1 0 0 0 OA 視覚性失認

著者
平山 和美
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.21-30, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
26

視覚性失認とは、視力、コントラスト感度、視野に対象が何か分からないような障害がなく、知能や注意、言語、対象についての知識の問題もないのに、対象を見たときにだけそれが何か分からなくなる症状である。視覚性失認は、障害される情報処理の段階の観点から、形がまったく分からない「知覚型」、部分的な形を全体の形と関係付けられない「統合型」、形は完全に分かっているがそれを意味と結びつけることができない「連合型」の3つに分類される。また、分からなくなる対象の種類により、物品を見ても何か分からない「物体失認」、顔を見ても誰か分からない「相貌失認」、風景を見ても何処か分からない「街並失認」の3つに分類される。これらの症状について、症例を挙げながら説明した。
著者
長浜 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.917-925, 2022-05-10 (Released:2023-05-10)
参考文献数
6

電解質領域はエビデンスレベルの高い領域ではないため,慣習的に対応しないためにも病態生理の把握は重要である.低カリウム(K)血症に関しては病歴に加え,代謝性アルカローシスの有無,尿電解質の解釈,必要に応じてレニン,アルドステロン等のホルモン検査を行い診断する.治療の原則は原疾患の治療であるが,緊急性のある場合は医原性高K血症に気を付けながらK補充も行う.
著者
森 裕也 小谷 遥 伊藤 知行 枦 秀樹 横山 雄太 中村 智徳 太田 哲徳
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.165-169, 2021 (Released:2021-12-29)
参考文献数
9

酸化マグネシウム(Mg)は便秘の治療に使用されているが、腎機能低下患者に使用する場合、Mgの排泄量が低下し、血清Mg濃度が上昇することがある。そのため、定期的な血清Mg値の測定が推奨される。しかしながら、急性期病院において、酸化Mgを使用している腎機能低下患者における血清Mg値の測定率と薬剤師の介入の有用性を調査した報告はない。そこで、各腎機能群における酸化Mg錠を使用した患者を対象として、血清Mg値の測定率を調査した。さらに血清Mg値を測定している患者を対象に各腎機能群における高Mg血症発生率や薬剤師の介入の有用性について調査を実施した。東京ベイ・浦安市川医療センターにおいて、2016年4月1日~2017年3月31日の1年間、入院中に酸化Mg錠を使用した患者を対象に、体表面積補正を外した個別の推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate;eGFR)(mL/min)をA群:45≦eGFR<60、B群:30≦eGFR<45、C群:eGFR<30に分けて検討した。対象期間中の酸化Mg錠使用患者数は283人、血清Mg値の測定率は145人(51.2%)であった。薬剤師の介入患者数はB群で1人(1.0%)、C群で6人(7.1%)と計7人(2.5%)であった。各腎機能群における血清Mg値の測定率は、A群(n=33(33.4%))、B群(n=53(51.5%))およびC群(n=59(70.2%))であった。血清Mg値の測定患者における高Mg血症発生率は、27.3%、37.7%および61.0%であり、高Mg血症の発生率に有意な差を認めた(p<0.01)。腎機能低下群ほど血清Mg値の測定率は高く、血清Mg値測定患者においては、腎機能低下群ほど高Mg血症患者の割合も高かった。また、血清Mg値の測定率は51.2%で、検出されていない高Mg血症症例が存在していることが示唆された。特に腎機能低下患者に対して酸化Mg錠を使用する際は、薬剤師が介入し、血清Mg値測定を推進することが、高Mg血症の早期発見に寄与すると考えられた。
著者
松野 賀宣 菊地 亮太
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.221-227, 2023-08-05 (Released:2023-08-05)
参考文献数
22

航空機運航において,到着予定時刻(Estimated Time of Arrival: ETA)の予測精度は,風予測誤差に大きく影響される.本稿では,風予測誤差の影響を緩和し,ETAの予測精度を向上させるため,確率的風予測手法を提案し,巡航速度誘導則に適用する.確率的風予測では,多数の数値気象予報を行うアンサンブル予報を用いて,風を確率的に推定することで,ETAを高精度に予測する.そして,速度誘導則では,所定の許容範囲内で目標の到着時刻を満たす最適速度を決定する.本稿では,数値シミュレーションにより,確率的風予測を適用した速度誘導則の性能及び有効性を評価する.確率的風予測を適用することで,典型的な飛行管理装置に比べ,ETA予測精度が向上し,目標の到着時刻を満たすための不必要な速度変更回数を低減することができるため,航空交通管制による軌道予測性の向上や,燃料消費量の削減効果が期待される.
著者
小島 佳祐 片桐 一敏
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.24-30, 2022-05-31 (Released:2022-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

