著者
林 里奈
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.2-7, 2020 (Released:2020-02-01)
参考文献数
20

Demands for interaction designs of therapy robots is projected to increase as the expansion of robot-assisted activity. In consideration of this situation, I compared the influence of users' personality traits on the impression of tolerant, rejective and emotional reaction robots to approach from users. As a result, I confirmed that extraversion and openness personality traits have significant influences on the extroversion and steady in the tolerant reaction robot, and the tolerance in the emotional reaction robot, respectively. I also confirmed that the rejective reaction robot creates significantly the narrow-minded than the others independently of users' personality traits. These results suggest that in designing interactions of therapy robots, it is better to design avoiding rejection reactions for any robot-assisted activity. In addition, it should be noted tolerant and negative reactions in designing interactions of therapy robots for robot-assisted activity expected to have many users who are high in extroversion and openness, respectively.
著者
西田 かほる ニシダ カオル
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.243-258, 2021-03-31

遠江国敷知郡入野村の龍雲寺は、後二条天皇の孫康仁親王を開基とする。康仁親王の子孫である木寺宮は戦国期に入野村に居住し、戦国大名武田家に味方して徳川家と戦かったが、家康から龍雲寺を安堵されたという由緒をもつ。ただし、その後木寺宮は断絶し、龍雲寺も住職がいない状況が続いたため、江戸時代の前期には木寺宮の実態は分からなくなっていた。その様な中で、地誌の作成や幕府の古文書調査、明治期の陵墓調査などを通じて木寺宮の由緒が形成されていった。近世社会の中で木寺宮はどのように理解され、位置づけられたのかについて、主に龍雲寺に残された史料を紹介しつつ考える。
著者
山 健斗 猿爪 優輝 山下 真司 神谷 健太郎
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-6, 2022-06-22 (Released:2022-06-22)
参考文献数
15

【目的】地域在住高齢者を対象に通所介護サービス初回利用時の目標内容を計量テキスト分析にて解析し,サービス開始時の動機付け因子となる要因を明らかにすることとした。【方法】通所介護を利用している事業対象者・要支援者の96名(平均年齢79.4歳,女性59名)を対象とした。目標設定は構造化された枠組みに沿って行われた後,KH coderを用いたテキストマイニング法にて関連のある用語の抽出と共起ネットワークにて関連性を認めた抽出語をクラスタリングし,カテゴリー,サブカテゴリー分けを実施した。分類したカテゴリーと介護度,年齢,日常生活自立度,性別のバブルチャートを作成した。【結果】目標のカテゴリーとして①身体機能の改善,②歩行の耐久性の向上,③生活水準維持に必要最低限の生活空間での自立,④駅までの外出,⑤公共交通機関の利用,⑥社会活動の獲得,⑦運動関連の余暇活動に分類された。また,バブルチャートにて介護度と年齢は目標の生活空間の広さ,日常生活自立度と性別は目標の社会活動のレベルに一定の関連があることを示した。【結論】社会参加に関連した目標だけでなく,生活範囲の維持等を目的とした身体機能や活動面も目標となり,介護予防対象者へ効果的な動機付けの一助を担える可能性が示唆された。

12 0 0 0 OA 独英海戦記

著者
タフレール 著
出版者
聖紀書房
巻号頁・発行日
1941
著者
Kosuke SODA Tatsufumi USUI Tsuyoshi YAMAGUCHI Toshihiro ITO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.23-0124, (Released:2023-06-16)
被引用文献数
1

During the 2020–2021 winter, Eurasian countries experienced large outbreaks caused by the clade 2.3.4.4b H5N8 subtype high pathogenicity avian influenza viruses (HPAIVs) in the wild bird populations. At least seven gene constellations have been found in the causal HPAIVs. When and where the various HPAIVs emerged remains unclear. Here, we successfully cloned H5N8 HPAIVs with multiple gene constellations from a tracheal swab of a dead mallard found at its wintering site in Japan in January 2021. According to their phylogeny, the bird was most likely co-infected with the E2 and E3 genotype clade 2.3.4.4b HPAIVs. The result indicates that feral waterbirds can be infected with multiple HPAIVs, and shed an HPAIV with novel gene constellation in Southern wintering sites.
著者
嶋根 卓也 邱 冬梅 和田 清
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.173-178, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

This study aimed to review the current state and trends in cannabis use in Japan, using data from several national epidemiological surveys. The number of cannabis users in the general population was estimated approximately 1.3 million people. Cannabis use increased between 2015 and 2017. In 2017, the lifetime prevalence of cannabis use was greater than that of inhalants, and cannabis had become the most abused drug in Japan. The increase in cannabis users is thought influenced by increased access to illegal cultivation and positive thinking about cannabis use among many people, especially younger individuals.
著者
加藤 慶
出版者
東京通信大学
雑誌
東京通信大学紀要 第4号 = Journal of Tokyo Online University No,4 (ISSN:24346934)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-16, 2022-03-31

