著者
大西 勝 元垣内 敦司 三宅 秀人 平松 和政 曽根 弘樹 川口 靖利 澤木 宣彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.68, pp.7-12, 1999-05-21

HVPE法によりGaNの選択成長を行い、その結晶学的評価を行った。格子パターンによるGaN選択成長では、マクロステップを有する表面モフォロジーがAFMで観察され、膜厚の増大とともに格子歪みが緩和した。ストライプパターンを用いたELO-GaNをマスクの材料により比較すると、SiO_2をマスクに用いたELO-GaNでは成長面でのc軸傾斜が大きいのに対し、W(タングステン)をマスクに用いた場合にはc軸傾斜が小さく、良質な結晶であることが示された。
著者
細川 周平
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究はペリーの来訪から終戦までの日本の音楽文化の近代化を大衆音楽を中心に捉えた。近代化には合理的な音構造、楽譜の支配、公共的な音楽教育、公開演奏会、自律美学、ナショナリズムという側面があり、徐々に日本の基底音楽文化を変えていった。外圧として始まったが、日本人はしだいに内面化した。本論はこれまで政治経済の分野で語られてきた近代化を感情、感覚を通して追求し、軍楽隊に始まり、軍歌・軍国歌謡に終わる一世紀の音楽史を新しい方向から描いた。時代区分としては、幕末から日露戦争までの時期、そこから震災までの時期、震災から帝都復興までの時期、十五年戦争期という区分を提唱した。従来の芸術音楽の進歩(西洋化)を前提とした議論に対して、同時代の他の文化的な布置を考慮した。また大衆音楽については、世相史、ジャンルごとの歴史がほとんどだったが、本研究は歌詞だけでなく、言説、ジェンダー、セクシュアリティ、テクノロジー、ジャーナリズム、イデオロギーなどにも深く立ち入った。歌と器楽の関係にも留意し、マンドリン、ヴァイオリン、ハーモニカ、アコーディオンなどの大衆楽器が、国産化ともに、普及したことを示した。声がマイクロフォンによって、どのような影響を受けたのかについて、男性歌手と女性歌手の違いを考慮して分析した。ジャズが、モダンのメタファーとして広まり、特殊な意味作用を持っていた実例を体系づけた。タンゴ、ルンバ、ブルースのようなダンスはジャズ文化にとって決定的に重要で、新しい身体性とスペクタクルが密接に結びついていることを証明した。プロパガンダが、新聞社や翼賛会などの公的機関によって募集され制作されたものと、レコード会社が企画した叙情的なものにわけられること、兵隊ぶしと総称される替え歌が数多く流通し、厭戦気分の秘密のはけ口になっていたことについて考察した。
著者
谷口 義明 唐牛 宏 有本 信雄 岡村 定矩 太田 耕司 土居 守 海部 宣男 唐牛 宏 有本 信雄 岡村 定矩 太田 耕司 土居 守 宮崎 聡 小宮山 裕 村山 卓
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ハッブル宇宙望遠鏡の基幹プログラムである「宇宙進化サーベイ(COSMOSプロジェクト)」を遂行した。国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡のデータとあわせて、宇宙の暗黒物質の空間分布を世界で初めて明らかにした。これにより、暗黒物質に導かれた銀河形成論のパラダイムが正しいことを立証した。また、COSMOS天域で検出された約100万個の銀河の測光データに基づき、銀河、巨大ブラックホール、及び宇宙大規模構造の進化の研究に大きな貢献を果たした。
著者
鳴海 真里子 梅澤 猛 今井 倫太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.37-50, 2008-01-01

本研究では,環境中に存在する物体に付加したセンサデバイスからの情報に基づき,人間・ロボット間のインタラクションの演出を選択する演出選択システムi-Director+を提案する.人間同士のインタラクションでは「今日は暖かいですね」といった実世界の情報に基づく対話により話者間の親密度が増し,会話がはずむ.しかし,多くの人間はロボットが感覚や感情をもつと想定していないので,実世界情報に基づくインタラクションを人間・ロボット間で実現することは困難である.i-Director+は人間とロボットのインタラクションを積極的に演出するために,演出と呼ばれる行動ルールをもつ.演出はセンサ情報に基づき選択される.また,i-Director+はShynessという概念を用いて演出を分類しており,演出に対する人間の応対のしやすさも考慮して演出選択を行う.更にロボットの存在する環境が人間の介入やロボットの移動により動的に変化するので,センサ情報の変化に迅速に応じて演出を選択し,人間の注目度の高い事象に対する演出を行う.本論文では,i-Director+をコミュニケーションロボットRobovie上に実装した.センサにはCrossbow社のMOTEを用いた.実際にi-Director+を動作させた結果,環境の動的な変化に基づいた演出の変更や適切な難易度の演出を選択できることが確認できた.
著者
大島 健吉
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.154, pp.1114-1118, 1895-12-26
著者
山本 壮則 池田 聡 永田 忍 金森 裕治
出版者
大阪教育大学教育学部障害教育講座
雑誌
障害児教育研究紀要 (ISSN:03877671)
巻号頁・発行日
no.30, pp.33-44, 2007

