著者
伊達木 澄人 中富 明子 渡辺 聡
出版者
長崎大学
雑誌
長崎医学会雑誌 (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-43, 2014-03

アレルギー性鼻炎に対して、セレスタミンRを長期内服した結果、Cushing症候群と続発性副腎機能不全をきたした11歳女児例を経験した。患児は、セレスタミンR1日2錠(ベタメタゾンとして0.5mg)を少なくとも8か月間毎日内服していた。Rapid ACTH試験にて内因性コルチゾール分泌能は低下していたため、セレスタミンR中止後、生理的維持量のコートリルRを開始した。その後、コートリルRを漸減し、1か月で中止可能であった。セレスタミンRは、強力な抗アレルギー作用を有することから、多科において広範囲に使用されている薬剤である。しかし、本剤がステロイド合剤であるという認識が乏しく、長期服用による副作用が問題となる例が跡を絶たない。安易な長期処方を避け、使用する際には、適切な患者・家族への情報提供と副作用に対する十分な注意・対応が望まれる。
著者
大石 博之 松隈 明彦 相原 安津夫
出版者
九州大学理学部
雑誌
九州大学理学部研究報告 地球惑星科学 (ISSN:09167315)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.p73-84, 1993-12

The Oligocene Yoshinotani Formation of Takeo, Saga Prefecture, Japan, yielded several distinct footprints without any track maker at the end of its trail. The most well-preserved trackway, consisting of eight left footprints and seven right ones, is described in this paper. Each footprint has four'fingers'and a bifurcate'heel'. The right and left footprints are arranged symmetrically. An average stride length, 25.8 cm, is nearly equal to an average track breadth, 24.6 cm. All left footprints are nearly equal in form and size, averaging 6.2 cm long and 3.4 cm wide. All right ones, 5.4 cm in length and 3.7 cm in width, are also identical with each other. This evidence suggests that the trackway was made by a pair of left and right legs of the track maker, which moved both left and right legs simultaneously. These footprints have been compared with the trails of bipedal vertebrates, including birds and turtles, but the manner of occurrence and the morphology of footprints suggest that they are probably undertracks formed by the pushing appendages of a limulid, i.e. the paired sixth cephalothracical appendage with four blades. Although no fossil limulid has been reported from Japan, the trackway of the Yo shinotani Formation, i. e. Kouphichnium sp., suggests that Japanese limulids should go back to the Oligocene age. It is predicted that limulid body fossils will be found from the Yoshinotani Formatiom, which is important in considering the origin of the living Japanese limulid, Tachypleus tridentatus
著者
谷岡 一郎
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.517-543, 2011-09

宮澤浩一先生追悼論文集論説一 序論二 ブッキング・ビジネス三 オンライン・ゲーミングと法四 ハンディとオッズ - ネヴァダ州のブック・メイキング五 法律上の問題点六 日本人とギャンブル行政
著者
中辻 真
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.978-982, 2018-10-15

AI「オシエル」は,QAコミュニティ「教えて!goo」上で,恋の悩みにアドバイスするAIキャラクタとして誕生した.質問者から寄せられる複雑な相談に対し,日々瞬時に回答を構築,1ユーザとして投稿し,その回答数は2018年現在3万件を超える.恋愛相談は,一般的に一意な回答で決まるものではなく,多様な回答を取り得る.その中で,納得性の高い回答を構築するため,「オシエル」は,回答シナリオを「共感」,「結論」,「補足」,「励まし」の流れで抽象的に定義し,質問と回答の関係を,深層学習による回答文選択と文間の組合せ計算を実現する「長文回答構築モデル」により学習する.本稿は「オシエル」誕生の背景と,技術概略,今後の展望を述べる
著者
堤 亜美
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.323-337, 2015
被引用文献数
6

