著者
添盛 晃久 小豆川 勝見 野川 憲夫 桧垣 正吾 松尾 基之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1079-1086, 2013-12-05 (Released:2013-12-28)
参考文献数
34
被引用文献数
2 1

The concentration of radioactive cesium in sediments of Tokyo-bay, released by the Fukushima Dai-ichi nuclear power station accident, was measured every half year from July ’10 to February ’13 in order to analyze the trend of concentration. The samples were collected at two artificial deeper sites in dredged trenches and one natural shallower site, which were located off Makuhari in Tokyo-bay, then they were brought into a Ge detector to measure the γ-rays. According to an analysis of the upper layer of the samples, both 134Cs and 137Cs had been detected since the samples of August ’11, and they must have been released by the accident. Furthermore, from February ’12 to February ’13, the concentrations of 134Cs and 137Cs in upper layer of sediments had been higher at deeper sites than shallower site. The deeper sites look like pitfall traps for fine particles clinging to 134Cs and 137Cs, so we can call these sites "the hotspot in the sea". We also examined the depth profiles of 134Cs and 137Cs in samples taken on August ’12 and February ’13. As a result, 134Cs and 137Cs were found to have gone deeper in the sediment on February ’13 than on August ’12, and the inventory of them was also larger on February ’13. In addition, this phenomenon was observed more clearly at deeper sites than shallower site. Though 134Cs and 137Cs had not increased very much in upper layer from August ’12 to February ’13, we clarified that they had been flowing into the Tokyo-bay.
著者
秋吉 卓 淵田 邦彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.245-252, 1998-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
13

直下型地震は、阪神・淡路大震災 (1995年) でその威力は十分に証明されたが、一方でその発生は極めてまれで、明治以降ではわずかに熊本地震 (1889年) があるくらいである。熊本地震は、その2年後に発生した濃尾地震のため忘れられた地震となったが、エネルギー的には中規模であったものの浅発性であったため、大地震なみの地震学的・社会学的特徴を持っていて、都市直下型地震を総合的に研究する格好の題材である。これより本論は、主として当時の新聞記者の克明な震災日記より本地震について掘り起こし、その全体像を紹介することによって、今後の地方都市の地震防災のための資料を提供しようとするものである。
著者
宮本 昭彦 渡辺 重行
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.11-18, 2013-02-01 (Released:2014-11-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

2007 年に,宮本は,咽頭後壁を丹念に視診する事により,インフルエンザ濾胞を発見し,インフルエンザを早期に診断する事が可能である事を示した19).2009-2010 年の A/H1N1 2009 死亡者は,米国で約12,500 人に対して,日本では 198 例のみで (死亡率:約1/25),世界各国の中でも,日本での死亡率が非常に低かった.本邦の例では,発症後 12 時間以内に 3 割,24時間以内に 7 割,48 時間以内に 9 割がノイラミニダーゼ阻害薬を開始していたが,他国では 48 時間以内の同薬剤投与は 1 割である.早期診断と適切な治療の開始が生死を分けていると言える.Miyamoto らは,2009 年 8-10月の A/H1N1 2009 の 23 例について,観察者間のデータ信頼性 (κ) を示し,「インフルエンザ濾胞」 が従来の迅速検査に比べ感度・特異性も高い事を示した (第一期) 4).本稿では 2009 年 11 月から 2010 年 1 月 (第二期) のインフルエンザ患者 87 例について (第一期と第二期を合わせ110 例) 検討した.2 歳~82 歳 (17.7 ± 13.1 歳,中央値 14 歳) の患者が (発熱から受診までの時間が 1~48 時間,11.8 ± 8.4,中央値 12 時間),超急性期の 3 時間以内が16 例含まれる中で,インフルエンザの診断が可能であった.87 例中,初診日迅速検査陰性が 10 例,この内 8 例は初診から 2 日目に迅速検査が陽性となり,2 例は 3 日目に陽性となった.87 例中,初診日にインフルエンザ濾胞を認めない患者が 1 例あった.第二期の症例の中で,発熱から 3 時間以内という超早期の患者を診察するようになった結果,従来の Definitive influenza follicles よりも更に小さい微小な濾胞が観察された.インフルエンザ濾胞は,迅速検査が陰性の超急性期であってもインフルエンザの診断が可能であった. 理学的所見は,臨床検査・機器の進歩の中においても不変的に重要である.
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
クィア学会
雑誌
論叢クィア (ISSN:18832164)
巻号頁・発行日
no.3, pp.39-61, 2010

