著者
只木 良也 沖野 外輝夫 青木 淳一 斎藤 隆史 萩原 秋男
出版者
名古屋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

1.都市内やその周辺に残された樹林地の構造を調査し、その形成過程を推定した。とくに上層落葉樹・下層常緑広葉樹の複層林型の上層(コナラ)樹高15m、年間純生産量13t/haの林分で、土壌生成の源となる落葉量とその元素含有量の季節変化の追跡を行った。(只木)2.都市樹林地で、その活動によるCO_2の収支を通じた環境保全効果の実態を解明する目的で、土壌気相中のCO_2濃度の垂直分布を調べた。土壌気相中のCO_2濃度は、土壌表面からの深さが増すにつれて増加するが、増加率は土壌が深いほど低下した。季節によるCO_2濃度は、夏季に高く、冬季に低かった。(荻原)3.都市周辺の森林や畑地の開発と都市鳥類の関係を神奈川県下で調査した、1970-1990年の資料を解析し、周辺の森林と畑地の激減に応じて、都市緑地繁殖鳥類の種数は漸増した。都市周辺の生活場所が消滅した場合、たとえ好適ではないにしても都市緑地が二次的な生活場所を提供している。(斎藤)4.都市の公園や緑地の同じクスノキを高木層にもつ林地でも、低木層の有無、落葉層の有無が生息可能な土壌動物の種類と量に大きな影響を与えることがわかった。とくに落葉の除去は影響が大きい。また、低木層・落葉層ともに存在として、高木クスノキよりもスダジイの方が豊かな動物層を維持できることも判明した。(青木)5.ヨシ原実験圃場造成の初期には、ヨシ活着等の不揃いからパイオニア的な植物が侵入した。春の発芽時期にはまずガマが伸長した。水中では原生動物11種、ワムシ類22種、甲殻類8種が観察され、水質との関係では、実験水路でSSやT-CODが減少したが、溶存のs-CODは逆にやや増加する傾向を示した。水質浄化を目的とする水生植物群の造成、管理に際しての若干の示唆が得られている。(沖野)
著者
青木 孝志 足達 義則
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.23-29, 2007-03-01

近年、様々な芳香の活用が統合療法分野で増加しつつある。これはアロマセラピーと呼ばれているが、匂い刺激は人体の嗅覚中枢に伝わり、自律神経や脈波に影響を与える。本研究日的は、匂い刺激が脈波の構成成分の波高比(b/aおよびd/a)に対して、どのような影響をもたらすのかを調べることである。ここで、a,bおよびdは加速度脈波の構成成分であるa,bおよびd波の高さである。10人の被験者にジャスミンの匂い刺激を5分間あたえた。刺激中の5分間と、刺激前の5分間および刺激後の5分間、脈波を測定した。その結果、ジャスミンの匂い刺激中はb/aが統計的有意に減少した。この実験結果は刺激中に血管の伸展性がよくなったことを示唆している。刺激を止めると約5分以内に元の値に戻った。d/aは有意な変化を示さなかった。また刺激によって心拍数が平均3.5%増加した。
著者
清水 俊幸 安島 雄一郎 吉田 利雄 安里 彰 志田 直之 三浦 健一 住元 真司 長屋 忠男 三吉 郁夫 青木 正樹 原口 正寿 山中 栄次 宮崎 博行 草野 義博 新庄 直樹 追永 勇次 宇野 篤也 黒川 原佳 塚本 俊之 村井 均 庄司 文由 井上 俊介 黒田 明義 寺井 優晃 長谷川 幸弘 南 一生 横川 三津夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2118-2129, 2013-10-01

スーパーコンピュータ「京」の構成と評価について述べる.「京」はスパコンの広範な分野での利活用を目指した10PFLOPS級のスパコンである.我々は,デザインコンセプトとして,汎用的なCPUアーキテクチャの採用と高いCPU単体性能の実現,高いスケーラビリティのインターコネクトの専用開発,並列度の爆発に抗する技術の導入,高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性の実現を掲げ,2011年にそのシステムを完成させた.HPC向けCPU,SPARC64 VIIIfxと,スケーラビリティの高いTofuインターコネクトを専用に開発し,並列度の爆発に抗する技術としてVISIMPACTを実装した.冷却やジョブマネージャ等により,高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性を実現した.「京」は2011年6月と11月にTOP500で世界一となった.また,複数のアプリケーションで高い実行効率と性能を確認し,スパコンとしての高い実用性を示した.
著者
青木 一生 今井 潤一
出版者
The Japan Association of Real Options and Strategy
雑誌
リアルオプション研究 (ISSN:18815774)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.169-206, 2011 (Released:2011-08-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

