著者
江谷 為之 角 康之 シドニーフェルス 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.31, pp.43-48, 1998-04-23
被引用文献数
4

本稿では我々の研究プロジェクトC-MAP(Context-aware Mobile Assistant Project)におけるエージェントベースの適応型支援アーキテクチャの概要を述べる。C-MAPでは、博物館や研究所公開などの展示空間を構成する見学者/説明員、展示物/デモ、展示サイトなどの関係要素に対してエージェントを配置し、それらの動的属性に振舞いを相互適応させることで、見学者の興味や知識の推移に応じた展示ガイド、人間同士の出会い支援を目指す。ここでは、展示空間における動的関連性を考慮した相互のコミュニケーション支援について考察し、それらを実現するための支援アーキテクチャについて議論する。This paper is to discuss our agent-based support architecture in C-MAP; Context-aware Mobile Assistant Project. C-MAP is an attempt to build an exibition environment like museum that provides enriched information to visitors based on their individual context like location, interests etc. In this environment, elements that compose exibition space like human, object, site are represented as agents that communicate with each other in adaptive manner. Basic support functions and architecture for this adaptive exhibition environment are discussed in this paper.
著者
橋本 英治 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行 鈴木 邁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.28-29, 1998-10-30

In case of this study, as the means to fulfill the lifetime that object has, the affection for object was systematized. Fron the results of the questionnaire investigation and the interviewing investigation that uses the Repertory Grid Technique, the graph systematized was made. As a result, the four factors of occurrence of affection was found out. That factors is that object be equipped with the excellent structure and mechanism, that good materials be used for object, that object be equipped with the characteristic which isn't in the other object and that the new sense of value occurs to the object.
著者
水島 かな江
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.69-79, 2008-02-01
参考文献数
75

ホームの訳語としての家庭と,Horticultureの訳語としての園芸は,ともに近代に入って使われるようになった言葉である.この二つの語を含み,その目的を家族の団らんとする「家庭園芸」は,明治期後半に登場した.本稿では,この「家庭園芸」を対象とし,家庭がどのような経緯で園芸との関係を深め,「団らん」をその領域に浸透させていったのかという疑問を解くことを目的として研究を行った.主に用いた資料は,ホームと団らんに関する言説の発祥とされる女学雑誌と明治期に入って出版された園芸書である.その結果,以下のような流れで,家庭と園芸の関係が生じ,園芸領域に団らんが浸透していくことがわかった.1)女学雑誌の中での流れ(1)巌本による「一家の和楽団欒」とホームの登場.(2)「一家の和楽団欒」の担い手=女性という位置づけ.(3)女性の役割として,家内における装飾,清潔等の家事の抽出.(4)家事をまとめた「家政」が項目として登場.(5)「家政」の中に,技術としての「庭つくり」が登場.(6)「家政」の中に「農業園芸」「園芸法」が登場.以後連載として定着.女学雑誌における以上のような流れとは別に,「園芸」領域には,以下のような流れがみられた.2)園芸書からの流れ(1)博覧会資料に,「Horticulture」の訳としての「園芸」が登場.しかし一般には造庭の意味の園芸で移行.(2)「Horticulture」の意味での日本園芸会が設立され,雑誌の発行が開始される.しかし最初の園芸書は,造庭の意味のものとして出版され,一般の辞書にも,その傾向は続くが,明治40年ころから蔬菜,果樹,花卉を含む現在用いられている意味が現れる.(3)従来の農産に属するものを省略し,果樹花木など植物を生育させるための説明をするという『簡易園芸法』という書物の登場.女学雑誌にもその広告が出され,園芸書の女性領域への参加が始まる.このような,産業方面の園芸とは異なる園芸書の出版を経て,(4)日用百科全書の一つとして『住居と園芸』が登場.団らんの場として,住居と庭の重要性が述べられ,家族が団らんする姿を含む庭の挿絵が登場する.この挿絵の背景は盆栽等も含む日本庭園だが,主人公は庭ではなく団らんする家族である.このような家族の団らん風景を描いた挿絵の登場後,(5)「家庭園芸」をそのタイトルに含む『家庭園芸談』が登場する.以上のことから,女学雑誌における巌本の「一家の和楽団欒」や「ホーム」の提唱が次第に広がる中,その和楽団らんの担い手として女性が位置づけられていったこと,そして,その女性の役割として,清潔,装飾を重視する家事が強調され,それらが「家政」項目としてまとめられていく流れの中で,園芸が取り入れられていったことがわかる.そして,このような家政項目に園芸が取り入れられる状況を経て,園芸書と家政書がともに並ぶ下地ができ,園芸という領域の中に団らんを目的とする「家庭園芸」が生じてきたと考えられる.つまり,近代家族の源流と見られるホーム,団らんに関する言説の登場は,それを機に,その団らんの担い手としての女性の役割を明確にさせ,さらに庭や園芸も家庭領域に取り込んでいくという大きな広がりを見せることが明らかになった.今後はこの様な流れの中で,主に近代家族の中心となった新中間層の人たちを対象とし,庭と家族,家庭のあり方の関係の具体的変化について,さらに深く調べていきたいと考えている.
著者
小窪 浩明 畑岡 信夫 李晃伸 河原 達也 鹿野 清宏
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2597-2606, 2009-11-15
被引用文献数
1

