著者
高松 祥平 山口 泰雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.793-806, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
48
被引用文献数
2 4

This study was conducted to examine the competency of Kokoyakyu (Japanese high-school baseball) managers by developing and then applying a suitable measurement scale. First, we interviewed 6 Kokoyakyu managers, identifying 245 competency items. To categorize these items, one professor and 4 graduate students in sport sociology conducted a panel discussion. This yielded 48 competency items that were divided into 10 categories. Second, to appraise the reliability and validity of the resulting scale, we sent questionnaires to 1,000 managers, and received 421 replies. Item-total correlation analysis, exploratory factor analysis, and confirmatory factor analysis revealed 6 factors comprising 24 competency items: (1) trust relationship (6 items), (2) powers of observation (4 items), (3) educational guidance (3 items), (4) autonomy support (4 items), (5) relationship of supporters (3 items), and (6) skill and tactics instruction (4 items). The indices of model data fit were χ2/df=1.72, GFI=.87, CFI=.90, and RMSEA=.058. Assessment of construct validity comprised 3 components: convergent validity (Cronbach's alpha, average variance extracted, and construct reliability), discriminant validity, and content validity. The scale was observed to be reliable and valid. Comparison of the scale based on managers' profiles indicated significant differences based on team results, experience in developing players on the path to professional baseball, and years of experience.
著者
山迫 淳介 高松 陽一郎
出版者
愛媛大学農学部附属演習林
雑誌
愛媛大学農学部演習林報告 (ISSN:04246845)
巻号頁・発行日
no.51, pp.29-30, 2012-03

ヒラズゲンセイCissites cephalotes(Olivier, 1792)は,ツチハンミョウ科の甲虫で,東南アジアから日本まで広く分布し,真っ赤で鮮やかな色彩が特徴の大型甲虫である。その体液には有毒物質のカンタリジンが含まれ,皮膚に付くと,かぶれや水ぶくれなどの炎症を起こすため,衛生害虫でもある。本種は,国内では高知県ではじめて発見され,その後,高知県や徳島県で多数記録されているが,他地域ではわずかに知られている程度であった。しかし,近年になって四国のみならず,九州や関西地方にまで急激に分布を広げていることが知られており,地球規模の温暖化との関連が示唆されている(初宿,2008)。
著者
下野 義人 広井 勝 高松 進
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
巻号頁・発行日
no.40, pp.65-75, 2014 (Released:2014-11-21)

リボソームDNA 28S領域(LSU rDNA)および5.8Sを含むITS領域の塩基配列に基づいて、ベニタケ属クロハツ節の分子系統解析を行った。外群を含めて28S領域の解析には42個、ITS領域では49個のシークエンスを用いた。最節約法(MP)に基づく、リボゾームDNAの28S領域の解析では、クロハツ節は大きな3群(group A-C)に別れた。Group Aはクロハツモドキ(Russula densifolia)とコゲイロハツ(R. adusta)、Group Bはニセクロハツ(R. subnigricans)、Group Cはクロハツ(R. nigricans)で構成された。ITS領域の解析ではGroup Bの単系統を支持しなかった。MPおよび近隣結合法(NJ)ではGroup B-5は今回の研究で用いたすべてのクロハツ節の個体と姉妹群を形成し、Group B-1はGroup Cと同群に属した。これらのことから、クロハツモドキとコゲイロハツを含むGroup Aとクロハツを含むgroup Cはともに単系統であると推測されたが、ニセクロハツ(group B)は単系統ではないと考えられた。コゲイロハツを除くとクロハツモドキの特徴を示す仲間は6小群に別れた。
著者
高松 信樹 下平 京子 今橋 正征 吉岡 龍馬
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.69-76, 1981-03-30 (Released:2016-11-17)

Powdered granitic rocks were allowed to react with distilled water under various conditions to estimate the formation mechanism of natural waters from granitic area and to discuss on the factors influencing the chemical composition of the waters. The experimental results indicate that the chemical composition and pH of the waters are influenced by the kind of granitic rocks, the water/rock ratio and PCO2. The alkaline ground waters may result from the reactions of granitic rocks with the waters having low PCO2. The ground waters from granitic areas where CO2 from underground occurs abundantly are neutral or weak acidic, and their major species are Na+, Ca2+, HCO3-. The proportion of the components is nearly equal to that of the surface waters. The percolation time of ground waters in granitic areas was inferred to be relatively short because of the high permeability of water into granitic rocks and low content of dissolved species. Accordingly, the metastable alminosilicates produced during the incongruent dissolution of granitic rocks, may control the chemical composition and pH of the ground waters.
著者
深尾 篤嗣 高松 順太 花房 俊昭
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1197-1207, 2015-11-01 (Released:2017-08-01)

