著者
山中 茂樹 荏原 明則 宮原 浩二郎 荏原 明則 宮原 浩二郎
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1995年の阪神・淡路大震災から、2008年の岩手・宮城内陸地震まで、この間に起きた主な地震災害を対象に被災地・被災者を対象にした復興意識調査や現地調査、自治体職員及び復興施策に関与した専門家からのヒアリング調査を実施し、復旧・復興過程で生じる地域の毀損、とりわけ「働き盛り」の流出を中心にその原因を探った。この結果、応急仮設住宅(以下仮設住宅)・災害復興公営住宅(以下復興住宅)を被災地から遠く離す疎開施策が被災地の衰退に拍車をかけている実態が明らかになった。従って、復旧・復興過程においては従前居住者をなるべく被災地から離さない施策、例えば自宅敷地内仮設住宅や被災地内における共同協調住宅の建設、住宅再建支援だけでなくやむなく長期に渡る疎開を余儀なくされた場合の生活・生業支援、仮設市街地から恒久市街地建設にいたる連続復興支援のシステム構築の必要性などを考えていく必要があることを提唱した。
著者
杉岡 良彦 中木 良彦 伊藤 俊弘 西條 泰明 吉田 貴彦
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、宗教が重視する「感謝」の気持ちに注目し、感謝が免疫細胞(ナチュラルキラー(NK)細胞)活性に影響を及ぼすのかどうか、また心理テストでどのような変化が認められるのかを研究した。感謝の気持ちを高める方法は、内観療法を応用した方法を用いた。その結果、NK細胞活性には変化が認められなかったが、「主観的幸福感」を評価する質問票では、「心の健康度」が改善した。さらに「心の健康度」の中では「人生に対する前向きな気持ち」が優位に改善した。「生活の質」を測定する質問票でも有意な改善を認めた。
著者
花方 信孝
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

花粉症をはじめとするアレルギー疾患の治療薬として期待されるCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)のデリバリーシステムを構築した。平均直径3.4 nmのシリコンナノ粒子(Si NPs)を合成し、表面をアリルアミンで修飾した後にCpG ODNを静電的に結合させた場合と、Si NPsの表面をマレイミドで修飾し、CpG ODNの一端のみを結合させた場合では、異なる免疫活性化サイトカインが誘導された。これら結合方法の異なるCpG ODNをSi NPsでデリバリーすることによって、より高い免疫活性を誘導できることを見出した。
著者
関 源太郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

18世紀中葉までにスコットランドでは、タバコ貿易やリネン製造業が次第に成長していった。それは世紀末に急速に展開する産業・経済発展、都市化へと連なる伏水流を形成していた。この歴史展開は、リネン製造業振興による経済開発を提言したパトリック・リンズィの貧民対策思想の内容にも表れている。彼は一方で、輸出産業としてのリネン製造業を育成し、この産業が繁栄する時にはじめてスコットランドの経済開発は可能になると洞察する。他方で、貧民問題、すなわち物乞いや犯罪者の増加の原因は雇用不足、失業にあると見る。つまり、彼らに雇用の機会を与えれば、彼らは「国富と国力」の源になるのである。要するにリンズィによれば、彼らはリネン製造業の発展の一助になることを通じて、『国富と国力」の増強に貢献することになる。したがって彼は、彼らを刑法によって処罰するだけではなく、彼らをワークハウスに収容しリネンの生産技術および商品経済社会にふさわしい生活習慣と倫理を身につけさせることによって、本格的な近代化、工業化、都市化に向けた胎動に資する主体に鍛え上げるよう主張する。この時期、グラースゴウとエジンバラにワークハウスが開設された。それに先だって公刊された両都市のワークハウス設立案も、主体形成という点ではリンズィの主張と見解を同じくする。もっとも、両案とも貧民問題をリンズィほどスコットランド全体の経済開発と結びつけて洞察していないが。にもかかわらず、グラースゴウの案は貧民問題をグラースゴウの地域経済開発と関連させ、エジンバラの案は非自発的失業の存在を認識している点は注目に値する。さら注目されるのは、その後エジンバラでワークハウスの運営費調達のために課税すべきかどうかをめぐる論争が起きたが、賛成派、反対派の議論によって、本格的な工業化、都市化の時代に問われた貧民救済の論点が先取りされていることである。
著者
北澤 毅 有本 真紀 間山 広朗 間山 広朗
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

