著者
黒田 裕子 徳田 真実 井上 舞鳥 増田 克哉 寺島 朝子 前澤 佳代子 松元 一明 木津 純子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.714-721, 2015-10-10 (Released:2016-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

Seven products, currently on the market as acetaminophen suppository 100 mg, are commonly used for pyrexia in children, and yet there have been no reports on their solubility and divisibility. We examined the hourly solubility rate of each suppository using a dissolution tester for suppositories. In addition, we conducted a hardness test using the EZ-test, a questionnaire-based investigation on the accuracy and divisibility when the suppositories were divided. There was a significant difference between each suppository (P < 0.01). While 4 types dissolved completely within 60 minutes, one type took 120 minutes to dissolve completely. Another two had only 51 and 67%, respectively, at 180 minutes. The bases are hard fat in all suppositories. The types and additives of hard fat may have had an influence on solubility. The hardest suppository was assessed as showing marked differences in the weight ratio and solubility between the distal and tail portions when divided in half, due to which division was considered inappropriate, and there were differences in accuracy and divisibility among suppositories.From the above, it was suggested that the acetaminophen suppository 100 mg products may show differences in the solubility, time to action onset, and duration of the action. In addition, we should instruct physicians on important points of caution regarding the characteristics of each preparation when dividing the suppositories so that they can be given safely to infants.
著者
松元 一明 黒田 裕子 寺島 朝子 前澤 佳代子 木津 純子
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.29-32, 2015 (Released:2015-04-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

先発医薬品と後発医薬品では添加物が異なるため,溶解性が異なる可能性が考えられる.そこで本研究ではコールター原理に基づいた自動細胞計数装置を用いて,バンコマイシン塩酸塩点滴静注用5製剤をそれぞれ生理食塩液に溶解し振とうした際の不溶性微粒子数を測定し,各製剤の溶解性を比較検討した.各振とう時間において5製剤の不溶性微粒子数には有意差が認められ,1製剤は先発医薬品よりいずれの時間においても有意に低値を示した.他の4製剤は振とう時間を長くすることで,有意に不溶性微粒子数は低値を示した.したがって,製剤毎の溶解性には差があり,溶解時間が異なることが確認された.バンコマイシン塩酸塩点滴静注用を適正に使用するには,溶解性の差を理解し,適切な溶解時間を現場の医療スタッフに周知徹底する必要がある.
著者
深井 喜代子 黒田 裕子 山下 裕美 池田 理恵
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.193-197, 2001-08-25

看護行為によって発生する音を実験室で再現し, それを聴いた被験者がどのような生体反応を示すのかを検討した.承諾の得られた健康な女性被験 : 者10名に, 「タオルを絞る音」「看護者の足音」「聴診器の音」「椅子を床に置く音」「椅子を引きずる音」「ドアノックの音」「吸引音」「ブラインドの開閉音」の8種類を聴かせ, 心電図, 血圧, 局所発汗量を連続記録した.その結果, 背景音であるチャイムの音では局所発汗量はほとんど変化しなかったが, 6種類の音で5例以上に発汗増加反応を認めた.また, 6種類の音で最高血圧が有意に上昇した.さらに8種類すべての音に対する一過性の交感神経活性の高まりが全例で確認された.これらの結果から, 看護行為によって生じる音は生体に一過性のストレス様反応を引き起こすことが明らかになった.
著者
榑松 久美子 黒田 裕子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.89-97, 2006 (Released:2015-05-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1

突然に発症し,意識障害に至った患者の配偶者の心理社会的な体験を記述し,看護支援を探求することを目的とし,一事例に基づいて探究した.参加者は,くも膜下出血で集中治療終了後も GCS8 以下の意識障害が続いた 50 歳代女性患者の配偶者(夫)50 歳代 1 名であった.参加観察法,半構成的面接法に加え,診療録・看護記録から得たデータをもとに,患者の病状が変化した時点,および配偶者の言動が変化した部分に注目し,配偶者の体験の意味を解釈した.分析の結果,配偶者の心理社会的体験は,第 1 段階:妻が生き抜くことをひたすら望む,第 2 段階:意識が障害された妻を受け入れることに葛藤する,第 3 段階:意識が障害されてしまった妻の存在とは何かを考え,今後の人生をどのように生きていくかを模索する,の 3 段階に変化することが明らかとなった.この中で配偶者は,身近に存在する他の家族や状況を理解する医療者に支えられ,意識障害となった妻を受けとめていたと考えられた.各段階の特徴を読み取り,配偶者の安寧を目指した適切な看護支援を行う必要性が示唆された.
著者
中谷 美紀子 黒田 裕子
出版者
Japan Academy of Critical Care Nursing
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.42-49, 2010
被引用文献数
1

