著者
大知 徳子 本多 博之 秋山 伸隆
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、宮島に伝来する文書のうち、「野坂文書」「大願寺文書」等の近世文書を整理し、未整理の文書の編年目録を作成・分析し、主要な文書を活字化することにより、近世における厳島神社及び大願寺の継承と変質を明らかにしようとするものである。
著者
竹田 章作 斎藤 進也
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

昭和の映画全盛時代に映画フィルムと観衆を繋げ映画文化の一端を担ってきた映画館の独自の文化について「関連資料とオーラルヒストリーのデジタル保存」、「アーカイブ管理システムの開発・運用」、「人的ネットワークの構築」という3つの方法を用いた“映画館文化”を保存するための実践的研究を展開していく。そして、この目的にアプローチするプロセスを通じ、「映画館文化研究」を既存の映画研究の体系へと接続するとともに、デジタル・ヒューマニティーズの観点から非フィルム資料の保存と継承に関する方法論的知見の導出を目指す。
著者
朝倉 宏 中村 寛海
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,食品媒介性感染症として世界中で多発するカンピロバクターがヒト生体内での感染過程で顕す遺伝子発現及び腸内細菌叢の動態を発症患者由来検体を研究対象にプロファイル化し,疫学情報及び原因菌株のゲノム特性と融合を通じ,本菌感染に伴う病態発現の分子基盤に係る基礎知見の集積を図ることを目的としている。ヒト腸管環境において本菌が顕す病態形成機構は依然として不明な点が多く、主たる病原因子の同定並びに微生物間クロストークに関する分子解明,ひいては予防治療に資する標的分子の特定や腸管環境下の細菌叢調節を通じた感染制御策の構築等へと波及することが期待される。
著者
新倉 雄一
出版者
城西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

卵巣は女性に美と健康をもたらす器官ですが、その機能を司る卵胞は加齢によって消失します。新たに卵胞を形成することで卵巣の機能を維持したり、若返らせたりすることが理論上可能です。しかし、その具体的な方法はまだ確立されていません。この研究は、卵胞形成になくてはならないStra8という分子の働きを人為的に制御する方法を確立し、この分子を標的とする治療によって卵巣の機能再生と老化現象の抑制が可能となるのかを検証します。この研究が成功すれば、卵巣を若い状態に保つことで、健康的に年をとることを可能にし、また妊娠とキャリアの両立といった社会で活躍する女性の生き方に新たな選択肢をもたらすことが期待されます。
著者
キタイン アルマンド
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

マイクロ波-水熱及び炭素系触媒のアプローチを活用して、200 ℃ のより穏やかな条件で酸化グラフェン (GO) を還元することに成功した。還元された GO は、糖 (例え:グルコース、フルクトースなど) を 5-ヒドロキシメチルフルフラール (5-HMF) などの有用な生成物に変換する際に高い触媒活性を示し、50% 以上の収率が得られた。 rGO に Fe や Cu などの金属イオンをドープすると、触媒活性がさらに向上した。出発物質としてのフルクトースへの影響は、グルコースよりも有意であることが観察された。反応機構を解明し、コンピュータシミュレーションによりパラメータを計算した。
著者
脇谷 草一郎
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

地盤とつながった状態で置かれている磨崖仏や露出展示された遺構では、石材や土などの材料表面で塩が析出することで、材料表面の破壊がしばしば引き起こされる。とりわけ、磨崖仏や装飾古墳のように、材料表面に彫刻や装飾が施されているものでは、表面一層の滅失は文化財的価値を大きく失うことになる。塩析出による遺構の劣化を抑制するためには、塩析出を抑制する温熱環境を実現するとともに、遺構表面に濃集した塩を除去することが効果的と考えられることから、本研究では遺構に含まれる塩分を効果的に除去する手法の開発を試みる。
著者
新津 富央
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

薬物治療中かつ抑うつ状態にある気分障害(双極性障害及び大うつ病性障害)患者において、血清中グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)濃度が健常者よりも低下していることを報告した。この知見に基づいた本研究の目的は、①治療抵抗性気分障害における血清中GDNFのバイオマーカーとしての可能性を、縦断的観察研究により探索すること、②GDNFを治療抵抗性気分障害の新規治療ターゲットとして捉え、GDNF発現増強作用を有する既存薬の効果を自主臨床試験により探索することである。本研究により、治療抵抗性気分障害の病態解明と新規治療薬開発への応用が期待される。
著者
杉野 健太郎
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

