著者
前田 勝義 平山 八郎 高松 誠
出版者
Japan Society for Occupational Health
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.8-21, 1977

紙巻きタバコ製造工場の巻上げ・包装工程の女子流れ作業者に頸肩腕障害が多発した事例を経験し, 作業内容の解析を行なうとともに, 117名の女子流れ作業者につき健康調査を行ない, 次の結果をえた.<BR>(1) この工場の流れ作業では, 上肢を反復使用し, 作業姿勢は拘束的で, 作業ペースの規制度は強い.作業は単調で, 一部の作業では神経・感覚器系の負担が大きいと思われた.<BR>(2) 1労働日内での流れ作業時間のしめる長さ, 製品の流れ速度, 作業動作上の負担, などは, 工程により違いがあったが, 作業負担が大きい工程では, 自覚症の訴えが強かった.<BR>(3) 健康診断の結果に基づき, 日本産業衛生学会頸肩腕症候群委員会の病像分類 (改訂案) により症度判定したところ, 1度 : 12名, II度 : 63名, III度 : 36名, IV度 : 6名, V度 : 0名で, この工場の女子流れ作業者全員の15.7%以上が, IIIまたはIV度であることが明らかになった.<BR>(4) 日本産業衛生学会頸肩腕症候群委員会作成の自覚症状調査表等の回答結果は, 諸検査成績とよく対応していたので, これらの調査表の利用価値は高いと思われた.<BR>(5) 流れ作業者調査表の回答結果の解析から, 障害の強い者では, (i) 作業姿勢, 作業速度, 精神面での負担が大きく, (ii) 作業に伴う疲労の発現部位は拡大し, 神経・感覚器系の症状も強く現われ, 作業後の疲労も強く, (iii) 睡眠障害を訴える者が多く, 疲労を翌日へ持ち越す者も多く, こうした状況を反映して, 薬剤を服用する者も増加し, 治療を受ける者も増加することが明らかにされた.<BR>以上の結果に基づき, この工場における頸肩腕障害の発症過程につき考察し, その業務起因性を明らかにし, 健康管理, 衛生教育の必要性について述べた.
著者
高松 道生 田村 真
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.79-84, 2001

佐久地域の全住民を対象として, WHO-MONICA Projectの手法に基づく心筋梗塞発症登録研究を行った。1989年度から1998年度の10年間の推移では発症数に有意な変化は認められず, 人口の高齢化に伴う発症増加も認められなかった。心筋梗塞発症例の平均年齢は女性で不変, 男性がやや高齢化の傾向にあった。最重症の心筋梗塞は突然死の形を取る事が多いが, その把握には保健所を中心とした公的研究が必要と考えられる。一方で農業従事の有無に視点を置いた研究も必要であり, 本学会の研究テーマとして意義のあるものと思われる。
著者
市川 昌弘 高松 徹 松尾 貴史 岡部 永年 阿部 豊
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.42, no.483, pp.1406-1411, 1993-12-15
被引用文献数
2 2

Rolling fatigue tests were carried out on hot isostatically pressed silicon nitride bearing balls.At three load levels of the maximum Hertzian contct pressure p_<max>=5900,6740 and 7110 MP_a,13 balls each were tested,and the life distribution was studied.It was found that the rolling fatigue life followed approximately a 2-parameter Weibull distribution with the shape parameter of a 〓 1 at each load level.The relationship p^k_<max>L_<50>=const(x〓10) was found between p_<max> and the median life L_<50>.Microscopic observationof flaking was also performed,and two types of flaking were found.One is flaking with the depth of the order of 100μm,and the other is a shallower one.The depth of the former type was found to coincide aproximately with the depth at which the maximum shear stress ocurred.At lower load levels,the former type was dominant.Frequency of appearance of the latter type increased with an increase in load level.Comparing the shape parameter of a〓1 and the exponent of x〓10 mentioned above with those for the cylic bending fatigue of plain specimens of silicon nitride,it was suggested that the mechanism of rolling fatigue of silicon nitride was different from that of cyclic bending fatigue of the same material.
著者
辻 宏道 畑中 雄樹 佐藤 雄大 古屋 智秋 鈴木 啓 村松 弘規 犬飼 孝明 三木原 香乃 高松 直史 中久喜 智一 藤原 智 今給黎 哲郎 飛田 幹男 矢来 博司
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

