著者
西村 卓也 高松 誠治 大口 敬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_407-I_416, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
12

東京の街路構造は,そこで起きてきた歴史的イベントの影響を受けてその形を変えてきたと考えられる.本研究では,歴史的イベントとして明治維新,関東大震災,戦災と高度経済成長に着目し,各街路の空間機能的特性を位相幾何学的な観点から定量化できるSpace Syntax理論のAxial分析を用いて,東京の街路構造の変遷について分析し,考察するものである.ここでは,街路そのものが造り変わった場合に比較が難しかったAxial分析結果について,メッシュ単位で集計することにより,指標値の定地比較を可能とする定地近接性変化指数を提案する.これを用いて,東京の歴史的イベントとその都市空間形成上の意味について考察し,明治期から昭和期にかけての街路のネットワーク化などの都市形成・発展過程を明らかにする.
著者
熊本 光 白倉 尚貴 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2020 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1A1-B11, 2020 (Released:2020-11-25)

Marine debris causes deleterious effects on the environment and economy. It is still a difficult task to efficiently collect marine debris floating on the sea surface. We previously proposed a semi-automatic collection system of marine debris using an underwater robot. However, the success rate is low due to the complicated operations required to collect marine debris. In this research, we propose to use a suction mechanism to simplify the operation of collecting marine debris that enables the underwater robot to collect just by approaching it. The experiments verify the effectiveness of the proposed system with respect to the success rate and time of collection.
著者
高松 哲郎 山岡 禎久
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの組織や臓器を生きたまま見る方法として、エックス線断層撮影法、磁気共鳴画像(MRI)法、超音波断層撮影法など様々な方法があり、実際に医療の現場で頻繁に使われ威力を発揮している。しかしながら、それらの方法の空間分解能はたかだか数ミリメートルであり、様々な創意工夫により年々その分解能は向上されているが、原理的測定限界がある。一方、光を使った生体計測が、近年注目されており、光コヒーレンス断層映像法(OCT)に代表される医療への応用が発展してきている。光を使うと非常に高い空間分解能で測定が可能であるが、反面、光は生体により散乱、吸収されやすいという性質を持つため、生体への浸透深度が短いという欠点があり、OCTの応用は血管内膜のように厚さが薄いもの、あるいは眼など比較的透明なものに限られてしまう。例えば、末梢血管のような10μmから100μmの大きさのものを生体深部で捉える方法がこれまでになかった。本研究では、光の高空間分解性と、超音波の生体内長距離伝播特性の両方を利用した、全く新しいイメージング技術である多光子励起光音響イメージング(multiphoton excitation-assisted photoacoustic tomography(MEAPAT))を提案した。この方法では、近赤外域の高ピークパワーを持つ光パルスを利用する。生体内に光パルスを集光して入射させると、焦点での高光密度により、焦点部でのみ非線形な吸収効果が誘発される。その非線形な吸収による光音響波を測定することにより、生体深部を高空間分解能で観測できる。様々な実験や考察(MEAPATと従来型光音響イメージングとの比較、MEAPATの深さ分解能の見積り、MEAPAT信号を増強する工夫)を行い、提案している方法によるイメージングシステムを構築し、その有効性を示した。結果は、MEAPATが生体深部を10μm以下の空間分解能で計測するのに極めて有効な方法であることを示している。
著者
石村 友樹 高松 衛 中嶋 芳雄 中島 賛太郎 三間 賢一
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.108, 2005

近年の青色LED(Light Emitting Diode)実用化に伴い,LED表示板においてもフルカラー表示が可能となった.現在では様々な色表示による情報呈示が道路情報板においても急速に普及しており,ITS(Intelligent Transport Systems)の推進化の流れの中でその重要性はますます高まりつつある.一方,大勢の人が観測する道路情報板においては正確且つ短時間で情報収集できることが重要であり,フルカラーによる表示にはまだ様々な課題が存在する.さらにはLEDチップそのものの性能の問題もあり,特にある程度の表示輝度のばらつきが存在するのは避けられないというのが現状である. そこで本研究では,LED表示装置における輝度の変化と色の認識に及ぼす影響との関係について定量的に測定することをその目的とした. その結果より,輝度の変化に対して影響されにくい認識領域は紫が最も広く,次いでピンク,赤と青と緑と白,黄と黄緑とオレンジと水の順に範囲が狭くなる.すなわち紫,ピンクは輝度変化に対する視認性が安定しているということが示唆された.
著者
高松 良晴
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.305-311, 2008-10-15
参考文献数
17

