著者
吉澤 小百合 吉川 厚 寺野 隆雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

文章を論理的に書くことは難しい。論理的に書かせる手段として,他人が読み,問題点を指摘するピアリヴューは効果的であるとされている。ピアレビューを支援する場合の問題点を明らかにするために,外国語のピアレビューを課題の知識の有無による差をみることにより論理的な指導に必要な要素を考察する。
著者
鈴木 英之
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.106-115, 1988-02-05

1987年2月, 大マゼラン星雲で発見された超新星は, 実に400年ぶりの明るい超新星であり, 多くの天文学者や物理学者が観測や理論的解析に追われている. 様々な観測手段によって様々な情報かえられているが, とりわけ神岡の陽子崩壊実験グループとそれに続くIMBグループによる人類史上初のニュートリノバーストの観測は, 超新星の研究だけにとどまらず, 素粒子・原子核物理に対しても興味深い情報を提供してくれた. しかし会員諸氏の多くはお星様とは縁遠い生活を送っておられ, ニュートリノバーストをはじめ超新星についてはあまり御存知ないことと思われるので, 本稿では超新星のメカニズムとニュートリノ放出の概要を広く知っていただくため, 一般的な解説を行う。
著者
Stephen Matthew Lyth Yuta Nabae Nazrul Md. Islam Teruaki Hayakawa Shigeki Kuroki Masa-aki Kakimoto Seizo Miyata
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (ISSN:13480391)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.29-32, 2012-03-10 (Released:2012-03-10)
参考文献数
40
被引用文献数
5 18 6

Graphene is ideally suited to electrochemistry by virtue of its high surface area and impressive electronic properties. Nitrogen incorporation can be used to tailor the properties of graphene. Here we present a simple solvothermal technique to produce a nitrogen-containing foam-like macroporous graphene powder doped with up to 15 wt% nitrogen. This is applied as an effective non-precious, metal-free electrochemical catalyst for oxygen reduction in acid media. [DOI: 10.1380/ejssnt.2012.29]
著者
常本 照樹 佐々木 雅寿 山下 龍一 桑山 敬己 長谷 川晃 辻 康夫 会澤 恒 山崎 幸治 本多 俊和
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

「先住民族の権利に関する国連宣言」は、世界の先住民族にとって共通に必要な権利を謳うとともに、個々の先住民族及び関係する国家の実情に応じた権利実現を認めている。2008年に国会及び政府はアイヌ民族を先住民族と認めたが、日本及びアイヌ民族の実情に応じた権利実現のあり方としては、憲法13条の「個人の尊重」を基本とし、個人としてのアイヌがアイヌとしてのアイデンティティの保持を積極的に選択できる社会の実現を目標とすべきである。
著者
海老原 淳 岡 武利 松本 定
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.17-25, 2005-12
被引用文献数
1

The Vandenboschia radicans complex, one of the 'cosmopolitan species' of pteridophyte, shows great morphological variation within the Japanese Archipelago. The study by Ebihara et al. (2005) which clarified the complicated origin of this complex resulted from reticulate evolution also revealed that the Pacific coast of the Kanto region possesses the most diversified genomic-formula. In this study, we focused on the V. radicans complex of the region (Izu, Miura and Boso Peninsulas) by enriching samples, and discussed possible causes for the diversity. Of the three peninsulas, Miura Peninsula exhibits particularly diversified genomic formula in spite of less variable alleles and narrower distribution range than the other two. These results suggest that the present populations of Miura Peninsula have been locally formed by reticulate evolution based on limited number of ancestral lineages.
著者
高瀬 敬一郎 重藤 寛史 鎌田 崇嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

胎生18日目、胎児頭蓋に冷却プローブで傷害を加え局所皮質異形性モデルを作製した。皮質異形成モデルは両側前頭葉にそれぞれ2カ所 (group A)、両側前頭葉にそれぞれ1カ所 (group B) を作成した。出生後28日齢 (P28) に皮質と海馬に電極を設置し、P35からP77まで脳波・ビデオ同時期記録を行ったところ、group Aの68.8%から自発てんかん発作を生じ、皮質ないし海馬からてんかん発作波を認めた。組織学的には、group A に皮質異形成が認められ、さらに免疫染色ではNMDA受容体、グルタミン酸トランスポーターが上昇しており、皮質異形性でのてんかん性興奮の増大が示唆された。
著者
望月 公廣
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

