著者
藤江 正克 藤本 浩史 彼末 一之 王 碩玉 高杉 紳一郎 小林 洋 安藤 健
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

超高齢社会の到来に伴い,動作支援ロボットに対する社会的ニーズは急速に拡大している.しかし,動作支援ロボットでは,支援する関節・筋の生体情報のみを利用してロボットの動作を決定しているため,全身協調運動に与える影響は十分に検討されていない.本研究では,ロボット使用者の全身の動作が協調されることが可能なロボットの制御則の構築に向け,課題を大きく以下の3つに分けて取り組んだ.(1)ヒトの全身協調動作モデルの構築,(2)生活動作における被介助者の全身動作の最適化,(3)介助ロボットの動作生成.そして,用途の異なる複数のロボット対し上記の3つの課題に基づき,全身協調動作を誘発するロボットの開発を目指した.
著者
武田 育郎 西野 吉彦 深田 耕太郎 佐藤 裕和 宗村 広昭 森 也寸志
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

自然水域の底質とともに存在する鉄バクテリア集積物は,リン吸着能を持つ鉄化合物を多く含むので,リン資源の循環利用に重要な役割を果たすことができる。しかしながら自然水域の鉄バクテリア集積物は,容易に水流によって流されてしまう事,また,嫌気性の泥を含む底質からの収集が困難である事などから,有効な利用が行われていない。本研究では,鉄バクテリア集積物を収集する担体を水中に浸漬させ,鉄バクテリア集積物をリン酸肥料又はリン吸着材として利用できる形態で効率的に収集する方法の開発を行った。
著者
吉田 正樹 (2007-2008) 田中 啓治 (2006) BOUCARD CHRISTINE BOUCARD Christine BOUCARD Christine Claudia
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

1.静的視野検査の施行により、視放線の障害部位が臨床的にあらかじめ推定可能であった脳出血による視野障害症例に、機能的磁気共鳴イメージング法および拡散テンソル画像法をおこなった。2.機能的磁気共鳴イメージング法による視覚皮質における網膜位置情報レチノトピーの検討と、視放線の視覚皮質への接続性評価をおこなった。レチノトピー情報は、視野障害を正確に反映した結果が観察された。3.上記結果を、高磁場3T装置に応用し、シーケンスの最適化をおこなった。従来の1.5T装置と同程度の撮像時間内での撮像と、3T装置の長所である高空間分解能が可能となった。実際には、撮像時間は同じであるのに対して、機能的磁気共鳴イメージング法では、従来の1.5T装置では、3mm四方の空間分解能に対し、3T装置では、2mm四方の空間分解能が実現可能であった。拡散テンソル画像法では、1.5T装置では、2.5mm四方の空間分解能に対し、3T装置では、1.5mm四方の空間分解能が実現可能であった。4.緑内障性視野障害は、視覚野における形態変化を伴うことが剖検例で報告されている。緑内障症例に対して高空間分解能機能的磁気共鳴イメージング法および拡散テンソル画像法を施行した。先天緑内障症例において、視覚野、および視放線における形態変化を伴うことが示された。実際には、視覚野において、前方皮質の減少が観察され、視野障害に一致した。視放線に一致した白質の減少も同時に観察された。
著者
瀧澤 透
出版者
八戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

