著者
大橋 靖史
出版者
淑徳大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

従来内的心理現象と捉えられてきた時間的展望現象を、社会的相互作用と捉え直し、その生成プロセスを明らかにするため、未来や過去について語り合う占いの場を分析した。予備研究の後、占い師3名が30名のクライエントに対し占いを行う様子を録音・録画し、ディスコース分析等の手法を用い分析した。その結果、占い師とクライエントは、前者が専門性や権威を後者に示し、後者が前者に委ねる関係にあること、また語られた内容をクライエントの手相に帰属させる語りの定式化が存在すること等が明らかとなった
著者
安倍 邦子 小路 武彦 林 徳眞吉
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ACTH受容体蛋白質から15アミノ酸配列を選び,合成ペプチドを作製し,KLHをキャリアー蛋白として,家兎に免疫した.抗血清はELISA法で,各々のペプチド抗原に対し25600倍希釈で陽性で,人副腎で,希釈倍率の検討および抗原賦活化の方法を検討し,1血清は副腎皮質の細胞膜に陽性で,ウェスタンブロット法で副腎のホモジネートと60kDのバンドを形成し,いずれもペプチドにより吸収された.副腎皮質癌,腺腫,過形成の手術例のパラフィン切片を用いて免疫染色した.PCNA,Ki-67陽性率は,癌で3.43-20.08,0-20.9と陽性率が高値で,腺腫で0.14-1.33,0-1.03と低く,過形成で0.19-0.7,0-0.05で腺腫よりもさらに低い傾向を示し,生物学的悪性度と増殖能の相関が明らかだった.ACTHR抗体では,腺腫や過形成に比較し,癌は陽性率が低下している.p53は腺腫や過形成では陰性,癌で3例のみ陽性,p53と副腎癌の発癌との関連が考えられるが,発癌には他の多数の因子の関与が考えられる.Rasは全体に陰性であった.Mycは,抗体9E10では,正常副腎皮質は核のみ陽性で,過形成や腺腫も核が陽性で,一部胞体も陽性だが,癌では胞体が優位である.3ヶ所の塩基配列を選択し,ATTを5個付加した60merのオリゴDNAを合成し,dot blot hybridizationで10pgまで検出できた.さらにピロニン染色や28srRNAでRNAの保存が確認された人副腎パラフィン切片を用い,種々の条件,T-T dimer法にて染色して検討した.球状帯と束状帯のcompact cellに陽性像を認めるが,弱く,定量的に検討するためには強い染色を得る必要があり,別の2ヶ所の塩基配列を選択し,ジゴキシゲニン標識で検討したが,同様の結果だった.腫瘍については特異的な染色はまだ得られていない.
著者
赤瀬 章 藤浦 建史 今川 順一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

トレリス栽培されたオウトウを対象にして,三次元視覚センサを取り付けた直角座標ロボットを試作した。収穫ハンドは開閉型,平行リンク型,リング型,カット型を試作した。果実とロボット間の距離は40cmが最も適していた。ほ場試験では,ハンドの位置が果梗からずれる場合があった。そのずれは最大約1cmであり,ハンドの位置決定成功率は57.2%であった。ハンドの位置決定が適正になされた時の各ハンドの果実収穫率は,開閉型と平行リンク型では80%以上であった。リング型ではその直径が果実直径に比して小さかったため0%であった。1本仕立てのオウトウを対象とした収穫ロボットも試作して実験を行った。この栽培様式は側枝を整枝して主幹のみを並木状に栽培するものである。このロボットは,4自由度マニピュレータ,三次元視覚センサ,ハンド,コンピュータ,走行部などで構成した。三次元視覚センサの画像を処理して,果実や障害物の位置を認識し障害物を避けて果実収穫を行うようマニピュレータの軌道を決定した。ハンドは果実を吸着したあと,フィンガで果梗を把持して収穫するものとした。実験の結果,目的外果実をフィンガで把持することがあったため,フィンガの開口幅を小さくして実験を行った。開口幅を小さくすると目的外果実は損傷しなかった。低樹高一本仕立ては,植栽5年目に10a当たり約500kg,7年目に10a当たり約800kgの収量を得ることができた。作業時間は盃状形と比べて,収穫は約3分の2,剪定は約4分の1に抑えられたが,摘芯は約3倍かかった。ポットを用いた加温栽培試験では,休眠覚醒直後(7.2℃以下の遭遇時間が1,400時間)に最低温度5℃から漸次昇温し,5月中旬収穫を目標とするのが効率的と考えられた。
著者
池田 真弓
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

