著者
石川 彩夏 荒川 さやか 石木 寛人 天野 晃滋 鈴木 由華 池長 奈美 山本 駿 柏原 大朗 吉田 哲彦 里見 絵理子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.159-163, 2023 (Released:2023-06-08)
参考文献数
8

【緒言】緩和的放射線療法などによりがん疼痛が緩和されオピオイドを中止する際,身体依存による興奮,不眠,下痢などの離脱症候群を起こす場合があるため,適切に対処する必要がある.【症例】72歳男性.食道がん術後.経過中,仙骨,右腸骨転移による腰痛,右下肢痛が出現.オキシコドン(以下,OXC)を開始したが緩和せず,メサドン(以下,MDN)に切り替え,並行して緩和的放射線療法を施行した.疼痛は徐々に緩和し,MDNを漸減,OXCに切り替え後20 mg/日で患者の強い希望にて終了した.内服中止後から静座不能,不安,下痢が出現し離脱症候群と診断.OXC速放製剤,フェンタニル貼付剤,スボレキサントを併用し離脱症状の治療を行った.【考察】オピオイド中止時は10%/週より遅い減量が望ましく,最小用量に減量した後の中止が推奨される.離脱症状にはオピオイド速放製剤を用い,症状コントロールと並行して漸減を試みるとよい.
著者
山根 朋巳 鈴木 桂子
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

幸屋火砕流(宇井, 1973)は、約7300年前(福沢, 1995)の鬼界カルデラ形成に伴った鬼界アカホヤ噴火の際に発生した大規模な火砕流である。鬼界アカホヤ噴火はプリニー式噴火に始まり降下軽石とイントラプリニアン火砕流を発生させ、続く幸屋火砕流の噴出で終了した(町田・新井, 2003; Maeno and Taniguchi, 2007; 藤原・鈴木, 2013)。幸屋火砕流堆積物は、給源近傍の薩摩硫黄島・竹島のほか、周辺の陸地(薩摩半島・大隅半島・種子島・屋久島・口永良部島)で分布が確認されている(宇井, 1973; 町田・新井, 1978; 小野ほか, 1982; Maeno and Taniguchi, 2007; 下司, 2009; 藤原・鈴木, 2013)。噴火当時の海水準は現在とほとんど変わらない(例えばTanigawa et al., 2013)ことや堆積物の分布から海上を流走したことは明らかであるが、海の存在が幸屋火砕流に与えた影響は検討されてこなかった。 鬼界アカホヤ噴火噴出物中には、SiO2 wt.% = 75前後の“高SiO2ガラス”とSiO2 wt.% = 65前後の“低SiO2ガラス”の2種類の火山ガラスが含まれ、幸屋火砕流堆積物中で両ガラスの量比が垂直方向で変化を見せる(藤原・鈴木, 2013)。このことから、藤原・鈴木(2013)は、火砕流噴火初期には高SiO2ガラスのみからなる火砕流が発生し、噴火が継続していく中で低SiO2マグマが噴出し始めたとした。 本研究では、露頭記載、火山ガラス化学組成分析、層厚・軽石最大粒径測定という手法を用いて、これまで議論に含まれてこなかった種子島の堆積物に基づき幸屋火砕流の流動・堆積機構を議論し、また、海の存在が幸屋火砕流に与えた影響を検討することを目的とした。 火山ガラス組成分析には、種子島の4地点で幸屋火砕流堆積物の基底部から上位へ一定間隔で採取したマトリックス試料を用いた。分析結果から、基底部からは高SiO2ガラスのみ、上位層準からは低SiO2ガラスが少量混ざるという垂直変化が得られた。これは給源近傍や薩摩半島・大隅半島(藤原・鈴木, 2013)と同じ垂直変化であり、火砕流噴火初期に発生した高SiO2ガラスのみを含む火砕流は薩摩半島・大隅半島・種子島に到達・堆積したことが明らかになった。また、最も低SiO2ガラスの含有量比が大きくなると考えられる最上位層準で検出される低SiO2ガラスの量比を見ると、大隅半島に比べて小さいことが分かった。これは、継続する火砕流噴火のより後期に発生した低SiO2ガラスを多く含む火砕流が大隅半島には到達したが種子島には到達しなかったことを示していると考えられ、種子島では大隅半島より層厚が薄いことと整合的である。 軽石最大粒径は一般的な大規模な火砕流堆積物とは異なり、給源からの距離に伴って小さくなる傾向を示さない。しかし、海上流走距離との関係を見ると、海上流走距離が大きくなると軽石最大粒径が小さくなるという比例関係が明らかになった。これより、幸屋火砕流が運搬できる軽石粒径の上限は海上流走距離によって決定されたとみなせる。また、この比例関係から海上を流走する幸屋火砕流の到達限界は約70 kmと推定され、種子島は火砕流の到達限界に近いことが分かった。 以上の議論より、幸屋火砕流は海上流走中に多くの火砕物を落としたことは容易に想像でき、鬼界カルデラを取り巻く海底には広範囲に火砕流堆積物が堆積していると考えられる。
著者
鈴木 昭広 寺尾 基
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.151-158, 2007 (Released:2007-03-30)
参考文献数
11
被引用文献数
6 5