PC向け連続音声認識プログラムJuliusのSuperHマイコン(SH-4A)への搭載に関して行った処理の高速化と,評価実験について報告する.計算リソースの限られたマイコン上で動作させるため,仮説探索時のメモリ管理の最適化や音響尤度計算の高速化を実施した.語彙数5,000語での評価実験では,最適化前のJuliusの実行速度に対して3.7倍の高速化を実現し,SH-4A上での実時間動作を達成した.また,語彙数20,000単語での評価でも実時間の1.25倍で動作すること確認した.最後に,応用アプリケーションとしてT-Engine上に実装した質問応答システムについて報告する.To expand CSR (continuous speech recognition) software to the mobile environmental use, we have developed embedded version of Julius (Embedded Julius). In this paper, we describe an implementation of the "Embedded Julius" on a SH-4A microprocessor. SH-4A is a high-end MPU with on-chip FPU. However, further computational reduction is necessary for the CSR software to operate real-time. Applying some optimizations (efficient memory management, modified GMS), the "Embedded Julius" achieves real-time processing on the SH-4A. The experimental results show 0.73 x real-time, resulting 3.7 times faster than baseline CSR. We also evaluated the "Embedded Julius" on a large vocabulary task (20,000 words). It shows almost real-time processing (1.25 x RT). Finally, We introduced Q & A guidance systems developed for embedded applications.
著者
小幡 明彦 佐々木 和雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.642-651, 1999-02-15
参考文献数
20
被引用文献数
9

ビデオ画像通信を利用して, 分散した職場間のインフォーマルコミュニケーションを支援するシステムの研究が活発化している. これらのシステムではビデオ画像通信を, 会話開始前に受け手の状態を確認することで会話を開始するまでの心理的敷居を下げるためや, 意図しない相手との偶発的な会話のトリガとして利用している. 本論文では,これらのシステムにおける課題として,会話前に受け手を覗くことによって, 受け手に会話を強要する侵入感の問題と,意図しない相手との偶発的会話支援が狙いどおり発生しない問題について焦点を当て, 距離の概念の導入を試みることでこれらの問題点を解決するインタラクションモデルを提案する. また, 本モデルに基づいた実験システムオフィスウォーカを開発し, ユーザ実験により, これらの課題, および, システムの導入効果について検証する. その結果, 侵入感の問題については, 受け手が反応せざるをえなくなる状況が回避でき, 遠隔の相手の様子を気軽に見ることができようになった. 偶発的会話については, 業務グループ間におけるコミュニケーションのうち, 25%が偶発的に生じており, 意図した相手と異なる相手との会話を支援することが可能になった. また, システムの導入効果として, 問合せのカテゴリの会話が有意に増加し, 遠隔のメンバに気軽に問合せができるようになることが確認できた.
著者
久保田 貢
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.467-478, 2007-12

大学の教育学研究者が、教育基本法「改正」をはじめ新自由主義的教育改革に、加担した責任があるのではないか。「教員養成GP」などの競争的資金は新自由主義的教育改革の一環である。これを獲得することは、「全体の奉仕者性」を見失い、教育の不平等をもたらしている。教育政策への批判的研究を封じ込まれることにもなる。大学と教育委員会との連携にも問題がある。東京教師養成塾や名古屋市スクールボランティア制度のように、疑問の多い企画に対して、大学はこれを抑止するどころか学生を送り出している。自分の大学からの教員採用数を増やしたいがために、教育委員会との連携が一線を越えたものとなってしまっている。このままでは、かつて教育学者が自らの戦争責任を深く反省したのと同じように、いつか自らの責任を問い直すことになるのではないか。平和のための科学とは何か、「市民社会」に対する大学の教育・研究の責任とは何かを再考すべきである。
著者
宮崎 圭子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.A93-A104, 2008-03