1.背景 国土地理院はGPS等の測位衛星(GNSS)の電波を受信する「電子基準点」を全国約1,300箇所に設置し、そのデータを利用して測量や地殻変動監視を行うとともに、そのデータを公開して測量・測位、防災分野等での活用を推進している。GPSはL1帯(1.57542 GHz)及びL2帯(1.2276 GHz)の信号を送信しているが、近年、準天頂衛星や次世代GPSはL5帯(1.17645 GHz)の信号も送信しており、最新型のGNSS受信機及びアンテナは、従来よりも広い周波数帯に対応した設計となっている。 一方、携帯電話サービスでは、LTEと呼ばれる次世代高速通信サービスが全国で開始されており、この中には1.5 GHz付近の電波を利用するものも含まれる。 2.現象 電子基準点「函館」で、2013年5月から観測される衛星の信号強度(SN比)が低下するとともに、データを解析して得られる電子基準点の高さに、見かけ上の変動(振幅:最大約5 cm、周期:2~3週間)が生じた。現地測量により実際の変動でないことは確認されたが、原因の究明には至らず、当該基準点は公共測量で利用できないように措置した。 その後も、電子基準点「焼津A」で、2014年3月からSN比の低下及び見かけ上の上下変動(振幅:最大約2 cm、周期:2ヶ月)が確認されるなど、2016年2月現在、同様な現象が「函館」以外に13点でも発生している(電子基準点名:「焼津A」、「大阪」、「神奈川川崎」、「石垣2」、「御殿場」、「足立」、「越谷」、「新富」、「大宮」、「楠」、「八郷」、「厚岸」、「指宿」)。いずれも水平変動はなく、上下変動も比較的小さいため、通常の公共測量では利用できるが、GNSS測量による標高の測量を行う場合は利用できない。 地殻変動の研究を行う場合、これらの電子基準点の「日々の座標値」や関連する基線に現れる周期的な上下変動は、実際の変動ではないことに注意が必要である。 3.仮説 これらの電子基準点に共通するのは、1)マルチGNSSに対応した同一機種の受信機及びチョークリング・アンテナを利用していること、2)周辺(概ね1 km以内)に携帯電話基地局があり、SN比の低下が始まった日に1.5 GHz付近の電波を利用するLTEサービスが開始されていることである。このため、GPSのL1帯の隣接周波数帯にあるLTE信号が、従来より広い帯域に感度を持つアンテナに混入し、アンテナや受信機のアンプが飽和する等によりSN比が低下しているとの仮説が成り立つ。しかし、そのデータを基線解析すると上下方向だけに周期的な変動が現れるメカニズムはよくわからない。 4.当面の対応 メーカー提供のL1帯隣接周波数帯の1.5 GHz信号を除去するフィルターをアンテナと受信機間に挿入して、「函館」及び「焼津A」で観測したところ、SN比は現象の発生前には戻らないものの改善が見られ、見かけ上の上下変動は大きく低減した。また、5~10 dBのアッテネータ(減衰器)の挿入によっても、ほぼ同様な効果が見られることを確認している。今後、減衰量の最適値を決定し、見かけ上の上下変動が発生している電子基準点にアッテネータを挿入することを検討している。
著者
小野 倫太郎 本村 知華子 高松 伸枝 近藤 康人 赤峰 裕子 松崎 寛司 村上 洋子 網本 裕子 田場 直彦 本荘 哲 柴田 瑠美子 小田 嶋博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-155, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は10歳女児.柑橘類を摂取後の運動負荷でアナフィラキシーを起したエピソードを3回認めた.柑橘類による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)を疑い,負荷試験を行った.オレンジ摂取と運動負荷の組み合わせは陰性であったが,アスピリン内服とオレンジ摂取の組み合わせで眼瞼腫脹,喘鳴を認め,オレンジによるFDEIAと診断した.フルーツアレルギーではOral allergy syndrome(OAS)の症例が多く,FDEIAは稀である.本症例ではイムノブロット法にて9kDa,39kDa,53kDaの抗原を認め,オレンジによるインヒビションにて39kDa,53kDaの抗原が特異抗原アレルゲンと考えた.本症例はスギ特異的IgE抗体強陽性であったが,スギ抗原とは共通抗原性は認めなかった.オレンジ抗原として知られるCit s群とは異なる39kDa,53kDa蛋白が原因となるFDEIAは報告がない.
著者
田勢 泰士 太田 崇文 岡田 耕治 高松 久一郎 齊藤 梓 川上 勝 古川 英光
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.17-00003-17-00003, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
14
被引用文献数
3