海底下~10km以上深いプレート境界面上で、プレート間の固着が強い場所が、繰り返し発生する海溝型巨大地震の震源域である。なぜ固着強度が強くなるのか、その要因を解明するために、海域で人工震源を用いて行う構造調査で取得される波形記録の解析手法の開発を行った。これまでの手法では不十分であった解像度の向上に成功し、屈折波やプレート境界からの反射波に関して、到達エネルギーを明瞭に確認することができた。
著者
溝上 恵 Nakamura Isao Chiba Heihachiro Yoshida Mitsuru Hagiwara Hiroko Yokota Takashi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.p25-63, 1983
被引用文献数
2

The earthquake of July 23, 1982(M7.0) off Ibaraki Prefecture, Northeastern Honshu was accompanied by remarkable foreshock and aftershock activities after the quiet period of seismicity for about 16.5years since 1966. Three earthquake provinces were specified in the trench side, the transitional and the coastal zones through a systematic westward movement of the aftershock activity. In the earlier stage of the movement, a seismic activity of a shallow focal depth of less than 30km took place in the trench side province including major quakes of M5.9~6.2. An aseismic area of 30~40km in length, a possible locked portion on the plate boundary, separated the trench side province from the transitional one, where both shallow and the pronounced double-planed deeper origin earthquakes were observed. In the succeeding stage of the westward movement, the seismic activity in the coastal province seemed to be slightly strengthened on the double-planed seismic zone. A penetration of seismic activity as deep as 60~80km in the east coast of Ibaraki Prefecture was observed coupled with the occurrence of the earthquake of February 27, 1983(M6.0) in the south of Ibaraki Prefecture. It can be suggested from these evidences that the westward movement of the aftershock activity were closely related to regional effects of the subduction of the Pacific plate off and in the coast of and in the southern part of Ibaraki Prefecture.1982年7月23日23時23分に発生した茨城県沖地震(M7.0)は顕著な前震および余震活動をともなった.この活動は1966年以来の約16.5年にわたる静穏期にひきつづいて発生した.関東地方における微小地震観測網によりとらえたこの活動の特徴は次のようである.i)海溝寄りから茨城県沿岸部にかけて余震活動がひろがったが,この余震活動の時空間分布から余震域を3つの地震区A),B)およびC)に分けることができる,余震活動はこれらの地震区を束から西へと移動した.ii)余震活動の初期には東側,海溝寄りの地震区A)でM5.9~6.2を含む余震が発生しそれらの震源の深さは大部分のものが30km以浅であった.本震はこの海溝寄りの地震区の東端に位置し震源の深さは約15kmと推定される.iii)海溝寄りの地震区A)はその西隣りの地震区B)と長さ30~40kmの低地震活動域により分離されている.この低地震活動域は断層面の摩擦の大きい部分に対応する可能性がある.地震区B)ではM5.4~5.8を含む余震が発生し,それらの震源の深さは30km以浅のものとより深いものとがある.後者は沈みこむ太平洋プレートに対応する2層構造の震源に属する.iv)余震活動の終期には茨城県東岸での活動の高まりが見られその震源の深さは60~80kmであり2層構造の上面の地震活動の活発化を示唆する.v)1983年2月27日,茨城県南部の地震(M6.0)は上記の経過からみてこの茨城県沖地震と連鎖して発生した可能性が高い.茨城県沖地震(1982年7月23日,M7.0)およびその余震活動が太平洋プレートとユーラシア・プレートとの相互作用によるものと考えられるが,この茨城県南部の地震は太平洋プレートとフィリピソ海プレートとの相互作用によるものと考えられる.vi)以上から今回の茨城県沖地震にともなう余震活動の西方移動は3つのプレート間の相互作用を反映した一連の現象であると推察される.
著者
剣持 秀紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.723-728, 2009-08-15
被引用文献数
2
著者
天海 丈久
出版者
青森県総合学校教育センター
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