本研究の目的は,看護師が重要と認識しながらもニーズを満たすケア実践ができない心肺停止状態にある患者の家族ニーズと,その関連要因を明らかにするものである.初療経験満2年以上の看護師を対象に,研究者が作成した『看護師が測定する心肺停止状態にある患者家族ニーズ表(Family Needs of Cardiopulmonary Arrest Patients Inventory that Nurses Measure)』を用いて全国調査を実施し,有効回答数655名(59.8%)のデータを分析した.<br>対象者が重要と認識していてもニーズを満たすケア実践が最もできないニーズは「家族の存在を保証するニーズ」だった.ニーズ実践得点を用いて対象者を"高頻度実践群"(n=485,74.0%)と"低頻度実践群"(n=170,26.0%)に分類し比較したところ,"低頻度実践群"は"高頻度実践群"に比べて,有意に年齢が若く(p<0.01),看護師経験年数(p<0.01)と初療経験年数(p<0.05)が浅い特徴があった.しかし,"低頻度実践群"のうち,40歳以上でも初療経験5年未満の対象者は他の対象者に比べ,有意に実践できないと評価した.実践能力の向上を目指し,救急医療チームとして取り組む必要性が示唆された.
著者
中谷 美紀子 黒田 裕子
出版者
Japan Academy of Critical Care Nursing
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.34-41, 2010
被引用文献数
1 2

本研究の目的は,『看護師が測定する心肺停止状態にある患者家族ニーズ表(Family Needs of Cardiopulmonary Arrest Patients Inventory that Nurses Measure;以下FNCPAI-NMと略す)』を作成し,信頼性・妥当性を検討することである.この尺度は,看護師が重要と認識してもニーズを満たすケア実践ができない家族ニーズを明らかにするものである.<br>既存の2つの家族ニーズ表と,看護師より得た情報をもとに暫定版を作成し,専門家による内容妥当性,パイロットスタディによる探索的因子分析で概念構成妥当性を検討した.その結果4因子が抽出され,「待っている間の家族の心身の安寧・安楽を求めるニーズ」「家族の存在を保証するニーズ」「患者ケアに責任ある言動を求めるニーズ」「医療者に真摯な対応を求めるニーズ」と命名された.これらは搬送から死亡に至る特徴的なプロセスに存在する家族を捉えることが可能であるといえる.内的整合性を表すクロンバックのα係数は,全体で0.85,それぞれの因子で0.82~0.68となり,十分な信頼性を確保した.最終的に4因子20項目の『FNCPAI-NM』が完成した.
著者
黒田 裕子 佐藤 深雪
出版者
広島市立大学国際学部 (Hiroshima City University, Faculty of International Studies)
雑誌
広島国際研究 (ISSN:13413546)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.59-74, 2008

