著者
及川 浩平 青木 英彦 菊池 研 房崎 哲也 佐藤 紀夫 岩坂 潤二 遠藤 重厚
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-157, 2003-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13

A 69-year-old female was found unconscious after nearly drowning (submersion) in a hot spring spa (Tamagawa spa, Akita prefecture) on June, 2001. The near drowning was associated with acid aspiration. She developed acute respiratory distress syndrome and shock after arrival at our emergency room. She was immediately treated using mechanical ventilation and percutaneous cardiopulmonary support. However, she died on the fourth hospital day as a result of a rapidly progressive lung injury induced by acid aspiration. Lung CT images demonstrated heterogeneous pulmonary infiltrations with irregularly fused cavities. An autopsy showed marked degeneration of the alveolar epithelium and abnormal deposits within the alveoli.
著者
長谷川 拓男 小川 匡市 市原 恒平 青木 寛明 又井 一雄 吉田 和彦 矢永 勝彦
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.648-653, 2017 (Released:2018-08-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は57歳男性.下痢,発熱,腹痛を主訴に入院となった.急性腸炎の診断で保存的治療を行ったが,第5病日に腹膜炎症状が出現し緊急開腹手術を行った.開腹所見では盲腸から横行結腸まで浮腫状で著明に拡張し腸管壁は脆弱化しており,結腸亜全摘術+回腸人工肛門造設術を行った.術後は敗血症性ショックによる急性循環不全,呼吸不全に陥り人工呼吸器に装着し集中治療室で治療を行った.術後3日目に糞便の顕微鏡検査でアメーバ性大腸炎と診断され,メトロニダゾールの投与を開始した.その後,全身状態は急激に改善し,術後49日目に軽快退院した.アメーバ性腸炎は近年日本においても増加傾向である.診断に難渋する下痢,腹痛症例に対し本疾患を念頭におき診療を行うことが重要であると考えられた.
著者
萩原 智 上嶋 一臣 西田 直生志 依田 広 三長 孝輔 南 康範 田北 雅弘 青木 智子 盛田 真弘 千品 寛和 松原 卓哉 大丸 直哉 稲村 昇 工藤 正俊
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.567-574, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
24

症例は30代男性.幼少期に完全大血管転位III型に対してFontan手術が施行され,近医に定期的に通院していた.20XX年7月腹部USで多発肝腫瘤を指摘され当院紹介受診となった.造影CTにて最大13 cmの多発肝細胞癌と判明した(BCLC stage B).画像上は門脈圧亢進所見や明らかな肝形態異常を認めなかったが,肝生検でCongestive Hepatic Fibrosis Score 3であり,実際には線維化の進展を認めていた.肝内多発のため外科手術やRFAの適応外であった.また最大径の腫瘍は肝外に突出しており,腹腔内破裂の危険性もあることから,まずTACEを施行した.再発に応じて各種抗癌剤治療を行い,生存中である.画像上は肝線維化を示唆する所見はなかったが,Fontan術後の特殊な循環動態では,肝線維化が進展している可能性があり,本症例を通して肝癌サーベイランスの重要性を再考する.
著者
山崎 友郷 榎本 貴夫 青木 司 能勢 忠男
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.524-529, 2000-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14

小児中頭蓋窩くも膜嚢胞のうち, 奇異な症状を呈し手術によりその改善をみた3症例を報告する.通常中頭蓋窩のくも膜嚢胞は無症状か頭痛, 頭重感など漠然とした症状を示すものが多いといわれ, 保存的に治療していくことが多かった.しかしわれわれは, 言語発達遅滞, 嘔吐, 行動異常など, 嚢胞との相関が明確でなく, 奇異な症状を示し, 嚢胞-腹腔短絡術により明らかに症状の改善をみた3症例を経験した.これらの症例を通じ, 中頭蓋窩くも膜嚢胞は症状と嚢胞との相関があまり明確ではない症状を示すものを含めて, 手術を行えば症状の改善する症例が少なからず存在するものと推察された.
著者
井原 雅行 中島 浩 宮田 章裕 青木 良輔 石田 達郎 瀬古 俊一 渡辺 昌洋 橋本 遼 渡辺 浩志
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.359-370, 2019-11-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
22