Recently our group developed 3D gel printer named “SWIM-ER” (soft and wet industrial material - easy realizer). Here we aim to improve the gel materials used for SWIM-ER system about the problems around free-shaping, transparency, and mechanical strength. To overcome these problems, we tried to use UV absorbers, AS150 (Nippon Kayaku Co.,Ltd.) and KEMISORB11S (CHEMIPRO KASEI Co.,Ltd.) and found the latter absorber kept transparency well. We improved the maximum tensile stress about 2 times and the maximum tensile strain about 4 times by changing the kind of cross-linker from methylene bis-acrylamide (MBAA) type to diethylene glycol dimethacrylate (DEGDMA) type. We also found that the maximum tensile stress was improved about 1.3 times by changing the blend ratio of 1st gel powder and 2nd gel solution in the preparation of particle-double network gels (P-DN gel). Based on these two improvements, we 3D-printed the transparent and hollow structure of the high strength gels with the maximum tensile stress of 0.5 MPa, which will be comparable to the maximum tensile stress of living organs like the stomach and small intestine in our body.
著者
崔 鳥淵 高橋 英幸 板井 悠二 高松 薫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.119-129, 1998-02-01
参考文献数
21
被引用文献数
2 8

本研究では, 筋力トレーニングにおける一般的な手段であるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段の筋の形態および機能の面からみたトレーニング効果の相違を, 膝伸展運動による週2回, 8週間のトレーニング実験を通して比較検討した.被検者には, 健常な一般成人男子11名を用いた.パワーアップ型群 (5名) には, 1RMの90%の負荷で5セット行わせた.セット間には3分間の休息をとらせた (レペティション法) .一方, バルクアップ型群 (6名) には, 1RMの80~40%の負荷で9セット行わせた.セット間には30秒~3分間の休息をとらせた (インターバル法・マルチパウンデツジ法) .<BR>おもな結果は次の通りである.<BR>1.大腿四頭筋全体および大腿四頭筋を構成する各筋の筋断面積の増加率は, いずれもバルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.<BR>2.1RM, 等尺性最大膝伸展力および等速性最大膝伸展力 (角速度, 60・180・300deg/sec) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, パワーアップ型群がバルクアップ型群より高い値を示した.このうち, 1RMの実測値, 60deg/secの角速度による等速性最大膝伸展力の実測値を除くすべての項目に有意差が認められた.<BR>3.等速性平均膝伸展力 (角速度, 180deg/sec; 試行回数, 50回) の増加率は, 実測値および筋断面積あたりの相対値ともに, バルクアップ型群がパワーアップ型群より有意に高い値を示した.また, 連続50回にわたる等速性膝伸展力の低下率は, トレーニングが進むにつれてバルクアップ型群では小さくなるのに対して, パワーアップ型群では顕著な変化は認められなかった.<BR>上述の結果は, パワーアップ型手段はおもに筋力・無気的パワーの増大に, バルクアップ型手段はおもに筋肥大および無気的持久力の増大にそれぞれ有効であることを示すものである.これらの結果は, 筋力トレーニングでは, 特性の異なるパワーアップ型手段とバルクアップ型手段を, 各人の目的に即して適切に使い分けることが重要であることを示唆するものである.
著者
池田 達昭 村岡 誠 向井 直樹 高橋 英幸 高松 薫
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.783-791, 2006-11-10

