- 著者
-
名倉 秀子
藤田 睦
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.29, 2017
【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え次ぐ日本の家庭料理」に基づき,昭和30~40年頃の家庭料理を含めた食生活の様子,家庭料理を聞き書き調査し,次世代に伝え継ぐ家庭料理における間食の特徴を検討した。<br />【方法】栃木県内の那須野ヶ原,日光山間,両毛山地,渡良瀬流域,鬼怒川流域2か所の全6地域について,家庭の食事作りに係わってきた19名を対象に面接調査を行った。対象者はその地域に30年以上居住している60歳以上とし,地域での暮らしと食生活の特徴と概要,印象に残っている食と暮らし,伝え継ぎたい家庭の料理を聞き書き調査した。その内容から,間食に関係する料理を抽出して,特徴をまとめた。<br />【結果】昭和30年~40年頃における栃木県内の農家数は約125,000戸,昭和16年~平成27年の農林センサスにおいて最も農家戸数の多い期間で,現在の2.3倍であった。調査対象者も農家(自給的農家を含む)であるため,間食の位置づけは農作業の空腹を満たす小昼飯(こじはん,こじゅはん)であった。料理では,芋類のさといもを「いも串」,じゃがいもを「いもフライ」,さつまいもを「かんそう芋」,「ふかし芋」,米類のもちを「揚げもち,のりもち,豆餅」,もち米とうるち米を使用して「かんごろし」,小麦類の「炭酸饅頭」などが挙げられた。芋類,小麦類,米類の他にトウモロコシを茹でるかまたは蒸したり,「そばがき」や「甘酒」などに加工するなど,収穫された農産物や屋敷回りにある生柿,干し柿などを間食に利用していることが明らかになった。また,お茶と一緒にぬか漬け,たくあん漬けなどの漬物(こうこ)を一緒に食べている事が特徴として挙げられた。