本論文の一つめの目的は、障害理解学習とその背景となる交流教育(交流及び共同学習)や障害観を概観することである。二つめの目的は、小学校6年生を対象として行った障害理解学習での感想を質的研究法であるKJ法を用いて分析し考察することである。その障害理解学習は、アイマスクやシュミレーションレンズを用いて視覚障害者を模擬体験する授業であった。模擬体験により、児童は障害に対してマイナスのイメージやステレオタイプのイメージを抱いた。これらは、ICDIHの構造的理解といえる。スティグマ的な感想もあり、今回の模擬体験による障害理解学習は転換が必要である。一方で、スティグマを障害理解の段階の初期ととらえることもできた。今後、模擬体験を含めたうえで、系統的な障害理解学習の構築が必要であると指摘することができる。The primary purpose of this thesis is to take general views of The Disability Understanding Study and exchange education, and to challenge the individual's outlook on disabilities. The secondary purpose is to analyze, by using the KJ Method (that is, the qualitative research method) and to consider the general impressions from the practical use of the Disability Understanding Method targeting elementary school sixth graders for this study. For the Disability Understanding study, eye masks and simulation lenses were used to mimic the experience of a visual handicap. The sixth grade student had the opportunity to deal with both the visual challenge and the stereotypes associated with this particular impediment through the mock experience of sightlessness. It can be said that this lays the basis for a structural understanding of ICDIH. There are also issues of stigmas associated with handicaps therefore making it necessary to increase awareness of the disabled experience through mock practice. In the case of the sixth graders using the Disability Understanding Study, stigma was caught and identified with the promise of a deeper understanding of visually handicapped people. It can be pointed out that systematic constructions of Disability Understanding Studies incluging mock experiences of physical disabilities are valid and necessary in the future.
著者
久野 節二 野上 晴雄 首藤 文洋 大島 直樹 山中 敏正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

快い匂い情報の受容が感性を発現する脳活動に与える効果について、本能の上位機構としての前頭葉と実行機構としての視床下部を中心に研究した。ヒト脳に関する光トポグラフィ解析では柑橘類の匂いの受容が前頭葉の神経活動を鎮めることが示唆された。また、動物実験では同種の匂い受容が視床下部のストレス反応を調節する神経細胞の活動を鎮静化することが示された。今後は、人間のストレス反応に対する効果を検証する必要がある。
著者
堀井 聡江
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オスマン朝(1299-1922)後継アラブ諸国のうち,宗主国から事実上政治的・法的に独立し,アラブ世界の法の近代化の先駆けとなったエジプトの民法典と,逆に独立までオスマン法が適用された諸国の民法典に対するイスラーム法の影響を歴史的観点から比較した。その結果,いずれもイスラーム法の影響は希薄で,同法に由来する制度にせよ,当該法典の立法目的に応じた改変ゆえに,実質的には新たな制度といえることが明らかとなった。
著者
藤崎 春代
出版者
昭和女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

幼児の園生活理解の発達過程をとらえるために、幼稚園の3歳児クラス入園直前から卒園までの3年余りの間に、保護者を対象として8回の質問紙調査と2回の日誌調査を実施した。結果、子どもが家庭でみせる様子は、時期により異なること、個人差があることがわかった。また、保護者は子どもの様子の意味を推測してさまざまな対応をすると同時に、心配したり安心したりと感情が揺れ動いており、子どもが家庭に持ち込む園生活に保護者自身が巻き込まれていることが示唆された。
著者
関口 豊和
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年私は主に、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を初めとする宇宙論的観測を用いた宇宙論パラメータの決定及び素粒子宇宙モデルに対する制限について研究を行った。主な研究成果は以下の通りである。一つ目は、ニュートリノや軽いグラビティーノといった軽い粒子の質量に対する制限の研究である。このような粒子は様々な素粒子理論における標準模型を超えたモデルで予言されるが、地上実験による検出は一般に困難である。しかし高温高密度の初期宇宙においては大量に生成された可能性があり、現在暗黒物質の一部を担っている可能性がある。そのため宇宙論的観測が制限に有効であり、制限は宇宙論、素粒子論双方に重要な知見を与えると期待できる。我々は、CMBにおける重力レンズ効果が、軽いグラビティーノの質量に対して感度があることを示し、現在進行・計画中のCMB観測により期待される制限を定量的に見積もった。また、近い将来のCMB観測ではニュートリノ質量とハッブル定数の間に依然強い縮退があることを示し、宇宙論的な距離観測によるニュートリノ質量に対する制限の向上について定量的な見積もりを与えた。二つ目は、初期ゆらぎ及びインフレーションモデルに対する制限である。これまでに多くのインフレーションモデルが提唱されているが、我々の宇宙でどのモデルが実際に起こったかは分かっていない。渡しはベイズモデル選択と呼ばれる統計手法に基づきインフレーションモデルを観測的に区別する方法を提案した。この方法は、現在進行中のCMB観測からモデルを区別する上で、有用な手法になると期待される。
著者
小林 美咲
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.275-282, 2000-03-20
被引用文献数
25
著者
辻 立世 久井 志保 岡本 陽子 石田 妙美 永石 喜代子 和田 節子
出版者
兵庫大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