本研究では,同一の競技チームに所属し,日常的に同様な筋力トレーニングを実践している集団を対象にし,1RMの個人差の小さい等質的な集団であるか否かを確認した上で,(1)1RMと3種の%1RMにおける繰り返し回数およびI-N slopeとの関係を検討すること,(2)N_<total>とI-N slopeの相違を神経-筋機能と筋の組織化学的特性の面から検討することを目的とした.検討に際して,1RMの個人差の大きい異質集団を対象とした著者らの先行研究(池田・高松,2005)との比較を行った.上述の目的を達成するために,健康な男子大学生サッカー選手(1年生)15名(年齢:18.8±0.4歳,身長:174.3±3.4cm,体重:66.1±2.9kg)を対象として,等尺性最大膝伸展力(Isom.max)とIsom.max発揮中における力の発揮速度(RFD),動的最大膝伸展力(1RM)と1RMの90%,70%,50%での負荷強度における繰り返し回数(N_<90>,N_<70>,N_<50>),大腿四頭筋の筋断面積(CSA)および筋の組織化学的特性を測定した.なお,本研究における1RMの変動係数は,著者らの先行研究と比較して低値を示したこと,およぴ,2つの研究における1RMの分散は異なることが認められたことなどから,本研究の被験者は1RMの個人差の小さい等質集団であることを確認した.本研究における主な結果は以下の通りである.(1)著者らの先行研究では1RMとN_<90>,N_<70>,N_<50>およびN_<total>との間にいずれも有意な負の相関関係が認められたが,本研究では1RMとN_<90>との間にのみに有意な負の相関関係が認められた.(2)著者らの先行研究ではN_<total>とI-N slopeとの間に有意な正の相関関係が認められたが,本研究では2つの指標間に密接な関係は認められなかった.(3)本研究では,N_<total>とRFDとの間に有意な負の相関関係が認められ,I-N slopeと%Fiber area (TypeI)との間に有意な正の相関関係が認められた.以上の結果から,1RMと3種の%1RMにおける繰り返し回数,N_<total>およびI-N slopeとの関係は,対象とする被験者の1RMの個人差の大きさによって影響を受けること,N<total>とI-N slopeは,それぞれ繰り返し回数に関わる異なる能力を評価していること,などの可能性が示唆された.
著者
饗庭 絵里子 高松 直也 沼田 晃佑 柳田 修太 鈴木 征一郎 佐藤 暢 長田 典子 高田 勝啓
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.677-685, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
23
被引用文献数
3

The purpose of this study is to identify a ‘kansei’ space for ‘kandoh’ evaluation model that considers individual characteristics. We performed two experiments that attempted to construct such kandoh models for a younger age group and a mature age group. In the first experiment, 69 suitable words for evaluating the image quality were selected from 150 Japanese words to express kandoh. In the second experiment, using the selected kandoh words, the kansei space for each age group was identified and analyzed by individual differences in scaling, multi-dimensional scaling, and cluster analysis. Based on the results, we observed differences in the interpretation of the words between age groups. Thus, the constructed kansei spaces were shown to also have differences depending on the age group.
著者
下野 義人 広井 勝 高松 進 下野 義人 広井 勝 高松 進
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学大学院生物資源学研究科紀要
巻号頁・発行日
no.40, pp.65-75, 2014-03

