著者
畑田 豊彦 坂田 晴夫 日下 秀夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.407-413, 1979-05-01
被引用文献数
65 8

ディスプレイの画角変化による心理効果のうち, 広視野画像から受ける臨場感効果を, 心理物理的手法(観察者の方向感覚の誘導量測定)と主観評価法で測定した.その結果, (a)誘導効果は呈示画角の増加とともに対数的に増加する, (b)臨場感効果は20°以下の狭い呈示画角では非常に弱く, 80°近辺以上になると飽和状態になる, ことがわかった.
著者
丸山 宗利 大野 豪
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.112-115, 2011-04-05

Coelophora inaequalis (Fabricius, 1775) is recorded from several localities on the islands of Okinawa-jima and Ishigaki-jima, Okinawa, Japan for the first time. This species is considered to be currently introduced from overseas and possibly already naturalized in these islands. Several color forms are known in this species, but only two forms, Tortoise-shell and Nine-spotted forms, have been found the populations in Okinawa.
著者
室崎 美紀 (石田 美紀)
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

前年度に引き続き、ファシスト政権下にアフリカ各地の植民地(リビア,エチオピア,ソマリア)において製作された映画を重点的に調査した。とりわけ、砂漠が占領地の大部分を占めるリビアにおいて製作された作品の分析に傾注した。その理由は以下の二点にある。まず、当該作品群がファシスト・イタリアの推進する、植民地支配の安定と国民的メディウムとしての映画産業の整備という「近代化」の達成を計るうえで、重要なテクストであること。次に、圧倒的な光量が所与の条件としてある砂漠にてロケーション撮影されたフィルム群の視覚的肌理が、視聴覚表現媒体である映画が当時達成し、洗練された、スタジオにおける三点証明が生み出す「白く輝く」視覚的肌理が担った文化的意義を考察するための理想的な参照項となること。以上の二点をテクスト分析の主軸とし、リビア砂漠で撮影された劇映画をニュース映画における砂漠表象と照合させ以下の結論を導きだした。砂漠のシーンにてはからずも溢れた白い光はファシスト・イタリアが求める植民地他者表象を大きく裏切り、植民地経営という近代化プロジェクトの限界を予言したものであること。さらに砂漠表象分析から導きだされたこの結論を多角的に掘り下げるために、1930年代半ばから建築の分野で盛んに討論れていた「地中海性」の動向とリンクさせ、「遅れていた」はずのリビアが、ファシスト・イタリアにとって未来をも先取っていた空間であったことを論じた。以上の結果は、「ファシスト政権期イタリア映画における「白」の視覚、「白い電話」と白い砂漠」(『美学』第56巻第二号(通号222号)41-54頁)に発表した。
著者
田辺 正男
出版者
國學院大學国語研究会
雑誌
国語研究 (ISSN:04506677)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-8, 1963-08
著者
河合 千恵子 佐々木 正宏
出版者
(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

死別体験者が死別の悲嘆をいつ、どのように克服しているのかについて明らかにするために、配偶者と死別した男女276名を対象に2000年と2002年の2回にわたり縦断調査を実施してきた。それに加えて今回は3回目の調査を実施し、135名の対象者(男性55人、女性80人)から調査協力を得た。1.死別の悲しみから既に立ち直ったかどうかを対象者に尋ねた回答では、「すっかり立ち直った」と回答した者は調査を重ねるごとに増加し、第3回調査では6割を越えていた。対象者の意識の面では、回復には死別からの経過期間の要因が大きく影響していた。2.配偶者と死別後の心理的適応について、有配偶者をコントロール群として比較するため、2000年に調査を実施した1,893人のパネルに追跡調査を実施した。今回は1,169名に協力が得られ、そのうち配偶者と同居していた715名をコントロール群として用いた。より高齢の死別群は5年間に精神的健康度について得点の変化が認められず、また有配偶群より、精神的健康度が一貫して悪かった。有配偶群は2005年に精神的健康度にかなりの低下がみられたが、それでもなお死別群より得点は良好であった。死別群は5年を経て意識面では顕著な回復を示したが、精神的健康面では限界があることがうかがわれた。3.第3回調査で、現在の生活に困難を感じている傾向が伺われた男性21名に、死別から現在までの適応過程についてインタビューを行い、質的な検討を行った。立ち直りについては、多くは立ち直ったと考えていたが、立ち直れていないとはっきり自覚している人もいた。立ち直りがあきらめや現実の受容であると考える人が多かったが、それは死別後の生活の確立であると考える人もいた。立ち直りに役立ったことについては、強い精神を強調する人もいたが、泣くことの意味を述べる人もいた。配偶者を亡くした男性の心境は多様であり、立ち直りの過程も単一ではないと言える。
著者
岡田 博美 六浦 光一 榎原 博之 大月 一弘 棟安 実治 和田 友孝 堀井 康史
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、主に車両間/モバイル端末間情報通信に特化した未来型ネットワーク構築技術として、基地局や情報センタなどの情報通信インフラを用いず、数Km程度のエリア内で移動中の車両やモバイル端末間で、アドホックな通信ネットワークを瞬時に構築し、リアルタイム交通情報やホットな地域情報、事故・災害情報などを、不特定なユーザ間で必要に応じて自由に交換する、新たなネットワーク機能の実現である。これは移動中の未知で不特定なユーザ間で情報交換し各種の周辺情報を即時に獲得しようとするものであり、以下の解決すべき技術的課題が挙げられる。A)高速移動する車両問で瞬時にネットワーク構築。B)エリアが不特定で時々刻々変化するため、ポータルサイトやWebサイトを利用不可。C)問い合わせる相手が不明。URLやアドレス・車両番号が未知。D)文書や音楽・映像などタイトル・キーワード類で識別される情報とは異なり、必要とする発生事故情報や車両情報などを明確に定義不可。本研究者らは、この課題の解決を目的としてコンテンツ指向型通信という斬新な情報通信方式を提案し、方式動作アルゴリズムの考案・開発を行った。具体的には、1)周辺を走行する車両間で即時に位置情報を交換し、車両問の衝突回避を行う、2)車両一歩行者間で同様の情報交換を実現し歩行者交通事故を劇的に減少、3)近辺の道路トラピックを各走行車両がリアルタイムでモニタし、相互に告知、4)突発的な地震・火災やテロ・銃乱射などが発生した場合、現場近辺に居合わせた人々の行動を情報通信でモニタし、その発生や避難・救助などを即時に表示、を可能とするシステム開発を行った。アルゴリズム開発の多くはコンピュータ上でのシミュレーションで検証したが、車両間通信ならびに車両一歩行者間通信については複数の実車両を用いて実装化し、実証実験により動作確認とその有効性の検証を行った。
著者
高木 浩人
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.53-59, 2007-03-10

