著者
鄭 成
出版者
早稲田大学アジア太平洋研究センター
雑誌
アジア太平洋討究 (ISSN:1347149X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.103-121, 2022-02-28 (Released:2022-03-24)
参考文献数
20

In the early years of the People’s Republic of China (RPC), to strengthen the thought reform of the entire population, the Chinese Communist Party (CCP) pursued a literary and artistic policy that emphasized politics but ignored the objective law of artistic creation, leading to an unprecedented decline in literary and artistic creation. Nevertheless, this policy was strongly supported by many literary and artistic cadres back then, including Cai Chusheng, the subject examined in this article.Before 1949, Cai Chusheng had already been a well-known director who produced many excellent films and owned unique insights and high attainments in artistic creation. As a matter of common sense, an artist like him should not easily recognized the then literary and artistic policy, but the reality is opposite.Cai Chusheng’s recognition of the literary and artistic policy can also be regarded as his recognition of and adaption to the thought reform as an artist. What factors, then, affected Cai Chusheng’s thought and motivated him to recognize and support the literary and artistic policy? Answering this question is significant for understanding and exploring the transformation of intellectual thinking during the early years of the PRC from multiple perspectives. This article examines each of the five aspects of values, work experience, information environment, living condition, and family relations to analyze how they affected the formation and solidification of Tai Chusheng’s thought.Regarding the thought reform in the early years of the PRC, many studies focus on the persecution of and crackdown on intellectuals. They regard that the reason why intellectuals lost the ability of independent and critical thinking was mainly due to political oppression and the enclosed social environment brought about by the thought reform. Therefore, many intellectuals’ recognition and acceptance of socialist thought is a passive result. While recognizing this view, the author argues that there were many types of intellectuals back then, and due to their divergent values, work environments, and life situations, except for political repression mentioned above, many other factors play a role in the process of their thought transformation.
著者
林田 達也 柴戸 靖志 浜地 勇次
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.197-201, 2010 (Released:2010-04-25)
参考文献数
30

結球アブラナ科作物であるハクサイおよびキャベツの結球葉と収穫残さである外葉のCa供給源としての有用性を明らかにする目的で,化学形態別Ca含量を部位別に分析し,その特性について明らかにした.ハクサイ‘無双’,キャベツ‘金系201’における総Caおよび水溶性Ca含量は収穫残さである外葉のほうが,可食部である結球葉,主茎より高かった.両作物の結球葉における水溶性Ca含量はツケナの40%以下であった.しかし,ハクサイおよびキャベツの外葉における総Caに占める水溶性Ca含量の比率は,結球葉より高く,キャベツの外葉における総Ca含量および水溶性Ca含量はそれぞれツケナの2.1および2.9倍であり,ハクサイの外葉の総Ca含量および水溶性Ca含量はツケナと同等であった.以上のことから,ハクサイおよびキャベツの収穫残さである外葉はCa供給源として有望であることが示唆された.
著者
加賀谷 光祐 冨澤 眞樹 遠山 宏明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.3, pp.144-153, 2022-03-01

Lunar Lockoutは解の存在を判定する問題がNP困難であることが知られているスライディングブロックパズルである.また,Generalized Lunar Lockout Variantは動かない駒の使用を認めたLunar Lockoutであり,解の存在を判定する問題はPSPACE完全であることが示されている.本研究では,Generalized Lunar Lockout Variantに対して,各駒の移動回数を高々k回に制限した解が存在するか否かを判定する問題を導入し,k≧ 3のときNP完全であることを証明した.
著者
細貝 亮
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-115, 2015

