, 2007-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
16

インキュベートしたあひるの卵の有精卵と無精卵である“balut”と“penoy”の歴史的背景および化学成分について調べた。試料はフィリピンで市販されているインキュベートした有精卵, 無精卵のゆで卵と日本で卵を購入し, 大学の研究室で調製したものを用いた。本研究の結果,“balut”と“penoy”はフィリピンに元々あるものではなく,中国の取引業者や移民があひるの有精卵を食べるという考えをフィリピンにもたらしたことが判明した。しかし,balut製造の知識や技術をもっているのはbalut製造業者に限られている。今日までbalut製造は伝統的な手作りによっており,機械化されていない。インキュベートした試料の総遊離アミノ酸量はインキュベートしていないものより高かった。タウリンは有精卵,無精卵ともにインキュベートすることで有意に高くなった。このことはインキュベートすることで栄養的にプラスの効果があること示している。ゆでた後,インキュベートした有精卵にはかなりの量のドリップがあり,無精卵には少量みられたがインキュベートしていないものにはほとんどなかった。
著者
鈴木 操
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.325-329, 2007 (Released:2007-05-14)
参考文献数
5

ヒトゲノムの解読が終了し,遺伝子の存在は塩基配列から予測できるようになった.しかしながら,遺伝子の機能を塩基配列のみから予測することは困難である.そこで,遺伝子の機能を個体レベルで解析する技術として,マウス個体へ遺伝子を導入する遺伝子改変マウス作製技術が有効である.遺伝子改変マウスは,その作製方法によって,トランスジェニックマウス(外来遺伝子導入マウス,以下,Tgマウス)と遺伝子ターゲッティングマウスに分類される.Tgマウスは目的のタンパク質をコードする遺伝子,またはそのcDNAを含む外来遺伝子をマウスの受精卵に注入して作製され,個体での外来遺伝子の機能解析を目的としている.一方,遺伝子ターゲッティングマウスは,遺伝子ターゲッティングにより胚性幹細胞を用いたキメラマウス作製により作製されるマウスで,特定の内在性遺伝子を外来性のDNA断片で置換することにより,もとの遺伝子の機能を欠失または変異させる.遺伝子の機能を欠失したマウスをノックアウトマウス(以下,KOマウス)という.本稿では,Tgマウスの作製技術について解説する.Tgマウスの作製は,マウスには本来存在していない外来遺伝子の導入により発現を付与する,機能付与型である.現在,Tgマウス作製は,前核期受精卵への外来遺伝子のマイクロインジェクションによる方法が最も一般的に使用されている.なお,Tgマウス作製技術には,受精卵の体外培養,受精卵の卵管内移植および体外受精などの発生工学的基盤技術が不可欠である.Tgマウス作製技術は,現在,遺伝子の機能解析のみならず,疾患モデル動物として病態解析や治療薬開発などに応用され,生物学・医学・薬学を含む多くの分野で最も基礎的,かつ重要不可欠な技術となっており,今後も発展し続けるものと期待される.
著者
鈴木 麻耶 中神 朋子 柴崎 千絵里 廣田 尚紀 内潟 安子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.87, no.Extra2, pp.E261-E268, 2017-11-30 (Released:2018-02-15)
参考文献数
16

Aim: Recently, artificially sweetened beverages (ASBs) have inundated the market because of their low calorie value. We examined the prevalence and related factors of ASB intake among patients with type 2 diabetes (T2DM) using questionnaires.Methods: This study randomly selected 209 patients with T2DM who visited our center between December 1 and 20, 2016. For validation of questionnaires on ASB and sugar sweetened beverage (SSB) intake, 1-month beverages' record was performed in 40 patients with and without DM.Results: The agreement between the recorded information and answers to the questionnaires on ASB/SSB intake was over 75 %. The prevalence of ASB and SSB intake was 27 % and 17 %, respectively. In total, 71 % of patients initiated ASB intake after T2DM onset. Multivariable logistic regression analysis showed that ORs (95 % CIs) for intake of ASB related to age 60-69 and ≥70 years old compared with <60 years old were 0.2 (0.1-0.5) and 0.1 (0.03-0.3). The corresponding values for HbA1c 6.5-7.1 and ≥7.2 % compared with <6.5 % were 2.6 (0.9-6.9) and 2.9 (1.1-7.6).Conclusion: The prevalence of ASB intake anticipated from questionnaires was 27 %, with 71 % of these patients initiating ASB intake after T2DM onset. Not older age and a higher HbA1c were independently related to ASB intake.
著者
鈴木 卓治 五島敏芳 牟田昌平
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8(2008-CH-077), pp.25-26, 2008-01-25