人口動態死亡票の記載内容を調査集計することで、自殺死亡における精神疾患の実態を明らかにすることを目的とした。調査対象は平成20年人口動態統計の自殺死亡30229人であり、方法は目的外使用による死亡票閲覧であった。その結果、なんらかの精神疾患の記載があった者は、確認ができた29799人中2964人であった。主な記載は、認知症55人、統合失調症550人、躁うつ病101人、うつ病1913人であった。
著者
横山 嘉彦
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本萌芽研究のそもそもの目的は、新しい溶解・鋳造プロセスを開発して、新規な非平衡物質を開発することにある。本装置の開発を通じて非常に興味深い知見を得ることが出来た。特に、従来融点が高くて鋳造が困難であった亜共晶のZr基金属ガラスにおいて、得られた金属ガラスは柔らかくしなやかで、ボアソン比が高く低弾性率であることがわかった。今までの研究では作成可能な金属ガラスの組成範囲が限られていたが、それを大きく広げることが可能になった。ZrリッチのZr-Cu-Al系亜共晶組成金属ガラスは、アモルファス材料のアキレス腱とも言える構造緩和脆性の兆候を見せることなく非常に高靱性である。しかも、Zr-Cu-Ni-Al系と4元系にすることで引張延性を得ることにも成功している。引張延性を示す亜共晶Zr-Cu-Ni-Al合金は引張試験に伴って明瞭なくびれを示し、均質な見かけ上の伸びを示している。引張延性に伴って加工硬化も軟化もしていないが、今後の研究において加工硬化を発現させることは十分に可能であると考えている。今まで室温で引張伸びのない金属ガラスは構造材料に使うことが困難とされてきたが、この結果を受けて金属ガラスの産業化は大きく前進したことになる。一方、本開発装置、アークプラズマ浮遊溶解装置は非常に少量の鋳造に適した鋳造装置である。安価で簡便な鋳造機として今後は歯科医療や小型精密鋳造部品などの種々の産業的な展開が期待できると考えている。また、本プロセスを更に発展させることで、完全溶解が困難な高融点合金の浮遊溶解・鋳造および超急冷が可能になると期待している。
著者
近藤 喜美夫 大澤 範高 浅井 紀久夫 田中 健二 武藤 憲司
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

語学、科学技術、文化等様々な分野での国際教育交流を行うには、映像音声を中心にした遠隔コミュニケーションを円滑にする仕組みが必要である。本研究では、その仕組みとして、映像音声に含まれる情報(特に言語が異なる場合の文字情報)を抽出し、学習者側に注釈情報(説明や翻訳、画像など)を提示する機能を構築することを目的とした。こうした機能を組み込んだプロトタイプ・システムを構築するため、映像中の物体を認識するための画像認識機能や映像中の文字情報を検出するための文字検出機能などの要素技術を開発した。また、検出した文字情報に関連した付加情報として説明注釈や翻訳、画像や三次元アニメーションなどを提示する機能や検出文字情報と関連付加情報を空間的に関係付ける追従配置手法を開発した。そして、システムの動作確認を行うため、衛星通信などによる遠隔地接続実験を実施した。さらに、被験者による評価試験を行い、構築したシステムの有用性を確認した。システムが有効に利用されるための基盤や教育交流を円滑に行うためのネットワーク構成についても検討した。特に、遠隔コミュニケーションを安定的に提供できる衛星通信の利用を想定した教育交流手法や国際教育交流について現状の分析と考察を行った。また、遠隔コミュニケーションにおいて作業性や臨場感を向上させる上で重要な役割を果たす音響環境について検討を行った。特に、遠隔会議で問題になる音響エコーに関して音響特性の計測と計算機シミュレーションによる音声了解性能の推定を行った。
著者
磯貝 明 木村 聡 岩田 忠久 和田 昌久 五十嵐 圭日子 齋藤 継之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