片麻痺上肢機能評価においてFMAはエビデンスが高いとされるが,評価結果が治療計画にほとんど提供されていないとVelozoが述べており,治療計画立案のためにFMA keyformの利用を提唱している.FMA keyformによって選択された移行ゾーンは適切な挑戦レベルにあるため,準じた課題を実施し,クリアできれば次のステップへ移行していく.今回,脳卒中片麻痺患者1例に対し,FMAkeyformを用いてハイブリッドな治療を実施した結果,回復期における臨床的に意義のある最小値(MCID)を上回る改善を示した.通常の上肢機能改善よりも,本介入は有意に改善を促した可能性が考えられた.
著者
Yasuyuki SASANO Alu KONNO Megumi NAKAMURA Akiko HENMI Miyuki MAYANAGI Mu-Chen YANG Ikuko YAO
出版者
Biomedical Research Press
雑誌
Biomedical Research (ISSN:03886107)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.173-179, 2023-08-03 (Released:2023-08-05)
参考文献数
12

Matrix-assisted laser desorption/ionization imaging mass spectrometry (IMS) is used to comprehensively visualize the spatial distribution of numerous biomolecules. The present study was designed to investigate the distribution of phospholipids in developing rat teeth by IMS to identify the characteristic phospholipid molecules for tooth development, and to evaluate the suitability of tissue preparation methods. Rats at postnatal day 3 were euthanized, and the resected head specimens were either fixed or not fixed with 4% paraformaldehyde (PFA), and decalcified or not decalcified in 10% ethylenediaminetetraacetic acid (EDTA) before being frozen. Subsequently, sections were prepared and mounted on glass slides coated with indium tin oxide, and analyzed by IMS. The mass spectra showed the highest peaks around m/z 706, 732, and 734 in the region of interest. Characteristic localization of signals in the tooth buds was seen around m/z 706 and 732, and a database search indicated that the corresponding molecules were phosphatidylcholines. The signals were localized to the dental papillae and enamel epithelia in the tooth buds. The PFA-fixed specimens with or without EDTA decalcification showed preserved IMS signals, while the non-fixed specimens showed fewer signals. Thus, PFA fixation with EDTA decalcification appears to be suitable for IMS analysis of calcified tissues.
著者
稲毛 真一 高橋 良典 大城 翔貴
出版者
一般社団法人 産業応用工学会
雑誌
産業応用工学会全国大会講演論文集 2022 (ISSN:2424211X)
巻号頁・発行日
pp.19-20, 2022 (Released:2022-10-01)
参考文献数
3

最適化問題の解法は, 多くの工学的応用や研究ツールに不可欠なものである.著者は,既報でモンテカルロ法を用いた新たな最適化手法MOST(Monte Carlo Stochastic Optimization)を開発してきた本論文は,その手法を多目的化し,ベンチマーク問題に適用し,検証したものである.以下に詳説する.
著者
大岩 元
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-6, 2015-03-16

21世紀の市民社会を形成するための基礎としての識字教育として,プログラミング教育を行う必要があることを主張する.コンピュータの安易な教育利用が日本の教育に弊害を与えた例として,大学入試センター試験を示す.識字教育として行うプログラミング教育の内容は,市民が共有すべき知識/スキルであることから,目的/手段展開という一般性のある視点から行い,母語としての日本語を使うことで,プログラミング「言語」教育から決別すべきことを提案する.
著者
武井 恵雄
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-9, 2016-06-01