本稿では沖縄地域の男性との出会いを求める男性が利用する出会い系掲示板の投稿文を言語学的視点から計量的に分析することを目的とする。無作為抽出によって得られた9,200のデータを分析した結果、(1)投稿者の8割が20代と30代によって占められており、(2)出会いの形態としては性的な接触を望むものが最も多いことがわかった。また、(3)容姿その他への言及については体型に関する言及が最も多く、その内普通より大きい体型に関する語彙が発達していることが明らかとなった。(4)表現の特徴としては願望を表す「たい」や「ほしい」を用いた表現が約4割を占め、受益表現では「~てもらう」よりも「~てくれる」という表現が多用されていることがわかった。
著者
渡辺 浩 江頭 憲治郎 碓井 光明 塩川 伸明 西川 洋一 城山 英明 大村 敦志 中谷 和弘 長谷部 恭男
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2001 (Released:2002-04-01)

今年度は、国家と社会、国際化と法、科学技術の発展と法の観点から第2期のまとめを行った。国家と社会に関しては、1.規範定立・執行における社会集団の役割(経済団体による法形成と執行、ドイツ医療保険法におけるFestbetragsfestsetzung制度、トランスナショナル社会運動)、2.市場と国家(政府業務の民間開放と法制度、株式会社・証券市場・市民社会、会社支配市場規制、ボーダレス化時代における租税制度)、3.ボーダレス時代における社会保障・安全確保・司法制度(社会保障法と憲法、警察行政における計画、関係性における暴力とその対応、司法の独立性)、4.国家財産法における公法と私法(政府業務の民間開放、韓国の国家財産法と法政策的課題)をまとめた。国際化と法に関しては、1.境界とは何か(生権力と国家、国境はなぜそしていかに引かれるべきか)、2.境界の変動および意味変容(国際法における境界の位相、国家の統合分裂とシティズンシップ)、3.変容する国際社会と法・政治の対応(パレスチナ問題と国際法、開発・エイズ・人権、経済連携協定、法整備支援)、4.人の国際移動と法・政治の対応(国際移住の法と法政策、民法における外国人問題、国際化と地方自治)をまとめた。科学技術の発展と法に関しては、1.科学技術と生命観(歴史的視座、動物観と法制度設計)、2.科学技術と制度(学問と法システム、リスク評価と法システム、予防原則)、3.科学技術と刑事法(現代型刑罰法規と罪刑法定主義、科学技術の進歩と刑法-過失責任)、4.科学技術と民事法(証券取引の電子化、無体化・電子化と占有概念、5.科学技術と国際法(非国家主体に対する軍備管理、国際環境法における科学技術と対話プロセス)を取りまとめた。なお、とりまとめの過程で2006年1月に国際シンポジウムを開催した。また、第1期の成果5巻も無事出版した。

266 0 0 0 OA 銘尽

出版者
巻号頁・発行日
1423

現存するわが国最古の刀剣書。本文中に「正和五年」(1316)の記述があることから、内容は鎌倉末期に成立した刀剣書とみられるが、奥書に「應永卅年十二月廿一日」とあり、室町時代の転写本である。神代より鎌倉末期までの刀工の系図や、当代の刀工などについて記す。「古今諸国鍛冶之銘」と題した箇所では52人の刀工を掲げ、とりわけ粟田口藤四郎吉光や大和の中次郎国正など42人の刀工については、刀の中心形を上部に図示、その下に作名、国、系統、時代、作風の特徴を記している。書名は9丁裏に「銘尽」と記されていることによる。巻首欠落、墨付45丁。装訂は大和綴風の仮綴。東寺塔頭の一つ、観智院が旧蔵していたことから「観智院本銘尽」とも称される。
著者
宋 連玉
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.5-22, 2013 (Released:2015-12-29)
参考文献数
24