養護教諭の職務は、学校教育法で「児童生徒の養護をつかさどる」と定められている。養護教諭の実態調査では、看護師免許の無い養護教諭は、救急処置に自信を持っていない事が明らかになった。養護教諭の看護能力は、学校保健(養護)のための看護技術が社会から期待されている。養護教諭の看護能力について、救急処置を中心に看護技術の項目を、養護教諭養成教育・初任の年、養護教諭の各段階における達成目標の基準を示すガイドラインを作成した。
著者
アンドウ シャーリー 宮川 真子
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A1-A7, 2007

明治維新ならびに、第二次世界大戦敗北が主な引き金となって、日本は欧米の文明に習った近代化を急速に推し進めた。その結果、民主的政治形態が確立し、科学技術や産業もめざましい発展を遂げた。経済も急速に発展し、多くの国民が物質的な豊かさを享受できるようになった。反面、「欧米に追いつき追い越せ」のスローガンの下に始まった近代化の思想が、日本より欧米の方が優れていると考える傾向を生み、日本が自信と誇りを失ってしまったようだ。「校内暴力」、「いじめ」、「引きこもり」、「学級崩壊」、「モンスターペアレント」などの社会問題は日本でも深刻の度を増しているが、アメリカではすでに半世紀前から問題となっていた。さらに現在急速な経済発展を遂げている国々でも同様の問題が起き始めている。著者らはこの点に着眼し、上の社会問題と日本が大きな影響を受けたと考えられる西洋文明の物質的側面との関連を検証し、それぞれの異なった観点や分析を開示し、その解決法を模索した結果がこの論文である。今回は、アンドウが論点を解説し、宮川がその論を展開した前半部分を提示している。宮川は日本の社会問題の解決を、欧米に見習うだけでなく、日本古来の精神文化の再評価を通して日本人であることに自信と誇りを取り戻し、現代社会に役立てる知恵を自らの文化の中に見出すことによって独自の問題解決を試みることを提案する。これに対してアンドウは、上の現象は近代化の過程でどうしても避けられないもので、日本固有のものとは捉えがたいという観点から、次回の論集においてその論を展開する。
著者
井上 勝一 中島 収 宮本 宏 川上 義和 伊藤 正美
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.513-520, 1990-08-20

赤血球亜鉛量と血清亜鉛量を64例の肺癌患者で測定し, 以下の結果を得た.1)進行肺癌患者では健康成人に比し血清亜鉛量は低下し, 赤血球球亜鉛量は増加した.2)しかし, 炭酸脱水素酵素量に差はなかった.3)進行肺癌患者の赤血球をヘパリン加生食で洗浄すると, 赤血球亜鉛量の約1%の亜鉛の遊離を認めた.4)以上より, 進行肺癌患者では亜鉛の赤血球への集積が見られ, 担癌生体の亜鉛の動態に多大な影響を示すものと考えられた.
著者
上野 眞也
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、過疎が進み、集落機能や農地・水・環境などの地域資源の維持に限界が見られ始めた農村に対する公共政策のあり方を研究テーマとして、ソーシャル・キャピタルを活かした農村政策の有用性を科学的に位置づけ、農村集落単位でソーシャル・キャピタルを測定する方法の開発、及び国や自治体の農村政策形成へ寄与するための知見を得ることを目的とした研究を行う。
著者
篠原 郁子
出版者
白梅学園短期大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、乳児の母親を対象に「乳児の心に目を向ける傾向」を多角的に測定し、乳児の内的状態に対する目の向けやすさという認知的特徴と、乳児の内的状態に調和した関わり方という行動特徴の関連を検討した。乳児の心の状態を読み取りやすいという母親の認知的特徴は、母子自由遊び場面において、子どもと一緒にやりとりを作り上げていく養育行動と関連することが見出された。