早大学位記番号:新7218
著者
垣沼 絢子
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

今年度は、日本レヴュー史研究の最終まとめとして、戦後ヌードレヴューにおける身体統制と身体美のイデオロギーについて、研究し、発表した。1)東宝のヌードレヴュー劇場と、戦後を代表する伝統演劇の前衛演出家である武智鉄二の交錯の意義を、身体統制と身体美という側面から明らかにした。武智は東宝のヌードレヴュー劇場で、伝統芸能である能をヌードで上演したが、現在から振り返ると、それが武智鉄二本人にとって、また東宝のヌードレヴュー劇場にとって、日本人としての身体美および身体制度について考え直す、ターニングポイントとなっていたことがわかった。2)昨年度末に行ったアメリカ国立公文書館でのGHQ/SCAP資料の調査をもとに、占領期日本演劇のレヴューの検閲や統制について、これまで不透明であった占領軍側の立場を明らかにした。残された検閲資料や会議録から、実際にどのような検閲が行われていたのか、どのような会議が行われ、日本の演劇人たちとどのような交渉が行われていたのかなどについて、日本側の報道や記録とは異なる側面を分析した。その結果、占領期におけるヌードレヴューの規制の背景には、ヌードレヴューを鑑賞しに行っていた占領軍の兵士たちを統制・保護するという側面があったということがわかった。こうした事実の解明により、日本における戦後レヴューの展開において、ヌードレヴュー実践者たちの言説に基づいたこれまでの研究に、占領軍側の交渉を反映することができた。3)占領期レヴューの検閲について、アメリカ国立公文書館および早稲田大学演劇博物館所蔵の検閲台本や会議録を分析した。その結果、検閲の実態を明らかにするとともに、舞踊の検閲の難しさもまた、浮き彫りにすることができた。舞踊の検閲台本を検証することは、舞踊のアーカイブ方法について考えることにつながるもので、本研究が、広く舞踊研究にも寄与しうることが示唆された。

1 0 0 0 OA AIと地理学

出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.64-67, 2022 (Released:2022-04-21)
著者
長谷 亜蘭
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.263-269, 2022-04-15 (Released:2022-04-15)
参考文献数
12

Using a novel educational method that incorporates problem-solving game activity into science and engineering education, the author is energetically performing educational activities for children and young people who will bear the next generation. Even in the new normal life, which is a lifestyle change caused by COVID-19 in recent years, it is important to continue to provide children with educational opportunities to come into contact with science and engineering. By promoting online educational practices using the developed teaching materials, it is possible to convey the importance and fun of science and engineering to more children, not just in limited areas. This article introduces the newly developed online teaching materials and the results obtained through the execution of the events, and describes the advantages and problems of implementing the educational method.
著者
森田 紘平
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本年度の研究実績は大きく三つに分けることができる.物理学における創発の一般論,存在論的構造実在論の洗練,および量子力学の思想史の展開である.まず,物理学の不連続性の典型例である創発について,主に量子力学と古典力学の関係に注目して,モデル概念の重要性を指摘した.より具体的には,準古典的領域が不可欠である量子論と古典論の間の関係づけについてパターン実在論による特徴づけが不十分であり,創発的なパターンとして実在性を確保するためにはモデルの役割を強調する必要があることを示した.次に,ミクロな量子力学的領域に関する存在論である存在論的構造実在論についてその内容を洗練させた.特に,多くの議論が異なる意味で用いてた「構造」や「先行性」といった概念を精緻化して,量子力学に応用することで,ミクロ領域の存在論的特徴付けを行った.この営みは,我々の日常的なスケールである古典的な領域についての存在論的地位を特徴づけることに役立ち,物理学における不連続性を明確化する助けとなる.さらに,このような量子と古典の対立の思想史的展開についても研究を行った.量子力学の哲学においては特に重要視されるニールス・ボーアの歴史的資料を分析することで,ボーアが1920年ごろに量子論や古典論についてどのような立場を取っていたのかを明らかにした.以上,これらの研究は量子力学と古典力学の関係に限定されているが,前者二つの研究は,さらなる応用が可能である.一方で,後者については,現代の不連続性の理解のされ方を特徴づけるために重要な視点を与えるものであると言えるだろう.
出版者
私製
巻号頁・発行日
1951
著者
田村 元樹 服部 真治 辻 大士 近藤 克則 花里 真道 坂巻 弘之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-014, (Released:2021-10-22)
参考文献数
38