This paper introduces a case study intended for verifying, evaluating and improving technologies for a practical service; its process is analyzed using the design thinking approach. We develop and evaluate two technologies for disaster situations; a resilient information sharing platform and a mutual safety confirmation application on the platform. The case study includes a variety of verifications and evaluations such as a system work test in a disturbed public space, a larger scale system work test, and user acceptance evaluations that address both usability and psychological factors. The heart of our improvement process is it repeated back-step in the service design process for more efficient incremental advancement. We advance the field of technology research and service design research by providing guidelines for technology improvement and/or service design through the introduction and analysis of the practical case study.
著者
陳 晨 今泉 祥子 青木 直和 小林 裕幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 2012 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
pp.7-7-1-_7-7-2_, 2012-08-29 (Released:2017-05-24)

It is known that preference of some photographs is improved by adding noise. We propose "Memory texture" as a reason for the improvement of preference by the noise addition. "Memory texture" is the texture reproduced when we imagine the object. We investigated differences between real texture and memory texture by subjective evaluation of images added noise. Except as to potato image, memory textures were always not smaller than the real texture. Preferred textures were very close to the short-term memory texture in most objects.
著者
縣 和一 武内 康博 山路 博之 青木 則明
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.18-25, 2011-10-31 (Released:2021-04-22)
参考文献数
23

1) 本報では, ベントグリーンのアントシアニン色素斑形成に関与する気象要因である低温, 可視光, 近紫外線の影響を明らかにするために, 冬季低温下で可視光, 近紫外線の透過率が異なる資材を用いた被覆試験を行った。その結果, アントシアニン色素は冬の低温下で生成されるが, 日中の近紫外線によって誘導されることが近紫外線強度とアントシアニン含量との一次相関から示された (Table 1, 2) 。同様の結果は, 近紫外線強度を4水準に変えたポット試験からも立証された (Table 3) 。2) 紫斑の色調程度を異にする芝生から採取した葉について光合成速度を測定し, 測定葉から抽出したアントシアニン含量と光合成速度との関係をみたところ, 両者間に負の有意な相関関係が認められた。このことはアントシアニン含量によって光合成速度が抑制されることを示している (Fig. 1) 。3) 光合成速度の低下は, アントシアニンが可視光をよく吸収することによっていることが測定葉から抽出したアントシアニン濃度と可視光透過率との相関解析から判明した (Fig. 2) 。4) アントシアニン抽出液の近紫外線吸収率は高く, アントシアニンが葉肉組織の紫外線障害防御の機能を果たしていることが推定された (Fig. 2) 。5) アントシアニン抽出液の太陽光照射による液温測定からアントシアニン濃度と液温上昇との間に正の相関関係が認められた (Fig. 2) 。この結果は, アントシアニン色素が葉温を高める効果のあることを示唆している。6) 紫斑葉と非紫斑葉から抽出したクロロフィル液, アントシアニン液の光吸収スペクトルを検討した結果 (Fig. 4), 前者のスペクトルは同一であったが, 後者では, 紫斑葉の抽出液の吸収スペクトルが全波長域で高く, 500nmに吸収極大がみられた。この結果は, アントシアニンが可視光をカットすること, 吸熱による昇温効果の大きいことと一致する。7) 以上の結果から, 冬の低温下で生成されるベントグラスのアントシアニン色素の増大は, 紫外線吸収による組織障害の防御, 可視光カットによる光合成の抑制 (光化学反応の抑制) と吸熱によるCO2還元反応の促進に寄与する生理的適応機構と推定できる。
著者
青木 紀美子 小笠原 晶子 熊谷 百合子 渡辺 誓司
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.32-72, 2023-10-01 (Released:2023-10-20)

