著者
長谷川 秀 寺崎 修司 大田 和貴 植田 裕 伊東山 剛 三浦 正毅
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.107-112, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
9

当院における動脈瘤性くも膜下出血(SAH)患者の予後と在宅復帰率の現状について検討した.2010 年1 月から2013 年12 月までに当院に搬送されたSAH 患者253 名のうち,当院で外科治療を行った183 名を対象とした.臨床データは熊本型脳卒中連携クリティカルパスから得た.年齢は中央値64 歳,女性はそのうちの70%だった.入院時のWFNS グレードはI–III が72.7%で,Fisher CT 分類はグループ3 が86.3%を占めていた.症候性脳血管攣縮は19.9%にみられ,16.6%は脳梗塞に陥った.GR とMD は73.2%で,在宅復帰率は73.1%だった.在宅復帰に関して,80 歳以上,WFNS グレード,症候性脳血管攣縮,脳梗塞,水頭症が独立した決定因子であった.在宅復帰率に影響を与える脳血管攣縮,脳梗塞,水頭症に対する急性期病院での集学的治療と継続的な回復期リハビリテーションが重要と考えられた.
著者
黒田 嘉宏 仲谷 正史 長谷川 晶一 藤田 欣也
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.379-390, 2011
被引用文献数
1

Ungrounded and light-weight force display is demanded for the daily use of a virtual reality system in a large space. The concern with a pseudo-force display, which displays limited or different physical stimuli compared with the reaction forces causing in real-world, has been growing as a solution for the last several years. This paper reports a research trend of pseudo-force displays for production of physical stimuli to fingers or a palm. We categorize the pseudo-force display according to the approach to induce similar sensation or event cognition to those in real-world. The problems derived from the features of the pseudo-force display are also discussed.
著者
長谷川 修 坂上 勝彦 速水 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1666-1674, 1999-10-25
被引用文献数
9

本研究では,システムのモニタ上に人の上半身の姿を有する3次元コンピュータグラフィックス像(人間型ソフトウェアロボット:以下ロボット)を表示し,これに視覚や聴覚を用いた対話機能や,表情や視線,指さしジェスチャの細やかな制御機能を与え,実空間を対象とした人と計算機の円滑なインタラクションを図る.試作したロボットは,あらかじめ登録(学習)した実空間中(オフィス内)の人物や物体を視覚的に探索・捕そくし,それらの発見位置/時刻を履歴として管理するとともに,その3次元的な位置を発話と視線/指さしジェスチャで人間に示すことができる.またこのロボットは,新たな対象物の登録を対話的に行えるほか,その人物の名前や物体の名称/所有者なども併せて登録でき,こうした機能を活用して室内の状況に関して人間(ユーザ)と簡単な対話を行う(タスクをこなす)ことが可能である.
著者
長谷川 世一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.343-352, 2015

2015年現在,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは今やインターネット上における著作権に関するパブリックライセンスのグローバル・スタンダードとなった。また,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの活用方法も日々さまざまな形で変化し続けており,日本においても独特な活用事例がいくつか見られるようになっている。世界におけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの普及状況を報告した後,日本におけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの活用事例を紹介する。
著者
長谷川 誠 林 正樹
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.15-21, 2002

近年、様々な情報伝達メディアの急速な普及に伴い、テレビ番組に関連するコンテンツも多様化し、複数のメディアを通じて楽しむ視聴形態が促進しているため、ひとつのコンテンツからマルチメディアアウトプットを自動的に作る、メディア間相互変換の研究が重要になってきている。本研究では、このメディア間自動変換のひとつとして、テレビ番組台本をマンガという印刷物に変換して提供するアプリケーションについて検討を行った。今回、マンガ生成を行うテレビ番組台本として、テレビ番組記述言語TVML(TV program Making Language)により制作されたものを対象とし、そこから得た情報を解析することで、マンガに使うコマ画像の選定・データ化、マンガを作る際に必要な情報の抽出、マンガ特有の視覚効果であるフキダシなどの生成を行い、それらを組み合わせてマンガ画像を出力するアルゴリズムを提案し、それに基づいてマンガ自動生成システムを構築した。本研究により、マンガ自動生成システム構築へ向けての見通しが得られた。提案したシステムは、テレビ放送のもとになる番組台本を解析することで、マンガという文字と絵によるメディアに変換する試みであり、これにより、テレビ番組のコンテンツをマンガに変換し、自由に携帯し、時間や場所に拘束されずに楽しむという新しい視聴形態を提供する可能性を開くことができた。
著者
内田 直希 松澤 暢 三浦 哲 平原 聡 長谷川 昭
出版者
SEISMOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
地震. 2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.287-295, 2007-03-25
参考文献数
26
被引用文献数
5 4

Spatio-temporal distribution of quasi-static slip on the plate boundary east off Miyagi and Fukushima prefectures, NE Honshu, Japan is estimated by using small repeating earthquake data. The analysis of small repeating earthquakes has advantages of relatively high spatial resolution, especially near the trench, and the availability of long-term data (22 years) compared to GPS data. The results show that the repeating earthquakes are distributed outside the coseismic slip areas (asperities) of large earthquakes, showing that fault creep is dominant outside the asperities. The cumulative slip (slip histories) of small repeating earthquake groups reveal the existence of many non-steady aseismic slip events. Most of the episodic quasi-static slip events are associated with <I>M</I>≥ 6 earthquakes and they are frequently seen in the areas near the Japan trench in particular. Minor afterslip (∼15cm) of the 2005 Miyagi-oki earthquake (<I>M</I>7.2) is also estimated in the area which encompasses the coseismic slip area of the 2005 earthquake.
著者
佐々 学 長谷川 英男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.305-341, 1983
被引用文献数
6 16