本研究では, 一般の中学・高校生を対象とした, 認知行動療法的アプローチに基づく抑うつ予防心理教育プログラムの実践を行い, その効果を検討した。プログラムは全4セッション(1セッション50分)からなり, 主な介入要素は1)心理教育, 2)感情と思考の関連, 3)認知の再構成, 4)対反芻, であった。中学3年生および高校2・3年生を対象に本プログラムを実施したところ, 分散分析の結果, 中学生対象の実践ではプログラム実施群はプログラム実施前に比べ実施後に有意に抑うつの程度と反芻の程度が低減したこと, 高校生対象の実践ではプログラム実施群はプログラム実施前に比べ実施後に反芻の程度が有意に低減し, 抑うつの程度が有意に低減した傾向が示された。また, 中学生では実施6ヶ月後, 高校生では実施3ヶ月後の時点において, プログラム実施後の抑うつ・反芻の程度を維持していることも示された。そして感想データの分析の結果, 自分自身や周囲の人たちの抑うつ予防に対する積極性の獲得など, 一次予防や二次予防につながる様々な変化が見出された。これらのことから, 本プログラムは抑うつ予防に対し継続的な有効性を保持するものであることが示唆された。
著者
竹内 綱史
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.43-56, 2016

<p>Die Absicht dieses Aufsatzes ist es, die Beziehung zwischen dem Problem vom Nihilismus und Nietzsches Verständnis des menschlichen Leibes zu erörtern und die Wichtigkeit dieser Problematik für Nietzsche zu erklären.</p><br><p>Der Nihilismus bedeutet, nach Nietzsche, zuerst eine gewisse Trennung von dem Ich und der Welt. Für das menschliche Ich sind die Werte, wie z.B. Nützlichkeit, Schönheit, Heiligkeit, usw., entbehrlich, nach denen es in der Welt leben kann. In dem modernen wissenschaftlichen Weltbild gibt es aber keinen Wert in dieser Welt selbst, sondern alle Werte sollten nur als menschlich, nämlich als Erdichtungen vom Menschen, gelten. Dieses Weltbild hat es also „wertlos" gemacht, in der Welt zu leben.</p><br><p>Nietzsche aber reduziert diese Trennung auf einen Zwiespalt innerhalb des menschlichen Leibes. Der Leib ist für ihn viel urspünglicher als das Ich. Zarathustra sagt, „Leib bin ich ganz und gar" und der Leib ist, sagt Nietzsche, „ein Gesellschaftsbau vieler Seelen". Weil wir modernen Menschen uns über Jahrtausende hindurch das wissenschaftliche Weltbild, das in der christlichen Weltanschauung seinen Ursprung hat, „einverleibt" haben, bekam unser Leib als Gesellschaft endlich eine Moral, die uns verbietet, ungewisse Dinge zu glauben. Diese Moral innerhalb unseres Leibes, das heißt das „wissenschaftliche Gewissen", trennt uns von der Welt der Werte.</p><br><p>Für den Leib als Organismus oder Lebewesen ist aber die Welt der Werte eigentlich. Von diesem Standpunkt aus ist das wissenschaftliche „wertlose" Weltbild eine Art der Idiosynkrasie vom modernen Menschen. Nietzsche behauptet, dass durch Veränderung unserer Einstellung zum Leib die Trennung von dem Ich und der Welt überbrückt werde und dann die große Spannung der Zwiespalt innerhalb unseres Leibes eine Energie erzeugen solle, um die Möglichkeiten menschlicher Zukunft zu erweitern.</p>
著者
内海 泰弘 村田 育恵 椎葉 康喜 宮島 裕子 井上 晋
出版者
[九州大學農學部附属演習林]
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
no.91, pp.15-18, 2010-03

宮崎県椎葉村大河内地区における植物の伝統的な利用法と方言を記載した。これまでに高木類と低木類について報告してきたが,本報告ではつる植物32種とタケ類8種およびシュロについて複数の年長者からの聞き取り調査結果をまとめた。つる植物のおもな用途は縄,器具材,食材であり,タケ類のおもな用途は建築材,器具材,筍であった。つる植物で縄に用いられたのは5種あり,つるの物理的性質に応じて使い分けられていた。タケ類の中ではハチクとマダケが重要種で屋根材や生活用品の材料として重用された。他の多くのつる植物とタケ類は季節ごとに多様な食料として地域の生活を支えていた。
著者
橋本 和哉
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, 2015