結晶性ミクロフィブリルを有する構造多糖のセルロースおよびキチン、貯蔵多糖のカードランについて従来型および新規TEMPO触媒酸化を適用し、反応条件と酸化多糖の化学構造、ナノ構造、分子量変化を明らかにするとともに、新たな酸化機構を見出した。得られたバイオ系ナノフィブリル表面を位置選択的に高効率で改質する方法を検討し、生分解性のスイッチ機能付与、親水性から疎水性へのスイッチ機能付与方法を構築した。得られたバイオ系ナノフィブリルから各種複合材料を調製して構造および特性を検討し、軽量高強度化、ガスバリア性・選択分離性、重金属捕捉機能、透明導電性など、新規バイオ系ナノ材料として優れた特性を見出した。
著者
平子 友長
出版者
一橋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、カント最晩年における政治哲学を、非西洋諸大陸の先住民の先住権を否定する「無主の地」理論を装備した同時代の西洋国際法に対するラディカルな批判として解釈するものである。カントの世界市民法の概念は、非西洋世界に住む人々の先住権を基礎付け、西洋の植民地主義と対決するための論理を提供するものであった。
著者
岡 雅彦 松野 陽一 落合 博志 山下 則子 谷川 恵一 新藤 恊三 キャンベル ロバート 山崎 誠
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ヨーロッパ各地に所在する日本古典籍の調査を網羅的に行うことを目的としている。また、ヨーロッパ各地における日本文学者との交流や、各地と日本との文化交流についての研究もその対象としている。本研究の中心となる、ヨーロッパにおける日本書籍調査は、合計4回行われた。第1回(2000年1月19日〜31日)は、館内者3名と館外研究協力者2名(後半のみ)が参加した。日本古典籍(主に近世の絵本)の書誌調査を行い、カードをとった。イタリア共和国ジェノバのキオッソーネ東洋美術館で81点、ドイツ連邦共和国ケルンのプルヴェラー家で86点の成果であった。第2回(2000年3月1日〜16日)は、館内者4名が参加し、オーストリア共和国ウィーンのオーストリア国立図書館で265点、チェコ共和国プラハのプラハ国立美術館(ズブラスラフ分館)で27点、ナープルステク博物館では142点、ボドメール図書館では、12点の成果であった。第3回(2001年2月20日〜3月5日)は、館内者6名が参加した。連合王国ロンドンのチェスタービーティー図書館では1点の成果があり、主要な資料の撮影も実施した。第4回(2001年3月9日〜24日)は、館内者3名が参加した。イタリア共和国ローマのサレジオ大学図書館では、日本書籍の整理(帙入れ・請求番号の確認・ラベル貼付)と調査12点、キオッソーネ東洋美術館では68点、プルヴェラー家では105点の成果があった。
著者
稲垣 奈都子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

多様性の高いゲノムを有するエイズウイルスの中で比較的保存性が高いゲノム領域にコードされるGagカプシドタンパク(CA)の構造上の制約を知ることは、ワクチン抗原デザインや抗HIV薬開発に有用である。私は細胞傷害性Tリンパ球の認識に影響するCAの1アミノ酸置換を有する変異体の解析を行い、CAのN末端ドメイン内のある1アミノ酸とC末端ドメイン内の1アミノ酸の相互作用がウイルス複製に重要であることをin vitroおよびin vivoの両視点から明らかにした。具体的には、今年度は、構造的な相互作用を探るため、現時点で報告されているHIV-1のCA構造を基にSIV CAの構造シミュレーション解析を行った。Gag205はGagがコードするCA内のNTDに位置するのに対し、今回新たに見出された代償性変異Gag340はCAのCTDに位置しておりCA六量体構造シミュレーション解析により両者のアミノ酸の分子間相互作用が示唆された。更にin vitro core stability assayを用いてCAコアの安定性を検討したところGagD205E変異によりコアの安定性が低下し、GagV340M追加変異により回復することが示され、CA六量体での分子間相互作用を支持する結果が得られた。また、MHC-Iハプロタイプ90-120-Ia陽性サルのSIVmac239感染慢性期に、GagD205E+GagV340M変異が選択されることを見出した。培養細胞でのSIVmac239Gag205E継代実験でGag205Eから野生型のGag205Dに戻るのではなくGagV340Mの追加変異の出現を認めたが、同様にサル個体においてもGagD205E+V340Mが選択された。このことは、Gag205D-Gag340VおよびGag205E-Gag340Mの相互作用の存在、つまりCANTDのGag205番目とCA CTDのGag340番目間に機能的相互作用の存在が示唆された。本研究は、CAドメイン間の機能的相互作用のための構造上の制約を提示するものである。
著者
三木 直大 池上 貞子 佐藤 普美子 松浦 恆雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