When a company invests in a R&D project and tries to acquire patents under uncertainty, it is important for the company to have many real options to respond flexibly. However, when the other company entered into the same R&D project early with preemption, the company might not earn enough profit. Under such competition, it is critical to determine the timing in starting the investment. This paper analyzes the optimal investment strategy for two asymmetric firms in getting a patent in the presence of uncertainty and competition. Based on trade-off between a small and a big companies' success rates of getting a patent and initial investment costs, we consider a competitive situation where two asymmetric firms might face. The numerical result shows that a small company can be competitive with a big company by reducing its initial investment cost and that this model can describe a small company's market positionings in the real world.
著者
渡辺 智恵 青木 信之
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

英語eラーニングにおける自律的学習者の養成を支援するための「eポートフォリオ」を構築し、その有効性について検証を行った。その結果、統計的には有意な結果ではなかったが、ログイン回数が多く、学習時間が長く、教材消化率の高い受講者、すなわち熱心な受講者はeポートフォリオをより利用する傾向があり、逆に、ログイン回数が少なく、学習時間が短く、教材消化率の低い受講者はあまり利用しないことが明らかになった。
著者
青木 輝夫 本山 秀明 竹内 望 的場 澄人 堀 雅裕 八久保 晶弘 山口 悟 田中 泰宙 岩田 幸良 杉浦 幸之助 兒玉 裕二 藤田 耕史 朽木 勝幸 庭野 匡思 保坂 征宏 橋本 明弘 谷川 朋範 田中 泰宙 植竹 淳 永塚 尚子 杉山 慎 本吉 弘岐 下田 星児 本谷 研
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

グリーンランド氷床上での現地観測から、涵養域ではアルベド低下に対するブラックカーボン(BC)等積雪不純物の寄与は小さく、積雪粒径増加効果の方が大きいことが分かった。また2012年7月の顕著な表面融解には下層雲からの長波放射が効いていた。消耗域では表面の不純物中に微生物が大量に含まれ、アルベド低下へ大きく寄与していた。衛星観測から2000年以降の氷床表面アルベドの低下原因を解析した結果、涵養域では積雪粒径の経年増加が主要因で、消耗域では裸氷域と微生物を含む暗色域の拡大が原因であった。内陸域で深さ223mの氷床コアを掘削し、その解析からBC濃度は1920-30年に現在の数倍程度高いことが分かった。
著者
加藤 雅信 青木 清 太田 勝造 河合 幹雄 野口 裕之 藤本 亮 岡田 幸宏 菅原 郁夫 フット ダニエル
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

多くの法科大学院院生は「進学決意時」の職業希望を法科大学院入学後、教育を受けながらも維持していることがあきらかになった。また、そうした理想は理想として、現実的に予想する際にも約3分の2の院生は理想と現実的予想が一致しており、その一致率は年度を追い、微増する傾向が観察された。本調査が執行された段階では、まだ「弁護士の就職難」といわれる現象はメディアがとりあげるような話題にはなっておらず、現在の院生にこのような調査をした場合にはまた異なった回答がなされるであろう。また、実際に司法修習修了後にどういった職種に就いているのか等の追跡調査が今後求められてくるであろう。抽象度の高い法のイメージについての法意識は短期間では大きく変化しないと考えられる。そのため、多くの項目では経年変化はみられなかった。しかし、二年の間をあけた調査問の比較では、より大きな差がいくつかの項目に観察された。このことは三年間のインテンシヴな法科大学院教育がこうした一般的な法意識、法態度にも影響を及ぼすことを示唆している。法科大学院は大学の枠を越えて多くの他大学出身の院生を受入れており、また、受験生も複数の大学院を受験することが通例である。入学前には受験生は全員が適性試験を受験することが義務づけられ、また大学院終了後も全員が司法試験を受験し、司法修習へと進む。したがって個別大学での調査ではなく、本研究のように大学横断的に法科大学院生のさまざまな状況について調査研究することは重要である。
著者
青木 良輔 宮下 広夢 井原 雅行 大野 健彦 千明 裕 小林 稔 鏡 慎吾
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-21
被引用文献数
1

