著者
中村 南美子 冨永 輝 石井 大介 松元 里志 稲留 陽尉 塩谷 克典 赤井 克己 大島 一郎 中西 良孝 髙山 耕二
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.343-349, 2021-08-25 (Released:2021-10-08)
参考文献数
32

3色覚であるヒトの色覚異常(2色覚)のうち,Protanopia(P),Deuteranopia(D)およびTritanopia(T)型の場合にはそれぞれ赤と青緑,赤紫と緑および青と緑の色が識別困難とされる.本研究では生理学的に2色覚とされるニホンジカ(Cervus nippon;以下,シカ)がこれらを識別可能か否かについてオペラント条件付けにより検証した.シカ2頭(推定3歳:オス・メス各1頭)を試験に用いた.1セッションを20試行とし,正刺激として提示した色パネルの選択率80%以上(χ2検定,P<0.01)が3セッション連続でみられた場合,シカは2つの色を識別可能と判定した.オスは18,5および3セッション目,メスは12,14および4セッション目でそれぞれの色の組み合わせを識別できた.以上より,供試したシカはP, DおよびT型のヒトで区別し難い色の組み合わせをすべて識別可能であり,行動学的手法によって導き出されたシカの色識別能力はヒトの2色覚と一致しないことが示された.
著者
阿瀬 寛幸 髙木 辰哉 藤原 俊之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.633-640, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
17

乳がん転移性胸椎腫瘍により切迫麻痺を認めた症例に対し,最小侵襲脊椎安定術前後の入院作業療法を実施した.当初,背部疼痛や神経症状に加え,家事や子育てが行えないことによる精神的・社会的苦痛を認めていた.術前安静時から生活行為の評価を行い,術後の動作指導を円滑に行うことで術後8日目に退院し,家事と子育てに復帰した.術後1年が経過し,役割を変えることなく生活を送っている.乳がんは骨転移後も放射線や化学療法の併用により長期予後が見込めることが多い.術前・術後の症状や生活行為を他職種とともに評価し,骨転移部に対する愛護的な動作指導や環境調整,社会資源の提案など退院後の生活に向けた支援が有効であったと考えられた.
著者
加藤 太郎 板東 杏太 有明 陽佑 勝田 若奈 近藤 夕騎 小笠原 悠 西田 大輔 髙橋 祐二 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.326-332, 2021-03-18 (Released:2021-07-03)
参考文献数
18

目的:脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)に対する短期集中リハビリテーション治療(SCD短期集中リハビリテーション)の効果が,先行研究により示されている.しかし,SCD短期集中リハビリテーションの効果検証は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)の総得点により報告されており,SARAの下位項目による詳細な検証はなされていない.本研究は,歩行可能なSCD患者の運動失調に対するSCD短期集中リハビリテーションの効果を,SARAの総得点と下位項目得点から検証することを目的とした.方法:対象は,SARAの歩行項目3点以下に該当し,4週間のSCD集中リハビリテーション治療プログラム(SCD集中リハビリテーション)に参加したSCD患者23名(男15名,女8名)とした.評価項目はSARAとし,SCD集中リハビリテーション実施前後に評価を実施した.対象者のSCD集中リハビリテーション実施前後のSARAの総得点および各下位項目得点を,後方視的に解析した.統計はWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討し,有意水準は5%とした.結果:SCD集中リハビリテーション実施前後において,総得点および下位項目得点のうち,歩行,立位,踵-すね試験に有意な点数の改善を認めた(p<0.05).一方,下位項目得点で座位,言語障害,指追い試験,鼻-指試験,手の回内・回外運動は有意な点数の改善を認めなかった.結論:本研究の結果は,SCD集中リハビリテーションはSCD患者のSARAにおける総得点と,特に体幹と下肢の運動失調を有意に改善させることを示した.
著者
日髙 晋介
出版者
日本北方言語学会
雑誌
北方言語研究 (ISSN:21857121)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-37, 2023-03-20
著者
髙見 啓一
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.63-77, 2022-03-15 (Released:2023-04-26)

全国に遍在する「商業高校」は、幅広い学力の生徒が学べ、アントレプレナーシップ教育(Entrepreneurship Education, 以下「EE」)を地方や起業無縁層へ広げる拠点として期待できる。本稿の目的は、学校外部との協働をベースに展開される商業高校のEE の成功要因を、「実践共同体」を中心とした枠組みから明らかにすることである。学校内株式会社と地域創生の取組みを行っている先進事例2校のEEを分析したところ、ともに連携先との互酬的なコミュニティを構築し、非公式性や自発性が担保された「第3の場所」となるコミュニティを作っていた。それにより、非規範的(非常識的)な学びによるアイデンティティやパースペクティブの変容を促し、新商品開発などのイノベーションにつなげていた。そのマネジメントには、熟達したキーパーソンとのつながり作りや、コーディネーター役の教員が動きやすくなるような組織サポートが重要となることが明らかとなった。
著者
勝山 このみ 髙島 千敬 奥 結季恵 阿部 和夫
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.135-140, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
29