中高年のグループに「自己理解」をテーマにサイコエデュケーショナル・グループを実施する機会を得た。本研究の目的は、そのサイコエデュケーションの効果を検証することである。さらに、同様のプログラムで、以前実施した大学院生を対象とするサイコエデュケーショナル・グループ(宮崎, 2004a)との効果を比較し、グループ特性の違いがどのようにサイコエデュケーションの効果に影響するか、その異同を論じることが、2つ目の目的である。両グループとも、サイコエデュケーション実施前後に時間イメージ尺度(都筑, 1993)に回答を求めた。この尺度は現在イメージ、過去イメージ、未来イメージから構成されており、各イメージ尺度は20項目から成っているものである。中高年グループでは、現在イメージがサイコエデュケーション実施後において5%水準で有意にポジティブな方に変化した。さらに現在イメージが「楽しい、安定な」(5%水準)方向に変化した。過去イメージでは、「受身的な(5%水準)方に変化が見られた。院生グループでも、現在イメージがサイコエデュケーション実施後において1%水準で有意にポジティブな方に変化した。現在イメージが「楽しい」(1%水準)方に、「すばらしい、魅力のある」(5%水準)方に改善された。未来イメージにおいては、「楽しい」(1%水準)、「すばらし」(5%水準)方に改善された。また、サイコエデュケーション実施前においては、「家族と同居」群の方が「一人住まい」群より、5%水準で有意に現在イメージがポジティブであったことが明らかとなった。同じサイコエデュケーショナル・グループのアプローチをとり、同じワークを行ったにもかかわらず、グループの特性によって時間イメージの変化が規定されることが明らかとなった。今後の課題として、多様なグループに同様のサイコエデュケーショナル・グループを試み、その変化を詳細に検討していくことである。
著者
金海 好彦 齋藤 修一 河合 栄治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.375, pp.23-28, 2011-01-13

OpenFlowの目的は,研究者や放送局,ネットワーク運用者からの異なった要求に従って,トポロジーやスイッチ間の接続を柔軟に変更できることを狙った技術である.いわゆるプログラマブルネットワークと呼ばれている.OpenFlowの特長を生かすためには,トポロジーが物理的にフルメッシュであるべきであるが,一般的に全国網は地理的・コスト的な問題からツリートポロジーで構築されている.つまり,全国に展開すべきOpenFlowネットワークを物理的なフルメッシュトポロジーで構築することは実践的ではない.我々は,既存のR&Dネットワークテストベッド上にOpenFlowネットワークをオーバーレイする手法を提案し,提案する手法の有用性を確認するために構築したネットワークを用いて実証実験を行った.全国展開したOpenFlowネットワークを用いて,放送局からの厳しい条件を満たす必要がある映像を伝送した.
著者
中野 尚夫 杉本 真一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.357-363, 1999-09-05
参考文献数
18
被引用文献数
8

緑肥作物の立毛中に不耕起播種した水稲の苗立ちを検討した. 前作緑肥作物は1994年と1995年がレンゲ, クリムソンクローバ, ヘアリーベッチ, アルサイククローバで, 1996年と1997年がこれらとアルファルファであった. いずれの年にも裸地に播種する対照区を設けた. 水稲の播種期は1994年が4月15日, 4月28日と5月13日, 1995年が5月8日, 1996年が4月23日, 4月30日と5月9日, 1997年が4月16日, 4月25日と5月12日で, 供試品種は吉備の華であった. 前作緑肥作物の被陰度は, 地際相対照度でヘアリーベッチ, アルサイククローバ, アルファルファが5〜10%, レンゲ, クリムソンクローバが約20%であった. 水稲の出芽開始は播種期が早いほど早く, 緑肥作物立毛播種で遅く, 被陰度の大きいアルサイククローバ, ヘアリーベッチで顕著に遅かった. 最終出芽数はレンゲ, クリムソンクローバでは裸地よりやや少なかったが, 裸地と同様に播種期による差がなかった. これに対し被陰度の大きい緑肥作物での最終出芽率は裸地に比べ少ないばかりでなく, 播種期が早いと少なくなった. この出芽の違いは, 前作緑肥作物の被陰度に応じて地温が低下したことに基づくと考えられた. さらに, 被陰度の大きい緑肥作物のもとではその立毛中と, 被陰の解消した入水後に枯死する水稲個体がみられた. このため, 被陰度の大きい前作緑肥作物立毛中への不耕起播種では出芽の低下, 枯死の両面から水稲の苗立ちが著しく低下した. これに対しレンゲ, クリムソンクローバの場合には裸地での苗立ちと大差なかった.
著者
佐々木 圭司 Brata Akas Sureng 島地 重幸
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.62, no.599, pp.2779-2784, 1996-07-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

Recently, the robot assembly industry requires research that deals with flexible parts using human-like skills. We discuss cylinder insertion into a hole of a flexible rubber plate. We show that the magnitude of the insertion force expresses a parabolic field in the three-dimensional space that is composed of position and posture of the cylinder. The parabolic field has a tunneling path from which we can obtain the local minimum insertion force. The tunneling path seems to correspond to the position and posture of cylinder insertion by human skill. This paper proposes a new search method for the tunneling path. The method uses a simple regression model that fits the parbolic field to a narrow zone. The fitting zone shifts as the cylinder insertion advances. Experimental results show that the regression method is a possible search method for the tunneling path.