平成25年度は、マインツのペーター・シェーファーの印刷所より出版された2部の挿絵入り本草書(1484年出版『ラテン語本草書』と1485年出版『健康の庭』)の図版の分析と制作過程の解明を進めた。これら2部は、同印刷所が初めて木版画を多用して印刷した作品であるのみならず、本格的な図版入り印刷本草書としてはヨーロッパ最初期のものである点で、重視すべき研究対象である。当年度は、本調査対象の基礎研究を中心に行った。まず年度前半に、国内で手に入る二次資料を用いた基礎調査を行った。さらに、8月と11月の2度にわたって渡独し、一次資料や、国内で手に入らない二次資料の調査を行った。現地では、マインツのグーテンベルク博物館付属図書館、ベルリン州立図書館、フランクフルト大学図書館で、それぞれ『ラテン語本草書』、『健康の庭』など、複数の一次資料や、貴重な二次資料などを調査した。この実地調査により、挿絵の彩色の特徴や、挿絵を担当した画家に関する知見を広めることができたほか、『ラテン語本草書』の編纂者特定につながり得る貴重な情報を得ることができた。また、ベルリン州立図書館の研究員との面会が実現し、研究に関する情報交換を行った。本研究でこれまでに挙げた成果については、まず11月に、マールブルク大学美術研究所主催の学会Nraturwissenschaft und Illustrationen im 15. und 16. Jahrhundertにて発表を行った。そこで得られたフィードバックをもとに、12月には慶應義塾大学主催の国際シンポジウム「写本および初期刊本におけるテクストと挿絵―比較研究の試み―」でも研究発表を行った。
著者
ワグナー トーステン
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、光アドレス電極(light-addressable electrodes)とlight-addressable potentiometricsensor(LAPS)を融合した新たな測定系を構築する事である。両測定系は光源の移動や形状により関心領域を定義可能であり、本研究は、両者をひとつの測定系として融合させた初めての試みとなった。測定系の構築において、digital light processing(DLP)を照射領域可変の光源として使用し、マイクロ測定チャンバ内において、光アドレス電極によって局所的に生成したpH変化を、LAPSによって検出することに成功した。本研究によって、光アドレス電極とLAPSを融合した新規測定系の有用性と可能性を示すことができ、さらに両測定系のより深い知見を得ることもできた。
著者
川名 尚 井上 栄 山口 宣生 吉川 裕之 加藤 賢朗 白水 健士 本藤 良
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.単純ヘルペスウイルス(HSV)のPCR法による検出 昨年度に確立したPCR法を用いて臨床検体からのHSVゲノムの検出を試みた。臨床検体は、女性性器より採取した。外陰や子宮頸部から綿棒にて擦過して得たものを、培養液にてすすぎ検体とした。これらを遠心後、上清を培養R-66細胞に接種してウイルスの分離を行った。沈澱よりDNAを抽出し、PCR法にてHSVゲノムの検出を行った。分離されたウイルスは、螢光標識マウスモノクローナル抗体を用いて固定と型の決定を行った。 臨床検体の検討に先き立ち、新鮮分離株 HSV-1 50株、HSV-2 34株の計84株についてPCR法を用いて検討した結果、全例に陽性所見を得た。また、型分けについても100%一致した。以上より、このPCRの系は、本部で分離されるHSVの株は、1型、2型共にほとんど検出できることが判明した。臨床検体は、妊婦、性器ヘルペスなどから得られた94例について検討した。1型分離陽性が5例、2型分離陽性が13例であった。これらについて、PCR法を行った所、1型につては5例全例、2型については、9例(69%)に陽性所見が得られた。 一方、分離陰性の76例中8例(11%)に陽性所見が得られた。分離陽性でPCR法陰性になった例は、ウイルスDNAが十分とれてなかった可能性が考えられる。一方、分離が陰性でもPCR法が陽性であることからPCR法の方が感度がより良い可能性が示された。2.ヒトパピローマウイルス(HPV)のPCR法による検出 昨年度確立したコンセンサスプライマーを用いる性器に感染するHPVの検出法を外陰部や子宮頸部の病孝に応用し、本法の高い感度と特異性が証明された。
著者
清水 和巳 上條 良夫 大薗 博記
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、1)構成員の匿名性の維持、2)利害関係を大幅に変化させるような外部装置を用いない、という二つの基準を満足させ、かつ、協力関係を形成・維持すると考えられる三つの仕組み(①協力・協調の難易度の段階的変化、②変化の内生性、③目標値の調整)について考察を行なった。その結果、上記三つの仕組みが鹿狩りゲームの調整問題を解決するのに有効であり、かつ、多値選択型の囚人のジレンマにおける協力の失敗の解決にも有効であることがわかった。囚人のジレンマは環境問題などと構造的に同型であり、鹿狩りゲームは年金未納問題と構造的に同型と考えられるので、この研究成果は現実の様々な問題解決の糸口となることが期待できる。
著者
金田 直子 春木 敏 子安 愛 大畑 千弦 鍛冶 晃子 太田 愛美 髙塚 安紀穂 西岡 愛梨 永樂 芳 平田 庸子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

