著者
飯塚 博 兼岩 敏彦 高橋 武志
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

籾殻・大豆皮等の植物非食部を炭化焼成して得られる炭素粉体を用いたプラスチック複合材料の電磁波遮蔽・吸収材料としての可能性について検討した.複合材料の製造は,作製した炭素粉体と複合材料の母相となるプラスチック繊維を水中で分散混合する抄紙法を用いて行った.その結果,電磁波遮蔽性については,複合材料の導電性と良い相関があり,有意に材料設計が可能になった.電磁波吸収性には炭素粉体の粒径,粉体配合率,試料厚さ,導電性等が複雑に影響した.したがって,それらの最適な組み合わせを合理的に決定する手法の確立が求められた.本研究では電磁波の無反射曲線を求め,そこから製造条件を決定する手法を確立した.
著者
高橋 幸子 伊良波 理絵 宮里 智子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.13, pp.61-71, 2012-03

【目的】本研究は、研究者が企画した「健康自主管理プログラム」を、看護学生を対象に実施し、そこでの学生の主観的体験を明らかにすることを目的とする。【研究方法】研究対象者は、A看護大学1年生で、プログラムへ参加した者である。プログラム期間の8週間、参加者は各自目標を立て、生活記録や万歩計など、研究者が準備した取り組み手段の中から必要なものを選択し、取り組んだ。プログラム終了後、個別に半構成的面接を行った。面接の逐語録を精読し、発言の意味内容を抽出し、主観的体験として取り出した。【結果】プログラム参加者は8名で、年齢は10代後半から20代後半、全員女性であった。分析の結果、抽出された学生の体験は以下である。学生はプログラムを通して、≪自身の生活習慣を自覚≫または≪他者の体験から生活改善の必要性を自覚≫し、≪生活行動が変化≫していた。そして≪生活行動が変化≫したことにより≪自覚症状の改善≫がみられ、≪生活習慣と健康状態のつながりを実感≫していた。また、≪自分の体に親しみがわく≫体験をしたものもいた。プログラムに参加して大変だった点は6名が≪記録の煩わしさ≫をあげていた。その他、≪継続する意志の持続≫≪自分の思う通りに生活改善や減量が進まないこと≫があった。【考察】看護は、より良い健康状態を目指し生活過程をととのえる仕事であることから、看護学生が自身の体験を通して≪生活習慣と健康状態のつながりを実感≫したことは看護学教育において意味があることと考える。また、生活調整が必要な対象への援助を行う際に、このプログラムでの体験が活かされると考える。しかし、看護者としての役割を果たすためには、参加者が困難を乗り越え、生活調整を継続する体験ができるよう、プログラムを改善していくことが求められる。Objective】This study aims to explain subjective experience of nursing students who participate in "Selfcare Health Program" planned by researchers. 【Method】The research subjects are first-year nursing students in a nursing collage who participate in the program. The participants decide their own goals, and then select and practice the tools (ex. life document, pedometer, and so on.) during the program period (8 weeks). Data were collected by semi-structured interviews and analyzed qualitatively after the program. 【Results】8 female nursing students participated in the program. The program allowed the participants to experience: "awareness of own lifestyle" "awareness of the necessity for better living from the others' experience" "change of life action" "improvement of subjective symptoms" "realization of relation between a lifestyle and health status" "familiarity with own body". 【Discussion】Nursing guides someone's lifestyle toward a healthier state, so that "realization of relation between a lifestyle and health condition" is important for nursing education. The challenge is to develop the program wherein participants can overcome difficulty and manage their lifestyle.
著者
長谷川 浩史 張 貽とう 高橋 秀也 重田 和夫 志水 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

我々は,先に濃淡画像のテンプレートマッチングを用いた顔画像識別について検討を行い報告を行ってきた.その結果,識別のミスマッチの大きな要因は,照明環境を一定とした場合に,顔の傾き,髪型や化粧などによるパターンの変化にあることを明らかにした.これらの要因に対処するために,顔を補助器を用いて固定する.髪型などの変化を許容しない,又は,髪を手でかき分けてチェックを受けるなどの手法が用いられているが,あまり適切なものとは考えられない.筆者らは,パターンの変化には,変化したパターンをも学習しておくことが識別などのシステムでは,まず重要であると考え,多様に変化した顔画像を学習させた識別を検討することにした.本稿では,適応的ファジィクラスタリングネットワークを用いて髪型を変えた顔画像と変えない画像を学習させ,識別する手法について述べる.
著者
吉田 寛 田尻 孝 真々田 裕宏 谷合 信彦 平方 敦史 川野 陽一 水口 義昭 清水 哲也 高橋 翼
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.185-188, 2002-12-15 (Released:2012-09-24)
参考文献数
9

