著者
片山 瑠衣 松尾 歩 廣田 峻 陶山 佳久 阿部 晴恵
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第130回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.277, 2019-05-27 (Released:2019-05-13)

日本に自生するヤブツバキ(Camellia japonica)とユキツバキ(C. rusticana)は、ツバキ属ツバキ節(sect. Camellia)に属する。ヤブツバキは赤く大きな花弁を持つ鳥媒介植物であり、ユキツバキの花弁色や大きさは同様に鳥媒シンドロームに属するものである。しかし、先行研究によると、ユキツバキは昆虫が主要な花粉媒介者であることが報告されている。また、これらの在来種と比較して、アジア大陸に自生するツバキ属は、色や大きさにおいて、より多様な花形態を示す。これらの背景から、ツバキ節における系統解析は、花の進化過程の解明に大きく貢献できると考えられる。そこで本研究では、選択圧が大きく影響すると考えられる花形態に着目し、花形態の比較およびMIG-seq法を用いた分子系統解析を行うことで、日本産ツバキ節の種分化の要因と系統的な位置づけを探ることを目的とした。花形態の比較では、東アジアから東南アジアにかけて自生するCamellia属のうち、27種を対象に各3花ずつ採取して花形態の測定および解析を行った。その結果、花形態は節ごとに異なった傾向を示した。この結果をMIG-seqを用いた分子系統解析と合わせて考察する予定である。
著者
斎藤 正徳 阿部 豊
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.237-245, 1984-06-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
8
被引用文献数
8 9

The viscous relaxation spectra and the marginal stability curves of Rayleigh-Bénard convection in a transversely isotropic fluid were computed. An incompressible, transversely isotropic fluid is expressed in terms of two material constants, L and δ. L is the viscosity pertinent to the shear in the horizontal plane and δ is the anisotrpy factor. δ is likely to be very large in the mantle if thin less viscous (molten) layers are aligned in the horizontal plane. At large δ the relaxation spectra become nearly constant over a wide range of wavenumber and its magnitude is determined essentially by the product L·δ. The flattness is consistent to the observed relaxation spectra. A similar effect is found in the Rayleigh-Bénard convection; the marginal stability curve flattens out to small wavenumber at large δ. This implies a possibility of thin convection cells in the earth's mantle.
著者
深尾 京司 宮川 努 川口 大司 阿部 修人 小塩 隆士 杉原 茂 森川 正之 乾 友彦
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

無形資産推計を含む新しい日本産業生産性(JIP)データベース等を完成させ、OECDやEU KLEMSなど海外組織と連携しながらサービス産業生産性の決定要因を分析した。その結果、近年のサービス産業における労働生産性停滞の主因が人的・物的資本蓄積の著しい低迷や人材の不活用、市場の淘汰機能の不足にあることを明らかにした。また医療、教育、建設、住宅等のアウトプットの質を計測する手法を開発し、非効率性の原因を探った。4つのテーマについて主に以下の分析を行った。①統括・計測:サービス産業の生産性計測と生産性決定要因の分析、各産業の特性を考慮した上での非市場型サービスの質の計測、ミクロデータによる生産性動学分析、②生産と消費の同時性:応募時に計画した、余暇とサービス消費の不可分性を考慮した効用関数の推計、③資本蓄積:産業レベルの無形資産データの作成とそれを利用した分析、および無形資産と有形資産間の補完性の分析、④労働・人的資本:教育や医療サービスが労働の質を高めるメカニズムの研究と、個人の生産性計測、サービス購入と労働供給の関係の分析。これらの具体的な成果は、下記に纏めた。深尾京司編(2021)『サービス産業の生産性と日本経済:JIPデータベースによる実証分析と提言』東京大学出版会、423頁;第1章深尾他、第2章深尾・牧野、第3章宮川・石川、第4章川口・川田、第5章森川、第6章阿部・稲倉・小原、第7章杉原・川淵、第8章乾・池田・柿埜、第9章小塩他、第10章深尾他、第11章中島、終章深尾。
著者
阿部 永
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.311-313, 2011 (Released:2012-01-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

カワネズミChimarrogale platycephalaの分布域のほぼ全域から集めた139個体の胃内容分析を行い各餌種の出現頻度を調べた.カゲロウ幼虫(84.2%)やカワゲラ幼虫(37.4%)を含む水生昆虫が最も重要な餌種であった.魚類の出現頻度(10.8%)は水生昆虫に比して著しく少なかった.しかし,個々の餌種の生物量を考慮した場合,魚類もカワネズミにとっては重要な餌であった.
著者
和田 昭彦 阿部 修
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.18-21, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
10