This manuscript analyzes Kyoka Izumi's Furyusen and Kazushige Abe's Sin-semilla in order to explore how the "reality" of Japanese local cities is created. The authors argue that "reality" is created by the process of generating a story which is peculiar to a locality and by sharing that story among the people in the city; the story creates and, at the same time, decides "reality". In addition, each of the stories in the novels --which the authors define as "the database story"--is derived from unique databases. The focus of this manuscript is to explain the creation process of "reality" in these database stories. 13;Set in Kanazawa-city in Ishikawa prefecture during the early 20th century, Furuysen depicts two unique sets of database that are struggling to gain the initiative of the city; the one is a net of national railways and the other is a copy of local family registries. The former is the database that invokes a story of Japan as a modem, collective nation. The latter -which is secretly written by a local philanthropist -is the database that attempts to recreate the "reality" of the traditional city where the local conservatives are desperate to sustain its past glory. 13;On the other hand, in Sin-semilla, which is based on a present-day, small town called Jim-n1achi in Yan1agata prefecture, the young generation in the town is bored with "reality", because it is created by their parents with the cooperation of the American Occupation Forces during the time right after World War ll. In order to find a way out from the boredom and pressure to inherit the "reality-", they attempt to disclose the truth of the town by-processing dataacquired from secret photography. At first, they thought the act of taking secret pictures would be exiting, but they begin to be possessed by a narcotic-like, dazzling effect of the images. However, they find out that the "reality" yielded from the database is quite mediocre; nobody cannot spend their life in this ordinary "reality" as an inherent subject.
著者
矢島 領 今岡 楓太 輪湖 哲也 黒田 裕子 松元 一明 木津 純子 片山 志郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.12, pp.1397-1402, 2015-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
18

Stomatitis frequently occurs during chemotherapy and radiotherapy for cancer. Because of its pharmacological properties including anti-inflammatory activity and stimulatory effects on endogenous prostaglandin synthesis, rebamipide has been suggested as a potentially effective treatment against stomatitis. In the present study we tested the stability of oral rebamipide solutions prepared in our hospital pharmacy using sodium alginate as a thickener to increase retention of this agent in the oral cavity, and the addition of different flavoring mixtures intended for use in enteral diets to reduce the bitterness of rebamipide and sodium alginate. Samples of oral rebamipide solution prepared with 13 kinds of flavoring and sodium alginate were evaluated in terms of their appearance, redispersibility, pH, viscosity, and rebamipide content immediately after preparation and 1, 3, 7, and 10 days after storage at room temperature under ambient light or in a cool, dark place. After 10 days of storage, favorable stability was observed in four sample solutions supplemented with green apple, pineapple, yogurt, and tomato flavoring mixtures intended for use in Elental® diets. These oral solutions may have potential clinical application.
著者
Cheryl Tatano Beck 中木 高夫 黒田 裕子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.362-370, 2011-07-15

「エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice ; EBP)」を提供しようとする強い外圧により,私たちの学問に質的研究から得られた最高レベルのエビデンスをもたらすために,看護研究者たちは質的研究のメタ・シンセシス訳註1の方向に目を向けるようになった。メタ・シンセシスは,質的研究をエビデンス階層のふさわしいレベルに位置づけ,エビデンス階層のレベルを高めるのに役立つ。私たちには,「実践に移植することができるように,研究者,臨床家,そして一般の人々に利用可能な知識を生みだす」責務がある(Thorne, Jensen, Kearney, Noblet, & Sandelowski, 2004, p.1360)。システマティック・レビュー訳註2は,例えば,航空機が離陸する前に,耐空性能が十分であることを確認する飛行前検査に匹敵するものである(Pawson, 2006)。メタ・シンセシスのようなシステマティック・レビューは,臨床実践に利用される前に,あるいは保健政策を形づくるのに先だって,その結果の信頼性を確かなものとするために,厳格な一連のステップを踏む。 いまから40年前,Glaser & Strauss(1971)は,もし蓄積された知識の体系を構築するための方法が使用されなければ,研究者たちがばらばらに訪問するために,その個別の質的研究からの結果は「他から切り離されている全く関係のない知識の島(p.181)」としてとどまるに過ぎないと警告した。メタ・シンセシスはそのような1つのアプローチである。Sandelowski, Docherty, & Emden(1997)は,他者から孤立して作業する「分析的マスタベーション(分析だけに没頭してしまう視野狭窄)」に質的研究者たちが貢献しないように強調した。
著者
原 佑介 菅原 彩華 山田 クリス孝介 遠藤 慶子 芦谷 早苗 五十嵐 香織 曽我 朋義 神成 淳司 黒田 裕樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.499-513, 2020-12-15 (Released:2020-12-24)
参考文献数
29