静電容量方式のマルチタッチスクリーンが取り付けられたタブレットが普及し,物理オブジェクトを用いたタブレット向けのアプリケーションが登場している.そこで,タブレット操作に物理オブジェクトを利用することを促すために,タブレット上で枠型物理オブジェクトをくるっと回して情報をみる操作方式 「くるみる」 を提案する.本方式では枠の内側からも画面を遮蔽なく閲覧できるので,枠の内側の画面を見ながら,物理オブジェクトの回転操作及び並進操作が容易に行える.回転操作を 3 次元空間の奥行き方向の操作に割り当て,枠の内側にその操作結果を拡大・縮小表示することで虫眼鏡のように使用できる.本稿では,枠型物理オブジェクトの中で,回転しやすく,握りやすいリング型物理オブジェクトに着目し,本方式の特徴,実装及び本方式の基本操作性を評価した結果を報告する.Tablets with capacitive multi-touch screens have increased and applications for tablets using physical objects have surfaced. To increase the use of physical objects to operate tablets, we propose Kuru-Miru which allows users to move and rotate a frame object to view digital information inside the frame object without obscuring the view of digital information in the screen. Rotation of the frame object acts as a magnifying glass and manipulates the depth in the image to mimic three dimensional space on a two dimensional surface. In this paper, we present our implementation of a easy to rotate and grasp ring object and report Kuru-Miru's features, implementation, and usability.
著者
青木緑園 著
出版者
中村日吉堂
巻号頁・発行日
1917
著者
坪井 博文 菅野 直人 西山 亜由美 竪山 真規 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.312-315, 2013-04-01 (Released:2013-04-19)
参考文献数
10

症例は28歳男性である.左上腕外側の痛みと下垂手で発症,左橈骨神経麻痺の診断で保存的に加療を受けるも左上肢の筋力低下,筋萎縮,しびれ感が残存し当科受診した.神経学的には左三角筋,総指伸筋,棘上筋,棘下筋,前鋸筋などに筋力低下をみとめ,左上腕外側から手背に帯状に表在覚低下と錯感覚をみとめた.電気生理学的検査と画像検査をあわせて検討したところ腕神経叢の散在性障害が明らかとなり,経過より神経痛性筋萎縮症と診断した.本症例は当初より橈骨神経本幹の麻痺が前景に立っており非典型的であった.臨床的に橈骨神経麻痺がみられたばあい,神経痛性筋萎縮症の可能性も念頭におき鑑別をおこなう必要があると考えられた.
著者
敷田 麻実 青木 孝
出版者
日本地域政策学会
雑誌
日本地域政策研究 (ISSN:13485539)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-10, 2013

Community development through tourism has attracted much attention from both practitioners and scholars. Tourism is believed to be able to rejuvenate deteriorating local communities through positive economic effects; particularly, it has the potential to revitalize local economies. However, tourism alone cannot improve communities because many issues hamper the management of community development and evaluation of its sustainability. This study examines the strategic planning of community development through tourism in Puerto Plata, the Dominican Republic, where an international cooperation project by the Japanese International Cooperation Agency was started in November 2009. We use a tentative evaluation methodology based on the nature of balance sheet to determine the potential of communities and outcomes of the development.
著者
青木 万里
出版者
日本学生相談学会
雑誌
学生相談研究 (ISSN:09146512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.35-46, 2009-07
著者
杉山 康司 青木 純一郎
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.173-180, 1990-06-01
被引用文献数
2

本研究の目的は高酸素気吸入トレーニングが平地での全身持久力に及ぼす効果を明らかにすることであった。日常規則的な持久性のトレーニングを行っていない男子体育学部生12名を被験者とし、正常気吸入トレーニング群(正常気群)および高酸素気吸入トレーニング群(高酸素気群)に2分した。高酸素気群のトレーニング強度は高酸素(60%酸素)吸入時に得られたV^^・o_2maxの85%、正常気トレーニング群の強度は空気吸入時に得られたV^^・o_2maxの85%とした。トレーニング時間は高酸素気群を10分とし、両群の仕事量を等しくするために、正常気群は10分22秒から11分30秒とした。また、トレーニングの頻度および期間は両群とも週3日および4週間であった。この結果、正常気群ではオールアウトタイムが17分18秒±1分37秒から19分7秒±1分53秒および乳酸閾値が19.6±4.3ml/kg・分から23.0±4.5ml/kg・分にそれぞれ有意に向上した。V^^・o_2max、最大換気量およびトレーニング中の心拍数には変化は認められなかった。一方、高酸素気群ではオールアウトタイムが17分56秒±1分24秒から19分33秒±1分41秒および乳酸閾値が19.7±3.0ml/kg・分から24.9±4.0ml/kg・分に有意な向上を示したことに加え、V^^・o_2maxお 46.14.6ml/kg51.04.3ml/kg117.313.8l/135.118.4l/V^^o_2max