背景:内分泌疾患における症状精神病の病態は,従来ホルモンの過不足を主因とするbiomedical modelの立場から考えられてきた.本稿では,甲状腺疾患,クッシング症候群を例にして,biopsychosocial medical modelからみたその実際について述べる.結果:近年の研究によって,バセドウ病,橋本病ともに合併する精神障害で多いのは抑うつ状態や不安障害であり,治療で甲状腺機能が正常化した後も残る例が多いことがわかってきた.また,筆者らはバセドウ病患者において,甲状腺機能正常化後に残る精神障害は心理的ストレスとの関連が強く,難治化要因になることを見い出した.一方,クッシング症候群ではうつ病との鑑別が問題となる.さらにSoninoらは,クッシング病の発症には心理的ストレスが関連していること,大うつ病像が術後再発の危険因子となることを報告している,本稿では筆者らが経験したうつ病との鑑別に苦慮したクッシング病の一例を提示する.結論:内分泌疾患における症状精神病はbiopsychosocial medical modelでとらえ直す必要がある.
著者
高松 敦子
出版者
早稲田大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

運動性シアノバクテリア細胞は集団化することで、円盤形の回転型運動や彗星型運動など様々なマクロ構造をとる。H23年度は、標準環境下において、束状、円盤状、彗星状のそれぞれの集団形態の運動解析を行った。その結果、コロニー形態に係わらずバクテリア密度が高いほど運動生が優れていることを見いだした。そこで、H24年度はコロニー形態毎の運動速度の解析と、バクテリアが分泌する粘液を想定した理論モデルの構築に取り組んだ。並進運動を行うコロニー重心の運動速度は、一本鎖、束状、彗星状の順に大きいことが分かった。また、同じコロニー形態でもコロニーサイズ(設置面積)にわずかに依存して速度が大きくなる傾向が見られた。さらにコロニー速度は培地表面にバクテリア自身が分泌した粘液の有無に大きく左右されることがわかった。以上のことを纏めると、バクテリアが集合することで粘液分泌総量が増加し、それが培地から受ける抗力を低減するものと思われる。これを基に、彗星状の積層コロニーについて、底面細胞のみが駆動力を生成し、側面および底面細胞が全面、底面の水(または培地)からの抗力を受け、その他の細胞は粘液を分泌するという運動モデルを構築した。その結果、上述に見られたコロニー毎の運動特性の定性的な性質を説明することができた。しかしながら、バクテリアが自発的に集合し、それによって多様な運動が生成するメカニズムは解明されていない。鍵となる粘液の定量化、1本鎖同士の相互作用の定量的観察を通して、より現実的な数理モデル構築を行うことが今後の課題である。
著者
森 邦夫 高松 成亮 渡辺 明
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.52-60, 1989 (Released:2008-04-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

フッ素ゴム加硫物と金属板を一定荷重下で接触させておくと, ゴム層破壊が生じるほど高い固着強度が発生することが明らかとなった. フッ素ゴム分子の金属への吸着による初期の固着は, フッ素原子と金属表面のOH基の間で水素結合が生成した結果であると推測した. 引き続き界面で化学反応が起こり, 両者間に一次結合が生成するためゴム層の破壊が起こるほど強い固着強度が発生した. 界面の反応は加硫時に生成したフッ素ゴム主鎖の不飽和基及び側鎖の活性な官能基と金属表面のOH基の間で起こる反応を主な内容としている. したがって, 固着強度は加硫系の影響を強く受ける. 固着を防止する目的で, ブルーム法と表面処理法によるフッ素ゴム加硫物の表面改質を行った結果, 反応性シリコンと塩化白金酸のアセトン溶液で表面処理する方法が固着防止に特に有効であった. 反応性シリコンは数個のSiH基をもち, これがフッ素ゴム加硫物表面の不飽和基や活性な側鎖と反応し, 生成したシロキサンの薄膜が上記の界面反応を防止するためシリコン処理が固着防止に有効であることが明らかとなった.
著者
今西 麻樹子 今西 孝充 高松 邦彦 中田 康夫 松田 正文
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.12, pp.29-36, 2019-03-31