Phylogenetic relationships with in Russula section Compactae were investigated using sequence data from the nuclear-encoded large subunit ribosomal DNA(n-LSU rDNA)and ITS region, including the 5.8 S rDNA. Forty-two sequences of the n-LSU rDNA and forty-nine sequences of the ITS region with outgroups were used in this study. Analysis of the n-LSU rDNA indicated that the Compactae section was divided into three large groups: group A comprised R.densifolia and R.adusta, group B comprised R. subnigricans, and group Ccomprised R. nigricans. The ITS region did not support the monophyly of group B. Subgroup B-5 was sister to all other taxa of the Compactae section in the NJ and MP trees, and subgroup B-1 grouped with group C. Consequently, R. densifolia and R. adusta(group A)and R. nigricans(group C)were considered largely monophyletic, but R. subnigricans(group B)was not monophyletic. Russula densifolia (group A), but not R. adusta, were divided into six different subgroups.リボソームDNA28S領域(LSUrDNA)および5.8Sを含むITS領域の塩基配列に基づいて、ベニタケ属クロハツ節の分子系統解析を行った。外群を含めて28S領域の解析には42個、ITS領域では49個のシークエンスを用いた。最節約法(MP)に基づく、リボゾームDNAの28S領域の解析では、クロハツ節は大きな3群(groupA-C)に別れた。GroupAはクロハツモドキ(Russuladensifolia)とコゲイロハツ(R.adusta)、GroupBはニセクロハツ(R.subnigricans)、GroupCはクロハツ(R.nigricans)で構成された。ITS領域の解析ではGroupBの単系統を支持しなかった。MPおよび近隣結合法(NJ)ではGroupB-5は今回の研究で用いたすべてのクロハツ節の個体と姉妹群を形成し、GroupB-1はGroupCと同群に属した。これらのことから、クロハツモドキとコゲイロハツを含むGroupAとクロハツを含むgroupCはともに単系統であると推測されたが、ニセクロハツ(groupB)は単系統ではないと考えられた。コゲイロハツを除くとクロハツモドキの特徴を示す仲間は6小群に別れた。
著者
高松 道生 柳沢 素子 町田 輝子 松島 松翠 飯島 秀人 中沢 あけみ 池田 せつ子 宮入 健三 矢島 伸樹 佐々木 敏
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.595-602, 1999
被引用文献数
1

こんにゃくのコレステロール低下作用について検討し, その健康食品としての意義を明らかにする研究を行った。<BR>こんにゃくの成分であるグルコマンナンをチップ化して煎餅状に加工 (以下, マンナン煎餅) し, 総コレステロール200mg/dl以上の当院職員と正常範囲内の当院附属看護専門学校寄宿学生を対象に, 脂質代謝への影響を調査した。毎食後に煎餅を摂取し, 試験期間前後に脂質を中心とする血液検査を行ってマンナン煎餅の脂質代謝への影響を評価した。<BR>その結果, マンナン煎餅を摂取する事によって総コレステロール値の低下が認められ, 試験前総コレステロール値の高い群ほどその低下の度合いが大きかった。HDLコレステロールや中性脂肪への影響は認められなかった事から, マンナン煎餅はLDLコレステロールを特異的に低下させる作用を有するものと考えられた。血算や生化学などの検査値には変化を認めず, 腹満や下痢などの消化器症状が一部に観察されたものの, 重症なものではなかった。一方, 試験前後の体重に差はないものの試験期間中の総摂取エネルギーや脂質摂取は減少しており, マンナン煎餅を摂取することが食習慣に影響を与えた事が示唆される。以上から, こんにゃく (グルコマンナン) は直接・間接の作用でコレステロール, 特にLDLコレステロールを低下させ, マンナン煎餅が健康食品として意義を有するものと考えられた。
著者
平井 幸彦 堤 善充 谷川 佳代子 因幡 美津子 中島 康弘 高松 純
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