デビュー作『楽園のこちら側』の「すべての神は死に、すべての戦争は戦われ、そして人間への信頼はすべて揺らいでいる(中略)心に神はいなかった」という「失われた世代のマニフェスト」は「罪の赦し」(1924)というカトリック教会からの離脱物語まで続く。しかし、翌年の代表作『グレート・ギャツビー』(1925)で私がモダンな信仰と呼ぶような近代的信仰が成立する。モダンな信仰とは、近代的の啓蒙思想の流れにあり、アメリカのポジティヴな思想などとも通底する世界と自己に関する楽観的信仰であり、現在もよりどころとされる人権思想とも深く関わっている。しかし、その信仰も次作『夜はやさし』(1934)では失われてしまう。
著者
前田 綾 宮脇 正一 大賀 泰彦 中川 祥子 古川 みなみ 上村 修司 井戸 章雄 日野 沙耶佳
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、胸焼けなどの不快感と求心性の内臓知覚とストレス物質の動態に着目し、食道内酸刺激で産生されるメディエーターおよびストレス物質の動態などの神経免疫学的観点からブラキシズムの発症メカニズムを解明することである。また、求心性知覚神経を介した胸焼け等の不快感を自覚させる食道知覚とストレス物質の動態が咬筋活動を増加させることに着目し、ブラキシズムの発症のメカニズムを解明する。これらが明らかとなれば、上部消化器疾患と精神疾患およびブラキシズムに関する難治性の病因について新たな知見を提供して新規治療方法の開発に繋がる可能性があり、患者のQOL向上ひいては健康寿命の延伸に繋がると考える。
著者
渡辺 能行 尾崎 悦子 松井 大輔 小山 晃英 栗山 長門
出版者
京都先端科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

過敏性腸症候群は腹痛や腹部不快感、便通異常を主症状とした消化器症状が持続、または寛解と増悪を繰り返す機能性消化管障害の一つである。これまでの国内外の研究では偏りのある有病症例が対象となっていて罹患率や罹患のリスク要因も全く検討されていないので、主として臨床症状に基づいた診断の国際基準である「RomeⅢ」日本語版質問紙票を用いた調査が既に5年前に実施されている40~74歳の一般京都府民3,910人において再調査を行い、その罹患率と罹患に関わるリスク要因を前向き研究として実施する。
著者
市江 雅芳 関 敦仁 関 和則 半田 康延 藤居 徹 山本 澄子 大澤 治章
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、治療的電気刺激が片麻痒患者の歩行能力を改善するメカニズムを、筋音図・筋電図・動作解析を用いて明らかにすることが当初の目的であった。しかし、測定用マイクロフォンの質量が大きく、慣性による雑音が生じることが判明した。これは根元的な問題であるため、片麻痺患者の歩行動作時筋音図測定は断念せざるをえなかった。そこで、臨床研究は治療的電気刺激の効果確認に留め、測定システム更新後の布石として筋音図の基礎的な研究を行うこととした。1.2チャンネル表面電極式電気刺激装置を用いて、慢性期脳卒中患者5名に対し治療的電気刺激を行った。刺激部位は、大腿四頭筋および総腓骨神経で、交互刺激を1回15分間、一日2回行った。治療期間は約3ヶ月であった。その結果、歩行速度に改善が認められ、膝伸展力にも増加が認められた。2.筋音図計測の基礎実験を健常被験者で行った。大腿直筋および外側広筋、内側広筋を対象に、筋電図および筋音図の特性の違いを検討した。その結果、筋電図よりも筋音図において、膝の回旋肢位による違いが鮮明に現れることが判明した。また、筋電図は収縮力の増加に伴い比例的に積分筋電図が増加する現象が確認されたが、筋音図は、最大膝伸展の80%において、積分筋音図が減少する現象が認められた。3.次に等尺性筋収縮時における筋音図と筋電図の周波数特性を比較検討した。膝関節伸展時の大腿直筋の筋活動を、筋質図と筋音図により測定し、これらをFourier変換とWavelet変換を用いて周波数解析を行った。その結果、筋電図は筋の電気的活動そのものをとらえているが、筋音図は筋コンプライアンスの変化に伴う筋の固有振動周波数の変化をとらえていることが判明した。4.今後、質量の少ない筋音図測定装置を開発すれば、脳卒中片麻痺者の歩行が治療的電気刺激によって改善する筋に関する要因を明らかにすることが出来ると考えられる。
著者
一杉 裕志 佐野 崇 中田 秀基 高橋 直人 竹内 泉
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究ではヒトのような合目的的な言語理解・発話計画を行う機構の基本原理を明らかにする。対話の目的は長期的な報酬期待値最大化であると仮定し、我々が開発した再帰的強化学習 RGoal を用いて、対話を行うための行動ルールを自律的に学習・実行する知的エージェントを実装する。さらに、エージェントの脳内のワーキングメモリの機構や、知識獲得を促進させるためにエージェントの脳・身体に備わる様々な機構を実装し、性能との関係を明らかにする。
著者
牧野 昭二 ルトコフスキ トマシュ 宮部 滋樹 寺澤 洋子 山田 武志
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本プロジェクトでは、人が音の空間性を認識するときの脳活動に着目し、基礎研究を行なうとともに、このような空間性を有する音の聴取時に観察される特徴ある脳活動を利用したブレインマシンインタフェースの開発を行なった。今年度は、空間聴覚刺激に対する事象関連電位の統計的特徴に基づいた電極と潜時の選択手法を提案し、識別率を向上させた。音の出力法の試みでは、スピーカによる実音源と仮想音源でP300反応に個人差があること、視覚刺激より振幅が小さいこと、頭部伝達関数を利用した空間聴覚刺激が後頭部にP300を誘発させることを確認した。
著者
谷 美奈
出版者
帝塚山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は,① パーソナル・ライティングとアカデミック・ライティングの其々の特徴と長所を見出し,対立ではなく,融合する新しいタイプの文章表現教育(パーソナル・アカデミック・ライティング)を開発・実施し,その教育効果を測ること, ② パーソナル・アカデミック・ライティングを,異なる大学や学問分野に応用したり,実施の可能性を高めたりすることによって,その拡張を図ること, ③ 以上を通じて,大学教育におけるパーソナル・アカデミック・ライティングの実践モデルを開発し理論化すること,にある.
著者
星野 一郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

