著者
齋藤 英昭
出版者
一般社団法人日本外科学会
雑誌
日本外科学会雑誌 (ISSN:03014894)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.176-181, 1998-03-01
参考文献数
46
被引用文献数
4
著者
田下 昌志
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.52-62, 2009-01-10
被引用文献数
2

筆者は,2005年5月から2006年4月にかけて長野市の郊外でクヌギが主要植生となっている里山のうちから,長野市松代地区と同市新諏訪地区の2箇所で,人間の活動と里山のチョウ類の多様性との関係を調べるため,ラインセンサス法によりチョウの種と個体数を数えるモニタリング調査を実施した.調査地のうち松代地区は,森林の施業が行われており,現在でも多くの里山昆虫が見られる地区で,一方の新諏訪地区は,かつては豊かなチョウ相を示したが,現在は,森林化が進みチョウ影をあまり見かけなくなった地区である.その結果は,松代地区で39種541.00個体,新諏訪地区で32種379.00個体を観察した.種多様度を示すH'や1-λは,松代地区より新諏訪地区で高い値を示した.これは,松代地区では,オオムラサキやジャノメチョウの個体数で全観察個体数の約50%を占め,特定の種が突出したためである.人為的な管理が行われている里山は,特定の種にとって特に生息に適する環境を生み出しているほか,森林でありながらジャノメチョウの様な草原性の種を産するなど,人為に伴う攪乱により,種数は多いものの種の均衡性の乏しい環境を生み出していた.過去における松本市および長野市の平地部でのラインセンサス結果をもとに,人為による攪乱度(HI指数)と種多様性(H')を比較すると,人為の適度な干渉のもとで最大の種(チョウ群集)多様性が生み出されることが示された.
著者
石岡 丈昇
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

マニラ首都圏・パラニャーケ市のEボクシングジムのフィールドワークを通じて、スポーツを通じた生活保障空間形成が達成されている点が明らかになった。これは、「スポーツと社会移動」というテーマで研究を進めてきたスポーツ社会学の内外の研究に対し、「スポーツと暮らしの再生産」のテーマから事例分析を構想することの必要性を訴える含意を備えるものである。
著者
徳永 亜希雄
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、特別支援教育におけるICF(国際生活機能分類)及びICF-CY(同児童版、但し、タイトルは申請時の筆者仮訳の「児童青年期版」を使用)活用のための研修パッケージとして、(1)ICF及びICF-CYに関する基本的な知識と活用動向等に関する講義形式パッケージ、及び(2)ICF及びICF-CYの概念図を模した図(以下、「ICF関連図」)作成を通した子どもの実態整理と指導・支援の検討を行う演習形式パッケージについてそれぞれ開発・実証を行うことを通して、研修パッケージの在り方について検討した。本研究を通して以下の点が明らかになった。(1)研修パッケージの使いやすさ等は、ICFを既に知っていたかどうかに左右され、ICFを既に知っている人ほど分類項目を用いたコーディングを難しいと感じる傾向にあり、そのことはICF及びICF-CYの概念的枠組みを用いた取組がこれまで中心的であったことが背景として考えられること。(2)子どもの理解と指導・支援の検討のために「ICF関連図」作成演習が有効であり、「ICF関連図」作成演習では、仮想事例だけでなく、実際事例に取り組んだほうが作成手順の分かりやすさや具体的な作成作業の分かりやすさ等が増し、より実際の活用に寄与できると考えられること。(3)ICF及びICF-CY活用が寄与できる特別支援教育での課題について検討し、特別支援教育という文脈での活用という観点からの知見について研修内容として盛り込む必要があること。(4)参加者のICF及びICF-CYへの認知度やニーズに合わせた複数のパッケージを開発する必要があること。(5)活用にあたっては、ICF及びICF-CY並びにその活用に関する知識について幅広い理解啓発が必要であること。そのための手立てとして、主にICF 及びICF-CY についてほとんど知らない人たち向けの「よくある質問と答え(FAQ)」のような基礎的な内容を知らせるもの必要性と、活用経験者向けの事例検討を交えた研修内容の必要性があること。前者に対応して作成したものは当研究所のWebサイトにアップし、後者に対応したものは「ICF関連図」作成手順として整理し、当研究所の研修事業等で活した。(6)本研究期間では開発に至らなかったが、i)自主研修を支援するWebツール、ii)研修、特に演習のコーディネートの仕方についての検討の必要性が考えられること。
著者
目黒 昭一郎
出版者
麗澤大学
雑誌
麗澤経済研究 (ISSN:09196706)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.56-71, 2011-03-10

