著者
木村 百合香 加藤 智史 高橋 正時 岸本 誠司
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.551-555, 2008-12-10 (Released:2008-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

今回われわれはアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与と血管再生治療後に生じた喉頭浮腫治療後,nasogastric tube症候群による両側声帯麻痺を発症した1例を報告した。症例は76歳男性,主訴は吸気時呼吸困難であり,喉頭内視鏡検査にて著明な喉頭浮腫を認めたため同日緊急気管切開術を施行した。3カ月前より高血圧に対しARBであるカンデサルタンシレキセチル(ブロプレス®)を使用し,また閉塞性動脈硬化症に対し末梢血幹細胞移植による血管再生治療後7日目であった。喉頭浮腫の改善後,両側声帯正中固定が明らかとなった。多系統萎縮症等は否定的であり,経鼻胃管を挿入中であったことからnasogastric tube症候群による両側声帯麻痺と診断した。発症後10カ月現在も両声帯は正中位固定のままカニューレ抜去困難状態が続いている。アンギオテンシン変換酵素阻害剤とARBの重要な副作用に血管性浮腫があり,時に重篤な気道狭窄をきたすことがある一方,再生医療のさきがけとして血管再生治療が臨床導入されているが,移植された幹細胞から放出されるサイトカインにより血管性浮腫をきたす可能性も指摘されており,両者が本症例の喉頭浮腫に関与したものと考えた。また,経鼻胃管の留置による重篤な合併症であるnasogastric tube症候群にも留意が必要である。
著者
高橋 剛夫
雑誌
臨床神経生理学 : Japanese journal of clinical neurophysiology (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.236-245, 2000-06-01
被引用文献数
2
著者
高橋 裕一 松浦 敬次郎 片桐 進
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.7-15, 1987
被引用文献数
7

山形県において, 4月下旬, 農業従事者の間に花粉症様疾患が多発しているとの情報があった.その原因を探索するために, 県内各地区の8集団, 農村住民5集団1878名(20-79歳)および学生3集団1866名(12-17歳)を対象にしてアンケート調査と臨床検査, 農村部および都市部における空中花粉量の定点調査と植生調査を行った.花粉症様症状, くしゃみ, 鼻汁過多, 鼻閉, 鼻のかゆみ, 眼のかゆみおよび結膜充血などを示す患者の出現頻度は, 農村住民で約10%, 学生集団で約5%であり, 患者の大部分は, 毎年4-5月に発症していることがわかった.発症時期の明らかな患者108名について皮膚反応試験を行った.4月-5月に皮膚反応が陽性の患者の大部分は, イネ科花粉, 特にスズメノカタビラ花粉に感受性を示すものが目立った.スギ花粉に対する感受性者は予想外に少なかった.空中花粉量の月別変動をみると, スギ花粉は3月末から4月中旬にかけて飛散し, 測定地点による空中花粉量の差は認められなかった.一方, イネ科花粉は4月-6月に飛散し, 測定地点により, または農作業の前後で飛散量に大きな違いが認められた.4月下旬から5月初旬に飛散する果樹花粉においても同様の傾向があった.調査対象地域の植生をみると, 患者が多発する4月下旬には, カモガヤ, ホソムギ, ナガハグサなどのイネ科植物はまだ開花しておらず, 果樹園および田起こし前の水田にはスズメノカタビラが著しく繁茂し, 開花中であった.また, スズメノカタビラとほぼ同じ時期に開花するスズメノテッポウは, 前者に比してその数は極めて少なく, 特に果樹園ではほとんど認められなかった.これらのことから, 4月-5月に当地方の農業従事者の間に存在する花粉症患者の多くはスズメノカタビラ花粉によると考えられる.
著者
高橋 保
出版者
創価大学法学会
雑誌
創価法学 (ISSN:03883019)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.p185-245, 1992-09
著者
横井 勝彦 奈倉 文二 小野塚 知二 西牟田 祐二 田縞 信雄 松永 友有 倉松 中 永岑 三千輝 千田 武志 鈴木 俊夫 安部 悦生 西川 純子 斎藤 叫 秋富 創 高橋 裕史
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、イギリス、ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国、アメリカ、日本の兵器産業と軍産関係ならびに武器移転の歴史に注目して、両大戦間期における軍縮破綻の構造を多角的・総合的な視点より解明することを目的としている。特に、武器移転の「送り手」と「受け手」の世界的な全体構造に焦点を当て、帝国史・国際関係史・経済史の総合化(共著刊行)による軍縮問題研究の再構築を試みた。
著者
高橋 徹 谷口 誠
出版者
美作大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