本研究は、大学生の心拍変動(Heart Rate Variability)を周波数解析することで得られる自律神経機能(交感神経・副交感神経活動)と生活習慣および精神的健康度との関連を明らかにすることを目的とした。生活習慣は「健康・生活習慣診断検査(Diagnostic Inventory of Health and Life Habit)」を用いて、精神的健康度は「精神的健康パターン診断検査(Mental Health Pattern)」を用いて調査した。3者の関係をみるために、Spearman の順位相関係数ρを算出し、併せて無相関の検定を行った。次に、測定項目間の関連を可視化するために、算出した相関係数からネットワーク解析を行った。その結果、18~24時での交感神経活動が生活習慣の尺度である「休養」、精神的健康度のQOL 尺度および「生活の満足度」「生活意欲」と正の相関を示した。|The purpose of this research is to clarify the relationship between autonomic nervous system (activity of sympathetic/parasympathetic nervous system) assessed by frequency analysis of Heart Rate Variability, lifestyle habits and mental health of university students, using "Diagnosis Inventory of Health and Life habits" and "Mental Health Pattern" respectively. To evaluate the relationship between these three factors, Spearman's rank correlation coefficient (ρ) was calculated and a non-correlation test was performed. Next, correlation network analysis was conducted to visualize the relationship between the measured factors. As a result, sympathetic function from 6 pm to 12 pm showed a positive correlation with "rest", which is a measure of lifestyle habits, as well as "satisfaction of life", and "lifestyle motivation" which are indicators for Quality of Life (QOL) scale of mental health.
著者
松元 英理子 高松 邦彦 坊垣 美也子 今西 麻樹子 関 雅幸 中田 康夫
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.12, pp.17-28, 2019-03-31

コンピテンシーに基づく履修指導(支援)の構築を目的とし、2017年度前期・後期の履修登録期間中に学生20名を対象にチューター教員による面談指導(支援)を行った。指導(支援)用資料として「各学生のコンピテンシー自己評価レーダーチャート・自記式」と、シラバス記載の「評価方法と評価項目との関係」のデータから算出した「各学生の登録科目全体で獲得できるコンピテンシーのレーダーチャート・Web式」「基盤教育分野40科目の関連性を2次元上に可視化した図」を作成した。これらを活用し、学生が苦手な部分を伸ばすのか、得意な部分を伸ばすのか、そのためにどの科目を履修すれば良いかなどについて履修指導(支援)を行った。履修登録は学生の判断にゆだねたが、本法による履修指導(支援)が、学生に対しコンピテンシーを意識した学修への動機づけができたことが明らかになった。一方、それらを成し得るための教学面での改善点もいくつか浮かび上がった。|While competency-based education has become a popular topic in the field of higher education, it has only recently been introduced in most Japanese universities. Kobe Tokiwa University is currently undergoing reforms—one of which is competency-based education. Our university has developed a common evaluation indicator called "Tokiwa competencies" that students can acquire through regular, quasi-regular (or remedial), and extra-curricular (or club) activities. This article describes the prototype of competency-based education in Kobe Tokiwa University and how it was developed through action research. Introducing our own efforts to effectively conduct competency-based education, this article details the prototype of lecture-select-coaching through a combination of competency-based education and a web-based support system that enables students to select courses using Tokiwa competencies. The Web-based Radar Chart System of Tokiwa Competencies facilitates a new way to visualize curricula using Tokiwa competencies through a combination of cosine similarity, multidimensional scaling methods (MDS), and scatter plotting. We conclude that it is important that students can reflect on and interpret Tokiwa competencies for themselves.
著者
高松 操 石上 桂子 乾 宏子 丸山 眞澄 市場 丈規 髙橋 晋也
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.102-105, 2017

25名の女性の頬を測色し,分光反射率曲線と物理測色値を得た.また,510-600nmの凹み面積をヘモグロビン(Hb)影響度として算出した.同時に,「色白さ」や「色み(赤み−黄み)」,「透明感」といった肌の印象を視感評価した.Hb影響度を含む測色値と視感評価の結果を比較した結果,肌の色特有の色の見えを確認した.明度が高い肌(L*>68)は,色相値やHb影響度に依らず「色み(赤み−黄み)」評価が中庸となり「色白」と評価された.明度が低い肌(L*<63)はHb影響度が高い場合が多く,色相は赤み寄りであったにも関わらず「色黒」で「黄み」と評価された.中明度の肌(63≦L*≦68)では,Hb影響度が高く赤み寄りの場合は「赤み」で「色白」に,Hb影響度が低く黄み寄りの場合は「黄み」で「色黒」と評価されやすかった.このように,「色白さ」は明度や白さだけでなく色相にも依存する一方,「色み(赤み−黄み)」の判断も色相だけでなく明度や白さに依存するという結果が示された.この結果から,肌の色を高明度・中明度でHb影響度が高い・中明度でHb影響度が低い・低明度の4タイプに分け,分光反射率曲線と肌印象視感評価プロフィールからその特徴をまとめた.
著者
田中 裕 杉原 麻理恵 津曲 俊太郎 高松 伸枝 栗原 和幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1011-1015, 2017 (Released:2017-09-14)
参考文献数
26