教育の場において大人と子どもは非対称的な関係にある。そこには子どもへの<まなざし>ともいうべき文化的・社会的規範があり、それは教育事象自体を成り立たせているものである。本共同研究は主に社会構築主義・エスノメソドロジーの方法を駆使し、教育実践現場における相互行為場面から今日流通する教育言説、さらには歴史的資料までをも射程にとらえ、「子どもへの<まなざし>」に関する総合的研究を行った。
著者
立岡 浩 林 紘一郎 山崎 茂雄 高 榮洙 梅村 修 福冨 忠和 牛木 理一 大角 玉樹 佐藤 薫 岩瀬 真央美 雑賀 忠宏 杉田 このみ 上田 学 家島 明彦 山口 芳香
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、映像コンテンツ産業におけるNPO(非営利組織)と、NPO・行政・企業・住民の複数利害関係者の参加によるPPP(公民協働事業体)及びその支援機関にかかる、権利・契約管理及び関連する振興政策と協働経営、そしてこれらの評価システムについて、産業ビジネス観・文化芸術観・社会エンパワメント観という3つの世界観及びそれらの調和バランスとを関係づけながら、理論と実証の両面から総合的多角的に解明する国際比較研究として行ったものである。
著者
石井 徹
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

我々はふだん、一方では他者と向かい合って協力したり、逆に競争したりしている。しかし他方では結構長い時間、他者に身を委ねたり、逆に自己を主張したりして暮らしている。前者を「向かい合う信頼」、後者を「並んで座る信頼」と呼ぶ。本研究は、Garfinkel(1963)を直接の起源とする。一度崩壊した「信頼」を放ったとき、あらたにどのような「信頼」が生まれるかを探った。本研究は仮想状況を用いた実験的調査である。すなわち(a.)パーソナル・コンピュータのディスプレイ上に展開する仮想迷路と仮想アドバイザーへの対応データに基づいた(b.)具体的な意志決定パターンの変化から、(c.)信頼の形成・崩壊過程を実証的に描き出すことを試みた。本研究は平成6年度から平成8年度にかけて、実験による資料収集とその基礎解析を行った。また平成8年度は、さらに全体的分析を行った。被験者は132名(6年度49名、7年度45名、8年度38名)。18歳から25歳までの男女大学生(男子45名、女子86名)および男子社会人(38歳)1名。練習試行の後、被験者は、5回迷路をさまよった。被験者は第4試行と第5試行では迷路内に発生する「火災」を避けながら脱出した。このとき行われる「相棒」の誘導を受け容れるか否かは自由だった。第4試行で火災に3度遭遇し脱出に失敗した98名(男子28名、女子70名)のデータを分析した。分散分析の結果から、第5試行において被験者が第4試行と同様の誘導パターンを示したことを見いだした。これは特に第5試行の第2四半期以降に現れた。既知のものに対する安心と、心理的慣性の法則という二つの観点を提案し、直前に脱出失敗をもたらした意志決定パターンを被験者が再度くり返した現象について考察した。
著者
礒崎 初仁 田口 一博 金井 利之 田口 一博 阿部 昌樹 礒崎 初仁 伊藤 正次 亀井 源太郎 阿部 昌樹 伊藤 正次 亀井 源太郎
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