古来から人が死ぬと肉体から霊が離れ霊界に行くと言われます。何らかの事情で霊界に行けない霊がいます。そうした霊が霊に敏感な人に憑依して、不眠、悪夢、イライラなどの障害が起こった場合、霊障と呼ばれます。それを改善するには浄霊が必要です。一般に浄霊には高次元存在に頼む方法がありますが、気のエネルギーで浄霊する方法を検討しました。種々の試みの結果、憑依した霊と高次元の神的存在をエネルギー的につなぎ、憑依霊を癒やす気エネルギーで上手く浄霊できました。浄霊できた症例と、浄霊が気のエネルギーワークで効率良く対処できうることをお伝えします。
著者
近藤 裕幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.111, 2004

【石橋の経歴】石橋五郎(1876‐1946)は千葉県出身で、東京帝国大学文科大学史学科を1901年7月に卒業後、1904年神戸高等商業学校に赴任し、商業地理等を教えた。1907年京都帝国大学文科大学に史学科が創設されるに際し,史学地理学第二講座(後の地理学講座)が開設され、小川琢治(1870_-_1941)のもとで、人文地理学を講じた。1921年に小川が他学部へ転出した後は,石橋が講座を担当し、時代変遷史的に地理を見る立場を鮮明にし,当初はラッツエル、後には「地人相関論」の立場にたって講義を行った。1927年からは多くの著作に携わり、『日本地理風俗大系』、中学校教科書を著し、地理学の成果普及に努めた。<br>【地理学の方法論の導入】石橋が活躍し始めた1910_から_20年代の中学校地理教育の現状は、啓蒙的に知識(地名物産地理)を下達するものが多かった。例えば石橋よりも先に活躍した山崎直方の教科書では、地人相関的な記述はなかなかみられず、地名が羅列的に並べられたものが多かった。そうした教科書ではなく、石橋は地理学の方法論をとりいれた教科書を執筆した。(石橋は教科書を1924_から_1943年にかけて約20冊著している。)<br>石橋の地理学方法論とは法則定立と地人相関論にあった。しかし石橋はこの両者を全て地理教育に取り入れずに、教育に役立つと思われる地人相関論のみを教育へとりいれた。それは、石橋が地理学と地理教育を別のものとして捉えていたからである。<br>【地人相関論導入過渡期としての位置付け】しかし、石橋が著した教科書の初期のものは、地名羅列的な記述のものだった。地人相関的記述をともなった教科書を書き始めたのは1931年以後であった。そうした記述がなされるようになった背景に、1931年の「中学校令施行規則改正」がある。このときに教育制度上ではじめて地人相関論を教えることの法的裏づけがなされたのであるが、石橋は地名の羅列的記述から、地人相関的記述へとうつりかわる動きを積極的に当局に働きかけた節があり、過渡期にあった人物といえる。<br>【教育全般(教育課程)における地理教育のいちづけ】一方で、石橋は教育全般(教育課程)における地理教育のいちづけを明確にしようとした。教育の目的を、「個人が一般的幸福のために自然的社会的環境にいかい適応すべきかを学ぶこと」と考えていたので、地理科は人間が環境にいかに適応すべきかを学ぶものだから、教育全般のなかで役立つものとした。<br>【地理教育の目的】教育全般の中での地理教育の役割を、石橋は著書『地理教育論』の中で体系的に論じた。生活に即した知識(職業に役立つ知識)、教養としての地理知識、祖国意識の強化、人類愛観念養成、国土美鑑賞のための情操の陶冶などを挙げている。要約すれば「情緒的な側面の陶冶」と「実用と教養の知識獲得」が地理教育の目的といえよう。実際に教科書をみても、二つの見解が生かされた記述となっている。<br> 同時代に地理教育を論じたものとして、田中啓爾の『地理教育に関する論文集』、佐藤保太郎(1933)の「小学校及び中等学校の地理教育」(『岩波講座教育科学16』)等があるが、いずれも教育大系全体を踏まえた地理教育を論ずることが少なく、局所的な論述で、体系的に論じるには至っていない。<br>【地理教育史における石橋の重要性】これまでのことから、地理教育史上、2つの点で、石橋は重要な存在と考えられる。第1は、地理の知識を上から下へと教授していた時代で、羅列的記述を避け、地理学の手法をとりいれた。そうしながらも、地理学と地理教育を混同しなかった点である。第2に、教育全般(教育課程)における地理教育の位置付けを論じ、目的を明確に論じたことである。すなわち、地理学と地理教育を分離した上で、次に教育全体の中で地理教育が果たしうることを目的論として体系的に打ち出したのである。石橋は「教育全般?地理教育?地理学」の構造を浮き彫りにした事実から、今後地理教育史においてさらに検討を加えられるべき人物であると考えられる。<br>
著者
金 光林
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.54, pp.63-70, 2019-10