連携研究者と協力して台湾現代詩研究会を組織し、以下のふたつを大きな柱として共同研究をすすめた。(1)台湾現代詩の研究と翻訳紹介については、研究代表者を編集委員として、台湾現代詩人シリーズ 5 冊の翻訳詩集を詳細な解説と詩人年表を付して出版した。(2)台湾から詩人・研究者を招聘し、日本の詩人にも参加を依頼しての研究会を5回開催し、そこでの成果を公表するとともに、今後の台湾現代詩研究の基礎を提供した。
著者
吉矢 生人 中田 英昭 真下 節 稲垣 喜三
出版者
大阪大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

平成4年度の研究では、作成したストレス反応モニタシステムを用いて麻酔中の皮膚切開に伴う皮膚組織血流量の一過性低下反応出現の有無を調べ、各麻酔薬のMAC BAR(MAC that blocked the adrenergicresponse)を求めた。同時に血行動態と血中ノルエピネフリン濃度を経時的に測定し、皮膚組織血流の一過性低下反応が侵害刺激に対する交感神経反応を反映するかどうかを検索した。対象は65名のASA分類I-II度の予定手術患者で、無作為にハロセン(H群N=17)、エンフルレン(E群N=14)、イソフルレン(I群N=16)およびセボフルレン(S群N=18)単独麻酔の4群に分けて調べた。皮膚切開に伴う一過性低下反応出現の有無によって、Dixonのup-and-down法にしたがってMAC BARを求めた。得られたMAC BAR値は、ハロセン1.35%(1.75MAC)、エンフルレン2.25%(1.34MAC)、イソフルレン2.01%(1.75MAC)、セボフルレン2.77%(1.62MAC)であった。ハロセン、イソフルレンおよびセボフルレンでは近似したMAC値であったが、エンフルレンでは他の麻酔薬に比べてかなり小さな値となった。一方、皮膚切開前後のRPP(rate pressure product)の増加は4群共に一過性低下反応が出現した症例群で出現しなかった症例群に比べて大きいかまたは大きい傾向がみられた。また、4群共に、皮膚切開前後の血漿ノルエピネフリン濃度の増加の程度も、一過性低下反応が出現した症例群で出現しない症例群よりも大きいかまたはその傾向がみられた。以上の結果から、皮膚組織血流の一過性低下反応は侵害刺激に対する交感神経反応を反映していると結論した。本研究において作成したレーザー・ドプラー組織血流量計を用いたストレス反応モニタシステムは麻酔中のストレスに対する交感神経反応モニタとして臨床的に有用であると考えられる。
著者
高田 康民
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

通常のグリーン関数法と密度汎関数超伝導理論(SCDFT)との対応を考え、SCDFTにおける対形成ポテンシャルの新汎関数形を構成し、それを用いて擬クーロンポテンシャルの決定を含めて超伝導転移温度を第一原理的に計算する枠組みを提案した。また、それをグラファイト層間化合物に適用し、その超伝導機構を明確にした。さらに、この物質系も含めて、高温超伝導体合成に向けて理論的観点から思索し、強いフォノン媒介引力とクーロン斥力との相殺系の重要性を示唆した。
著者
手嶋 政廣 鈴木 誠司 木舟 正 永野 元彦 林田 直明
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

宇宙線のエネルギースペクトルが10^<20>eVまで延びていることは実験的に知られている。これらの宇宙線の起源は銀河系外であると考えられているが、既存の天体での粒子加速により説明するのは容易ではない。これらの宇宙線の起源の特定には、精度良い宇宙線のエネルギー測定とその粒子同定が重要である。現在稼動している検出器では粒子同定ははなはだ困難であり、将来の検出器としてはこの識別能力を持つ必要がある。宇宙線が大気に入ってくると、大気原子核と衝突し多数の二次粒子を生成する、この現象を空気シャワー現象という。この空気シャワーの最大発達の位置X_<max>が親の粒子同定に有効であることを米国Fly's Eyeの実験は示した。さらに高分解能の装置による測定によりよい実り多い結果が期待できる。日本の宇宙線研究所を中心とする我々のグループは、さらに高分解能の撮像システムからなる。Telescope Arrayを計画している。本試験研究では、Telescope Array計画に必要とされる高分解能の空気シャワーシンチレーション光撮像装置の開発研究を行った。この撮像装置のデバイスとして64チャンネルマルチアノード浜松ホトニクスと共同で開発を行ない、当初の目標としていた仕様を満たすことができた。
著者
岩田 和之
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