日本版DN-CAS認知評価システム(DN-CAS)は,適用年齢が5歳から17歳までと幅広く,検査で測定できるプランニング,注意,同時処理,継次処理の4つの認知処理能力は,幼児児童生徒の「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の立案の際に重要な情報を提供する。本検査結果の分析と解釈は,現在喫緊の課題である発達障害を有する高校生の支援も含め,特別の教育的支援を必要とする幼児児童生徒を教育する学校現場にとって,大きな示唆をもたらすものであると考える。そこで本研究では,DN-CASの分析を学校現場が実施しやすくするためのツールとして,「学校向けDN-CAS用所見作成マニュアル」を開発した。1 DN-CAS認知評価システムの実施発達障害を有する幼児児童生徒について検査を実施し,データを得た。2 認知尺度のパターン化学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),広汎性発達障害(ASD)について,PASSプロフィール,下位検査プロフィール,使用した方略の特徴についてパターン化を行った。なお,統計処理にあたっては,SPSS Statistics 19を使用した。プランニング,同時処理,注意,継次処理のプロフィールとして,LDは注意は高くならず,継次処理は低くならないこと,ADHDは「N字型」を示すこと,ASDは「逆N字型」を示すことが示唆された。また,下位検査のプロフィールとして,LDは「図形の推理」「関係の理解」「表出の制御」が,ADHDは「表出の制御」が,ASDは「発語の速さ/統語の理解」が相対的に低くなる傾向が示唆された。3「学校向けDN-CAS用所見作成マニュアル」の開発日本特殊教育学会第48回大会(長崎大学),日本LD学会第19回大会(愛知県立大学)でポスター発表を行うと同時に,情報収集を行った。また,第39回発達神経心理学研究懇話会(DN-CAS事例検討会)においても情報収集を行い,得られた知見を総合して,Microsot Excelにより「学校向けDN-CAS用所見作成マニュアル」を開発した。開発にあたっては,試作版を青森県総合学校教育センター特別支援教育課,日本版DN-CAS作成者で評価した。公開については,現在関係者間で検討中である。
著者
井上 史雄 Fumio INOUE
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-68, 2004-10

東京外国語大学この論文では,従来分析を進めてきた標準語形使用データについて,二つの単純化を適用した。地理的位置を鉄道距離によって表現したことと,語形の地理的分布を1点の重心で示したことである。本稿では,まず「河西データ」の県別使用率のグラフにより,標準語形の中でも古代初出語の一部が辺境残存分布を示すことを確認した。つぎに「河西データ」の行にあたる各語形について,鉄道距離重心を計算し,各語形の全国使用率,初出年との対応をみた。2要素ずつを組み合わせた2次元のグラフを考察し,また3要素の関係を示す3次元のグラフを考察した。さらに古代・近代2時代への区分と東西2クラスターへの区分を組み合わせて82語を4区分して検討した。古代初出の東部クラスターの語は,初出年との相関を見せない。しかし他の三つの区分では,初出年がかなりの相関を見せ,しかも近似直線の数値が似ていて,1000年につき31~36%の減少を示す。これは普及年速1キロ(弱)という仮説と矛盾しない。文化的中心地から新しく出た語は,最初は全国使用率が低いが,年数が経つと古く出現した語と同じ過程をたどって全国に広がって,全国使用率が高まると考えられる。また古代に出た語は,その後の新形に侵食されて,文化的中心地を明け渡すことがある。
著者
井上 史雄
出版者
明海大学
雑誌
明海日本語 (ISSN:13412582)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.43-52, 2011-02
著者
村路 雅彦
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

細胞小器官であるミトコンドリアのDNA(mtDNA)の塩基配列は、生物の進化や野外での集団動態を調べるための有効な分子マーカーであるが、核内の類似の塩基配列との識別が困難であるため、しばしば研究結果を誤る場合がある。本研究では多様な昆虫よりこの様なニセのmtDNAを単離し、その塩基配列と進化特性等を調べることにより、mtDNAを用いた解析の信頼性を高めるための技術開発を試みた。またそれを多様な昆虫に適用し有効性を調べた。