本研究は孤独感と重要な他者への自己開示との関連について検討した.97名の男子学部生と209名の女子学部生がUCLA孤独感尺度に回答し,JSDQの40項目に回答した.その結果,男女とも,孤独感は同性の友人,異性の友人への自己開示と有意な負の相関を示した.自己開示と孤独感との関連の強さには性差は見られなかった.側面にっいては,男性においては,態度,性格の自己開示が重要であり,女性においては,金銭,性格,身体・外観の自己開示が重要であった.今後の研究への含意が議論される.
著者
見城 悌治 ケンジョウ テイジ teiji KENJO
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.35, pp.65-91, 2006

筆者は、これまで、近世末期を生きた二宮尊徳の思想が、近代社会にどのように継受・変容されたのかについて、近代を生きた尊徳門人の言説の検討などを通じ、「近代報徳思想」と称すべき近代日本適合的な思想を生成していったことを明らかにしてきた。また、「近代報徳思想」は、日本が植民地を有する帝国へと発展していくに伴い、植民地への適応も模索されてくる。これらについては未開拓な研究領域であり、不明な点も多いが、朝鮮と「満州国」における展開の概略についてこれまで筆者はまとめてきた。すなわち、北海道開拓などを一つの雛形にしつつ、一九三〇年代から、朝鮮や「満州国」への普及が企図されてくるのだが、朝鮮については、一九四三年四月、小磯国昭朝鮮総督の依頼で、佐々井が朝鮮に赴き、その思想と方法を普及しようとしたこと、「満州」については、「満州国建国十周年」を迎えた一九四二年以降、満州国協和会などの依頼で、佐々井らが現地で数度にわたる講演などを行ない、「国家建設」の内実を固めるための一つの方途と期待されたことなどの事実を見てきた。本稿は、それに続く論考として、「大東亜共栄圏」が構築される過程で、報徳に関わっていた人々が、「大東亜共栄圏」に対し、自分たちがどのような役割を果たすべきと認識していたのか、また「大東亜共栄圏」域に住まう諸民族に対し、どのような眼差しを向けていたのか、について整理することを目的とする。
著者
廣瀬 慎美子
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