世界の各国の姓氏について調べてみると、大概は少数の姓氏に人口が集中する現象が見られる。東アジアの場合もこのような現象は明確に現れる。中国おいて人口が少数の有力な姓氏(大姓)への集中する要因は次のように考えられる。(1)まずは、由緒があり、多様であり、広く分布していることに関連がある。(2)大姓は歴史上において国姓であることが多く、国の支配者の姓であるために当該王朝においては勢力を誇り、また王朝の支配者は賜姓という手段を使い、国姓を広めた。(3)門閥氏族制度は有力氏族増加の重要な要因となった。(4)中国の前近代の一夫多妻制により、社会的地位と経済的優越は子孫の生育にも有利に働き、名門氏族の子孫繁盛の土壌を作った。(5)家系を重んじる意識、同姓村落の形成、共同体内部での婚姻などの要因も、社会的に有力な姓氏への偏中を助長したと考えられる。朝鮮(韓国)とベトナムの姓氏における有力な姓氏への集中現象にも中国と近似する要因が見られる。日本の姓氏が中国、朝鮮、ベトナムのように数百程度に集約されず、約30万個もあるといわれるが、これについては次のような要因が考えられる。(1)日本の姓氏は地名、職業名、物象名などに由来したが、その中の多数が地名に由来している。それぞれの地域の多様な地名に由来したために自ずと姓氏の数が多数になったと思われる(2)日本の家族制度は中国、朝鮮、ベトナムの場合に比べて血縁によって続くという意識が濃厚ではなく、そのため姓氏の分化が常に行われ、それが多数の姓氏に発展する素地となった。(3)日本の政治体制が中国、朝鮮、ベトナムのような中央集権型ではなかったので、古代社会の場合を除くと、中央の政治権力による姓氏への影響力(王権により賜姓・改姓)が薄く、これも姓氏が多様化する一因にもなったと考えられる。(4)明治時代に入り、「平民苗字必称義務令」が発布され、江戸時代までに公に苗字(名字)を名乗ることができなかった平民層も苗字を持つことが義務化されたために、極めて短期間に平民たちが馴染みのある地名から多数の苗字を新しく作ったことが日本の姓氏の数を増加させた。
著者
飛山 純子
出版者
東京女子大学
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
no.23, pp.74-85, 1964-11-10
著者
門 信一郎
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.99-106, 2015-02-25

日本の教育はいわゆる「ゆとり」から「脱ゆとり」へと移行し,世界的にみた学力も回復傾向を示している.「ゆとり教育」期間もSSHやSPP等を通じ,中学・高校も理科離れ対策を講じ,筆者もそれに協力してきた.プラズマ現象は数多く中学高校の教科書に取り上げられているが,プラズマの名を使わないのは不自然に思える.プラズマ・核融合をあらわに現行の理科教育に組み込むには,高等学校で初めて「プラズマ」を目にするのでは遅い.全員が学ぶ中学理科で用語と基本性質に慣れ親しみ,高校では学術・研究志向の教育となるように内容や配置を工夫をすべきであろう.白熱灯と蛍光灯からLED照明へと移行しつつある今日,科学的リテラシーの充実には,光のスペクトル分類を再定義する必要がある.研究者にも現行の理科教科書の一読を奨励したい.