〔はじめに〕近年SPDが普及し,当院でもバーコードラベルによる運用を導入しているが,ラベルの貼付可能な材料では,ラベルの紛失や,資材部への請求から補充するまでのタイムラグが生じている.また,登録材料の半数以上が手術室内の使用であり,ラベルの貼付が不可能なインプラント等は,使用後の報告および伝票にて把握している.しかし記載ミスによる材料確定までの時間的ロス,保険請求へのミスが発生している.今回,手術室内へのコンピュータ導入に際し,看護師へ入力業務に対して抵抗なく行えることを目的に,記載ミス等の軽減,患者個別での迅速なる情報伝達ならびに手術室内の在庫管理,手術運営管理が行えるようシステムを構築したので紹介する.〔目的〕(1)入力業務の軽減(入力の容易さ).(2)患者の情報の把握(手術台帳).(3)手術室内材料の把握および情報伝達(在庫管理).(4)医事課への情報伝達(保険請求).〔概要〕手術患者選択後,使用材料の入力方法として,ラベルの貼付が可能な材料は,バーコードを使用し,不可能な材料については,タッチパネルを使用して材料の検索・確定,入力を行う.バーコードの読み込みは,随時できる状態とし,画面の切替えなしで行えるよう作成した.また,使用材料のデータは院内LANを通じて資材部へ情報伝達し,過剰請求を防止するとともに,現場の,伝票記載や請求業務の軽減に貢献できるものと思われる.
著者
山下 芳典 原田 洋明 桑原 正樹 半田 良憲 窪田 真喜子 大河内 友美 宮武 志保 井手 孝 白野 容子 高松 理央 槙田 香子 高濱 みほ 中尾 淳一 道広 博之 峯本 譲
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1339-1345, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者肺がんはサルコぺニア,COPDをはじめさまざまな併存疾患を有する点が課題であり,短い術前の期間をいかに効率的に利用するか,消化管は扱わない手術である利点をいかに活用するかが重要な対策と考えられた.胸腔鏡による内視鏡手術を軸とした術前の包括的リハビリテーションと術後の超早期離床・経口摂取を加えたinterdisciplinary team approachによるA-ERAS法による周術期管理を紹介した.高齢者肺がんに対し,包括的リハビリテーションにより術後合併症が減少し,胸腔鏡手術により術後創部痛の軽減から早期の退院が可能となり,術当日の超早期離床・経口摂取により術後早期のADLが向上した.A-ERAS法は肺がん術後の回復促進の観点から臨床効果と忍容性が確認され,すでに当院では臨床の場で実践されている.
著者
小松 貞子 中井 弘司 高松 康雄 盛中 泰洋 渡辺 和俊 篠田 真樹 飯田 成宇
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.451-462, 1996-10-31 (Released:2007-03-29)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

MCI-186の代謝物および代謝の種差を明らかにするため,代謝物の検索,構造推定,尿中への未変化体および代謝物の排泄率,in vitro代謝について検討を行った.以下にその要約を示す. 1.MCI-86の主代謝物はいずれの動物およびヒトにおいてもMCI-186のsulfateおよびglucuronideであった.ラット,イヌの尿中ではMCI-186 sulfateが多く,ヒト尿中ではMCI-186 glucuronideが多く,種差が認められた. 2.いずれの種においても尿中排泄が主排泄経路であった.未変化体の尿中排泄率は投与量の3%以下とわずかであった.イヌやヒトでは尿中排泄量のほとんどが未変化体およびMCI-186のsulfate,glucuronideで説明できるのに対し,ラットでは未知の代謝物が尿中放射能量の20~27%と多く存在した.ラットの尿中排泄において大きな性差は認められなかった. 3.ラットおよびイヌの肝S9を用いたMCI-186のin vitro代謝においては,ラット,イヌともMCI-186 sulfate生成活性のほうがglucuronide生成活性よりも高く,またラットにおいてはいずれの生成活性も雄性ラットのほうが雌性ラットよりも高値であった.