早期食健康教育に向け,4・5歳児と保護者を対象とする食育プログラムを幼稚園教諭らと協同開発し,2度のプログラム実践を踏まえ有用性・汎用性を確認し,食育支援キット(食育案・教材・参考資料)を作成した.食育支援キット普及に向け,幼稚園教諭・保育士らを対象に食育研修を実施しO市内幼稚園・保育所園420施設(70%)に配布した.園・家庭・地域を結ぶ幼児食育に向け,養育者を対象とするメタボリックシンドローム予防を視野に入れた家族ぐるみの食育講座を併せて実施・評価をしたところ,日々の食生活改善につながることが確認された.家族ぐるみの幼児食育推進は,少子高齢化の進むわが国における食・健康づくりの一法となる.
著者
鈴木 敏和
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満は不妊の一要因である。本研究では、高脂肪食マウス肥満モデルにおける雄性不妊の機構を解析した。また、雄性不妊の改善に効果が期待されている栄養素L-カルニチンの効果についても調べた。肥満に伴って、精子運動能の低下と交配させた雌マウスの妊娠率の低下が見られた。L-カルニチンによる肥満雄マウスの妊孕能改善はみられなかった。精巣上体尾部の遺伝子発現解析の結果、肥満マウスでは精子成熟の過程でDNA損傷が引き起こされていること、その一部にpiRNAが関与していることが示唆さされた。
著者
和田 小依里
出版者
京都府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

近年、炎症性腸疾患患者数が増加しており、食生活の変化がその要因の一つとも言われている。発酵食品の摂食量は減少しているが、一方で発酵食品中の因子が腸炎改善作用を有する可能性を示唆するエピソードが存在する。我々はデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルマウスを用いて、発酵食品の一つである日本酒中のいくつかのペプチドが、数 mg/kg/日以下の微量の経口投与で大腸炎抑制作用を示すことを見出した。
著者
吉野 剛弘
出版者
東京電機大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

正規の学校の中に存在しながら受験準備教育機関として機能した旧制中学校の補習科について歴史的研究を行った。補習科をめぐる政策動向を検討するとともに、各地域の補習科を類型化した上で6府県の事例の実態を検討した。その結果、政策的には大正期以降は補習科を含めて準備教育に消極的な面が見られた。一方、各地域においては準備教育に邁進することへの疑問を抱きつつも、生徒のニーズに応えるべく、準備教育に勤しまざるを得なかった状況が明らかになった。
著者
北島 健 佐藤 ちひろ 山口 芳樹 真行寺 千佳子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

受精における糖鎖の重要性は多数の報告があるが、遺伝子改変動物の解析結果から受精の成立には必ずしも必須ではない場合があることが例証されるなど、現在、糖鎖が関わる受精の分子機構の再評価が課題である。その課題解決のために、我々は糖鎖が集積してタンパク質や脂質とともに形成する分子複合体「細胞膜マイクロドメイン」に着目して研究を行った。本研究では、精子マイクロドメインに局在し糖鎖に富むGPI-アンカー分子が、これまで見出されていたウニと哺乳類以外にも、鳥類、両生類にも存在することを明らかにした。また、これらの分子が糖鎖を介して細胞内Caイオン調節に関わることを証明した。
著者
ニシムラ 博明
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

