著者
鮫島 正道 大塚 閏一
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.29-38, 1984-08-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

18目42科105属147種(亜種を含む)353個体の日本産および外国産の成鳥と推定した鳥類の晒骨標本を作成し,胸椎について胸椎数とnotariumの形成様式を検索した.(1)胸椎は6-12個と変異に富んでいた.椎骨数は同一科内,同一種内でも変異が大きかった.(2)Notariumは9目12科42種103個体の鳥類に存在した.(3)Notarium の存否,それを形成する胸椎の数や位置,胸椎の synsacrum への参加数は胸椎数と同様に同一科内,同一種内においても変異が大きかった.(4)Notarium は飛翔力の弱いキジ目の全種に存在する一方ゴハト科,ハヤブサ科,ツル科そしてフラミンゴ科などにも存在するので notarium の存否を飛翔と短絡的に関係づけることはできないと推察された.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1891年05月07日, 1891-05-07
著者
許 海華
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
東アジア文化交渉研究 (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.5, pp.267-280, 2012-02

The end of the Tokugawa bakufu's control of Nagasaki in 1868 also meant the demise of the Nagasaki Tōtsūji Bureau. As many of the former institution's translators were skilled linguists and experienced in foreign negotiation, they were appointed topositions the Meiji government. This use of members of a group with practical skills inforeign relations since the Edo period provided the government with an immediateoffensive corps for the New Japan. To pursue an understanding of the changes thatoccurred in institutions such as the Nagasaki Translation Bureau requires investigating its structure during the bakumatsu period. In forming an explanation of the Tōtsūji Bureau, this essay therefore draws upon two sources that illuminate the Nagasaki government offi cials during this time. The structure of the Tōtsūji Bureau during the Genji and Keiō eras, 1864 to 1867 is recreated, and furthermore, the structure of the post-1867 (Keiō 3) reformation through the period immediately after the Meiji Restoration is analysed.
著者
二木 立
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.12-21, 2009

小泉政権の医療改革の新しさは,医療分野に新自由主義的改革方針を部分的にせよ初めて閣議決定したことである。それにより政権・体制内の医療改革シナリオが2つに分裂し,激しい論争が戦わされたが,最終的には「骨太の方針2001」に含まれていた3つの新自由主義的医療改革の全面実施は挫折した。他面,小泉政権は1980年代以降続けられてきた「世界一」厳しい医療費抑制政策をいっそう強め,その結果日本は,2004年には医療費水準は主要先進国中最低だが,患者負担は最高の国になった。安倍政権は大枠では小泉政権の医療費抑制政策を継承したが,ごく部分的にせよ,行き過ぎた医療費抑制政策の見直しも行った。さらに,政権・体制内での新自由主義派の影響力は急速に低下した。日本の医療制度の2つの柱を維持しつつ,医療の質を引き上げるためには公的医療費の総枠拡大が不可欠であり,そのための主財源としては社会保険料の引き上げが現実的である。
著者
小笠原 信実
出版者
日本医療福祉政策学会
雑誌
医療福祉政策研究 (ISSN:24336858)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.113-136, 2019 (Released:2019-04-02)

世界的な新自由主義化の影響をうけながら、韓国では2004年に廬武鉉政権により、日本では2001年に小泉政権により、新自由主義的医療改革が開始され、両国の産業界とアメリカの要求を受けながら類似した内容の改革が試みられた。しかし韓国では公的医療保険の給付水準が低かったこととサムソン財閥が医療産業の拡大と参入を強力に進めたために新自由主義的医療改革が急速に進んだのに対し、日本では漸進的にしか進まなかった。
著者
越後 多嘉志
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-53, 1993-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
31
被引用文献数
2
著者
西岡 大輔 近藤 尚己
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2020.002, (Released:2020-02-18)
参考文献数
84
被引用文献数
6