<p>脱線転覆した列車が隣接線の列車や堅い構造物と衝突すると大惨事となる.1960 年代,貨物列車の脱線転覆から三河島事故,鶴見事故と続いた.当時の国鉄は,列車制御技術の開発とともに,北海道狩勝に実験線を設け,12 年間にわたり,2 軸貨車の脱線メカニズムの解明を行った.その成果が旅客線までに及び,その後,同種事故の発生は久しくなかった.だが,2000 年代に入ると,また,日比谷線事故,福知山線事故と死傷者多数を出す脱線転覆事故が続くようになった.今度は旅客電車のボギー台車の脱線である.自動車にはテストコースがあるが,わが国の鉄道にはない.大都市内鉄道や新幹線が,ともに,高頻度高速で運行されている.一方,東海・東南海・南海地震発生の確率が論じられている.より安全な鉄道を目指し,いまこそ,再び脱線実験線を設け,脱線のみならず,部材疲労,火災,衝突などの各種実車実験を行うべきである.</p>
著者
高松 美紀
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.42-50, 2019-03-30 (Released:2018-04-27)
参考文献数
19

本稿は、「伝統的な言語文化」を相対化することの意義と、そのリテラシーの育成にTOKの援用が有効であることを、世界俳句(HAIKU)の授業実践によって検証したものである。学習者は、「HAIKUは『俳句』といえるか」を中心に、「なぜそう言えるか」「どの程度翻訳は可能か」等TOKを意識した問いの検討を通して認識を変化させた。当初は「日本固有の文化」として形式的条件からHAIKUを「俳句」ではないと主張していたが、機能的意義の気づきを得てHAIKUへの理解を深め、外国の俳人への敬意が生まれた。これは同時に、自文化の価値の再発見となっている。こうした自文化を絶対視する態度を保留し、多角的に自文化の独自性と普遍性を吟味して判断することは、「伝統的な言語文化」を相対化して捉えるリテラシーの獲得といえ、主体的に「伝統的な言語文化」を継承する役割を担うことにつながる。TOKを意識した問いは、学習者に前提を自覚させ、知識をメタ的に吟味し、主体的に判断する姿勢を促したといえる。
著者
平田 令子 高松 希望 中村 麻美 渕上 未来 畑 邦彦 曽根 晃一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.113-120, 2007 (Released:2008-05-21)
参考文献数
25
被引用文献数
14 6

スギ人工林へのマテバシイの侵入に係わる野ネズミの働きを解明するため,2003年4月から2005年1月まで,鹿児島大学演習林内の常緑広葉樹林とそれに隣接するスギ人工林において,堅果の落下状況,野ネズミによる堅果の散布状況,マテバシイ稚樹の生育状況を調査した。自然落下による分散距離は平均2.4m,人工林への侵入距離は最大4.4mであった。2003年と2004年の秋に200個ずつ設置した磁石付き堅果のうち,それぞれ66個,58個を野ネズミは人工林内に運搬し,林分の境界から貯食場所までの距離は,2003年は最大34.5m,2004年は18.5mであった。2003年の貯蔵堅果のうち6個は翌春まで人工林内に残存した。人工林内のマテバシイ稚樹の生育密度は林分の境界から距離とともに減少したが,境界から10m以内は広葉樹林内と有意差がなかった。以上のことから,人工林へのマテバシイの侵入に野ネズミは種子散布者として大きく貢献していると考えられた。
著者
高松 鶴吉
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-44, 1968-10-10 (Released:2009-05-29)
参考文献数
4

At the root of two-valued logic we use there is the assumption, which is usually not formulated explicitly, but is a basic one, and which is called the principle of two-values. This principle in twovalued logic corresponds to the principle of contradiction and the principle of the excluded middle. However, the principle of the syllogism in the usual (conjunctively transitive) formulation, and the principle of contradiction, of the excluded middle are only "possible" in three-valued logic. From this, three-valued logic are connected with a modal functor such as 'M' to be called "possible" (möglich). Furthermore, some laws of two-valued logic are false in three-valued logic, among others the law (a=a') = 0. From this fact results the absence of antinomies in three-valued logic.Thus any of many-valued logic from three-valued to infinitely many-valued is a proper part or a proper sublogic of two-valued logic, and the latter is a superlogic of the former.
著者
高松 基之
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.70, pp.120-138,L8, 1982-05-22 (Released:2010-09-01)
参考文献数
70