これまでに開発した結晶セルロース添加あるいは被覆した米に、食後血糖上昇緩和効果があることをヒト試験で明らかにした。さらに、結晶セルロースが小腸管腔内の糖の移動に与える影響をスンクスを用いて検討したいところ、結晶セルロース添加によって1)消化管内容物の粘度が上昇し、2)内容物中の糖の拡散速度が低下し、管腔内の多くの糖が留まり、3)糖の吸収速度を緩和させる可能性が高いことを示した。
著者
島津 篤 吉村 理湖 藤本 千晴 高橋 綾華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究において、軸索伸長のガイダンス因子として知られていたセマフォリン(Semaphorin; Sema) 3Aは、歯髄組織内および歯槽骨において広く分布していることが判明した。また歯髄細胞自身がSema3Aとその受容体を発現し、その周辺に局在するマクロファージはSema3A受容体のみを発現することが明らかとなり、歯髄細胞が分泌したSema3Aは、自身に対してオートクライン的に、マクロファージに対してはSema3Aを介して直接的あるいは間接的に制御している可能性が明らかとなり、Sema3A発現細胞を制御することによって、マクロファージの作用を制御できる可能性が示唆された。
著者
大野 寿子 石田 仁志 河地 修 木村 一 千艘 秋男 高橋 吉文 竹原 威滋 中山 尚夫 野呂 香 溝井 裕一 山田 山田 山本 まり子 渡辺 学 早川 芳枝 藤澤 紫 池原 陽斉 松岡 芳恵
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

「異界」を、「死後世界」および「時間的空間的に異なった領域」をも指し示す、古来より現代に至る人間の精神生活の「影」、「裏」、「奥」に存在しうる空間領域と定義し、その射程をクロスジャンル的に比較考察した。文字テクストのみならず、音楽・図像における「異界」表現、精神生活内の「異空間」としての「異界」、仮想空間、コミュニケーション上の他者としての「異界」等、「異界」という語と定義の広がりとその広義の「異界」に潜む、何でも「異界」にしてしまう現代日本語の危険性を考察した
著者
高橋 裕一 川島 茂人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1217-1221, 1999
被引用文献数
12

スギ花粉の総飛散数を予測する方法として,前年と前々年との夏期気温の差を用いた予測法を検討した.全国9地点におけるスギ花粉の実測総飛散数と予測総飛散数との相関はいずれの地点においてもr=0.84を越えた.7月の平均気温との相関が高い地点が多かったが,中には8月の最高気温,8月の平均気温あるいは7月の最高気温との相関が高い地点もあった.検討した135例のうち101例(75%)で実測総飛散数と予測総飛散数との差が1000個/cm^2以下であった.各地点で多く飛散した方から3年間について予測誤差を調べたところ,その誤差は40%以下で,その平均は17.5%であった.従来行われてきた前年の気象からの予測では過大評価になった大飛散年の翌年の予測が正確にできた.以上からこの総飛散数の予測方法は実用化できると考えられる.
著者
高橋 俊守 加藤 和弘 上條 隆志
出版者
日本生態学会暫定事務局
雑誌
日本生態學會誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.167-175, 2011-07-30
被引用文献数
2