エアウェイスコープ® (AWS) はCCDカメラとLCDモニターを内蔵するビデオ硬性喉頭鏡で, 付属のディスポーザブルブレードとともに用いる新しい気管挿管器具である. 舌などの軟部組織に対して最小の外力で声門にアプローチでき, モニター画像で声門を詳細に観察できる. マッキントッシュ型とは異なるアプローチ方法のため, AWSを用いた際の喉頭所見はすべてCormack分類でgrade I 相当となる. さらに, ブレードには気管チューブガイド用の溝があり, チューブは気管軸に対して平行に進む. その際, モニター上にはガイド溝を経由したチューブの予想進行方向を示すターゲットマークが表示されるため, 施行者は声門をマークに合わせるように操作すれば容易に気管挿管を行うことができる. 初心者の気管挿管から熟達者の挿管困難症例への使用まで応用範囲は幅広く, 気管挿管の新しい時代を開くだけの潜在能力をもつと期待される. われわれは2006年7月の発売開始後より毎月50例程度, 4ヵ月でのべ200例の挿管症例を重ねたので, これまでに得られた知見をもとに, 本稿でその使用の実際について紹介する.
著者
吉本 直人 鈴木 謙一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.6, pp.208-215, 2023-06-01

最後の「デジタル・デバイド領域」と言われている海中・水中環境をデジタル化・ネットワーク化することによって,広大な水中世界をIoTサービスが提供可能な領域とする「水中IoTサービスプラートフォーム」や「水中デジタルツイン」の構築を通じ,次世代の経済成長のエンジンとして水中環境を新たな経済圏として創出することが期待されている.近年,水中環境や構造物を3Dで高精度にデジタル化する手段の一つとして,水中LiDARが注目を集めている.本論文では,まず水中LiDARの基本的な構成技術の概要について述べた後,社会実装する上での水中LiDARへの要求条件を整理する.次に,開発を行った水中LiDARの水中環境下での測定対象物の3Dデータ計測実験結果を紹介し,今後の課題と技術開発の方向性について示す.
著者
日本小児歯科学会医療委員会 品川 光春 田中 光郎 犬塚 勝昭 大原 裕 國本 洋志 鈴木 広幸 福本 敏 藤居 弘通
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.397-408, 2010-06-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
42
被引用文献数
2