本研究の目的は,パーキンソン病患者の認知機能・前頭葉機能が転倒に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は当院で入院加療したPD患者81例,Hoehn&Yahr重症度分類Stage2~4の患者であった.転倒回数により3群に分類し,MMSEおよびFABの総点数との関係について多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した.また,Yahr分類とMMSEおよびFAB総点との関係は,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した.非転倒群と複数回転倒群のMMSEおよびFABの総点数との間に有意な相関を認め,FABの総点数は,転倒予測因子として抽出され,前頭葉機能低下が転倒と相関していることが示唆された.
著者
杉本 達哉 高田 観月 高山 雄貴 髙木 朗義
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.22-00115, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
34

近年,空間経済学に基づく理論の計量分析への応用が進められている.しかし,その分析枠組は,我が国の長期的な人口分布変化の傾向1)(e.g., 大都市の人口増加)とは真逆の“地域間輸送改善は必ず地方都市の人口を増加(大都市の人口を減少)させる”という結果しか出力しない2).これは,輸送改善の影響の適切な予測が不可能であることを意味する重要な課題である.本研究は,企業間の価格競争を考慮できる独占的競争理論3)を応用することで,この課題を解決する計量分析手法を開発する.そして,日本を対象とした計量分析により,本手法が“地域間輸送改善が大都市の人口を増加させる”という結果を出力できることを示す.
著者
伴 和幸 髙見 宗広 冨山 晋一 福井 篤
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.117-121, 2013-11-05 (Released:2015-12-26)
参考文献数
10

Two chiasmodontid specimens (110.2–232.0 mm in standard length), collected off Shikoku, Japan, represent the first records of Kali colubrina Melo 2008 from Japanese waters, being distinguished from six congeneric species by the combination of a unique dentition pattern (two rows of recurved caniniform teeth on the premaxilla and dentary, not developed as fangs, 12–22 lateral and 5–9 mesial teeth on the premaxilla, 8–18 lateral and 5–10 mesial teeth on the dentary, mesial teeth larger than adjacent lateral teeth), 23–26 second dorsal-fin rays, 23–25 anal-fin rays and 39–41 vertebrae. The new Japanese name “Jaguchi-bouzugisu” is proposed for the species.
著者
澁谷 光敬 平島 賢一 田野 聡 髙岡 克宜 池脇 圭司 鶯 春夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.467-470, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
10

〔目的〕Tilt tableを使用した傾斜角度変化が腹筋群に与える影響を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常成人男性5名で,筋活動計測は非利き足側の腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋),下肢筋(中殿筋,大腿直筋,大腿二頭筋)の5筋とした.Tilt tableの傾斜角度を40°から80°まで10°ずつ変化させ,各傾斜角度での受動的立位保持10秒間の筋活動を3秒間測定し,積分値を算出し比較検討した.〔結果〕内腹斜筋では40°に対し60°以上で有意に高値を,また,50°に対し60°で有意に高値を示した.その他の筋では傾斜角度変化における有意差は認められなかった.〔結語〕Tilt tableの傾斜角度を60°以上にすることは内腹斜筋を選択的に活動させる一手段となる可能性が示唆された.
著者
髙山 哲志 迫 秀則 安部 由理子 阿部 貴文 森田 雅人 田中 秀幸
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.320-323, 2019-09-15 (Released:2019-10-02)
参考文献数
15

症例は73歳女性.主訴は心窩部不快感とふらつき.前医循環器科にて,重度の大動脈弁閉鎖不全症と僧帽弁閉鎖不全症によるうっ血性心不全と診断され,入院となった.薬物療法に抵抗性で内科的治療では心不全コントロールが困難であり,外科的治療目的で当院紹介入院となった.当院入院後も心不全増悪傾向を示し,緊急で手術を行った.術中所見では大動脈基部-上行大動脈瘤と,右冠尖と無冠尖の間の交連部に離開を認めた.上行大動脈置換術と,Florida sleeve法に準じた大動脈基部置換術および二弁置換術を行い良好な結果を得た.離開部の病理組織検査では粘液腫様変性を認め,交連部離開の原因となった可能性が示唆された.
著者
岡田 春太郎 郷田 康文 太田 紗千子 髙橋 守 渋谷 信介 寺田 泰二
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.50-53, 2021-02-20 (Released:2021-02-26)
参考文献数
8