リーマン・ショックをはじめとした金融危機において問題となると考えられる論点のうち,次のようなテーマについての研究をおこない,その成果を公表した。すなわち,貸倒引当金の設定主体と設定客体そして設定対象の会計的特性,企業継続を前提とした清算価値算定システムとしてのストレステスト,ストレステストにおける格付けの役割と関係そして影響に関する会計学的研究,財務会計ルール運用上の『遊び』の意義と弊害などである。さらに,広義の金融危機に関連するテーマとして,次のテーマについても研究し,その成果を公表した。それは,会計研究のあり方をめぐる若干の考察と出張費をめぐる不正経理の実態とその制度的背景などである。
著者
笠島 理加 井元 清哉 廣島 幸彦 山口 類
出版者
地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

現在のがん臨床シークエンスは、がん細胞のみを対象としたゲノム情報に対して効果のあると推察される分子標的薬を提案している。更に、治療到達率の飛躍的な向上を目指すには、癌の進展(増殖、生存、浸潤、転移)を促進している微小環境の情報も加味することが重要であると考えられる。本研究では、臨床で使用可能なbulk のがん組織のゲノム情報を数理的に各細胞グループに分離、分析する新規Virtual dissection モデルを構築し、がん細胞とそれを取り巻く微小環境、両方のゲノム情報を加味した、より高精度な次世代がんゲノム医療の確立を目指す。
著者
吉川 雅弥
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

リバースエンジニアリングの技術の進歩に伴い,ハードウェアトロイの脅威が顕在化してきた。ハードウェアトロイとは,予め定めた発動条件を満たした場合,不正な動作を行うハードウェアウイルスのことである。一方,機密情報は,理論的に安全性が保障されているアルゴリズムを用いて,データを暗号化している。しかし,暗号化は回路で行われるため,その回路動作時の消費電力等を測定することで,不正に内部の秘密情報を解析する攻撃が研究されている。そのため,最近では暗号回路を対象に,いくつかの不正防止回路が開発されている。そこで本研究では不正防止回路も含めた暗号回路に対するハードウェアトロイの対策・検出手法を開発した。
著者
伊藤 健吾 秋山 吉寛 近藤 高貴 岸 大弼
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

希少種カワシンジュガイの保全のため,宿主魚を多く養殖している養魚場の活用を試みた。その結果,養魚場のような高密度で宿主魚が生息している環境であれば,ごく少数の母貝から吐出されるグロキディウム幼生であっても十分な個体群を維持できることが明らかになった。また,幼生の寄生による宿主魚への影響を調べたところ,本調査地におけるカワシンジュガイの個体群維持に必要なレベルの寄生数(宿主魚一尾当たり数百)では成長率及び生残率には影響がないことが示された。以上の結果,イシガイ目二枚貝の保全には,水産業のような宿主魚を高密度で養殖している場所を積極的に活用することが非常に効果的であることが明らかになった。
著者
浦野 茂 喜多 加実代 早川 正祐
出版者
三重県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

現在の日本の精神医療は、精神障害当事者の意思と価値に基づく支援・治療・研究開発の意義が認められつつあるが、その実現にとって多くの障壁が残されている。数あるこうした障壁のうち、本研究は精神医療にそなわる認識方法である病識評価に着目し、これが精神障害の経験を理解し表現するための概念的資源を構造化し、制約してきた状況を解明する。解明の対象には、戦後から現在までの日本の主要精神医学雑誌記事と当事者による手記を設定し、その叙述における関連概念の用法を分析する。これを通じて本研究は、精神障害の経験を理解し表現するための既存の概念的資源にそなわる倫理的問題を明らかにし、その改良に向けた提言を行う。
著者
宇田川 拓雄 松本 美奈 白鳥 成彦 田尻 慎太郎
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

現代では高学歴は有利な職業と豊かな生活へのパスポートである。大学に入学しても不本意に退学することは本人、家族、社会、大学に痛手である。大学の退学リスクの情報は大学ガイド(大学案内)の最重要項目である。「大学の実力」(読売新聞社)は従来、大学が公表していなかった退学率を調査し公表した。本研究ではその2008年と2018年のデータで大学を「改善」「悪化」「停滞」「順調」の4タイプに分け、タイプ別に退学率と教育改善策の関係を分析する。米国では1982年にニューヨークタイムス誌が大学ガイドを発表するなど大学情報の公開が進んでいる。日米の大学ガイドを比較し退学リスクの低い大学の特徴を明らかにする。