情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会において「デジタルアーカイブ」が重要な研究テーマのひとつにとりあげられるようになって久しい.デジタル技術の発達は目覚しく,「ボーンデジタル」な資料(他の媒体上で作られた資料のデジタルコピーでない,最初からデジタルデータとして作られた資料)の急速な台頭や,「Google≒デジタルアーカイブ」という視点の登場など,早くからアーカイブズとデジタル技術の問題に強い関心を寄せていた当研究会としては,この潮流を正確に把握して,デジタルアーカイブ研究をどの方向に発展させていくべきかについて,よく学ぶ必要がある.われわれは,アーカイブズの専門家を招いて,アーカイブズとデジタル技術にまつわる最新の状況と課題について理解を深めることを目的とする「アーカイブズ小特集」を全2回の予定で開催することとした.本稿は,その第1回として,国立公文書館の牟田昌平氏を招いて実施する,公文書のデジタルアーカイビングの現状と未来を探るパネル討論についての予稿である.
著者
鈴木 佐夜香
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.49-55, 2017 (Released:2018-07-13)
参考文献数
55

広域火災,特に市街地火災や地震火災において火の粉が飛び火の原因となり,火炎拡大を増長させる原因であることは知られている。火の粉に関する研究には,発生,飛散,着火の三分野が挙げられる。その中でも建物着火に関する研究は1950年代から始まり,特に近年では活発に行われている。そこで本論文ではこれまで行われてきた研究について簡単にまとめた。各研究における火の粉の作成方法の違いや,特に屋根を対象とした実験は複数あることから結果の違いを述べた。また,建物全体に対する火の粉への脆弱性を理解するため屋根以外への着火に関してもまとめた。本論文が今後火の粉による建物着火を防いだり,建物の,火の粉による影響を減らすための研究へ役立つことを祈る。
著者
鈴木 凱亜 大知 正直 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B302, 2018 (Released:2018-07-30)

ソーシャルメディア上でユーザのコミュニティが形成・発展する背景には,ユーザ同士の性格的な相性が関わっていると思われるが,その影響を定量的に捉えた研究は少ない.本研究では,Twitterユーザの投稿テキストから推定された性格スコアと,会話ネットワーク上のコミュニティの分析指標との相関を分析することで,性格とコミュニティ形成の関係を考察した.また,Homophilyと呼ばれる「類は友を呼ぶ」現象が見られるような性格はないか,確認した.本研究により得られる知見は,よりユーザの効用やチームパフォーマンスを向上させるようなSNSプラットフォームの設計などへの応用が期待される.
著者
鈴木 明哲
出版者
体育史学会
雑誌
体育史研究 (ISSN:09144730)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.29-40, 2023 (Released:2023-08-13)

This paper considers how the partner exercise has been retained in physical education practice and school sports festival from elementary school to senior high school in japan after deleted from the course of study. The partner exercise was deleted from the course of study were 1953 in elementary school, 1958 in junior high school and 1960 in senior high school. The Ministry of Education by the official daily gazette from 1958, in addition, strengthened the restriction of the course of study. The most important part of this argument is that the reason why the partner exercise has been retained in the physical education practice and the school sports festival under strengthened the restriction of the course of study.  The results of the considerations are summarized follows: In the course of study in elementary school (1949), the partner exercise belonged to the part of the calisthenics composed of three children without the pyramid building. Since the partner exercise deleted from the course of study in elementary school (1953), a lot of teachers through the discussion in physical education magazine recognized that the partner exercise is the same as the calisthenics. Therefore, the partner exercise has been exist in physical education practice in order to training physical fitness and mind.  In the course of study in junior high school and senior high school (1951), the partner exercise belonged to the part of the “Kohgi” (= apparatus gymnastics, pyramid building, stunts and tumbling). Since the “Kohgi” deleted from the course of study in junior high school (1958) and senior high school (1960), the partner exercise recognized the calisthenics as like elementary school has been retained in physical education practice.  A further important point is the relationship between the physical education practice and the school sports festival over the partner exercise. The partner exercise has been placed in the program of the school sports festival before practiced in physical education. Performing the partner exercise in the school sports festival needed a lot of time to prepare it, because many teachers and audience sought high performance for students. As a result, the partner exercise was practiced in physical education course in all year in order to complete it in the school sports festival.  Finally, the main reason why the partner exercise has been exist in the whole school after deleted from the course of study was that a lot of teachers gave it highly educational philosophy which the character building through the school life.
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016 (Released:2019-10-01)

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。