平成5年度より開始された科研費補助をもとに2次元弯曲結晶を用いたモノクロカメラの設計、製作を進め、平成7年度に至る3年間で以下のような結果を得た。(1)5チャンネルX線モノクロカメラを設計、製作し、技術的問題点を明らかにした爆縮プラズマ観測用のシ-ドガスとしてArを選び、さらにプッシャー中にClを混入させ、このAr(Ar^<16+>Heb,Ar^<17+>Lyb)とCl(Cl^<15+>Heb,Cl^<16+>Lyb)とおよびAr^<16+>Heb線とAr^<17+>Lyb線との間に位置する連続線からの5波長それぞれの単色画像を得るべく、Ge(311),Si(311),Si(220),Quartz(11.2),Quartz(10.-1)の2次元弯曲結晶を製作し、微調機構を有する超小型の結晶ホルダーに組み込んで5チャンネル単色X線カメラを完成した。X線フレーミングカメラへの接続に先立ち、X線フィルム、X線CCDカメラによる時間積分像を撮像することに成功した。(2)X線駆動型爆縮Arコアープラズマ、Clプッシャープラズマの観測し、スペクトル解析を行い空間分解コアー温度分布の計測に成功した。阪大レーザー研。激光XII号ガラスレーザーシステムを用い、X線駆動で得られた爆縮からArコアプラズマを作り、分光画像を得、コア温度の空間分布、さらに燃料・プッシャー混合領域の温度分布を導く実験データを得た。また爆縮流体シミュレーションとの比較から実験における爆縮過程の解析を行った。(3)X線フレーミングカメラへの接続を成功させるための光軸調整技術が明確になった。結晶面と結晶の格子面とは最大1ミリラジアン程度のズレが生じるため、予め空間を規定する針などを設けその光学的な影絵とX線影絵像とを撮影し、両者のズレのデータを基に光軸調整すれば、所定の結果が得られる事がわかり、今後の展望を明らかにした。
著者
大澤 義明 小林 隆史
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

計量的考察において,具体の関東地域の自治体の将来人口を推定し20歳(18歳)以上のメディアンを算出し地理情報システムなどを用いて時間的かつ空間的に見える化し,投票年齢引き下げの影響を分析した.また,北関東3県自治体の将来予測人口と,各自治体が策定する総合計画の目標人口とを比較することにより,目標人口の過大推計度合いを定量的に明確にした.さらに,茨城県内44市町村を対象とし,東日本大震災による現時点での人口流出の影響を分析した.理論的考察において,異なる人口ピラミッドを持つ2地域にて2政策を選択するモデルを構築し,地域間距離や選挙区の大きさと各地域の投票による政策結果との関係を解析的に導いた。
著者
前島 洋平 佐藤 靖史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全・心血管疾患の危険因子である。本研究では、内在性血管新生制御因子Vasohibin-1のCKDの病態における機能的解析を行った。Vasohibin-1欠損マウスにおいて野生型マウスに比して、糖尿病性腎症、尿細管間質病変、急性腎障害が増悪した。CKD患者にて、腎組織でのVasohibin-1発現は半月体形成、間質炎症細胞浸潤と相関し、血・尿中Vasohibin-1濃度高値群では、将来的な腎機能低下進展のリスクが増加した。内因性Vasohibin-1のCKD病態における腎保護的効果並びに新規バイオマーカーとしての可能性が示唆された。
著者
佐々木 健
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