低年齢児の診療導入に関する実態調査をするために,小児歯科専門医である日本小児歯科学会の役員117 名にアンケート調査を行った。その結果,56 名(47.9%)から回答があり,低年齢児434 名について検討したところ以下のような結果を得た。1 .医療機関選択の理由は,専門医だから33.2%,他医からの紹介32.3%,知人家族等の紹介31.3%の順に多く,地域での小児歯科専門医の役割を示している。2 .保護者の希望は,多少の泣き嫌がりは仕方ない50.7%,泣き嫌がってもしてほしい44.7%,泣き嫌がる時はやめたいは4.6%であった。3 .保護者の69.8%が診療開始から終了まで入室を希望していた。4 .診療中の子どもの反応は,泣き動くため抑制34.6%,おりこう31.6%,泣き動きそうだがおとなしくできる19.1%,泣き動くが抑制せずに何とかできる14.7%であった。5 .術者の対応は,必要な対応法を取りながら計画治療を実施が71.9%で最も多かった。6 .診療に要したスタッフ数は,子どもの年齢の増加とともに減少し,平均人数は2.7 名であった。7 .診療の所要時間は,4 歳児が最も長く42.8 分で,平均38.6 分であった。また,泣き動くために抑制の方が,おりこうの場合より所要時間が長かった。8 .小児歯科専門医としての診療の説明および診療の評価は,ほとんどが良好であり,小児歯科専門医を受診した患者の満足度が高いことが示された。
著者
大沼 俊博 藤本 将志 楠 貴光 渡邊 裕文 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.11-18, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
4

Therapists identify major dysfunction by analyzing seated posture and standing-up motion, with the aim of treating the dysfunction and implementing training for maintenance of seated posture and standing-up motion. Treatments to improve posture and motion will encourage exercise and can be based on kinesiology and anatomy. This article considers the following: 1) methods for assessment of seated posture based on kinesiology and anatomy; 2) standing-up motion; 3) handling skills of seated posture and standing-up motion; and 4) the relationships between a symptomatic area and seated posture/standing-up motion.
著者
鈴木孝則
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.44(1983-ARC-029), pp.1-10, 1983-11-28

近年のコンピュータの発展はめざましく、とりわけ、パーソナルンピュータの性能は日毎に大きく向上している。漢字ディスプレイ、漢字プリンタなど日本語を扱える環境が整い、日本語処理が声高に叫ばれている。このような状況から生れた日本語ワープロの利用は、この一年をとっても急速な伸びを示している。この日本語ワープロは、パソコンがうまく利用されている例ともいえる。それでは、自分のさせたいプログラムを書くことは、どうであろうか。ワープロが使えるからといって、一般の人が簡単にプログラム作成できるものではない。たとえ、パソコンで最も普及している"BASIC"言語を使っても、むずかしいものである。とりもなおさず、"BASIC"を含めて、これまでのプログラミング言語が英文表記であったため、プログラムの習得を一般的なものとなしえてはいなかった。日常使いなれている言葉を利用したものつまり、日本語でプログラムできればよりコンピュータ利用の層が増すと考えられる。松下技研(株)では、この日本語でプログラミングできる「日本語AFL」(注1)を、概に開発済の対話型高級言語「AFL」(注2)を用いて開発に成功した。国際データ機器では、これを採用、改良して、”ワープロ感覚でプログラミングできる!”日本語プログラミング言語「和漢」(注3)として商品化した。
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
瀬﨑 美貴 飯島 良江 佐々木 貴子 染谷 まゆみ 豊田 夕子 佐藤 瑞穂 鈴木 敬久 野﨑 礼史 菊池 浩子 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.843-848, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【目的】栄養管理において体重は栄養投与量を算出する最も基本となる指標である。しかし、起立困難な高齢者では体重測定に難渋する。そこで、ベッドサイドで容易に計測できる項目から体重の推定を試みた。【対象及び方法】65歳以上で起立困難な、当院の入院患者及び高齢者施設入所者で、本研究に同意の得られた121名を対象とし、体重、6点法身長、脛骨長、膝高、腹囲を計測した。実測体重を目的変数とし、年齢・性別・腹囲に加え脛骨長、身長、膝高のいずれかを用い、重回帰分析により体重推定式を求めた。【結果】脛骨長から求めると、体重(kg)=-15.8-3.53×性別(男1or女2)-0.106×年齢+0.743×腹囲(cm)+0.530×脛骨長(cm) (R=0.905)となった。身長や膝高からも同様に高い相関が得られた。【結論】起立不能な高齢者でも、容易に測定可能な腹囲と脛骨長や膝高から実用的な推定体重が求められた。
著者
伊藤 まゆ 三樹 美夏 林 浩孝 新井 隆成 鈴木 信孝 上馬塲 和夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.111-118, 2009 (Released:2009-07-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