自治体の不祥事は多様であるが、(1)組織的不正行為、(2)組織的失敗行為、(3)職務上の個人的不正行為、(4)職務外の個人的不祥事に分けられる。その原因としては、(1)職務の複雑さと責任の拡大、(2)人材育成不足と職務環境の劣化、(3)社会からの要求の厳格化等がある。そこで対策としては、(1)事務執行の手続整備、(2)検査・監査体制の実質化、(3)関係者通報の促進、(4)人事政策・組織改革が必要である。今後の法令遵守には、(1)地方分権による決定権の拡大、(2)政策法務の発想の浸透、(3)情報公開・説明責任の仕組みが重要である。法令遵守は、自治体の自己改革と住民自治を促進する意味をもつのである。
著者
数馬 広二 KAZUMA Koji
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、江戸幕末期、関東農村で農民の身体文化の一部と位置づけられる剣術の普及とその意義を明らかにすることを目的とする。とくに、上野国(馬庭念流)・下野国(神道無念流)農村における武術流派運営の実態を調査した。(1)上野国甘楽郡の馬庭念流門人調査上野国甘楽郡内の馬庭念流門人は78村域。門人は七日市藩士(前田家)、小幡藩士(織田家 松平家)、「関守」「僧」「医師」「農民」などであった。とくに「砥石」「蒟蒻」信州米、上州絹の商取引で栄えた宿場町(下仁田町・一宮町・富岡町)に門人が多く確認された。また門人であった関守・神戸家、市川家は信濃国佐久郡への新田開発や藩への献金も行っており、馬庭念流が信濃国への門人を拡大する上で大きな役割を果たしたと考えられる。また馬庭念流が伊勢神宮へ姓名額を奉納した件では、18世樋口十郎右衛門定伊が七日市藩士として中山道の交通上の特権に恵まれ、滞りなく行われたことがわかった。このことは近世剣術流派の一事業である奉額活動が藩によって支えられた事実を示す初めての研究であった。(2)下野国太平山神社の奉納額の調査栃木県大平町にある太平山神社に奉納された武術姓名額(倉庫に保管)について枚数、姓名などにつき調査を行い、的確な番号付けと再配置を行った。作業は5日間合計作業人足は26名となった。合計84枚の額のうち剣術は、神道無念流(文政6年・嘉永7年・慶應丁卯年)の計3枚、弓術は日置流・大和流(明治28年)・奉納弓術会(明治35年)、砲術は、武衛流(慶応3年)、外記流(年代不明)であった。
著者
雪江 明彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては, 以前完成させた結果を出版することが一つの目的だった. 直近に完成した三つのプレプリントのうち二つは, 今回の研究期間中に出版することができた. 三つめは改訂中である. その結果を得る過程において, ジョルダン分解の概念を拡張する可能性に気がついた. それを遂行するのが, もう一つの目的であった. それはプレプリントという形では実現していないが, 研究は進行していて, 近い将来プレプリントになる予定である.
著者
高崎 みどり 杉本 明子 佐々木 泰子 立川 和美 星野 祐子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、文章・談話の中の引用表現について、その実態を明らかにし、分析を施すことを目的とした研究である。扱ったデータは雑談、目的をもった会話、随筆等と多岐に渡る。引用表現について、文レベルでは扱えなかった諸現象に注目し、話し手および書き手の言語行動の戦略的所産として捉え直すことで、引用表現研究の新たな研究の可能性を示すことができた。
著者
竹部 隆昌
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の命題は、九〜十一世紀というビザンツ帝国が南イタリアの領土を回復した時代に、ビザンツ=西方交渉史が如何に展開したかを考察する事にある。先行研究は、この時代についてはオットー朝三代について主に皇帝称号を巡る外交問題を扱ってきた。今回の研究成果は、先行研究が従来無視・軽視してきた時期、カロリング朝衰退からオットーの出現までの群雄割拠状態の時期に焦点を当て、外交ではなくイタリア半島情勢の歴史的展開を取り扱った。この時期のイタリア史については、教皇が世俗権力者の傀儡と堕す教皇座の最悪の時代とされる。しかし他方では、同時期にはローマ教会とラヴェンナ教会の合同が成り、クリュニー修道会運動が導入されるという、ローマ教会にとっては逆に成長・刷新期に当たるという矛盾した現象が見られる。本研究は、教皇を傀儡化した勢力が例外無く親ビザンツ政策を採っていた点に着目し、前記の矛盾現象の裏には、ビザンツ帝国のイタリア半島での勢力回復があるのではないかという着想のもとに考察をおこなった。対イスラムの目的で艦隊提供を受けた事で、当時のローマは事実上ビザンツの宗主権下に復帰していた。教皇領は理念上は中世イタリア王国の領土でもあったから、教皇領は二重の宗主権下にあった事になるが、当時北部・中部イタリアの諸勢力は覇権争いの中で例外無くビザンツの援助や同盟を求めていた事を考えると、二つの宗主権の内ではビザンツが優勢であった。その為、彼らがローマを支配する場合は、ビザンツの許容できる形をとる必要が生じた。教皇の傀儡化は、この要件を満たす一種の妥協の産物であったし、また同様の理由で表面的にはローマ教会のパトロンの姿を装う必要があったのである。つまり教皇座の失墜とローマ教会の発展という相反する同時代現象には、ビザンツ帝国の南イタリア再征服という同時代現象の副産物という側面を指摘する事ができるのである。
著者
柳澤 吉保 高山 純一
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