日本で実施されている政策評価の多くは定性的なものが主であり、定量的に行われているものは数少ない。そこで、本研究では、昨年度に引き続き、日本で実施されている自動車排気ガス規制を取り上げ、定量的な政策評価の重要性を示した。昨年度は規制が始まる前の情報を用いた事前評価を行ったが、今年度は規制後の情報を用いた事後評価も試みた。現在、日本では3種類の自動車排ガス規制が用いられている。それらは、古くからある単体規制と近年になり施行された車種規制、運行規制である。単体規制は新車を対象とした汚染物質の原単位規制であり、車種規制と運行規制は旧車を対象とした直接規制である。ただし、運行規制は自治体条例の下で実施されている規制であり前者と比べると規制順守の度合いは弱いものとなっている。しかし、実際にこれらの規制がどの程度の大気環境改善に寄与したのかどうかは明らかとなっていない。そこで、日本の長期大気環境測定情報を用いて、この点について検証を試みた。分析の結果、単体規制と車種規制は大気環境を改善していることが示された。一方で、運行規制の効果は限定的であった。したがって、条例のような大きな強制力を持たない規制については、遵守を担保するような制度設計を行う必要がある。また、大気環境改善効果を見ると、単体規制のそれは他の2規制に比べて大きなものであることが明らかとなった。つまり、まず、新車の環境能力を改善させ、その後に旧車から新車への代替を促進させるような制度の在り方が望ましいことを示していよう。
著者
板谷 徹丸 兵藤 博信 山本 勲 岡田 利典
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

40Ar/39Ar段階加熱年代測定法では同位体比測定時間の短縮が要求されている。本研究では、微小電子増倍管群を質量分析計のイオン検出側に取付け、36Ar,37Ar,38Ar,39Ar,40Arを同時に検出し、定量分析する装置を試作することを目的とする。既存の企業技術を用いた微小電子増倍管群と位置演算装置アセンブリでは実現できなかった。そこで、和歌山工業専門学校の溝川辰巳博士及び東京都立大学城丸春夫博士の研究実績と経験を基に全く新たに製作した。それはバックギャモン法であり、二次元座標系である。大気アルゴン36Ar,38Ar,40Arは同時に検出されたが、多量の40Arの信号のために約1/300の36Arや約1/1600の38Arの定量性に問題があった。しかし二次元座標系で同位体信号分布が見られ、質量分析計のイオン光学系調整に有効であることが分かった。定量分析のために一次元に配列した直線型チャンネルトロンの製作を検討した。(株)デューンの協力でそれを可能にした。我々が実現した二次元系と(株)デューンの一次元系を兼ね備えた小型質量分析計はイオン光学系調整の便利さを実現し高感度なアルゴン定量分析が可能である。独立して行ってきた二つの研究開発型企業と研究機関が協力して全く新しい超小型の高感度高精度質量分析計の共同開発体制が実現した。位置演算装置から取りだすイオン信号にはイオンカウント法を採用するが、そのための回路設計と関連する装置制作とコンピュータープログラムの開発を開始した。コンピュータによる自動制御をするためのインタフェースの製作とコンピュータ自動制御のためのプログラムの開発も開始した。計測・解析を行うコンピューターとイオンカウンティングを行う測定系の間はLANケーブルで結ばれ、制御系のプログラム開発と測定系のインターフェイスは終了した。標準空気や高純度ガスを超低濃度に分割する抽出精製系を製作した。
著者
杉本 太郎
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