コラーゲン含有飲料の 1ヶ月間摂取による顔面皮膚の変化を,計測機器による指標を使って予備的に検討した.61 名の健常女性(年齢 25–68,34±8 歳)を対象とし,文書による同意を得た後,コラーゲン 5 g 飲料/日摂取群(30 名)と 10 g 飲料/日摂取群(31 名)に無作為に割り付けし,摂取前と後 1 週目と 1ヶ月目の顔面(両頬部)皮膚水分と下眼瞼の皺数を測定した.皮膚水分と皺数に関して,改善した反応例と変化がない無反応例に分類したところ, 10 g 摂取群では 5 g 摂取群より高い 5 割の反応率が得られた.反応例は無反応例より摂取前において皺数が多く皮膚水分が低いこと,皺数は 1 週間目から有意な改善をみることが示された.また本飲料が安全であることも示された.今後,皮膚の異常性状例を対象にして,コラーゲン 10 g/日を,1 週間あるいは 1 ヶ月月間投与する二重盲検試験により有効性を評価する研究の必要性が示された.
著者
中村 博昭 鳥居 猛 鈴木 武史 吉野 雄二 山田 裕史 松崎 克彦 廣川 真男 石川 佳弘
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

昨年度に基礎を確立した複素および1進の反復積分の関数等式の導出法(Wojtkowiak氏との共同研究)を延長して,具体的な実例計算をさらに検証した.とりわけ古典的な高次対数関数について知られている分布関係式(distribution relation)の1進版を導出することに成功した.分布関係式は,様々な特殊値を代入することで,高次対数関数の特殊値の間に成立する様々な関係式を組織的に生み出す重要なものであり,1進の場合にも並行してガロア群上の関数族(1-コチェイン)を統御する要となることが期待されるが,前年度までに得られた関数等式との整合性についても検証を行った.8月にケンブリッジのニュートン数理科学研究所で行われた研究集会"Anabelian Geometry"において口頭発表を行った.このときの講演に参加していたH.Gangl氏,P.Deligne氏から今後の研究指針を考える上で有用になると思われるコメントを頂戴することが出来た.また分布関係式の低次項の解消問題に関連して,有理的な道に沿った解析接続の概念にっいて考察を進める必要が生じた.こうしたテーマに関連して研究分担者の鳥居氏には,有理ホモトピー論に関する情報収集を担当していただき,また研究分担者の鈴木氏には,量子代数やKZ方程式との関連で組みひも群の数理についての情報収集を担当していただいた.以上の研究成果の一部は,共同研究者のWojtkowiak氏と協力して,"On distribution formula of complex and 1-adic polylogarithms"という仮題の草稿におおよその骨子をまとめたが,まだ完成に至っていない.周辺にやり残した問題(楕円ポリログ版など)もあり,これらについて一定の目処をつけてから公表までの工程を相談する予定になっている.
著者
鈴木 真二
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.5_30-5_32, 2020-05-01 (Released:2020-09-25)
参考文献数
4
著者
鈴木 常彦
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR MANAGEMENT INFORMATION (JASMIN)
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
pp.291-294, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)

送信元IPアドレスが詐称されたDNSクエリが到達してしまう隠れオープンリゾルバを多く発見した。これは未対策のネットワークが各種の送信元IPアドレス詐称攻撃に脆弱であることを意味しており早急な対策が必要と考えられるが、継続調査において対策があまり進んでいないことが明らかになっている。調査対象10万のIPアドレスのうち全体では約7%、PTR が JP のものでは約24%が現在も脆弱なままである。本論文をもって脆弱性が放置されている現状に対しての議論と啓発・対策の進展に寄与したい。
著者
鈴木 洋子 永田 智子 赤松 純子 榊原 典子 中井 昌子 野田 文子 矢野 由起
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.130-135, 2009-07-01 (Released:2017-11-17)
参考文献数
8