琉球列島の淡水域に住むユスリカについてはこれまでまったく報告がなかった。著者らは1981年12月から翌年2月にかけて, 沖繩本島, 宮古群島(池間島を含む), 石垣島の家庭ないし畜舎排水を受ける川と, 養鰻池, 溜池, エビ養殖池などを主たる対象として, これらに発生するユスリカの種類を調べた。Table 1に示す各採集地点では, 空中を群飛する成虫や発生源の近くの草むらなどに休息する成虫を捕虫網で集めることと, 幼虫の生息する水底の泥や草などを採集して研究室にもちかえり, これを水槽に入れて通気し, 成虫を羽化させたうえで標本とするという方法を併用した。この報告にはChironominae亜科のChironomini族に属する種だけについて, その同定, 分布, 形態の記載をまとめたものであるが, この族のみでも26種が区別され, うち17種は沖繩本島より, 14種は石垣島より, 13種は宮古群島より採集された。これらのうち養鰻池など富栄養化のすすんだたまり水からは13種, 下水のまざった流水からは9種(うち5種は前者と共通種), 下水のまざらない湧水や山間の渓流などからは7種(前者と共通種なし), 水の清浄な上水道の濾過池より2種, エビ養殖池をあふれた海水の溝より1種で, これら水域の水質とユスリカ各種の分布にきわめて特異的な相関がみられた。こりら26種のうち, 18種はその形態がすでにタイ, 台湾, 韓国, インドネシア, 日本本土などから報告された種の記載と一致ないし類似するため, 既知種として同定したが, 残り8種についてはその学名を保留した。今回琉球列島から見いだされた本族のユスリカには, 台湾等から報告された珍奇な構造をもつ諸種も含まれていた。しかし, 日本本土の下水溝などに圧倒的な優占種として発生しているChironomus yoshimatsui Martin et Sublette, 1972が1匹も採集されず, その代りに同じような環境の下水溝にChironomus属等の他の数種が混生していたことが注目される。
著者
星野 誠 長谷川 博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1466, pp.11-12, 2015-05-25

BS-TBSは2015年4月に星野誠氏が代表取締役社長として経営の舵取りをする新体制に移行した。星野社長にBS放送業界の現状や今後の経営方針について聞いた。
著者
冨岡 華代 高津 万結香 巽 美智 長谷川 絢 北田 善三
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-20, 2014

A method has been developed for determining amygdalin (AM) and its degradation products, benzyl alcohol (BeOH), benzaldehyde (BAL) and benzoic acid (BA) in Chinese quince fruit utilizing high performance liquid chromatography (HPLC). A sample was extracted with 0.05 mol/L citric acid solution (pH2.2) and cleaned in an InertSep C18 cartridge and an InertSep NH<sub>2</sub> cartridge. The HPLC separation was performed on an Inertsil ODS-4 column using acetonitrile-0.01 mol/L phosphate buffer (pH2.0) (15:85) in the mobile phase. A UV monitor was used for detection. The effects during growth period on the amount of 4 components of sarcocarp and seed of Chinese quince was examined. AM content in seed increased proportionally each month. This increase was especially significant in seed retrieved in November. AM was detected in commercially available Chinese quince in the range of 0.03-0.06 mg/g sarcocarp, 0.21-1.75 mg/g seed. BA was not detected in any samples.
著者
長谷川 孝治
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.91-103, 2007-03-15

本研究では,個別的自己評価が自尊心に及ぼす影響過程に対して,重要性と他者からの評価が調整要因として機能するかが検討された。さらに,反映的自己評価は個別的自己評価や他者からの評価に代わって,自尊心に影響を与えるかどうかについても検討された。分析の結果,まず,個別的自己評価と重要性と他者からの評価が自尊心に及ぼす影響過程については,優しさに関して他者からの評価と重要性の交互作用が見出された。優しい自分というものに対して重要だと認知している場合には,他者からの評価の高さによって自尊心レベルが影響を受けることが示唆された。また,反映的自己評価と重要性と他者からの評価が自尊心に及ぼす影響過程については,運動能力と知性に関して3要因の交互作用が見出された。両者とも重要性を高く評価している場合には,他者からの評価が低く,反映的自己評価も低い場合に最も自尊心が低下するという知見が得られた。これは,自尊心が他者からの拒絶を検知するメーターであるというソシオメーター仮説を支持するものである。最後に,個別的自己評価と重要性と反映的自己評価が自尊心に及ぼす影響過程については,外見に関して3要因の交互作用が見出された。外見に関して重要性を高く認知しており,友人からの反映的自己評価が低く,個別的自己評価も低い場合には自尊心が低くなることが示された。以上の結果から,自尊心の形成要因について考える際,従来指摘されてきた,個別的自己評価とその重要性だけではなく,他者からの評価や反映的自己評価を考慮する必要があることが示唆された。