ヒドラの神経伝達にかかわるペプチド分子を得るため、ペプチドの組織的単離を行った。同時に、ヒドラの神経伝達はpeptidergicであるという、これまでの定説と合わない意外な発見をしたので、本研究計画に当初はなかったヒドラにおけるコリナージックシステムの可能性についての解析も行った。さらに,これまでヒドラで単離・同定された神経ペプチド3種類について,イソギンチャク(Nematostella vectensis)の成体および胚発生過程における発現を免疫抗体染色法により明らかにし,刺胞動物の神経系の発達について明らかにした.ヒドラペプチドの精製:既に第1段階のHPLCで得ているヒドラペプチド15画分中、第7画分の精製をHPLCを用いて進めた。3-5段の精製を経て、約60のペプチドを単離し、25種についてアミノ酸配列分析、質量分析を行った。これらの生物活性検定は進行中である。ヒドラコリナージックシステムの解析:ヒドラを含む腔腸動物では神経伝達はいわゆる古典的伝達物質ではなくペプチドが担っているというのが定説である。ところが私たちはヒドラにニコチン性アセチルコリン受容体遺伝子(nAChR)およびコリントラスポーター遺伝子(CHT)が存在することを見いだした。1種類のnAChRとCHT遺伝子の発現をホールマウントin situハイブリダイゼーション法で解析した結果,外胚葉上皮組織でシグナルが検出されたが,神経での発現は見られなかった.ヒドラのACh,およびAChの合成酵素の活性を測定した結果,ヒドラはAChを自身で合成し,保持していることが示された.ヒドラのnAChRの機能解析,AChの生体内での機能については現在解析を進めており不明な点があるが,これまでの結果は,ヒドラはAChを利用しているが神経系での利用ではなく,上皮組織において形態の形成・維持などのシグナルとして利用していることを示唆している.AChが神経系を持ち始めた最初の動物である腔腸動物で形態形成にかかわるとすると、神経伝達物質の進化に全く新しいパラダイムを導入することになる。イソギンチャクの神経ペプチド産生細胞の解析:ヒドラのシグナル活性ペプチド分子の網羅的解析により,数種類の神経ペプチドの解析が進んできたが,ヒドラの初期発生過程における神経系の発達については観察が困難なことから、ほとんど解明されていない.そこでイソギンチャクNematostella vectensisを用いて,腔腸動物の胚発生過程における神経ペプチドの発現パターンを抗体染色法により明らかにした.その結果,ヒドラとイソギンチャクではいくつかの共通の神経ペプチドを保持しているが,成体での神経ペプチド産生細胞の分布パターンが大きく異なること,受精3日目頃のプラヌラ幼生で初めて神経ペプチド産生細胞が現れ,発生過程においてそれぞれの産生細胞特異的な発現パターンを示すことが明らかになった.
著者
森 久美子
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13454730)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.161-168, 1987-03-25
著者
磯野 春雄 安田 稔 竹森 大祐 金山 秀行 山田 千彦 千葉 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.16-23, 1993-01-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

本論文では,特別なメガネをかけなくても立体画像を見ることができる液晶投写形の多眼式3次元テレビジョンシステムについて述べる.本システムの3次元画像表示方式は,4台で構成された立体テレビカメラからの映像信号を電子的に画素単位で合成してストライプ像を作り,この像を1台の高性能ハイビジョン液晶プロジェクタを用いてレンチキュラスクリーンの背面に投写するものである.これにより50インチの画面に明るく鮮明なフルカラーの4眼式立体テレビ画像を表示することができた.このシステムの特徴はメガネが不要であることのほかに,従来の2眼式メガネなし立体テレビ方式に比べて,異なる視点からの立体映像を見ることができるほか立体観察視域が広がり,見やすさと自然さが改善された.本論文では新しく試作した4眼式3次元テレビジョン装置のシステム構成,レンチキュラスクリーン,4眼式立体テレビカメラ,立体画像記録装置等について述べる.
著者
長濱 雅彦 中本 高道 大西 景太
出版者
東京芸術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

最終年度にあたる21年度は、匂い情報を持った次世代のレストランサインのデザイン研究を行った。嗅覚情報を利用することで、より実感のあるサインになり、食する物のイメージを高められるのではないかと考えた。今回完成した作品「香るレストランサイン」は、そば,パスタ、うなぎ、カレーの専門店という4つのお店が入っている施設を想定。より、被験者の感性を妨げないように、一方通行のインターフェイスではなく、行為と連動するインタラクティブな動画作品に仕上げた。体験の手順は下記の通りである。(1)被験者は4つの店が表示された看板(実験ではスクリーン)の前に立つ。(2)手に持っている端末(Wiiリモコン=将来の携帯電話を想定)を横に動かしながら振ることで店を選ぶ。(3)次に縦に振ると選んだ店の画面になる。(4)例えば、そば屋を選ぶ。するとそばの画面が全面に表れる。(5)被験者は落語家のそば食い表現のように、端末を下から上に手早く動かすと、そばのイメージ動画と効果音とともに、そばつゆの香りがする。といった流れである。ちなみに被験者の感想で上がったものは次の通りである。・とにかく面白い・不思議・普段使っていない感覚を使う・情報がより食べ物に近い印象・見るというより体験ゲームみたい・ディズニーランドにあるイメージがする・いつもの情報に匂いがないことをあらためて気づくこうした感想からも分かるように、匂い情報はマルチメディアの中では新鮮で、かつ新たな世界を開くきっかけに成りえる。実験前は匂いがすることに嫌悪感を抱く人もいるだろうと想像したが、情報として整理された今回のような匂いの場合、まったくそうした被験者がいないことに驚かされた(混ざり合った匂いがないことが嫌悪感につながらなかった理由か)。サイン看板類は構造上、匂い装置など器材を内側に仕舞いこめるため、この「香るレストランサイン」のようにコンテンツを限定したならば実現に大きな支障はないと考える。また、こうした匂い情報の活用は、誘導サインや危険サインとして有効で、高齢化社会の情報基盤に発展していくことも予想される。今後はなるべく具体的なテザイン研究によって様々な分野と連携し、可能性を多角的に分析していくことが肝要だろう。