MRトラクトグラフィーの神経線維追跡を基本原理として,脳領野を対象とした神経ネットワークの描出・解析を行う手法(structural connectivity analysis)が臨床応用可能となっている.グラフ理論を用いた隣接行列の解析で得られる特徴量からネットワークの全体および局所評価が可能である.近年,アルツハイマー病の発症・進行に認知機能関連の神経ネットワークの断裂・統合障害が関連するとの仮説が提唱されており,アルツハイマー病の診断・進行のバイオマーカーとして神経ネットワーク解析の貢献が期待される.
著者
織田 弥生 中村 実 龍田 周 小泉 祐貴子 阿部 恒之
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.287-297, 2000-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
27
被引用文献数
4 5

ストレスの指標として使用されることの多い, 唾液中・尿中コルチゾールの値の標準値を作成することを目的とした. 20代から50代の就労している男性85名, 女性81名について, 勤務日と休日の2日間にわたり1日5ポイント (起床時, 10:00, 11:40, 14:00, 16:00) 尿と唾液を採取し, HPLC法でコルチゾールの定量を行い, 性・時刻・測定日別の平均値と標準偏差を示した標準値表を完成した. また, 全検体中の唾液299検体・尿155検体についてはRIA法でも分析を実施して分析定量値の相互換算式を算出し, 異なる分析法間の値の比較が可能となるようにした. 一過性ストレス時の唾液中コルチゾール値を標準値表と比較したところ, 標準値から大きく逸脱することが確認されたことから, ストレス測定においてこの標準値が有用であると考えられた. 最後に, この標準値表の活用範囲について検討した.
著者
佐藤 靖泰 長濱 澄 川田 拓 宇田 悠 長田 のぞみ 阿部 太輔 髙橋 ひかる 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.46-51, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

宮城県内の2つの小学校の一部の学年を対象に,教材配信やデータ分析可視化機能を持つLEAFシステムを導入し,教科等を限定せず活用した.教師や児童がシステムの利用に慣れた時点で,教師対象に半構造化インタビューを実施した.結果,児童が持つ疑問や願いに沿って適時的に授業展開を変化できる可能性や,使用するシステムに適した教材を作成することを通して教材研究が深まる可能性などが示唆された.

1 0 0 0 政治学入門

著者
阿部齊著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1996
著者
山本 隆之 西村 雅恵 宮島 進 岡田 奈津子 内藤 雅文 阿部 泰士 小林 晏
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.385-391, 2002-03-20 (Released:2014-12-27)

48歳,女性.1986年頃からRaynaud症状がみられ,1988年に手の浮腫性硬化,開口障害,が出現し強皮症と診断された.以来,両足趾に小潰瘍が反復出現し,逆流性食道炎,食道潰瘍を伴うようになった.1998年に生検にて十二指腸にamyloid A(AA)蛋白の沈着を認め,続発性アミロイドーシスと診断され,翌年には直腸にもアミロイドの沈着を指摘された.同時期に心機能の軽度低下,軽度の肺線維化を認め,同年12月心不全,腎不全に陥り,血液透析導入となった.心機能は回復したが,腸管運動の著明な低下がみられるようになった.2000年2月突然心肺停止に陥り,永眠された.剖検の結果,心はアミロイドの高度沈着と強皮症による小型の線維化巣,壊死巣を多く認め,腎はアミロイドの高度沈着と強皮症による弓状―小葉間動脈の求心性内膜肥厚像を認めた.また食道,空腸から結腸にかけては内輪筋の萎縮,消失,線維化がみられ,アミロイドも高度沈着していた.強皮症に続発性アミロイドーシスを合併することは稀であるが,長年の経過を有する強皮症は続発性アミロイドーシスの合併を考慮に入れる必要があると思われた.
著者
村上 卓 塩野 淳子 石橋 奈保子 石川 伸行 阿部 正一 野間 美緒 坂 有希子 堀米 仁志
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【目的】心房中隔欠損症の多くは思春期まで無症状である。心房中隔欠損症が小児期の身体発育に及ぼす影響について検討した。【対象と方法】2005年1月~2014年12月に15歳以下の心房中隔欠損症103例に延べ106件の心臓カテーテル検査を施行し、他の病態が身体発育に関与しうる25例(染色体異常、左右短絡疾患(心室中隔欠損, 動脈管開存)合併、超低出生体重児、側彎合併、肺動脈弁狭窄治療後、成長ホルモン分泌不全、経管栄養、精神運動発達遅滞)を除外した。1)カテーテル検査時の身長SD、体重SDにQp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。2)心房中隔欠損閉鎖術を施行された症例における術前身長SD、体重SD(カテーテル検査時)と術後身長SD、体重SD(術後6~18か月時)を比較検討した。また、Δ体重SD、Δ身長SD(術前と術後の差)に手術時年齢、術前身長SD、術前体重SD、Qp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。【結果】1)81件(80例)(男35:女46、年齢中央値5y3m(範囲5m~14y1m))の体重SD -0.25±1.09、身長SD -0.16±1.18(平均±SD)と身体発育の低下を認めた。体重SDとQp/Qs、身長SD とPp/Psに負の相関(r=-0.26, p=0.02、r=-0.29, p=0.01)を認めた。2)49例(男27:女22、手術時年齢平均5y5m(範囲9m~13y10m))に心房中隔欠損閉鎖術が施行された。術前体重SD -0.30±1.12 vs 術後体重SD 0.06±0.96(p<0.01)、術前身長SD -0.20±1.12 vs 術後身長SD 0.06±1.01(p<0.01)(平均±SD)と術後に体重と身長の増加を認めた。Δ体重SDは術前体重SD(r=-0.48, p<0.01)や手術時年齢(r=-0.40, p<0.01)と、Δ身長SDも術前身長SD(r=-0.43, p<0.01)や手術年齢(r=-0.58, p<0.01)と負の相関を認めた。【結論】心房中隔欠損症は短絡量や肺動脈圧が身体発育障害に影響している可能性があり、低年齢で身体発育障害が強い症例では閉鎖術により身体発育の改善が期待される。
著者
阿部 俊夫 坂本 知己 田中 浩 延廣 竜彦 壁谷 直記 萩野 裕章
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.147-156, 2006-01-30 (Released:2009-01-19)
参考文献数
27
被引用文献数
7 4