【目的】本稿は、(1)男性器と女性器の結合に留まらないセックスワークについて、北米のソーシャルワーク専門職団体の方針を明らかにすること、(2)日本のソーシャルワーカーは、LGBTQI のセックスワークについてどのように向き合い、支援を行うべきなのかを検討し提言すること、を目的とする。【研究方法と研究対象】研究方法は文献研究である。研究対象は、菊池(2015)、NASW「セックスワークに関する政策方針」、CASW「非犯罪化、出口戦略、健康の社会的決定要因」である。【提言】(1)LGBTQI を含む全てのセックスワーカーに対して、尊厳と敬意を払い、自己決定を尊重し、そして彼ら彼女らへの暴力を告発していくべきこと。(2)経済的正義、雇用と教育の機会が提供されるように努めるべきこと。(3)今日の性産業をめぐる世界的な議論を理解した上で、個人的な偏見を押し付けることなく、倫理綱領に従い、セックスワーカーに最善のサービスを提供できるような実践を行うべきことを提言した。
著者
八城 年伸
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.53-60, 2021-08-21

COVID-19 によるオンライン授業においては,授業をする側,受ける側の双方が不慣れなため,様々な問題が生じた.その中には,授業をする側のちょっとした工夫で,大きく改善できたものもあると考えられる.中でもノイズの低減や講義内容の提示方法については,受講の快適さや理解度に大きく関わることから,YouTube 等の解説動画で用いられる「ゆっくり解説」の手法により改善を図った.コンテンツの作成に多大な手間がかかるため,手間に見合う効果が得られたのかについては疑問が残るが,その一方で幾つかの知見が得られた.
著者
井上 順孝
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.3-24, 1997-06-14 (Released:2017-07-18)
被引用文献数
1

新新宗教という用語は広く用いられるようになったが、学術的概念としては、問題点も少なくない。とくに1970年代以降に「台頭した」新宗教をすべて新新宗教に含める議論が、とくに問題である。新新宗教論は、新宗教の変化を社会変化との対応においてみる視点から出てきた議論であり、その重要性は十分理解できるが、それだけに緻密な理論構成が求められる。新新宗教という概念は、かなり幅広い意味で用いられているのが現状であるので、まずこの概念が提起された経緯、及び主な使用法について整理を試みる。そして、この概念にどの程度必然性があったかを考察する。最後に、新新宗教といった概念を提起するならば、その前提としてどのような研究が蓄積されていなければならないかについて私見を述べる。とくに、1970年代以降の社会変化とは何か、運動の個性、発展段階という問題、外来の新宗教と日本の新宗教についての比較の視点の必要性について触れる。
著者
山道 真人 長谷川 眞理子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.199-210, 2012-11-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

保全生態学は生物多様性の保全および健全な生態系の維持の実現への寄与をめざす生態学の応用分野であり、保全活動に大きな貢献をすることが期待されている。この目標を実現するためには、保全生態学研究が保全活動の要請に見合って適切に行われている必要がある。そこで日本における保全生態学の研究動向を把握する一つの試みとして、1996年から発行されている代表的な保全研究・情報誌である『保全生態学研究』(発行元:日本生態学会)に掲載された論文のメタ解析を行った。その結果、近年になって論文数は増加し著者も多様化している一方で、研究者は自分の所在地から近い場所で研究を行う傾向があり、研究対象地は関東地方と近畿地方に集中していること、研究対象種は植物・哺乳類・魚類が多く、昆虫や他の無脊椎動物が少ないといった偏りがあることが明らかになった。この結果をもとに、応用科学としての保全生態学のあり方と今後の課題について考察した。
著者
歐陽 宇亮
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.141-155, 2008 (Released:2020-03-09)

この研究は、「場」という概念装置を導入しつつ、現場でのフィールドワークを主要な方法とした、日本の「美少女ゲーム」のオーディエンスのアイデンティティと相互作用を分析し、「場」という概念装置の再検討をおこなう文化消費研究である。差異化・卓越化を図る文化消費の圏域として、ピエール・ブルデューによって提起された「場」は、日本では南田勝也によって応用され、関与対象の「文化的正統性」をめぐる象徴闘争によって参与者の卓越化が図られると論じられた。本稿は日本の美少女ゲームの文化消費をめぐる議論を通じて、メディアとオーディエンスという二つの文化消費研究の概念を用いた場の論理の精微化を例示する。日本の「美少女ゲーム場」において、メディアとオーディエンスが断絶し、文化的正統性をめぐる象徴闘争は卓越化が図りえない状況において展開する。このような対外的にのみ同一化する場を、「不完全な場」と表現することができる。それは外部のヘゲモニーによって場の力学が部分的に撹乱された状態であり、その背景には社会空間における社会的権力関係がある。
著者
柏木 亨介
出版者
一般社団法人 日本民俗学会
雑誌
日本民俗学 (ISSN:04288653)
巻号頁・発行日
vol.307, pp.33-67, 2021-08-31 (Released:2022-12-20)
参考文献数
57