内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) の意義と適応を検討した.対象は, 初回にEVLを施行した80例で, 後日EVL追加した34例 (EVL群) と後日1%ASによる内視鏡的硬化療法 (EIS) を追加した46例 (EVL+EIS群) の2群に分類した. (EVL, EVL+EIS) (mean±SD) (1) 完全消失率 (94.1, 93.5%) (NS), 治療回数 (2.5±0.5, 3.1±1.0回) (p<0.005), 総結紮数 (22.1±8.2, 13.2±4.9) (p<0.0001). (2) 累積初回再発率は有意にEVL群で高率 (p<0.05). (3) 再発例 (30例, 36例) (NS) に対する追加治療再入院回数 (1.8±0.6, 2.9±1.2回) (p<0.0001).うち手術, 塞栓術を追加例 (3例, 12例) (p<0.05) であった.EVL群では再発率は高率だが, 少ない追加治療回数にてコントロール可能であった.-方EVL+EIS群は, 内視鏡治療の限界例が多かった.EVLは, 当初より再発を念頭にいれ, 追加治療も含めて一連の治療法と考えれば, 良好な長期成績が得られ, first choiceの治療法になりうる.
著者
高橋 健一郎
出版者
札幌大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は19世紀末から20世紀初頭のロシアの音楽と文学のインターフェースに光を当てるものである。まず、これまであまり研究対象とされてこなかった作曲家たちの基本的な情報を整理し、楽譜や書籍を発表したほか、メトネルに関して、象徴主義との関係、その文化史的意味について研究した。具体的には、象徴主義者アンドレイ・ベールイやヴャチェスラフ・イヴァノフら象徴主義者、そしてイリインらとメトネルとの関係について整理し、ロシア文化史のけるメトネルの位置を明らかにした。
著者
伊藤 謙 伊藤 美千穂 高橋 京子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.71-75, 2012-08-01
被引用文献数
1

補完代替医療のひとつに,香りを吸入することで精油成分のもつ薬理作用を利用し,心身の疾病予防や治療に応用するアロマテラピーがある.揮発性の高い化合物を気化状態で吸入すると,体内に吸収され,非侵襲的に生物活性を表すとされるが,天産物由来の成分探索や多様な効能に対する科学的なエビデンスの蓄積に乏しい.そこで,著者らは医療としての「アロマテラピー」の可能性を探るべく,記憶の影響を最小限にしたマウスの行動観察が可能な実験系を構築した.本評価系はオープンフィールドテストによるマウス運動量変化を観察するものであり,アロマテラピー材料の吸入による効果を簡便に検討することができる.次いで,香道に用いられる薫香生薬類の吸入効果について行動薬理学的に評価し,鎮静作用があることを報告した.さらに,得られた化合物群の構造活性相関研究に関する成果として,化合物中の二重結合の位置および官能基の有無によって鎮静作用が著しく変化することがわかり,活性発現に重要な構造を見出した.本成果は我が国古来の香道の有用性を示唆するだけでなく,経験知に基づく薫香生薬類の多くから新たな創薬シーズの発見が期待できる.
著者
水野 眞治 小島 政和 比嘉 邦彦 二宮 祥一 尾形 わかは 中川 秀敏 中田 和秀 中野 張 北原 知就 高野 祐一 高橋 幸雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

数理ファイナンス/金融工学に関連する数理技術、特に「最適化・オペレーションズ・リサーチ」「確率数値解析」「情報ネットワークセキュリティ」という3つの要素技術に関して理論的研究を行った。また、それらを実装したソフトウェアをインターネット上で公開した。さらに、金融数値計算を行うシステムの設計と構築を行った。その結果、高度な専門的数理技術を容易にアクセスできるようになった。
著者
岡山 万里 高橋 敏之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.30, pp.151-162, 2009-03-21

大原美術館が1993年から行っている幼児対象プログラムのうち,絵画鑑賞プログラム「対話」について,筆者らは14年間の実施記録をもとに考察して,以下のような結論を得た。環境との相互作用により発達する幼児に対して行われる美術館職員の発話は,人的環境からの言語的応答であると同時に,絵画という物的環境からの応答に代わるものとなり,対話は幼児と絵画作品の相互作用を促す役割を果たす。「対話」の中で,幼児は言語訓練の機会を得,絵画の諸要素に出会い,絵画や美術館との関わりの端緒を得る。
著者
戸田 賢二 海老原 一郎 瀬河 浩司 高橋 孝一 森川 治 古原 和邦
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.44, pp.1-6, 2013-03-06

制御システムをマルウェアの脅威から防御する手段として制御システムを包み込みセキュリティのバリアを提供するデバイスの提案と開発状況について述べる.同デバイスは専用のFPGAボードであり,まずストレージのアクセス制御を中心に開発を行っている.本稿では,ファイルシステムへの対応手法について検討した.Security Barrier Device, an attachment to control system devices for protection against malware, is described. The device is a specially designed FPGA board, in which storage access control is firstly under development. This article has a discussion on access control method on file systems.
著者
吉田 幸苗 高橋 菜奈子 木下 克之 尾城 孝一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.452-457, 2013-11-01