症例は12歳の女児.食物摂取後の運動負荷によるアナフィラキシー症状を繰り返したため, 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIAn)を疑い原因食物の精査を行った.症状誘発時に摂取頻度の高かった卵・乳・大豆と, FDEIAnの原因食物として頻度の高い小麦について, それぞれの食物摂取後の運動負荷試験を施行したが全て陰性であった.詳細な問診から4回のエピソードで温州みかんを摂取していたことや, 同じ柑橘類であるオレンジ・グレープフルーツの特異的IgEが陽性であったこと, スキンプリックテスト(skin prick test, SPT)が陽性であったことから温州みかんを原因食物として疑い, アスピリンを併用した温州みかん摂取後の運動負荷試験を行ったところアナフィラキシー症状が誘発されたため, 温州みかんによるFDEIAnと診断した.多数の柑橘類でSPT陽性を示したため柑橘類の完全除去を指示したところ, それ以後アナフィラキシー症状は認めていない.FDEIAnの原因食物として柑橘類も認識しておく必要がある.
著者
高松 みどり Takamatsu Midori タカマツ ミドリ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.7, pp.283-290, 2002

研究ノート修士論文では、ヘンティヒの学校理論における経験概念について思想的にアプローチした。その際明らかとなった彼の経験概念は、その学校実践にどういった影響を与えているのか。今後こういった問題を考えるにあたり、本稿では生徒の経験という行為にアプローチする方法について考える。ここで取り上げるのは、クライネスペルらによる現象学的方法、グステットナーらによる規律化論的方法、ヴルフらによる儀礼・パフォーマンス概念を中核に据えた方法である。その結果明らかとなったのは、クライネスペルらの方法も、グステットナーらの方法も、筆者の問題設定には適合しないが、おそらくヴルフらによる方法であれば適用可能であるということである。確かにヴルフらの方法はヘンティヒの「経験の余地」を閉め出しているようにも思えるが、決してそうではないと思われる。というのもヴルフの場合、生徒達が経験の中で新しい共同体を作り出すというダイナミックな儀礼概念が見られ、それはヘンティヒの経験概念にも通じると思われるのである。
著者
兼子 智 高松 潔 吉田 丈児 小川 真里子
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は精子側技術の向上、媒精環境の効率化によりICSIに依存することなく受精胚を得ることを目的として、授精に供するDNA断片化陰性精子の高精度分画、2. DNA断片化初期像、頭部空胞、先体反応誘起能観察による精子品質管理、3.卵管様微少流路内で運動精子分離、先体反応誘起、受精を同時に行う人工卵管法により、媒精に要する精子の質的向上と量的な下限値の低下を図ることに成功した。本法を顕微授精反復不成功例(250例、406周期)施行し57症例が妊娠し、49例が分娩に到った。ICSI反復不成功例が本研究で確立した高効率媒精システムにより妊娠に至る可能性があることが示された。
著者
岩崎 麻美 高松 信樹 功刀 正行 大沢 信二
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集 日本陸水学会第69回大会 新潟大会
巻号頁・発行日
pp.191, 2005 (Released:2005-09-21)

天然には、様々な環境下において青色を呈する天然水が存在している。青色天然水として知られている福島県裏磐梯の五色沼、群馬県中之条の四万湖および大分県別府の海地獄は共に青色を呈している天然水として知られている。青色天然水の呈色については1)鉄イオン, 銅イオンによる長波長光吸収機構2)微粒子による短波長可視光散乱機構 3)水そのものによる長波長光吸収機構が挙げられる。この3地点の共通点としては、硫酸酸性水にNaCl(食塩)型の温泉水が混合していることが挙げられる。本研究では水文学的調査、色彩学的調査および種々の呈色因子の同定から青色呈色がどのような物質により、どのような機構で生じているのかを解明することを目的とした。