時系列的に観測した衛星画像を用いて、三宅島2000年噴火後の植生の変遷をモニタリングした。1994年から2009年にかけて、JERS-1/0PS及びTerra/ASTERによって観測された16時期の画像を用い、噴火前1時期および噴火直後2年まで、噴火後3~5年、噴火後6~9年の3時期分のNDVI画像に集成した。これらのNDVI画像をもとに、ISODATAクラスタリング法により教師無し分類を行った結果、NDVIの変遷パターンを分類することができた。分類された画像では、噴火後もNDVIの値が相対的に高く、噴火に伴う植生被害が相対的に少ない地域が認められた。これらの地域は樹林地を示しているが、NDVI値は徐々に減少する傾向が続いていた。一方で、噴火後にNDVI値が著しく減少し、その後増加に転じている、草地を示すグループが認められた。NDVI値の変化が植生のどのような変化に対応しているか検証するため、三宅島南西部の阿古地区において、噴火後に継続して実施されている11地点の植生調査の結果をもとに対応関係を評価した。植生構造を高木層、亜高木層、低木層、草本層に分け、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIとの相関分析を行った。この結果、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIにはいずれの時期においても有意な相関関係が認められた。ただし、それぞれの階層の植被率とNDVIの相関関係は、植生変遷の過程とともに変化し、一定でなかった。

1 0 0 0 史料と研究

著者
札幌大学高橋研究室
巻号頁・発行日
1975
著者
佐藤 一志 粟山 仁 橋田 俊之 高橋 秀明
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.56, no.526, pp.1400-1405, 1990-06-25
被引用文献数
2 2

The J-integral-based technique for measuring strain-softening curves is applied to determine the fracture toughness of granite. The measuring method has been recently proposed by Li for concrete. This method provides information on the fracture process zone formation and can be used for fracture toughness determination in strain-softening materials. CT specimens of three different sizes, 1.5inch, 2.5inch and 6inch CT were tested to examine the specimen size effect of measured strain-softening curves. Strain-softening curves measured on 2.5inch CT specimens are shown to be in good agreement with that determined from 6 inch CT specimens, indicating the possibility of determining the valid fracture toughness value by means of the J-integral-based technique. The test results for 1.5inch CT specimens, however, yield a lower fracture toughness value than that obtained on the other specimen sizes, suggesting the need of detailed investigations on specimen size requirements for the reliable use of subsized specimens. Finally, the strain-softening curves obtained by the J-based technique are compared with existing data determined by uniaxial tensile tests on several types of granite.
著者
高橋 敏之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成10〜13年度を通しての研究成果は、以下の通りである。1.学術論文「幼児の頭足人的表現形式の連続描画に見られる対象の重要度による描き分け」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児は、それぞれ自分の人物描画における描画課題を独自にもっている。そして描画対象の重要度に応じて新旧の型を併用すると推察できる。2.学術論文「幼児の頭足人的表現形式に関する先行研究の問題点-W.L.Brittain(1979),鬼丸吉弘(1981),林健造(1987),長坂光彦(1977)の研究を中心にして-」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の頭足人的表現形式に関する先行研究を俯瞰し、批判的に考察した。3.学術論文「幼児の頭足人的表現形式の理論的説明における主知的見解とG.H.Luquetの描画発達説」の複数審査制全国的学会誌への掲載…有力な描画発達理論であるG.H.Luquet(1927)の学説は、幼児の描く頭足人的表現形式にも及んでいる。その理論を批判的に考察した。4.学術論文「幼児の頭足人的表現形式に関するH.Engの主知説批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の描画活動の縦断的事例研究者であり描画心理学の創設者でもあるH.Eng(1927)は、幼児の描く頭足人的表現形式について考察している。その理論を批判的に考察した。5.学術論文「幼児の初期人物描画の理論的説明における主知的見解への批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…本論では、L..S.Vygotsky(1930)、V.Lowenfeld(1947)、W.Grozinger(1952)、W.L.Brittain(1979)などの研究を取り上げ、主知説による頭足人的表現形式の説明を再吟味した。6.学術論文「幼児の人物画研究における用語問題」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の初期人物描画と頭足人的表現形式に関する学術用語は、各研究者によって使い方が違い、不統一である。本論では、先行研究を概観・整理し、新しい学術用語を提起した