電子リソース管理は,その煩雑さにおいて,大学図書館にとって依然として問題であり続けている。その克服のために,現在,大学図書館と国立情報学研究所が連携して電子リソース管理データベース(ERDB)の構築を目的としてプロジェクトを行っている。ERDBは国内外の電子リソースを管理するためのナレッジベースであり,参加館の契約情報を結び付け,電子リソース管理の効率化を図るものである。ERDBは,データの整備に課題を抱えているものの,日本の電子リソースのメタデータ基盤を整理することにより,学術情報の流通に大きな役割を果たすことが期待される。本稿では,このプロジェクトの現状を報告するとともに,海外の動向を紹介し,電子リソースの管理をめぐる将来展望にも触れる

1 0 0 0 OA 月夜の塹壕

著者
高橋良和 著
出版者
日本保育館
巻号頁・発行日
1943
著者
井良沢 道也 馬場 潤 高橋 祐紀 IRASAWA Michiya BABA Masaru TAKAHASHI Yuki
出版者
[岩手大学農学部]
雑誌
岩手大学農学部演習林報告 (ISSN:02864339)
巻号頁・発行日
no.42, pp.79-95, 2011-06

岩手・宮城内陸地震被災流域において,気象・融雪観測を行った。気象・融雪観測を行った5箇所(一関No.1~4,荒砥沢No.5) の気象・融雪観測の総括表を表-3に示す。 岩手・宮城内陸地震被災流域における気象・融雪観測によって,以下の課題が得られた。融雪水量の観測より磐井川No4地点は標高が260mと低く,12月から3月にかけて気温がプラスとなる日も多く,融雪だけでなく,降雨が積雪中を浸透する現象も考慮する必要がある。磐井川支川の産女川で2009年4月21日から22日に小規模な泥流が発生した。設置していた監視カメラにその画像を捉えることができた。近傍の一関No.2では2009年4月21日に簡易熱収支法から求めた積雪層底面からの排出水量110.2mm/day,22日は74.1mm/dayであり,融雪期間中最大の値であった。降雨と融雲水により不安定な河道堆積物層が流動化したものと推定される。なお,本流域では厳冬期にも降雨を記録する日があり,ライシメータ実測値には表面発生融雪量の他に降雨量を考慮{する必要がある。地温計の分析により気温の高くなる融雪末期では0℃に近くなり,0℃の融雪水が地表に活発に供給されている様子が伺えた。積雪が無くなると地温は急上昇しはじめる。気温と地温の変動から根雪及び消雪の期間の推定,及び融雪の活発な時期をある程度推定することが可能となる。山地災害の発生した流域全体に,地震発生以降は融雪や降雨によって全般に大きなニ次災害は発生していない。しかし,岩手県一関総合支局の調査では厳美町市野々原地区において新規崩壊や拡大崩壊箇所が51箇所確認されている。地震以後については,一関No.1~3地点では約2年分,一関No.4地点,荒砥沢No.5地点では約1年分のデータしかない。さらに様々な条件下での気象・融雪特性を把握していくためには,今後も継続的に観測及び解析を行う必要がある。さらに,多角的な視点から地震発生以降の土砂生産,土砂移動の挙動の対応など分析していく。これまで,融雪現象に関する研究例は小島(5)に代表されるように,北海道で盛んに行われてきた。本地域では厳冬期でも降雨を記録することが多いため,北海道とは気温などの気候条件と共に融雪現象にも違いが見られるとされる。そのため,今後,東北地方を中心とする積雪地帯において融雪と土砂災害との関連性を検討した研究事例(6-8)が増えることを期待する。
著者
森 宏一 木下 俊郎 高橋 萬右衛門
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.49-56, 1981-03-01

インド型品種のSurjamukhiにみられる花青素による葉茎節の一部および節間全面着色は,C-A-P基本遺伝子の各座の上位アレーレの共存下で,優性の分布遺伝子Rin_1が関与して発現される形質であることが明らかとなった。また,Pin_1はPn(葉茎節分布遺伝子)とは独立で,Pl座のアレーレPlおよびPl^wとも異なることが知られた。ただし,Pin_1はPl座と同じ第II連鎖群にあり,Plとは30.9%,lgとは40.0%の組換価を示した。3遺伝子は,lg一Pl一Pin_1の順序に位置すると推定された。これまでインド型では,花青素の稲体着色に係わる多数の遺伝子が知られている。しかし,インド型の花青素着色に係わる遺伝子体系は,著者らが日本型で設定したものと著しく異なり,基本道傍子と分布遺伝子の区別も必ずしも明瞭でない。また,遺伝子の多くはII,VおよびXの各連鎖群に含まれている。今回明らかとなったPin_1は第II連鎖群に一属し,DHULAPPANAVAR(1977.1979)によるPin_<a1>やPin_aとは異なるものと考えられるが,日本型とインド型では連鎖群の異同に不明な点が多いため,文献上からの同定は困難である。Pin_1は日本型×インド型交離から知られたので,両品種群を通じて用いうる新たな標識遺伝子として利用できよう。