社会的に多様性、公平性、包摂性の促進が重視される中、メディアも社会の多様性を反映しているかを問われている。放送文化研究所では2022年度、テレビ番組の表象の多様性について2回目の調査を行った。 6月の1週間、番組全般の出演者のジェンダーバランスをメタデータにもとづいて分析し、6月と11月、ウィークデー(月~金)夜の全国向けのニュース報道番組で発言した登場人物について、ジェンダーに加え「障害の有無」、「人種的多様性」、「取材地の分布」などについても、コーディングによる分析を行った。 ジェンダーバランスの分析結果は、前年度とほぼ変わらず、女性と男性の割合が、番組全般では4対6、夜のニュース報道番組では3対7だった。総人口では女性が過半数を占め、特に高齢層で女性が男性より多いという社会の現実に対し、テレビの世界は「若い女性と中高年の男性」に偏った表象であることが前年度に続き、確認された。このうちニュースでは、男性が政治や経済などの分野で権威や肩書がある立場で登場することが多いのに対し、女性は暮らしや福祉などの分野で地位も肩書も名もない立場で登場する割合が高かった。新たに加えた調査項目のうち「人種的多様性」では、「日本人」の次に「ヨーロッパ系」が多く、取材地が日本国内の場合も、在留外国人の大半を占める「アジア系」と「ヨーロッパ系」が、登場人物に占める割合で並ぶという偏りがあった。「障害の有無」の分析では、障害「あり」が全体の0.3%で、「あるかもしれない」0.9%とあわせても約1.2%で、国内の障害者の割合のおよそ9.2%の8分の1程度にとどまった。登場人物が取材を受けた「取材地の分布」は、都道府県別の人口分布に比べて、東京への一極集中がはるかに大きかった。限られた日数のサンプル調査であり、テレビ放送から得られる情報では把握できない多様性もあるが、視聴者から見えるテレビの表象の偏りを示唆する結果となった。
著者
青木 美土里
巻号頁・発行日
2021-03

歴史人口学と歴史社会学の視点で、人の移動に関する先行研究の一部を整理した上で、現状の課題を明らかにし、自らの研究の立ち位置を確認する。順序としては、まず研究のきっかけとなった極私的体験について紹介し、修士課程での研究について説明。その上で現在、博士課程において進めている研究のテーマとその背景である明治近代以降の家族形態の変化と人の移動について述べた。また、2020年、地球規模で直面しているCOVID-19のもたらす社会変化についても僅かながら言及した。先行研究は、主に鬼頭宏の著作を用いて、歴史人口学の視点から人口と文明の関連性、産業化に起因する人口増加と、明治近代以降、日本で起きた農村から都市部への人口移動を整理。次に、佐藤香の著作に従って、歴史社会学の視点から、世界における人の移動プロセスにかかわる学史の流れ、現在の日本における同テーマの研究するにあたっての限界と課題について整理した。最後に、筆者の家系を研究の対象とすることで、その課題に対する新たな突破口を見出そうとした。
著者
青木 宣明 植田 尚文 伴 琢也 内藤 整 葉 玉紅
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.57-62, 2001-10-01 (Released:2019-04-16)
参考文献数
11

鉢植えブルーベリーにおける施肥,摘心並びに遮光処理が新梢伸長と花芽着生に及ぼす影響を調査した.1.挿し木の活着率挿し木活着率はタイプ,品種に関係なく,また休眠枝や緑枝挿しに関わらず,高かった.2.施肥量と施肥時期の影響元肥及び追肥区とも,施用量の増加に伴い花芽数が増加した.花芽着生数は緑枝挿しより休眠枝挿しにおいて,また'ノースランド'より'ティフブルー'において,多かった.なお両品種とも,8月追肥区の花芽数は最高を示した.3.摘心と遮光の影響強摘心は新梢の伸長量を減少させたが,花芽数の増加には影響しなかった.'ウッダード','ノースランド'の両品種とも遮光は新梢伸長より花芽着生への影響が顕著で,花芽数は遮効率の増大に伴って著しく減少した.品種間の比較では,ラビットアイタイプの'ウッダード'は花芽数や新梢数が多く,樹高が低く,また開張性を示すなど,"鉢花"に適している.
著者
中野 淳一 青木 勝 岩科 智彩 古木 大裕 大堀 杏 井上 亮太郎 前野 隆司
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-22-00041, (Released:2023-09-26)
参考文献数
15