シクロデキストリンの非共有結合性相互作用を利用する大規模自己組織化体の人工的な構築法を開発し,この手法を光合成系光集光過程の人工的モデルであるポルフィリン多量体形成に応用した。今回,ポルフィリン平面の上下に4個,計8個のシクロデキストリンを有するホスト分子の合成に成功し,水溶性ポルフィリンと錯形成することでポルフィリン多量体が構築できることを示した。また,光機能分子の数と配置によりエネルギー移動効率が大きく変化し,多量体内での光機能を自由に制御できる可能性を示した。
著者
三浦 収
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、宿主と寄生生物の相互作用に着目して、進化生態学の重要課題である生物多様化機構を解明することである。本年度は、前年度に得たアメリカ熱帯地方のデータの補強と日本で得た宿主(Cerithidea)と寄生虫(二生吸虫)のデータ解析を行い、太平洋を挟んだアメリカ-アジア間で生じた宿主の種分化が寄生虫の多様化に及ぼす影響を明らかにすることを目標とした。まず初めに、日本のCerithideaに感染している寄生虫相を明らかにするために、日本に生息する5種のCerithideaの解剖実験を行った。その結果、合計32種の寄生虫を得ることができた。これらの寄生虫とアメリカの寄生虫との関連性を分子系統学的な手法を用いて比較したところ、アメリカとアジアの寄生虫は比較的古い時代に分化していたことが明らかになった。特に注目すべき点として、アジアに生息するCerithidea largilliertiはアメリカに生息するCerithideaと近縁な関係にあるにも関わらず、その寄生虫はアジアで見つかった他の巻貝に感染する寄生虫に遺伝的により近縁であることが明らかとなった。このことは、太平洋はこれらの寄生虫にとって越えることの難しい障害であることを示すと共に、C.largilliertiに感染している寄生虫はアジアの他の巻貝から寄主転換をしたことを示している。これらの結果は、地理的に大きく隔てられている集団間では共種分化よりも寄主転換が二生吸虫の多様化に大きな影響を及ぼす可能性を示唆している。
著者
工藤 玄恵 野口 鉄也
出版者
東邦大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

目的:腫瘍細胞内に発現するMyelcn basic protein(MBP)immunoreactive substanceの生物学的意義を臨床病理学的に解明する.材料と方法:免疫組織化学的検索には10〜20%ホルマリン固定, パラフィン包埋の外科材料や剖検材料から無作為に選出した各臓器原発の腫瘍組織を用いた. 免疫電顕用には術中凍結診断用組織の一部を電顕用固定後用いた. 反応方法はPAP法(前者), ABC法(後者)によった. 一次抗体はいずれも自家製MBP抗体を用いた.結果:陽性細胞は原発部位, 組織型, 分化度等に関係なく存在した. その数や分布は症例により, 又同一症状例でも部位により差があった. 染色性も多様で濃淡あり, 胞体全体が染まるものから一部に限局するもの, 顆粒状のものなどであった. 一方免疫電顕では, 腫瘍細胞内の遊離および付着リボゾームや小空胞内そして細胞表面に反応物を認めた. 核膜周囲腔や粗面小胞体腔, ミトコンドリア, ゴルジ装置等には反応物を見出し得なかった. 尚核内に反応物を有する細胞があった. 対照例は当然ながら陰性であった.考察:本研究においてMBPimmunoreactive substanceは腫瘍細胞に普遍的に存在する物質であり, 腫瘍細胞自らが産生していることを示す結果が得られた. 腫瘍細胞には自らを増殖させる, いわゆるtumor growth factorといえる物質の存在が考えられているが, いまだその物質の性状についての確証はない. ところで, 本研究に用いたMBPによく似た物質の生物学的活性の一つとして各種細胞に対して強いmitogenic activityを有していることが知られている. 我々が現在取扱っているMBPimmunoreactive substanceはその未知なる腫瘍増殖因子の一つではないかと考える.
著者
カチョーンルンルアン パナート 木村 景一 BABU Suryadevara V. 鈴木 恵友
出版者
九州工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ポリシング加工現象を解析するため,被ポリシング面(被加工領域)にエバネッセント光(近接場光)を発生させ,被加工領域に侵入するナノ微粒子の挙動観察を行なった.独自に開発したポリシング機に搭載できるポリシング現象可視化装置により,ポリシングの現象を再現し,SiO2基板で粒径15~100nm(4H-SiC基板では粒径50nmのシリカ)の粒子の挙動を動的に毎秒100フレームで観察することに成功した.
著者
桑名 義晴
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

グローバル知識経済の時代を迎え、日系多国籍企業は新しい事業・技術・製品の源泉になる知識を世界中からいち早く感知・獲得し、それを組織内で共有・活用する経営を必要としている。そのような経営の展開には、日系多国籍企業はまた、世界の多くの企業、大学・研究機関、政府組織などと提携し、それらと相互学習する能力を身に付ける必要もある。この新しい研究課題について、先駆的な理論の研究と国内外での実態調査によって、日系多国籍企業の新たな成長や国際競争力の強化には、アジア新興市場での新規事業開発、新しい組織の構築、新しいタイプの人材育成が喫緊の課題になっていることを明らかにした。