目的 本研究は,うつ発症リスク予防に効果が期待される65歳以上の高齢者のボランティアグループ参加頻度の最適な閾値を傾向スコアマッチング法を用いて明らかにすることを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が24市町村に在住する要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した,2013年と2016年の2時点の縦断データを用いた。また,2013年にうつ(Geriatric Depression Scale(GDS-15)で5点以上)でない人を3年間追跡し2013年のボランティアグループに年1回以上,月1回以上もしくは週1回以上の参加頻度別に,2016年に新たなうつ発症のオッズ比(OR)を,傾向スコアマッチング法とt検定などを用いて求めた。結果 参加群は,年1回以上で9,722人(25.0%),月1回以上で6,026人(15.5%),週1回以上で2,735人(7.0%)であった。3年間のうつの新規発症は4,043人(10.5%)であった。傾向スコアを用いたマッチングでボランティアグループ参加群と非参加群の属性のバランスを取って比較した結果,月1回以上の頻度では参加群は非参加群に比べて,Odds比[OR]0.82(95%信頼区間:0.72, 0.93)と,うつ発症リスクは有意に低かった。年1回以上の参加群ではORが0.92(0.83, 1.02),および週1回以上では0.82(0.68, 1.00)であった。結論 高齢者のボランティアグループ参加は,月1回以上の頻度で3年後のうつ発症リスクを抑制する効果があることが示唆された。高齢者が月1回でもボランティアとして関わることができる機会や場所を地域に増やすことが,うつ発症予防対策となる可能性が示唆された。
著者
前島 のりこ 丸山 剛 岸本 圭司 鶴巻 俊江 清水 朋枝 石川 公久 吉田 太郎 江口 清
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P3178, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】脊髄は脳に比べ、血管の構造上梗塞は起こりにくいとされている.当院では、ここ2年で4例の脊髄梗塞症例を経験した.1例は、現在入院中である.当院で経験した症例と過去の文献を検討し、予後予測の妥当性と予後に向けたPTとしての対応を検討する.【対象】2007年4月~2008年10月の期間の脊髄梗塞症例4例.症例1(入院中症例):60歳、男性.胸部下行大動脈瘤人工血管置換術後に発症.病変はTh8-11、脊髄灰白質前方(左優位).左優位の対麻痺.MMT IP2/1、Quad3-/2-、TA3/2.車椅子移乗中等度介助レベル.現時点でリハ期間2か月.症例2:68歳、男性.腹部大動脈瘤人工血管置換術後に発症.病変はTh11/12以下脊髄円錐部、対麻痺.下肢筋力MMT2.車椅子移乗自立で自宅退院.リハ期間は8か月.症例3:63歳、女性.大動脈弁閉鎖不全術後4日目、約1時間に渡る心停止後に発症.病変はTh8-12、脊髄前方1/2.対麻痺.下肢筋力MMT1-2.車椅子移乗一部介助レベルで他院へ転院.当院リハ期間は5か月.症例4:72歳、女性.特発性、後脊髄動脈症候群、Brown-Sequard型.病変はTh11-L1、左後索.感覚性失調症状を主とした左下肢麻痺.発症時は下肢筋力MMT2-3、発症後5カ月でMMT4以上.深部感覚障害は改善傾向も、失調症残存.屋内両松葉杖歩行、屋外車椅子駆動自立にて、自宅退院.入院リハ期間は約2か月半、現在は週1回当院で外来フォロー中.独歩も数mであれば見守りで可.【考察】文献では、脊髄梗塞において予後不良となる因子として大動脈疾患由来、両側性の障害、発症時の麻痺が重度、女性、梗塞巣が灰白質と白質に拡がっていることなどが挙げられている.また、予後良好因子は、片側性で梗塞巣が前角に限局していること、発症時のまひが軽度に加え、Brown-Sequard型であることが挙げられている.症例2,3ともに予後不良因子のうち2つ以上該当しており、車椅子レベルであった.症例4は、Brown-Sequard型で文献通り予後は良好に推移している.症例1は、予後良好因子と予後不良因子を併せ持つ症例である.過去の報告より、大動脈疾患由来の前脊髄動脈症候群の症例では、4例中3例が車椅子レベルとなっている.以上から、機能的には何らかの形で歩行可能となるが、実用的には車椅子レベルであると予測する.プログラムとしては、歩行練習を実施しながら、車椅子移乗練習などの車椅子動作練習を中心に立案し、自宅改修等の環境調整についても検討の必要が考えられる.【まとめ】脊髄梗塞の病因や病変部位、発症時の状態から、ある程度の予後予測ができる可能性が示唆された.PTとして予後を適切に判断し、予後に応じたプログラムの立案・実施と、早期から他職種と連携し環境調整を進めていくことができればと考える.
著者
堀 雅夫 金田 武司
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1101-1106, 2009 (Released:2010-07-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2