ウンシュウミカンの成分分析では,高水溶性のイオン性低分子を網羅的に探索した研究はほとんど無い.本研究では,静岡県三ヶ日産ウンシュウミカンの ‘青島温州’ や ‘興津・宮川早生’ を対象に,高水溶性成分をキャピラリー電気泳動-質量分析法によるメタボローム解析を用いて調査し,品種,グレード,処理方法ごとの総測定データも蓄積させた.この分析では,対象とした151の成分のうち,早生ではメチオニン,グリシン,アスパラギン酸が,青島ではオルニチン,プトレシン,シネフリン,グルタミンが,青島の果汁ではピログルタミン酸,GABA(γ-アミノ酪酸),マロン酸が,有意に多く検出された.さらに,生果と加工品,および加工前後での比較結果を統合し,含有成分量の変化に寄与すると推測される要因も整理した.これらの解析は,三ヶ日産ウンシュウミカンに含まれる高水溶性成分の基礎データとして,今後,代謝や加工による成分変化のさらなる検証につながることが期待される.また,本研究において,クエン酸やGABAなどの機能性表示登録がすでにある成分に加えて,機能性が示唆される成分も検出された.農産物の新規機能性成分表示の検討等においてもメタボローム解析は有用であることを強く示していると言える.
著者
黒田 裕 ISLAM MonirulMohammad ISLAM Monirul Mohammad
出版者
東京農工大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

現在のところワクチンもないデング熱は、東南アジアの広い地域で公衆衛生上の問題となっている。デングウイルスは、DEN1~4の4種類の型に大別され、それらのエピトープ領域とウイルス型に対する抗体の特異性を解明する事は重要な研究課題である。本計画では、抗体認識の特異性に直接関わる可能性が高いデングウイルスのエンベロープ糖タンパク質(以下、Eタンパク質)の第3ドメイン(以下、E3D;96残基)に注目し、その変異体解析を行い、抗体認識機構(及び部位)を分子レベルで解明する。平成23年度では、デングウイルス3型及び4型由来のE3Dを、pET発現系を用いて大腸菌で発現し、通常の精製法(ニッケルレジン、HPLC)で、高純度に精製した(培地1L当たり30mgの収量)。高純度に精製した3型E3D及び4型E3DのX線結晶構造をそれぞれ、1.8Åと2.2Åの分解能で決定し、座標をPDBに仮登録した。さらに、3型E3D、4型E3Dに対するポリクロナル抗体を作製した。また、3型E3D及び4型E3Dの抗体認識部位の数残基を互いに入れ替えた変異体(Epitope Grafted Mutant; EGM)を8種類構築し、大量発現し、精製した。現在、EGM変異体とE3Dを型特異的に識別する抗体の相互作用をElisa法で解析中である。これらの相互作用解析の結果を上記の高分解能X線結晶構造と比較することで、抗体のウイルス型特異性の物理化学的な解明が期待される。
著者
佐々木 健 黒田 裕久
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

シクロデキストリンの非共有結合性相互作用を利用する大規模自己組織化体の人工的な構築法を開発し,この手法を光合成系光集光過程の人工的モデルであるポルフィリン多量体形成に応用した。ポルフィリンのアトロプ異性を利用することにより分子の立体的な空間配置の制御が可能であり,水溶性ポルフィリンと錯形成することでポルフィリン多量体構築の際に光機能分子の配置を自由に制御できることを示した。
著者
成田 伸 大原 良子 鈴木 幸子 遠藤 俊子 齋藤 益子 吉沢 豊予子 野々山 未希子 水流 聡子 跡上 冨美 矢野 美紀 西岡 啓子 加藤 優子 森島 知子 齋藤 良子 角川 志穂 段ノ上 秀雄 黒田 裕子 工藤 里香
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

望まない妊娠や性感染症罹患の予防を専門的に支援する避妊・性感染症予防カウンセラー育成プログラムを構築した。プログラムは6日間の集合教育と専用のウエブサイトを活用した自己学習からなり、2008年度と2009年度の2回にわたって助産師を対象に開催した。育成プログラムの成果を評価するために、受講者と非受講の比較群で学習成果を比較した結果、受講者に知識の増加や態度の変容がみられた。また受講者のカウンセリング能力が向上した。今後は、育成されたカウンセラーの実践自体を評価する研究が必要である。