朴正煕独裁体制の崩壊には70年代の女性労働者の闘いが大きな役割を果たした。1980年代には70年代の民主化運動の潮流を受けて、知識人を中心とした女性運動が幅広く展開され、民主化運動の一翼を担った。 1987年の民主化宣言と同時に、女性諸団体を統括する韓国女性団体連合が結成され、男女雇用平等法の実現にこぎつけた。 1990年代に入るとさらに制度的民主主義が進捗、ジェンダー政策においても、北京の世界女性会議の精神を受け継ぎ、性差別撤廃のシステム作りを推進した。 1987年に民主的な憲法が採択され、5年ごとの直接大統領選挙が決まると、女性たちは大統領選挙を活用して、候補者に女性政策を選挙公約に掲げるように圧力を加えた。 それが功を奏し、金泳三政権(1993~1997)では女性発展基本法の制定、金大中政権(1998~2002)では女性政策を主管する女性部が創設され、第1代、第2代長官に女性運動のアクティビストが抜擢された。また2000年には女性議員数のクォーター制が導入され、5.9%から2012年には15.7%にまで女性議員比率が伸びた。同じく女性公務員もクォーター制導入により飛躍的に伸びた。 1962年から展開されてきた家族法改正運動も民主化以後に大幅改正され、2005年には遂に戸主制撤廃にこぎつけた。女性の再婚禁止期間の廃止など、日本の家族法より先行する内容も盛り込まれた。 2004年には性売買に関連する二法が制定され、性売買が不法であるという認識を確立した。 ジェンダー主流化のための制度的保障はある程度なされたが、残された課題も多い。IMF経済危機を克服するために進めた構造改革は結果的に貧富の格差を大きくし、とりわけ女性間の格差を拡大し、非正規雇用の女性たちに負担を強いている。 また、南北分断による徴兵制の維持が、性差別是正の妨げとなっている。兵役義務を果たした男性に公務員試験受験で加算点を与える制度は1991年に廃止されたが、保守政権のもとで再びこれを復活する動きがある。

263 0 0 0 OA 浮世絵

著者
藤懸静也 著
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
1946
著者
町田 樹
出版者
一般社団法人 日本体育学会
巻号頁・発行日
pp.38_2-38_2, 2017 (Released:2018-02-15)

フィギュアスケートは、氷上においてジャンプやスピン、ステップなどの卓越した「身体技術」に加え、思想や感情、物語を体現するための「表現技術」を競うスポーツである。基本的に「滑る」、「跳ぶ」、「回る」等の動作で構成されるフィギュアスケートだが、それらの動作を駆使して発揮される一連のパフォーマンスは、ときに「踊る」、「表現する」という動詞によって言い表される芸術的な動きの連続性として捉えられる。では、なぜ人はフィギュアスケーターの演技に美的な価値を見出すのであろうか。その理由の一つとしては、長い歴史の中で様式化されたフィギュアスケート特有の動作と音楽の間に、強力な相関関係が成立しているからであろう。本発表では、実際に発表者による自作振付の映像を用いながら、フィギュアスケーターの身体技術と音楽の密接な関係性を中心に、分析を試みていきたい。なお、発表者はフィギュアスケーターとしてのキャリアを23年間継続させており、現在プロフィギュアスケーターとしても活動を展開している。従って、本発表は研究者の観点と共に、フィギュアスケートの実演家および振付家の視点からも見解を提示するものである。