日本の乗用車市場に、ICEVに代わってHEVとPHEVを導入することによる、長期的なエネルギー需給構造の変化とCO2排出削減の効果を、ロジスティック曲線を用いた導入シナリオにより評価した。登録車・軽自動車の平均的な走行パターン、電池価格、電池容量などを想定し、エネルギー費用を含む車両保有の経済性についても調べた。
著者
石井 健敏 谷口 弘之 斉藤 亜紀良
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.131, no.3, pp.205-209, 2008 (Released:2008-03-14)
参考文献数
20

片頭痛は頭痛発作を繰り返す疾患であり,本邦では人口の8.4%に存在する.男性に比べて女性での発症率のほうが高く,症状は悪心および嘔吐を伴うことが多い.痛みは激烈で,日常生活および社会生活に大きく影響することから,その病態の解明や治療法の確立は重要且つ急務であると考えられる.片頭痛の治療は,本邦においても2000年にトリプタン製剤が承認されて以降,スマトリプタンを含み合計4種類が臨床で使用されるようになり,新時代を迎えた.セロトニン1B/1D受容体作動薬であるトリプタン系の薬剤は片頭痛に対して治療有効性が高く,多くの患者に有益な効果と日常生活の質の向上をもたらした.しかし,トリプタン製剤もその治療効果は必ずしも十分であるとは言い切れない.また,血管収縮作用を有することから,その使用にあたり制限があることや,熱感,倦怠感,めまいなどの副作用が誘発されるなど,いまだ問題を抱えている.したがって,片頭痛の治療において新規な作用メカニズムを有する薬剤を創製することは今後も必要であろう.片頭痛の発症機序および病態生理についてはいまだ十分には解明されていないものの,血管説,神経説および三叉神経血管説の3つの仮説が有力である.これら3つの仮説のいずれかに当てはまる現象を指標として創薬研究が行われている.
著者
渡邊 智子 安井 健 田中 敬一 布施 望 鈴木 亜夕帆 佐々木 敏 山下 市二 安本 教傳
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.314-320, 2011-03-30 (Released:2011-04-27)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

The principal 705 Japanese foods were selected from the Standard Tables of Food Composition in Japan — 2010 — (Standard Tables) because these foods are known to contain available carbohydrates including starch, glucose, fructose, sucrose maltose and/or lactose. Individual available carbohydrate contents were calculated and tabulated based both on the estimated saccharide (carbohydrate minus dietary fiber) content of each selected food in the Standard Tables and the starch and sugar content of the food included in The McCance and Widdowson’s The Composition of Foods, USDA National Nutrient Database for Standard Reference and other sources. Because the compiled tabulated form, the Japanese Starch and Sugars Presumptive Composition Tables (JSSPCT), is harmonized with the Standard Tables, one can utilize the data in the JSSPCT as a reference for research and other purposes until and after the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology or other national organization publishes the official tables for available carbohydrate composition of foods in Japan.
著者
小口 広太
出版者
明治学院大学国際平和研究所
雑誌
PRIME = プライム (ISSN:13404245)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.37-50, 2015-03-31

【特集1:地球市民と平和/Global Citizens and Peace】
著者
西村 多久磨 藤原 和政 村上 達也 福住 紀明
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.21301, (Released:2022-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
3

The present study investigates the relation between social skills and indicators of school adjustment: school satisfaction, self-esteem, depression, and aggression. A total of 284 students (boys = 145, girls = 139) participated in a questionnaire survey. The results of correlation analysis and Zou’s test revealed that (a) hairyo skills, which consist of compassion for others and maintaining relationships with peers, were negatively correlated with aggression; and (b) kakawari skills, which consist of assertion and developing relationships with peers, were positively correlated with school satisfaction and self-esteem, and negatively correlated with depression. These outcomes show significant result indicating that contents of social skills should be considered when trying to understand school adjustment problems and conducting social skills training.