【背景】貧困や孤立等,患者の社会リスクへの対応は医療現場において不可欠とされながら,標準的な手続きや制度はない。対応策としてsocial prescribing(社会的処方)という概念が注目されているが,明確な定義やその効果についてはまとめられていない。そこで第一に,文献レビューにより社会的処方の包括的な定義づけを試みた。第二に,その定義に合う日本の活動をレビューし,日本の医療現場での患者の社会的課題に対応する活動の現状と普及に向けた課題を整理することを目的とした。【方法】(1)Social prescribing等をキーワードに検索し抽出した文献について国や地域・定義・対象・方法・効果等を評価し,社会的処方を包括的に定義づけた。(2)日本の事例を抽出し,活動の現状と普及に向けた課題を整理した。【結果】34文献をレビューした。社会的処方に関する報告は,英国からのものが多数であり,社会的な課題を抱えた患者を医療機関が“link worker”に紹介することや,地域での多様な交流活動等,患者にとって有益な非医療的な社会資源を患者とともにつくっていく活動の紹介やその効果評価の論文であった。医療費削減や救急受診減少の効果を示唆する研究があった。そこで,社会的処方を「医療機関等を起点として,健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,その社会的課題を解決し得る非医療的な社会資源につなげること,またケアの機会となる社会資源を患者とともにつくる活動」と定義した。この定義に合致する活動の報告は日本国内でも観察された。【考察】日本での活動の普及に向けては,活動の効果評価,方法論の標準化,必要なツールの開発,地域資源の開発,保健・医療・介護・福祉・その他の地域の社会資源のネットワークづくりが求められる。また,本研究では英国の“social prescribing”を直訳し社会的処方と表現したが,国内での活動の呼称の検討も必要である。
著者
徳川光圀 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[10],
著者
MIYAMOTO Yoshiaki NISHIZAWA Seiya TOMITA Hirofumi
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2020-023, (Released:2020-02-06)
被引用文献数
2

The impacts of the number density of cloud condensation nuclei (CCN) and other thermodynamic quantities on moist Rayleigh convection were examined. A numerical model, consisting of a simple two–dimensional equation for Boussinesq air and a sophisticated double moment microphysics scheme, was developed. The impact of the number of CCN is most prominent in the initially formed convection, whereas the convection in the quasi–steady state does not significantly depend on the number of CCN. It is suggested that the former convection is driven by a mechanism without a background circulation, such as parcel theory. In contrast, the latter convection appears to be driven by the statically unstable background layer.  Incorporating the cloud microphysics reduces the integrated kinetic energy and number of convective cell (increases the distance between the cells), with some exceptions, which are consistent with previous studies. These features are not largely sensitive to the number of CCN. It is shown in this study that the reduction in kinetic energy is mainly due to condensation (evaporation) in the upper (lower) layer, which tends to stabilize the fluid. The ensemble simulation shows that the sensitivity of the moist processes to changes the temperature at the bottom boundary, temperature lapse rate, water vapor mixing ratio, and CCN is qualitatively similar to that in the control simulation. The impact becomes strong with increasing temperature lapse rate. The number of convective cell in a domain decreases with the degree of supersaturation or an increase in the domain–integrated condensate.
著者
李 康穎 Biligsaikhan Batjargal 前田 亮 赤間 亮
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.261-266, 2019-12-07

落款印は書や絵画の真贋を鑑定する上で重要な要素であるだけではなく,書画との調和美が意識され,芸術的な価値もある.落款印を対象にした自動認識システムの構築により,専門家や愛好家に対してこれらのコレクションが持つ背景情報の理解を支援するための効率的なツールを提供できる.本研究では,落款印画像を用いた検索システムの構築に注目し,複数のオープンデータの活用を考慮した浮世絵関連情報の抽出を試み,浮世絵コレクションの検索に新たな視点を提案する.
著者
石田 和夫 三浦 英雄
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-48, 2000-03-31 (Released:2019-07-01)

1997〜1999年の3年間にわたり, 本学学生399人を対象に水洗い, セッケン, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒間及び数秒間浸漬, 70%エタノール, 薬用Mセッケンの6通りの方法で手指を洗浄または殺菌消毒させ, 手洗い前と手洗い後の手指の生菌数の比較を行った.その結果, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒を除いては, 手洗い後に生菌数が増加する傾向が見られた.また殺菌消毒後にも残存検出された菌株について簡易同定を行ったところ, 皮膚常在菌と思われるStaphylococcus属の細菌が約80%を占めていた.またこれら残存した菌株について殺菌消毒剤に対する抵抗性を調べたところ, 一部Bacillus属を除いて, 抵抗性はなかった.以上の結果より, 殺菌消毒剤を使って手洗いを行った場合, 残存検出されるものは手指の皮膚において圧倒的多数を占める常在菌群であり, 一時的に付着した病原細菌等は殺菌除去できるものと示唆された.
著者
劔 陽子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.146-153, 2020-02-15 (Released:2020-02-22)
参考文献数
9