中心市街地活性化への寄与に視点を当てた循環バス・コミュニティーバス運行支援システムの構築では、運賃、運行間隔、始発時刻繰り上げ・終発時刻の延長、移動時間などの運行サービスレベルと循環バス需要との関係を明らかにした。さらに循環バス需要関数を組み込んだ利用者便益と、運行コストからなる循環バスの社会的便益をモデル化し、社会的便益を最大化するサービス変数決定システムを構築し、長野市中心市街地循環バスに適用した。循環バス需要関数に、バス乗車拠点および訪問先の魅力度、訪問先までの到達のしやすさに関する説明要因を組み込み、循環バス導入の社会的便益評価を行った。その結果、規模あるいは乗り換えやすさ、移動拠点としての魅力も大きい循環バス乗車拠点をルートに含め、徒歩とバスの時間損失差が大きくなるような路線網の設定が市街地内トリップの増加に有効であることが分かった。バス利用者は乗車待ち時間損失を重視していることから、運行サービスでは運行間隔の設定が重要であることが分かった。インターモーダル輸送システム構築のための、乗り換え行動を考慮した、市街地内の回遊行動分析および回遊行動を支援するための巡回バスを中心とする公共交通システム導入の有効性を検証した。回遊手段の多くは徒歩であったが、徒歩は回遊行動範囲がある程度限られるため、移動および活動範囲が広がるような回遊行動を支援する手段の導入が必要であること、回遊行動を支援するための交通システムは駐車場整備、歩行空間の整備、巡回バスの導入要望が多く、巡回バスの導入は中心市街地活性化に寄与する可能性が高いことが分かった。また、乗り継ぎサービスの向上は、路線バスの運行時刻と運行ルートの改善が重要であることがわかった。中心市街地への移動中と、市街地内での移動では、市街地周辺の道路混雑、駐車場の満空、各手段の乗り継ぎ情報の提供が重要であることがわかった。ITSを活用したP&BR乗り換えシステムの構築では、出発前にシャトルバス利用を決定した観光客は、出発前には、シャトルバスへの運行案内情報を重視し、走行中にはすでにシャトルバスの利用を決定しているので、「駐車場経路誘導情報」、「運行時間帯」、「運行間隔」への重みが強いことが分かった。一方、走行中にシャトルバス利用を決定した観光客は、善光寺周辺交通案内地図を重視し、さらには駐車料金や満空情報などのシャトルバス利便性に関する情報も重視していることなどが分かった。
著者
アレン 玉井 光江
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

研究目的:小学生・中学生の英語のphonological awareness(音韻認識能力)と単語認識能力、およびReading能力(中学生被験者のみ)の関連性を研究し、初等教育における英語リテラシープログラムの開発に必要なデータ収集と分析。研究方法:公立および私立の小学生(1619名)と中学生(94名)のデータを収集した。各被験者は英語の音韻認識、単語認識、Reading(中学生と一部の小学6年生のみ)のテストを受け、学習動機に関するアンケートに答えた。研究成果:(1)音韻認識能力の発達研究では子どもは単語を音の大きな単位から小さな単位に分節するようになるという「Developmental Progression Hypothesis」の妥当性を日本人の幼児および児童を対象に検証した。幼児の英語のonset-rime認識能力とphoneme認識能力を測定した結果、前者の認識のほうが優れており、そこには統計的に有意な差が見つかった。仮説は実証された形となる。またもう一つの児童を対象とした研究では、共分散構造分析を使い、子どもたちはまずは、日本語のモーラ単位で英語の単語を理解し、その後その認識力で音素認識力を成長させていることが判明した。(2)音韻認識能力と単語認識能力およびReading能力の発達について(1)の研究で検証したモーラ認識能力から音素認識能力を発達させるという理論を土台に、それらの力が単語認識およびReading能力全体にどのような影響を及ぼすのか調査した。その結果、2種類の音韻認識能力は直接単語を認識する力に影響を及ぼしていることが判明した。しかしReading能力まで測定した研究においては、共分散構造分析の結果、Reading能力を予測する力は音素認識能力のみであり、モーラ認識能力は音素認識能力を予測する力にはなるが、Reading能力には直接関連しないことが判明した。
著者
三上 敦史
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