本稿は、戦前から平成にかけての旧華族神職家の活動に着目し、彼ら自身が背負う歴史の受け止め方と伝え方の分析を通して伝承の力学を論じるものである。阿蘇神社(熊本県阿蘇市鎮座)は延喜式神名帳記載の名神大社、近代の官幣大社であり、宮司職を代々務める阿蘇家は阿蘇国造の末裔として華族(男爵)に列せられた名家である。戦後、華族と神社をとりまく社会環境が変わるなか、歴代宮司たちによる神社とイエの維持の仕方を手記や聞き書きから分析した。 戦後、国家の後ろ盾を失った神社は運営方針の転換を迫られたが、青年期を戦前に過ごし終戦直後に神職生活を始めた第九〇代宮司は、新たな社会の価値観のなかでイエと神社を継承しなければならなくなり、積極的に地域の人びとと交流して氏子青年会などを結成したり、各種講演会活動を通した神道教化活動を行ったりすることで、氏子からの全面的な協力を得られる組織づくりに努めた。彼の跡を継いだ第九一代宮司は、安易に参拝者を増やす方針は採らず、氏子崇敬者からの奉賛と国の文化財保護制度の活用によって故実に従った祭祀を厳修し、伝統ある神社としての矜持を保つよう努めた。そして先代宮司は、行政や地元経済界の事情や要望を調整しながら、阿蘇家と阿蘇神社の伝統を次の世代に渡していった。 阿蘇家と阿蘇神社の歴史のなかで、戦国末の一時没落は史上最大の危機として記憶され、終戦直後の難局としばしば対比される。その歴史を踏まえて彼らが重視するのは、イエと神社を没落させないことであって、時代状況に応じた運営方法を創り上げて祭祀を厳修し、次代に伝えていくことに注力する。ここにみられる伝承の力学には、地元の人びとから寄せられるイエと神社への期待に応えること、個を犠牲にしながら家系維持と神社運営に努めてきた先人の歴史を絶やさぬこと、一家団欒という幸せな家族像を実現すること、といったイエに対する規範意識が働いていることを指摘した。
著者
山下 雅俊 水野 賀史
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.45-51, 2022 (Released:2022-10-15)
参考文献数
22

注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder: ADHD)は不注意,多動性・衝動性を特徴とした神経発達症である.近年,ヒトの脳機能や脳構造を可視化する有力な方法であるMRI(磁気共鳴画像)により,ADHDの神経生物学的基盤の解明が進み,前頭葉,大脳基底核の構造的な成熟の遅れが示唆されてきた.その一方で,これまでのADHDに対する脳機能研究の成果には一貫性が乏しいことも問題点として指摘されている.本稿では,これまで報告されてきたADHDのMRI研究(脳形態,機能的MRI)に関する主な知見をまとめ,最後に,それに続くADHDの神経生物学的基盤の解明に向けた,我々の取り組みについても紹介する.
著者
橋本 一径
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.154-159, 2015-10-15

「動物は病気にならない」 病気になるのは人間だけで、動物、とりわけ野生動物は、めったに病気になどならないし、なったとしても自然に治る。このように述べるのは、フランス革命期から19世紀初頭にかけて活躍した医師であり博物学者のジュリアン=ジョゼフ・ヴィレー(Julien-Joseph Virey, 1775-1846)である。「動物は(…中略…)野生状態では通常は病気にならないⅰ」。1801年に2巻本の大著として刊行され、1824年にさらなる増補版の出された主著『人類の自然史』においてこう記すヴィレーは、動物に比べて人間があまりにも多くの病気に脅かされていることを嘆く。「なんと多くの病を人間は持ち合わせていることか、自分では引き受けきれないほどにⅱ!」。動物が病気にならないというのなら、獣医の商売は上がったりのようにも思われるが、もちろんヴィレーとて、当時すでに大学で講じられる立派な学問として成立していた獣医学の存在を知らなかったわけではあるまい。獣医学がもっぱらその対象としてきた、豚や羊や馬などの家畜動物が病気になることは、ヴィレーも認めているからである。 ヴィレー曰く、彼らが病気になるのは、「自然の秩序から遠ざかってⅲ」しまったから、つまり人間に近づいてしまったからだ。それでも人間に比べれば彼らの病気など取るに足らないものである。世界のあらゆる生き物のなかで、人間が「もっとも病弱な動物ⅳ」であることは、ヴィレーにとって自明のことであった。病気とは、自然を離れて文明化した人間だけに襲いかかる災難であり、言ってみれば“持てる者の悩み”なのだ。