目的 近年,動物の多頭飼育崩壊問題への関心が高まっている。周辺の生活環境の悪化や犬が徘徊していて怖いといったことが,地域住民から苦情として保健所に寄せられることも多い。この度,熊本県内の保健所で犬の多頭飼育事例に対し,多機関で連携して対応に取り組んだ2事例を経験したので報告する。方法 事例1については,以前より保健所に苦情が寄せられ,現在に至るまで10年間程度対応を続けている事例であり,保健所の担当者による記録が残っている対応について検証した。事例2については,一年間にわたって対応した事例であり,一定の対応が終了した後に関係した諸機関が集まって振り返り検証会を実施した。活動内容 事例1に対しては,苦情が寄せられ始めた当初は保健所衛生環境課が飼養主に対し犬の登録・注射・係留について指導し,時に係留されていない犬の捕獲を行い,飼養主からの要求があれば指導の後返還するということを繰り返していた。それにも関わらず非常に多数の近隣住民からの苦情が保健所に寄せられるようになって一層の対策を求められ,以降警察,市町村の保健福祉関係者,地域住民等とでたびたび話し合いがもたれた。とくに熊本地震で飼養主とその家族が被災し仮設住宅に入居して以降は,災害関連の支援機関や市町村の地域包括センターなども加わって飼養主の見守りを行い,犬の保健所への引き取り依頼・譲渡をするよう説得に努めた。熊本地震後累計30頭程を保護して多くを譲渡につなぎ,その後4頭程度の飼育となって近隣からの苦情も少なくなっている。事例2では,犬の放し飼い苦情対応に出かけた保健所衛生環境課職員により高齢夫婦が不衛生な環境下で多数の犬と生活をしている状況を発見し,県福祉事務所,市町村福祉課,地域包括センター,認知症初期集中支援チームなどと連携して見守り・支援活動を行った。多くの機関が関わったが,どこが全体を把握して主導するかが曖昧となり,情報共有も不十分であったため,効率的な連携ができず,対応が遅れがちになるなど,課題も見つかった。結論 多頭飼育に関しては,環境衛生,動物愛護の観点からの対応開始がなされることが多いが,精神保健,高齢者福祉,生活困窮など,多くの問題が含まれていることが多い。対応には難儀することが多く,すぐに問題が解決されるわけではないが,長期間にわたる多機関連携での対応が求められる。
著者
大類 真嗣 田中 英三郎 前田 正治 八木 淳子 近藤 克則 野村 恭子 伊藤 弘人 大平 哲也 井上 彰臣 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.101-110, 2020-02-15 (Released:2020-02-22)
参考文献数
27

大震災の支援に当たった専門家による研究成果と経験に基づき,災害時のメンタルヘルスと自殺予防に資する留意点についてまとめた。支援の対象と支援方法の重点は,被災からの時期・段階によって変化する。とくに被災による避難時と避難指示解除時はともに留意が必要である。対象のセグメンテーションを行い,必要な支援を必要なタイミングで届ける必要がある。真に支援が必要な対象やテーマは表出されない場合があることに留意する。震災後に生まれた子どもや母親の被害,高齢者の認知症リスクも増えることが観察されている。被災者だけではなく,その支援を行う自治体職員や保健医療福祉職員のメンタルヘルスにも配慮する必要がある。避難地区だけでなく避難指示解除地区においても自殺率が高いという知見も得られている。教育や就労支援,社会的役割やサポートまで,総合的・長期的な支援が必要で,保健医療関係者だけではない分野横断的なネットワークの構築が平時から必要である。危機的な状況であるほど,なじんだ手段しか使えない。平時からの教育・訓練・ネットワーク化で被害の緩和を図っていく必要がある。