In this study, we developed a chatbot that gives advice for improving well-being and obtained basic knowledge about its well-being improving effect. In the design of the chatbot, we derived advice candidates from behaviors that are highly correlated with well-being based on a questionnaire survey. In the quantitative survey, the chatbot gave advice 172 verification subjects 13 times from the derived advice candidates. As a result, we confirmed that the group that executed a lot of contents of the advice improved the well-being level compared to the group that executed few ones.
著者
綾部 早穂 山田 一夫 青木 佐奈枝 一谷 幸男 松井 豊
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

3つのアプローチからにおいのトラウマ記憶を探求した。臨床心理士への面接調査から、五感に示されるPTSD症状で、嗅覚に関する症状は当事者・治療者ともに認識が低いこと、味嗅覚は特定の被害とは結びつかないが、フラッシュバックで体験されることが示された。人間のにおい嫌悪条件づけ実験では、条件づけられたにおいへの主観的不快感には変化はなかったが、連続提示した場合に強度減衰が生じにくいことが示され、不快臭に対して注意が継続的に向けられることが示唆された。また、PTSDモデル動物に関しては、無臭の装置にラットを入れ、その後においと電撃を対提示した場合でのみ、においに対する恐怖反応がみられ、方法を確立した。
著者
橋本 まき 小谷口 美也子 松本 裕貴 琴浦 聡 湯浅 浩気 青木 基 中根 正人 北村 進一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00058, (Released:2023-09-27)

機能性表示食品の機能性関与成分のルーチン分析で求められるスループット性を考慮して, 構築したNP-HPLC簡易法の定量値の妥当性を検証した. ソフトカプセル2粒当たりのプラズマローゲン量をNP-HPLC簡易法と2D-HPLC法で分析し, 得られた定量値と比較したところ, 有意差はみられず定量値の妥当性が確認できた. NP-HPLC簡易法はソフトカプセルやその他の食品中プラズマローゲン含有量について日々のモニタリングに活用できると考える.
著者
守屋 俊甫 吉岡 将輝 松井 公宏 青木 海 吉田 保子 竹越 一博 小﨑 恵生 前田 清司
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.353-361, 2023-10-01 (Released:2023-09-13)
参考文献数
30

Insufficient physical function is strongly associated with decreased activity of daily living and health-related quality of life in middle-aged and older women. YOSAKOI Soran is one of the traditional Japanese dances to have naruko (wooden hand clappers) in their hands as they dance and incorporate the phrase from the Soran Bushi in their song. YOSAKOI Soran festivals can be seen being held in various places across the country, proving its growing popularity with residents as a celebration regardless of age or occupation. The purpose of this study was to examine the cross-sectional associations between YOSAKOI Soran and the physical functions of middle-aged and older women. A total of 30 middle-aged and older women practicing YOSAKOI Soran (YOSAKOI group) and 163 middle-aged and older women who had not practiced YOSAKOI Soran (control group) participated in this cross-sectional study. Handgrip strength, 30-second chair stand performance, and flexibility were used to measure physical functions. Handgrip strength was not significantly differed between the YOSAKOI group and the control group (P = 0.79). 30-second chair stand performance and flexibility were significantly higher in the YOSAKOI group than in the control group (both P < 0.05). These results remained significant after adjusting for age and body mass index (both P < 0.05). The present results suggest that practicing YOSAKOI Soran may increase lower extremity function and flexibility in middle-aged and older women.