Health care field is one of the focused fields in Japanese economy because of the potential opportunities to develop new businesses based on rapidly advancing information and communication technologies(ICT) in Japan.In this article,the author demonstrated how large industrial organization embedded the health care business, which was far different from the existing businesses,in a broad-based and highly systemic way by presenting the strategic concept which conceptually made up of three nested layers-market space,business space and organizational space-.To challenge these business developments,the author presents key agenda,and also describes the basic thoughts and methods,which are common across almost all the new business development,based on more than twenty years frontline experience in operating and managing health care businesses.
著者
有本 泰子 河津 宏美 大野 澄雄 飯田 仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.133-138, 2008-02-09

音声に含まれる感情情報を自動認識することを目的に、オンラインゲーム中の自然な対話を収録し、感情音声のコーパスを構築した。感情の種類の分類としてプルチックの提案した感情立体モデルのうち、その一次的感情を取り上げ、収録した音声に付与した。また、収録した音声の高さ、長さ、強さ、声質に関わる11種の音響的特徴を抽出し、音響的特徴ごとに分散分析を行ない感情間の有意差を検証した。さらに、分散分析の結果に基づき、特定の感情と他の感情とを判別するための判別分析を行なった。その結果、驚きで79.12%、悲しみで70.11%と高い判別率が得られ、他の感情においてもほぼ60%以上の判別率となった。For a purpose of automatic emotion recognition by acoustic information, we recorded natural dialogues made by two or three online game players to construct an emotional speech corpus. Two evaluators categorized the recorded utterances in a certain emotion, which were defined with referenced to the eight primary emotion of Plutchik's three-dimensional circumplex model. Moreover, 11 acoustic features were extracted from the categorized utterances and analysis of variance(ANOVA) was conducted to verify significant differences between emotions. Based on the result of ANOVA, we conducted discriminant analysis to discriminate one emotion from the others. As a result, high correctness, 79.12% for surprise and 70.11% for sadness, were obtained and over 60% correctness were obtained for every emotions.
著者
新保 義勝 富川 勝 高桑 一彦
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.541-548, 2010-01-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

低髄液圧性頭痛に類似して,むち打ち症で脳脊髄液が脊髄腔から漏出していること,ブラッドパッチが有効であることが我が国で報告された。その報告以降,患者の増加により診断について混乱が生じている。診断基準とブラッドパッチの効果について自験例にて検討した。14例のうち7例は外傷歴のない特発性,7例は交通事故後の外傷性 (むち打ち症) であった。診断は脳脊髄液減少症研究会ガイドライン2007と同様の基準で行なった。特発性でCT・RIにて漏出部位を特定できなかったのは7例中1例で,この例は他5例と共に起立性頭痛と典型的頭部MRI所見を示していたことから,全例で診断確定された。外傷性では起立性頭痛や典型的MRI所見を示す症例はなかった。外傷性7例中漏出部位の不明は2例。うち1例はガイドライン基準のRIの早期膀胱集積と低いRI残存率を示し,ブラッドパッチにて改善を示した。以上からガイドライン2007は診断基準として妥当と思われた。ブラッドパッチの成果は特発性7例全例で改善。外傷性では複数回のブラッドパッチが行なわれ,以前の状態に戻れた良好な改善が3例,やや改善2例,不変1例,再診なし1例であった。改善例では,起きていられない,家事が出来ない,ドライブや仕事が続けられない,など倦怠や疲労に基づく訴えに対して効果があった。ブラッドパッチにより以前の生活を取り戻せることは大きな社会的効果である。
著者
本多 和仁
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