1950年代までの予備校は、大学入試に備えた授業と、出版社・学生団体が作成した模擬試験を提供するだけの場であった。しかし、1960年代になると、情報化の重要性に気がつき着手する予備校が出始める。中でも先駆的だったのが名古屋の河合塾であり、高等学校との情報交換を密にし、従来はテリトリーの外であった東京に校舎を設置して、中央の受験情報を独自に収集する体制を取る。それはやがて全国の高等学校・予備校の進路指導に影響を与える「全国型予備校」への第一歩となった。
著者
菅井 英明 柳澤 好昭 朝日 祥之 赤木 浩文 宮谷 敦美
出版者
独立行政法人国立国語研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究の目的本研究は,外国人の日本定住志向が強まり「社会的統合」(就労進学の機会の保障)政策導入の必要が高まっているに当たって,判断材料となる資料を整備することを目的としている。これまで法律面での整備は既に完了しているが,教育政策の枠で「社会的統合」の観点から見た外国人子弟の行動様式や価値観についての実態調査や提言は,なされてこなかったことを鑑み,本研究では,教育政策として必要となる資料を,質問紙調査とテストを基に作成する。研究の方法と結果本研究では,まず,質問紙調査を用いて,主に東海地域に定住している158名の13歳から22歳までの定住ブラジル人子弟に対して調査を行った。そこでは,主に社会的統合の進行を示す指標として,重要な進路等の決定を誰が行うかといった意識面と,現実のコミュニティでどのような言語生活を行っているかの実態面との両面について調査が行われた。アンケート結果からは,生活の実態としての統合が進んでいても,子弟には強い帰国の意思があることなど先行研究と裏づける結果が確認された。また,日本社会への理解も母文化への尊敬も同時に持ち合わせていることも示された。しかし,日本語で思考する子弟が4分の1以上いるなど,統合の程度が進んでいることを示す新しい実態も把握できた。次に,定住ブラジル人子弟読み行動が日本人のそれと異なることに着目し,定住ブラジル人に対する読解テストと読み行動に対するアンケートを行った。また,比較のため,大学入学年齢の日本人予備校生に対しても同様の調査を行った。テスト結果に基づき,高等教育に必要な読解の能力を特定した。波及効果今回の調査の結果は,科研修了後も各種研究会,学会等で発表し,また結果を定住ブラジル人社会に紹介する予定である。また,研究全体の結果は報告書として刊行した。調査結果全体は,今後,定住ブラジル人の円滑な統合に必要となる教育政策に対して提言を行う場合の参考資料となりうるものである。
著者
海野 進
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

オマーンオフィオライトのシート状岩脈群の石基鉱物粒径の層序変化をもとに拡大軸直下における上部地殻の温度構造を推定した。マグマのリキダスを1150℃,シート状岩脈群最上部の平均温度を100℃と仮定すると,母岩温度は噴出岩層/シート状岩脈群境界からの深さ570mで180℃,990m で最高温度670℃,シート状岩脈群/上部ガブロ境界で530℃であった。また,シート状岩脈群下部330m の地温勾配は最大1.7℃/m と推定された。
著者
徳井 丞次
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

資本に体化された技術進歩の仮説は、資本財そのものの性能の向上がそれを投資して利用する部門の生産性上昇の要因となる可能性を示唆するものであるが、それは翻って投資が停滞する1990年代以降の日本経済の生産性低迷を説明できるかもしれない。本研究では、ミクロデータを使った実証分析を整合的になるように、中間投入を明示的に含む生産関数から資本に体化された技術進歩の枠組みを導出し、その枠組みに基づいて推計された資本に体化された技術進歩率をマクロに集計して、日本経済のTFP上昇率と比較し、資本に体化された技術進歩率が無視できない要因であることを確認した。
著者
長山 芳子
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

重曹は「人にも環境にもやさしい」洗浄剤として普及し始めたが、被服の洗濯に対する記載が少ない。本研究では、衣類の水系洗濯における重曹の効果について、湿式人工汚染布を用いた洗浄実験、モデル油性汚れを用いた乳化・可溶化実験、モデル固体微粒子汚れカーボンブラックに対する分散性実験を行った。その結果、 重曹は単独で用いるより、石けんと併用することにより、油性汚れおよび固体粒子汚れのいずれの除去に対しても洗浄効果を高めることが明らかとなった。
著者
香取 淳子
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

オーストラリアの映像コンテンツ政策について、(1)人材育成、(2)財政支援、(3)環境整備支援、3つの側面について、行政資料、統計データ、新聞雑誌記事、文献等を渉猟し、関係者への聞き取り調査をして検証した結果、その有効性が確認された。連邦政府の支援策が州政府、民間の支援策を生みだすといった連鎖反応を呼び、効果をあげており、オーストラリアがデジタル技術を駆使した映像コンテンツの領域で大きな存在感を示すようになっていることが判明した。