平成20年度は、前年度までに確立した方法を用いて、新しい試料の分析に取り組んだ。新たに12頭確認され、合計37頭のアムールヒョウを識別した。しかし過去に確認されたが今回確認できなかった個体も多くいた。この要因として、サンプリングが不十分であったことも考えられるが、近年密猟者により殺された事例が報告されており、この密猟が要因であることも考えられる。また、ロシアと国境を接する中国へ移動した可能性も残されており、今後分布全域から糞を採集することが必要である。遺伝的多様性に関しては、過去に確認された対立遺伝子が検出されないなど、多様性が失われていることが示唆された。現在のような小個体群では避けられないことではあるが、動物園個体の導入の必要性を示す一つの重要な結果であるといえる。研究の総まとめとして、ウラジオストクにあるWWF極東支部において、Workshopを開催し、本研究の成果発表を行った。このWorkshopには、アムールヒョウの保全に関わるWWF、WCSなどの国際的なNGOや、現地のNGOの研究者達が多数参加した。これまで行われていた足跡調査では明らかにできない多くの生態的、遺伝的情報を提供することができ、たくさんの前向きなコメントを得ることができた。発表の後、今後の研究のあり方、本研究で示されたモニタリング方法の有効性について活発な議論が行われた。今後も継続して試料を採集することで一致し、さらに採集地域を拡大することも計画された。本研究で確立した手法が今後も活用されていくことが期待される。
著者
三好 大輔
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

遺伝情報を保持していないRNA(非コードリボ核酸)は、高次構造を形成して機能を発現する。これと同様に、遺伝情報をコードしていないDNA(非コードデオキシリボ核酸)の高次構造も、遺伝子の発現制御などに関与している可能性がある。そこで本研究では、非コードデオキシリボ核酸の高次構造とその熱力学的安定性を定量的に検討した。その結果、代表的な非コードデオキシリボ核酸である、グアニンに富んだDNA鎖の形成する高次構造は、細胞内環境因子によって劇的に変化するのに対し、同様の配列をもつRNA鎖の構造は、細胞内環境因子によらず単様で高い熱安定性をもつことが示された。
著者
大槻 憲四郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

3.11巨大地震の大余震、誘発内陸地震、アウターライズ地震などに伴う深層地下水変動を観測するため、岩手県一関市厳美町やびつ温泉の自噴井ではラドンと炭酸ガスの濃度変化を、宮城県登米市南方上沼崎の650m孔井と同県東松島市矢本町大塩の1010m孔井では水温と水位の変化を、茨城県高萩市上手綱の623m自噴井ではラドンと炭酸ガスの濃度および水温変化を、筑波大学構内の孔井では水位のみを継続観測した。余震等の地震の頻度は次第に低下してきており、この間に顕著な地下水変動を伴うような大きな地震は発生しなかった。いわき地震(2011年4月11日、M.7)の余震に関しては、臨時水位観測を実施して興味深い結果を得たことを昨年度に報告した。余震の頻度は低下し続けていたが、2013年9月20日に久しぶりに前兆変動が期待されるような大き目の余震(M5.9)が発生した。すでに臨時観測は終了していたため、この余震に伴う水位変動を取り逃がした。そこで、遅ればせながら2013年10月1日から臨時観測を再開し、2014年2月21日に終了した。しかし、この間に顕著な水位変動を伴う余震は発生しなかった。3.11巨大地震に伴う地下水変動観測結果を解析し、論文として公表する計画であったが、まだ行っていないので近い将来に実行する。不均質すべり面上での震源核形成に関わる実験をガス圧変形試験機で行う計画であった。すべり面を跨いで貼ったひずみゲージですべりを精度良く測定できるように試料を四角柱に近い形に変え、それに伴ってアンビルの形状も改良した。計測器を8チャンネルから10チャンネルに増強し、サンプリングレイトも5MHzにグレードアップした。
著者
奥村 真紀
出版者
京都教育大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は、現代の批評動向を踏まえた上で、ブロンテ姉妹の作品の文化史・社会史的位置づけを再検証するために、個々の小説の何がどのように異なる文化の中で受容されてきたかを明らかにすることを目的とした。具体的には19世紀から21世紀にかけてのJane Eyre、Wuthering Heightsの舞台化、映画化、テレビドラマ作品の代表的なものを検証し、学会発表、講演、学会誌への投稿を通じて作品を文化的受容史の中でとらえなおす試みを行った。