本年度はルビジウム原子を3次元青方離調光格子トラップに捕捉することに成功した。これにより、原子スピンの緩和時間が長くなることが予想され、永久電気双極子モーメントの精密測定へ向けて前進することができた。平成23年度は光格子を作成するための光共振器を構成したが、ガラスセルの問題により、予定の性能を出すことができなかった。そこで、このガラスセルで最大限性能を引き出せるように光共振器の構成を変え、予定の1/5程度の力の光格子トラップを構成した。これを用いて原子を捕捉することを試みた。実験の結果、1.3×10^6個程度の原子を捕捉することができた。この原子は直前に行う磁気光学トラップから補給されるが、密度の測定により、この磁気光学トラップから光格子トラップへの原子の移行効率は1/2であり、十分といえる。しかし、捕捉する原子数は目標の10^7の1/10である。この原因は磁気光学トラップの原子密度が低いためであり、今後、磁気光学トラップの原子密度を上げる工夫が必要であることが分かった。この原子は0.2秒程度で急速に減少し、10^5個程度で安定し、その後1/e減少するのにかかる時間は5秒程度である。これは、光格子トラップのポテンシャルには山の部分と谷の部分があり、多くの原子は山の部分でピンボールのように移動を阻害されて0.2秒ほどトラップ内にとどまり、その後、谷の部分に捕捉された原子がゆっくりと減少するためだと考えられる。事実、捕捉された原子の運動量分布を測定すると、0.2秒以前と以降ではエネルギーが半減している。これは、ポテンシャルの山と谷の高さ・深さは同じであることと一致する。目標の測定には数秒程度原子がとどまる必要があるので、ポテンシャルの深さを倍程度上げる必要があることが分かった。
著者
太田 憲
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々が日常行う運動の運動スキルがどのような原理に基づいてプランニングされているのかを,ヒトによる心理物理実験と最適化モデルとの比較によって明らかにした.本研究では特に,どのように体性感覚(皮膚感覚と深部感覚)の情報を利用して適切なプランを立てているのかに注目し,腕の運動の軌道計画が手先や筋の力覚情報に基づいてなされていたことを明らかにした.
著者
野口 祐子 宗田 好史 野田 浩資 浅井 学 ラリー ウォーカー 青地 伯水 赤瀬 信吾 藤原 英城 長谷川 雅世 加藤 丈雄 加藤 丈雄 長谷川 雅世
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

10名のチームからなる本研究では、文学・歴史地理学・社会学・都市保存学の観点から、京都とヨーロッパ主要首都のイメージに関して、1)国民のアイデンティティを強化するための歴史的空間としてのみやこ、2)古都としての保存と近代的都市開発の理念の葛藤、3)美意識の変化とみやこの姿との影響関係を中心テーマとして共同研究をおこなった。2006年11月には公開シンポジウムを開催し、2008年度には研究成果報告書を作成して、近隣の研究機関と公共図書館に配付した。
著者
飯塚 佳代 鈴木 釈規 石川 雅之 飯塚 泰樹 吉田 享子
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-8, 2011-08-29

災害対策は,大別して 「公助」・「共助」・「自助」 がある.現在まで行われている多くの対策や研究は国や自治体を中心とした 「公助」 であるとされているが,実際に助かった人の多くは 「共助」「自助」 によるものであり,その重要性が叫ばれている.本稿では,大学のキャンパスなどに代表される施設において共助を支援するためのユーザ参加型キャンパス内リアルタイム被災情報マップを提案する.PlaceEngine の位置情報を活用することにより,ユーザが自分のいる位置を把握しながら情報を登録できるしくみを組み込んだ.There has been great improvement in various disaster prevention countermeasures and their researches. However, most of the countermeasures that have been implemented are classified as "kojo" which are implemented by public sectors (in Japanese). Therefore, it is considered that the importance of both "jijo" (countermeasures implemented by the individual) and "kyojo" (countermeasures implemented by mutual assistance) is increasing, because in actual fact many people survive in times of disaster by mutual assistance or self support. In this paper, the authors propose a system that facilitates disaster situation information transmission by users in the facilities such as university campuses, in order to address these prevention issues. PlaceEngine is implemented for this system to allow users to estimate the current location easily by utilizing Wi-Fi devices.
著者
関西 剛康
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.687-690, 2006 (Released:2007-11-13)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

After the Onin civil war (1467-77) in the mid-Muromachi era, Zen temples were restored comprehensively, from buildings and rooms, to gardens, which is the background of the dry landscape garden. The objective of this study is to explore the methods for producing the scenic composition of dry landscape gardens, which were developed mainly in the Zen sect. In order to study these production methods, the authors delved into the shoin style of architecture accompanied with dry landscape gardens, the characteristics of the rooms inside the buildings, how landscape paintings of Zen art that were developed to ornament the rooms were produced, and what kinds of characteristics are possessed by the pictoral composition of the landscape paintings. As a result, it was analogized that the similarities between dry landscape gardens and landscape paintings are not only the subject matter but also the characteristics of their components.