中央教育審議会での高大接続改革の検討が進み,わが国の初等中等教育にも大きな変革が予想される.その変革の1つは,学習指導要領がこれまでの内容中心から教育・学習の方法にまで踏み込むというものであり,授業設計等,学習科学の成果が生かされるようになるという期待も持てる.一方,高校の教科『情報』は,設置直後の事情に由来する問題が残っているが,これについても今回の改革に好ましい変化がもたらされる可能性がある.そのような中で今後重要となるのは,きちんと情報技術の特性を理解した専門性を持つ教員であり,そのような教員を育てるための枠組みの確立であるというのが著者の考えである.
著者
井上 洋一
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.13-17, 2007-02-01 (Released:2012-02-15)
参考文献数
4
著者
堀 安範
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.42-49, 2022-03-25 (Released:2022-04-15)

探査機CassiniおよびJunoのその場観測によって,木星および土星の大気構造や組成,内部 構造に関する理解が深化した.短周期ガス惑星の存在や直接撮像による遠方ガス惑星の発見とともに,TypeII型惑星移動,そして円盤不安定シナリオの再考と小石集積モデルの台頭に見られるように,木星および土星の形成および軌道進化に対する理論も急速に進展している.そこで,本稿では,最新の観測結果から明らかになった木星および土星の姿を紹介しながら,太陽系のガス惑星形成の現状および未解決な諸問題を整理する.
著者
坂本 憲治 掃本 誠治 橋本 洋一郎 榛沢 和彦 辻田 賢一
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.648-654, 2022 (Released:2022-12-22)
参考文献数
13

2016年4月,2度の地震(震度7)が熊本地方を襲った.本震から2日後,車中泊の51歳女性が急性肺塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)により死亡し,我々は避難所巡回での深部静脈血栓症スクリーニング検診を開始した.車中泊者を中心に要入院重症VTE患者が多数発生する中,のべ136会場で4,135名に下肢静脈エコー検診を行なった.急性期検診(発災後45日間)のDVT陽性率は9.5%.予後調査で健診による3名の要入院者を同定できたが,死亡例はなかった.慢性期検診の検討では,DVT陽性率の検診時期毎の低下傾向を認めなかったが,高齢者を除くと経時的な陽性率低下が確認できた.急性期に同定されたDVTの慢性期推移を検討した結果,56%に消失が確認できた.血栓消失群における消失時期について検討したところ,49%は2ヶ月以内,87%は6ヶ月以内の追跡で血栓の消失が確認できており,発災直後からの予防啓発活動の重要性が示唆された.
著者
高田 哲雄 広内 哲夫 平野 雅道 羽倉 弘之 海津 ゆりえ 若林 一平
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.117-137, 2008-03-01

Cultural tourism has become an important phase of the new age tourism. Attractively archiving cultural resources provide cultural tourists with an intellectual and practical guide especially to a performing aspect of the urban and rural culture. This study focuses on the 3D imaging of performing rituals, festivals and lodging accommodations.“Shonan” is mainly the coastal region facing Sagami Bay extending from Kamakura and Enoshima, through Chigasaki and Hiratsuka, to Oiso and Ninomiya. This region has a fine view of Mount Fuji and “Shonan” beach. The Kamakura Shogunate have left a wide variety of historical and cultural heritage in “Shonan” area.Minamoto No Yoshitsune (shortly "Yoshitsune") is the younger brother of Minamoto No Yoritomo who is the founder of the Kamakura Shogunate. But Yoshitsune is a famous tragic general of Japanese samurai. He was named as an “enemy of the Emperor” by the shogunate, and finally betrayed by his patronage and forced to commit suicide “harakiri.”He is enshrined in Shirahata Shrine in Fujisawa.Our research team successfully achieved a challenging 3D image recording of Shirahata Shrine “Kagura.” The chief priests of shrines related to and emerging from the Shinto religious or historical legend perform “Kagura.”Another challenge is VRML technology. We have reconstructed Maita “Honjin” official accommodations for “Daimyo” warriors using VRML stereoscopic technology. Maita “Honjin is official accommodations managed by Maita family in Fujisawa “juku”lodging spot.
著者
園田 潤 國岡 達也 高橋 信 細川 寿樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.5, pp.414-416, 2021-05-01

アスファルト舗装下の深さ1.0 mと2.0 mの比誘電率をTDR (Time Domain Reflectometry)で1年間測定し,比誘電率の変動を調べた.この結果からアスファルト舗装下の比誘電率と,埋設管探査における深さ推定の誤差を定量化した.