背景.原発性腹膜癌は卵巣癌,卵管癌とともにミュラー管由来腺癌と総称される疾患である.今回,両側の横隔膜上の脂肪組織内に転移が認められた原発性腹膜癌症例を経験したので報告する.症例.78歳女性.皮膚筋炎と診断され,間質性肺炎の評価のためのCTで横隔膜前縁の脂肪組織内に右側34 mm,左側49 mm大の腫瘤と,下大静脈や腸骨動脈周囲に多数の腫瘤が認められ,悪性リンパ腫が疑われた.生検目的で胸腔鏡下に右側の脂肪内の腫瘍を摘出し,病理検査で漿液性癌が認められた.婦人科臓器由来の腫瘍転移が疑われ,婦人科で腹腔鏡下両側付属器摘出と腸間膜腫瘍摘出が施行され,両側付属器には腫瘍は認められなかったが,腸間膜上の腫瘍は横隔膜上脂肪組織内のものと同じ組織像であり,原発性腹膜癌と診断した.卵巣癌は横隔膜直下の腹膜から横隔膜を浸潤して胸腔へのリンパ節へ転移する経路が報告されているが,本症例も同じ転移経路で横隔膜上のリンパ節に転移したと考えられた.結論.原発巣が明らかでない横隔膜上の腫瘍性病変が認められる症例は,炎症性疾患や悪性リンパ腫の他,原発性腹膜癌などの悪性腫瘍のリンパ節転移についても検討する必要がある.
著者
髙岡 有理 亀田 誠 矢島 裕子 辻 泰輔 錦戸 知喜 吉田 之範 土居 悟
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1009-1017, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
18

【目的】小麦アレルギーの経口免疫療法の有効性の報告はみられるが,その方法について比較した報告はない.今回筆者らは小麦の経口免疫療法の効果を摂取間隔の異なる2つの方法で前向きに検討し,その摂取頻度が与える影響を評価した.【対象】うどんの経口負荷試験陽性例で最終負荷量と最大誘発症状より乾麺重量で0.5~5gから摂取開始可能と判断した49名から同意を得て,摂取頻度により週6回以上(頻回群)と週2回(間歇群)の2群に年齢を層別化して無作為に割り付けた.摂取頻度を遵守しかつ経口免疫療法を遂行できた各群16名合計32名を今検討の対象とした.【方法】頻回群と間歇群に経口免疫療法を行い6カ月目の摂取量を評価した.【結果】6カ月後に目標量(3歳以下乾麺重量20g,4歳以上乾麺50g)以上に摂取あるいは負荷試験陰性だった割合は両群ともに75%だった.【結論】小麦アレルギーの経口免疫療法での6カ月後の目標到達率は,1週間当たりの摂取頻度を2回まで落としても毎日の摂取と比較して摂取頻度による明らかな違いがみられないことが示唆された.
著者
松島 葵 冨田 隆志 鴫田 江理嘉 吉川 博 柳田 徳栄 髙松 花絵 松尾 裕彰
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.206-210, 2023-02-28 (Released:2023-04-07)
参考文献数
9

Objective: In the instructions for package inserts (PI) of prescription drugs revised in June 2017, the section “persons with reproductive potential” was established under “precautions concerning patients with specific backgrounds.” The description rules associated with contraceptive duration were modified in these. In this study, we investigated descriptions of contraceptive duration in PI that were prepared based on the revised instructions, interview forms (IF), and other proper use materials (PM).Methods: We collected PI, IF, and PM of prescription drugs containing a new active ingredient approved from April 2017 to March 2022 for which the PI were prepared based on the revised instructions and investigated descriptions of PI, contraceptive duration, and its evidence in each information material.Results: Of the 181 drugs studied, 43.1 and 12.7% required females and males to use contraception during the period of drug consumption, respectively. Among these, the ratio of drugs that had descriptions of contraceptive duration were 15.4 and 0% for females and males at PI, respectively; 51.3 and 39.1% for female sand males at IF, respectively. Anticancer drugstended to describe contraceptive duration in the PM rather than PI or IF. For some drugs, there was no description of contraceptive duration in any of the materials. Contraceptive durations ranged from the period of administration of that drug to over a year for females and approximately one week to six months for males. The reasons for these contraceptive durations were diverse.Conclusion: Contraceptive information in the PI based on revised instructions were not sufficient for use by healthcare workers, even when the IF and PM were confirmed. These results suggest that there is a need for standardizing the descriptions, types of materials to be described, and choice of evidence for contraceptive duration.
著者
髙橋 将 佐藤 真太郎 白石 聖 川本 竜史
出版者
特定非営利活動法人 国際エクササイズサイエンス学会
雑誌
国際エクササイズサイエンス学会誌 (ISSN:24337722)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-22, 2022 (Released:2023-01-24)