The purpose of this paper is to describe how President Dwight D. Eisenhower and Secretary of State John Foster Dulles reacted to the Arab-Israeli conflicts and the Suez Crisis of 1956 with the extensive use of the newly opened materials, such as Eisenhower Diary and Dulles Telephone Calls Transcripts in the Eisenhower Library, Abilene, Kansas. In particular, this paper attempts to elucidate the following points: First, the U. S. withdrawal from the Aswan project was not Dulles' “spur of the moment” decision, but the result of American efforts to isolate Egypt from other Arab countries. Second, Eisenhower and Dulles had unsuccessfully sought far quick solution of the Suez crisis without any clear courses of action. Third, the U. S. attitude in the Suez crisis had been influenced by the policy makers' optimism that Britain and France might not resort to military force.
著者
吉田 麻美 高松 順太 吉田 滋 北岡 治子 増井 義一 大澤 仲昭
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.249-256, 1998-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20

肥満を伴うインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者19例に対し, 運動療法が可能な9例では, 160Calorie/日の有酸素運動 (速歩) 療法を6ヵ月間施行, 実施困難な身体状況にある11例には, 防已黄耆湯を6ヵ月間投与した。運動療法は内臓脂肪型肥満に有効とされているが, 運動療法群では, 治療前後で, CTスキャンを用い測定した内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の比 (V/S比) が0.77±0.26から0.65±0.30へ低下したが, 肥満度及び血糖, 脂質についても有意な改善をみなかった。一方, 防已黄耆湯投与群では, 血清コレステロール値が197±31mg/dlから180±19mg/dl(P<0.01)へ, またV/S比が0.84±0.56から0.64±0.30 (P<0.05) へと有意に改善, 血糖値も改善傾向であった。今回の結果から, 防已黄耆湯は内臓脂肪型肥満さらに動脈硬化予防に対し有用である可能性が示唆された。
著者
平田 鷹志 山﨑 亘 カヤオ クリスチャンデウス 吉川 雅博 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>近年,家事や日常生活動作など,家政に関わる物事を代理・補助する支援ロボットの研究開発が盛んに行われている.本研究では,市販のロボット掃除機にRGB-Depth センサおよびロボットアームを搭載し,室内の掃除機掛けを行いながらゴミの認識を行い,発見したゴミの回収も行えるシステムの開発を行う.<br><b>方法 </b>ロボットにゴミ拾い機能を実装するには,1. ペットボトルや缶などがRGB-D センサ範囲内に存在するとき,コンピュータがそれらをゴミであると認識し,2. 拾い上げるためにロボットがゴミに接近し,3. 適切につかみ拾い上げる必要がある.1. ゴミの認識は,機械学習および物体認識手法を用いて,コンピュータがゴミをゴミであると認識できるよう事前に学習させ,センサ情報からゴミを検出することにより行う.2. ゴミへの接近は,センサからロボットやゴミ周辺の情報を取得し,環境に応じてロボットがどのように接近するか経路計画を行うことで実現する.3. ゴミの取集は,ゴミの形状に応じてゴミをつかむ位置などを適切に計画することで実現する.<br><b>結果 </b>ロボット掃除機とRGB-D センサおよびロボットアームのインテグレーションによって,室内の掃除機掛けを行いながらペットボトルや缶などのゴミを認識し,経路計画および把持計画を行うことによって自律的にゴミを回収するシステムの開発を行った.
著者
高松 操 川原 啓孝 伊藤 裕道 宇敷 洋 鈴木 信弘 佐々木 純 大田 克 奥田 英二 小林 哲彦 長井 秋則 坂尾 龍太 村田 長太郎 田中 淳也 松坂 康智 立野 高寛 原 正秀 岡﨑 弘祥
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-42, 2016 (Released:2016-02-15)
参考文献数
10

In the experimental fast reactor “Joyo”, it was confirmed that the top of the irradiation test subassembly of the material testing rig named “MARICO-2” was broken and bent onto the in-vessel storage rack as an obstacle, damaging the upper core structure (UCS). In this paper, we describe the in-vessel repair techniques for UCS replacement, which are developed in Joyo. The UCS replacement was conducted in the following four stages: (1) jack-up of the existing damaged UCS, (2) retrieval of the existing damaged UCS, (3) installation of the O-ring, and (4) insertion of the new UCS. Since the UCS replacement was not anticipated in the original design, the work conditions at Joyo were carefully investigated, and the obtained results were applied to the design of special handling equipment. The UCS replacement was successfully completed in 2014. In-vessel repair techniques for sodium-cooled fast reactors (SFRs) are important in confirming the safety and integrity of SFRs. However, the techniques demonstrated in the actual reactor environment with high temperature, high radiation dose, and remaining sodium are insufficient to secure the reliability of these techniques. The experience and knowledge accumulated in the UCS replacement provide valuable insights into further improvements of in-vessel repair techniques for SFRs.