河川への落葉供給源として必要な河畔林幅を明らかにするために,森林内の落葉散布パターンを実測し,さらに,風速変動を考慮した簡単な物理モデルを用いて落葉散布の推定が可能かを検討した.落葉広葉樹林において,谷の両側斜面に単木的に分布するクリの木(両側各1本)を対象として,落葉散布を実測したところ,斜面から谷への方向では,落葉の散布距離は,最大で約25mであり,ほとんどの落葉は15m以内に落下することが分かった.モデルによる落葉散布推定の結果,一方のクリでは,樹冠近傍を除き,モデル推定値と実測値がよく一致した.累積落葉密度は,モデル,実測とも,距離15mで約90%に達した.もう一方のクリでは,モデルによる散布距離の推定値はやや過大となった.モデル推定値と実測値の比較の結果,林内風速が正確に測定できれば,本研究で提案したモデルを用いて落葉散布パターンを推定できる可能性が示唆された.しかし,林内では,樹木や地形の影響で局所的に風の吹き方が異なり,これがモデルの推定精度を下げる要因になっていると思われる.一方のクリで,モデルと実測が一致しなかったのも,この風速の不均質性が原因と推察された.ただし,大まかな落葉散布範囲は,河畔域の代表的な地点で風を観測することにより十分推定可能と思われる.また,本モデルは,その性質上,樹冠近傍の落葉密度を過小評価してしまう.しかし,落葉の累積%が80~90%に達する距離は,モデル,実測ともほぼ同じであり,落葉供給範囲を推定するという目的を考えれば,この違いは大きな問題ではないといえる.以上から,本モデルは,現時点での検証が不十分であるものの,今後,河川への落葉供給源の推定に有効なツールになりうると思われる.
著者
越後 宏紀 阿部 花南 武井 秀憲 五十嵐 悠紀 小林 稔
雑誌
ワークショップ2022 (GN Workshop 2022) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.44-51, 2022-11-17

我々は,聴講者からのチャットによるリアクションをリアルタイムに反映できるシステム「ChaChat-Button」を開発している.学会発表で実践した結果,発表者側が聴講者の反応をリアルタイムで知りながら発表することができ,かつ聴講者側もコメントや反応することへの抵抗感を和らげたことが示唆されている.本稿では,学会発表で得られた知見をもとにシステムを改良し,約 4 ヶ月間ゼミで利用した結果を報告する.長期間の利用をおこなったことで,よく押される/押されないボタンの種類やボタンを押すタイミングの傾向がわかった.また,回を追うごとにボタンの押される総数が減少した一方で,テキストによる入力が増加していることがわかった.
著者
阿部 宣人
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.27-42, 2014-12-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
2