[目的]本研究では野球の投球速度に関連する因子として肩関節や股関節の筋力・可動域に着目し, 球速の因子を明らかにすることで投手の投球パフォーマンス向上に役立つ科学的知見の提供を目指した.[対象と方法]対象は部活動に所属し, 試合で実践的に投球している大学生野球投手20名であった. 測定では, 徒手筋力計測器および撮影画像を用いて肩および股関節の可動域, 筋力を測定した.[結果]ステップワイズ法を用いて重回帰分析した結果, 支持脚の股関節外旋可動域と股関節外旋筋力の2変数を独立変数とする有意な回帰式が得られ, その寄与率は51%であった.[結語]球速の51%は支持脚股関節の外旋筋力, 外旋可動域の要因で説明できることが明らかとなった.
著者
野田 哲平 松本 希 髙岩 一貴 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.140-147, 2015-07-20 (Released:2016-07-01)
参考文献数
9

難聴の本質はコミュニケーション障害であり、言語獲得、学業、就労、家庭など人生のさまざまなステージで多大な問題を引き起こしている。現在広く用いられている補聴の機器としては補聴器と人工内耳があり、これらの装用者は難聴患者の増加に伴って今後増加すると予想される。しかし、補聴器はその外見や価格などからすべての難聴者に受け入れられているとは言い難く、また難聴の程度によっては十分な効果が得られないことも多い。反響や残響、周囲の騒音レベルなどによっても、補聴器や人工内耳の効果は減退する。 こういった問題を補完するため、2013 年冬に難聴支援スピーカー Comuoon® が発売された。強い指向性と高音域を増強する周波数特性を持ち、聴取改善に寄与するとされる。その有用性を検証しここに報告する。
著者
髙橋 秀徳
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.88-95, 2019-01-22 (Released:2019-01-19)
参考文献数
36

本稿は新規株式公開(IPO)の価格形成に関する理論及び実証研究のレビューを行う.IPOパズルについては長い研究の歴史があるが,絶えず新たな研究が発表されている.近年の研究では,テクノロジーの発展に伴い新しい種類のデータや分析手法を利用することで,IPOパズルの解明が進んでいる.本稿では,この分野で特に行動ファイナンスが果たした役割に焦点を当て,IPO研究の過去と未来を俯瞰する.
著者
鈴木 翔太 渋澤 雅貴 加藤 大悟 宇賀 大祐 髙川 啓太 後藤 真衣 和田 直也 笛木 直人 笛木 真 土橋 邦生
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.23-31, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
27

【目的】慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)において,増悪予防は重要な疾病管理目標である.COPD増悪予防には呼吸リハビリテーションが推奨されているが,社会的背景などにより頻回な外来呼吸リハビリテーションが困難な実情がある.本研究では低頻度外来呼吸リハビリテーションのCOPD増悪予防効果を検証することとした.【対象と方法】外来呼吸リハビリテーションを継続して実施していたCOPD患者(以下,リハビリテーション実施群)と,外来通院のみのCOPD患者(以下,リハビリテーション未実施群)を対象とし,12ヶ月間を診療録より後方視的に調査した.主要評価項目としてCOPD増悪の有無,COPD増悪回数,初回増悪日までの日数を収集した.統計学的解析には基準点の比較は群間比較を実施し,COPD増悪回数,COPD初回増悪までの日数はカプランマイヤー曲線およびログランク検定を実施した.【結果】12ヶ月間のCOPD増悪者数,COPD増悪回数は群間で有意差を認めなかったが,初回増悪日までの日数はリハビリテーション実施群で有意に延長した.【考察】増悪は実施頻度や運動強度,リハビリテーションプログラムに影響を受けると考えられることからCOPD増悪者数,COPD増悪回数減少には効果が得られなかったが,活動的な生活や行動変容を促すことができた可能性があり,COPD増悪までの期間を引き延ばす効果があることが示された.
著者
畠山 悠馬 髙橋 武彦 小笠原 正剛
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.33-40, 2023-03-20 (Released:2023-03-31)
参考文献数
13

スギ粗粉末をリング媒体利用粉砕機で粉砕した粉末は高い酵素糖化性を示すことが知られている。この高い酵素糖化性をもたらす構造的要因は明らかにされているが,粉砕力などの物理的因子と構造変化との関係は十分に明らかとなっていない。本研究ではリング媒体粉砕における物理的因子として,接触応力とせん断角速度を定義した。そして,接触応力とせん断角速度が構造変化に与える影響を調査した。スギ粗粉末の粉砕は接触応力が27 MPaから42MPaの範囲でせん断角速度が147 rad/sから168 rad/sの範囲で実施した。粉砕粉末のメディアン径,セルロース結晶化度(CrI)およびドメインサイズを評価することで接触応力およびせん断角速度との関係を調査した。粉砕粉末のメディアン径は接触応力とせん断角速度に関係なく,凝集によって増加した。接触応力はCrIと正の相関を示し,ドメインサイズとは負の相関を示した。一方で,せん断角速度はCrIとドメインサイズと相関がないことが分かった。