教育職員免許法上の指定科目と現行の学習指導内容及び教員養成上の必修科目が一致していることは必須であるが,教育職員免許法施行規則に設定されている家庭科に関する専門科目は,教科に求められている時代の要請に比べ,大幅な変革がなされていない。そこで,教育職員免許法施行規則に示された「教科に関する科目」と現行家庭科の学習指導内容の整合性を確認し,問題点の究明と改善の方策を探る際の示唆を得ることを目的に,高等学校教員の現行教育職員免許法施行規則に指定の「家庭」の教科に関する科目に対する意識を調査した結果,以下のことが明らかになった。・高等学校普通科における普通教科「家庭」の履修科目は,「家庭基礎」57%,「家庭総合」14%,であった。専門科目「家庭」の中の科目については「フードデザイン」と「発達と保育」の履修が多かった。・高等学校教諭普通免許状「家庭」の授与に指定されている科目・内容のうち,必要性が高かったのは食領域の「調理実習」「栄養学」「食物学」「食品学」と「保育学」であった。必要性が低かった科目・内容は「家庭電気・機械」「製図」「情報処理」「家庭看護」「家庭経営学」であった。不必要とされる理由に「他の教科で学習したほうがよい」「家庭総合・家庭基礎にない」の回答が多かった。「家庭電気・機械」「製図」「情報処理」は,中学校においては技術科の内容であることを考慮し,削除も含めて今後検討する必要があるのではないかと考える。・教育職員免許状では必要な科目・内容として指定されてはいないが,高等学校で家庭科を指導する上で教員養成上必要と思われる科目・内容に,「消費生活」「福祉」「環境と資源」「高齢社会」の回答が多かった。低かったのは「キャリア教育」,「ジェンダー」,「生活文化」,「少子化問題」であった。
著者
久保田 善彦 舟生 日出男 鈴木 栄幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.449-452, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

現代社会は,気候変動やパンデミック,原子力発電に関連する問題など,科学に関連する複雑な問題が多い.それらに対し市民が意思決定をするには,日常的に得られる科学的主張の信頼性について評価する「科学メディアリテラシー」が必要になる.科学者が科学的主張を生み出し,市民が認知するまでの過程を,生産・伝達・消費 (認知) に分け,信頼性を評価する観点から検討した.検討結果から,科学的主張の生産・伝達・消費を俯瞰し,その信頼性を評価するためのチェックリストを開発した.チェックリストは,生産4項目,伝達2項目,消費1項目で構成される.今後は,この案をベースに実践を行い,チェックリストの一般化を目指す.そのために,実践の方法やなじみのない用語を解説する教材の開発等を検討する必要がある.
著者
二五田 美沙 早田 恵乃 藤本 将志 大沼 俊博 渡邊 裕文 田中 祥子 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.95-101, 2013 (Released:2013-12-28)
参考文献数
2

A patient with left hemiplegia following cerebral infarction could not maintain a sitting position. Treatment in this position was difficult for the patient because of a tendency to fall toward the paralyzed side (left side) when sitting, and associated anxiety. Therefore, with the aim of maintaining the sitting position, physiotherapy was started in this position for a week to treat hypotonia of the internal and external oblique muscles of the abdomen, longissimus muscle, and multifidus muscle, which was the primary condition. However, it was difficult to maintain a sitting position. Thus, we considered that it was necessary to treat hypotonia by placing the patient in a supine position to improve the ability to maintain the sitting position. After 3 days of practicing to turn to the non-paralyzed side (right side), and sitting-up exercises to increase the activity of the internal and external oblique muscles of the abdomen, longissimus muscle, and multifidus muscle, the patient was able to sit independently without support. To treat the condition and help maintain a sitting position, as well as to reduce the anxiety of falling, it is necessary to initially treat the patient in a supine position.