著者
吉田 邦彦
出版者
日本私法学会
雑誌
私法 (ISSN:03873315)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.48, pp.193-201, 1986-08-30 (Released:2012-02-07)
著者
樫見 由美子 福本 知行
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究によれば、不法行為責任の加害者が責任無能力者である場合に、損害賠償責任を免責する制度趣旨は、法命令の意味を理解できず、また自らの行為の結果を認識できない者、その多くが精神的にも経済的にも自立できない弱者に対して、その者の将来の成長や生活を著しく脅かすことのないように損害賠償責任を免除することにあると解釈する。そして、その趣旨からは加害者の賠償責任に関して、交通事故のように自賠責保険等による責任の補てんが可能であるか、加害者である被用者個人から賠償責任が使用者に転嫁される使用者責任の場合には、加害者の責任能力の有無を問うことなく、運行供用者及び使用者の免責が認められるべきではないとする。
著者
杉山 佳奈美 久保山 哲二 三輪 洋文 宇野 毅明
雑誌
じんもんこん2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.289-294, 2022-12-02

選挙公報のテキストデータに対して文書クラスタリングを適用した. クラスタリング手法には、 文書間類似度により形成されるネットワーク構造から密な部分構造を抽出するマイクロクラスタリン グと、代表的なトピックモデルである LDAの2種類を利用した. クラスタリング結果を比較したとこ ろ, マイクロクラスタリングではトピックの解釈が容易な解像度が高いクラスタ, 特に政党に関して より類似度が高いクラスタが多数得られることが示された. さらにマイクロクラスタリングで抽出さ れた文書クラスタを元に回帰分析を行い, 個人票志向の候補者の傾向を解析した. その結果, LDA を 用いた先行研究にあった人手によるトピック解釈の過程を経ることなく, 選挙制度改革前後の変化や 政党ごとの特色について先行研究の主張を支持する結果が得られた.
著者
辻本 裕一 谷 優 山道 岳 辻村 剛 中田 渡 任 幹夫 辻畑 正雄
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.116-119, 2019 (Released:2019-07-27)
参考文献数
6

【目的】大阪労災病院で入院加療を行った結石性腎盂腎炎に対して臨床的検討を行った. 【対象・方法】2007年~2018年の73例をステント留置の有無に分けて比較検討を行った. 【結果】ステント留置無し (27例) のほうが有り (46例) より有意に結石最大径が小さく (7 vs 10 mm, p=0.0393), WBC (12000 vs 15900, p=0.0428) と好中球数 (9354 vs 11882, p=0.0199) が少なかった. 全身状態が悪い4例はステント交換のみ, 残り69例は自然排石14例, ESWL32例 (5例がTUL追加), TULのみ22例, 腎摘1例であった. 73例中61例 (84%) がstone free, 69例 (95%) がstent freeとなった. 【結論】従来からの治療方針は有用であると思われた.
著者
篠原 恵 松下 戦具 森川 和則
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.134, 2016 (Released:2016-10-17)

株価の予測は、過去の変動から未来の変動を予測する賭け行動である。このような事態では、物事の変化の受け止め方に関する性格特性が賭け行動に影響する可能性がある。しかし、株価の予測への性格特性の効果はほとんど調べられていない。 そこで、本研究では、世の中や人生の移り変わりについての見方である無常観が、株価予測にどのように影響するかを調べた。 実験課題は、株価の変動を示すチャートを観察し、その後の株価が上がるか下がるかを予想することであった。実験の結果、チャートが上昇トレンドの場合、無常観の低い参加者はその後の株価も上昇すると予測する傾向があった。一方、無常観の高い参加者は、上昇の継続と下降への反転を同程度予想した。これらの結果は、無常観の高い人は、賭け行動においても中立的なあるいは保守的な予測を行うということを示している。
著者
上田 敏丈 秋田 喜代美 芦田 宏 小田 豊 門田 理世 鈴木 正敏 中坪 史典 野口 隆子 淀川 裕美 森 暢子
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.67-79, 2020 (Released:2020-12-08)
参考文献数
29

日本では,約1万の幼稚園があり,その内の70%が私立幼稚園である。私立幼稚園の多くは,ファミリービジネスであり,園長は経営者としての役割も担っているため,保育の質の向上には,実践面の役割を担う主任教諭の役割は重要である。そこで本研究では,私立幼稚園の主任教諭が自身のリーダーシップをどのようなものとして捉え,また自身の役割をどのようなものとして認識しているのか,そこでの主任教諭としてのやりがいや葛藤はどこにあるのかを明らかにすることを目的とする。私立幼稚園の主任教諭8名に対してインタビューを行い,質的データ分析方法であるM-GTA(木下2003)を用いて分析を行った。その結果,25の「分析概念」,9つの[カテゴリー],3つの〈コア・カテゴリー〉が生成された。主任は,園長と職員集団との意思疎通を図り,それぞれの意図を伝達する〈つなげる〉ことと,カリキュラムの調整や職員への指導,心理的支援といった職員集団を〈まとめる〉ことをリーダーシップと捉える一方で,この2つのリーダーシップの間で,やりがいと共に葛藤の〈板挟み感〉を感じていることが明らかとなった。
著者
馬殿 恵 今川 彰久 阿比留 教生 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 及川 洋一 大澤 春彦 梶尾 裕 川﨑 英二 川畑 由美子 小澤 純二 島田 朗 高橋 和眞 田中 昌一郎 中條 大輔 福井 智康 三浦 順之助 安田 和基 安田 尚史 小林 哲郎 花房 俊昭 日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.37-46, 2019-01-30 (Released:2019-01-30)
参考文献数
34
被引用文献数
5

抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病について,日本糖尿病学会員への調査と文献検索を行い22症例を検討した.初回の薬剤投与日から発症までの平均期間は155日,発症時の平均年齢63歳,平均血糖値617 mg/dL,平均HbA1c8.1 %,尿中C-ペプチド4.1 μg/日(中央値),空腹時血中C-ペプチド0.46 ng/mL(中央値)であった.31.6 %に消化器症状,27.8 %に感冒様症状,16.7 %に意識障害を認め,85.0 %でケトーシス,38.9 %で糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.50.0 %が劇症1型糖尿病,50.0 %が急性発症1型糖尿病と診断された.膵外分泌酵素は52.6 %で発症時に,28.6 %で発症前に上昇した.1例でGAD抗体陽性であった.抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病は,劇症1型糖尿病から急性発症1型糖尿病まで幅広い臨床病型を呈し,高頻度に糖尿病性ケトアシドーシスを発症するため,適切な診断と治療が不可欠である.
著者
玉宮 義之 青木 春佳
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集 2021 夏季研究発表大会 (ISSN:27584801)
巻号頁・発行日
pp.70-72, 2021 (Released:2023-03-08)
参考文献数
5

これまでに、小説などを題材として物事の顛末を明らかにすること(ネタバレ)が作品の面白さに与える影響について検討されてきた。しかし、インタラクティブなメディアであるデジタルゲームの面白さに、ネタバレがどのような影響を与えるのかについては未だ検討されていない。近年はゲーム実況などの配信が人気となっており、ネタバレの影響について検討することの妥当性は高まりつつある。そこで本研究では、ゲームの内容をネタバレすることで面白さが変化するのかを検討した。参加者はネタバレを独立変数とするいくつかの条件に分けられた。そしてゲームで遊んだ後に、そのゲームについての評定を行った。分析の結果、ネタバレの効果は見られず、インタラクティブなメディアであるデジタルゲームの特異性が示唆された。
著者
江澤 雅彦
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.289-294, 2020-05-05 (Released:2020-10-14)
参考文献数
31

トポロジカル絶縁体は近年発見された物性物理における重要な概念である.最近では物性物理に留まらず量子情報や素粒子など様々な分野で関心を集めている.トポロジカル絶縁体では,その名の通り試料内部(バルク)は絶縁体でバンドギャップがある一方,試料外部との境界にはギャップレスな状態が現れ金属的に振る舞う.これはバルクがゼロでないトポロジカル数をもつことの帰結であり,バルク境界対応と呼ばれている.ドーナッツとマグカップの例における穴の数のように,トポロジカル数は離散的な値しかとらない.今の場合,試料の外は真空であるからトポロジカル数はゼロである.一方,ギャップが開いている限りトポロジカル数は変化できないため,トポロジカル数が境界を挟んで両側で異なる値をもつためには境界でギャップを閉じなければならない.この結果,D次元のトポロジカル絶縁体にはD-1次元のギャップレス境界状態が現れる.このようにトポロジカル絶縁体の表面状態の存在はトポロジカルに保護されているので,ランダムさや不純物に対して堅牢であり,デバイスの微細化・高性能化・エラー耐性向上に寄与すると考えられている.同様の議論は超伝導体にも適用でき,トポロジカル超伝導体と呼ばれている.最近,このトポロジカル絶縁体を拡張した“高次”トポロジカル絶縁体という概念が提案され注目を浴びている.例えば3次元(D=3)の場合,従来のトポロジカル絶縁体では2次元表面にギャップレス状態が現れるのに対し,“2次”トポロジカル絶縁体では表面にはギャップがあり,境界の境界である結晶の稜線にヒンジ状態と呼ばれる1(D-2)次元状のギャップレス状態が現れる.同様に2次元(D=2)の場合,従来のトポロジカル絶縁体では試料端に1次元状のギャップレス状態が現れるのに対し,“2次”トポロジカル絶縁体では試料端にはギャップがあり,試料の角に0(D-2)次元状のゼロエネルギー状態(コーナー状態)が現れる.これらは従来のバルク境界対応と明らかに異なる.同様に高次トポロジカル超伝導体や高次トポロジカル半金属なども考えることができる.高次トポロジカル絶縁体は,バルク境界対応の観点から次のように理解できる.高次トポロジカル絶縁体もバルクはトポロジカル数で特徴づけられる.ただし,このトポロジカル数は鏡映対称性や回転対称性など,系がもつ対称性によって保護されている.このように対称性に保護されたトポロジカル数は,対称性が破れた場合には一般には量子化しない.よってトポロジカル数を規定する対称性が試料の境界で破れた場合,上述のギャップレス境界状態は混成してギャップが開く.しかしその場合でも境界の境界で対称性が満たされていれば,そこではギャップレス状態の存在が保証される.高次トポロジカル絶縁体のヒンジ状態はビスマスの単結晶で実験的に観測されている.また,鉄系超伝導体において高次トポロジカル超伝導を示唆するヘリカル・マヨラナ・ヒンジ状態が報告されている.この他,音響系,マイクロ波導波路,LC電気回路など人工トポロジカル系でも対応する現象が観測されている.電気回路ではトポロジカル相転移を容易に実現でき,インピーダンス共鳴によって実測可能である.さらに回路に抵抗を導入することで非エルミート・高次トポロジカル系へと自然に拡張される.また,回路にダイオードを導入することで非相反な非エルミート・高次トポロジカル系も実現できる.このように高次トポロジカル絶縁体へと概念を拡張することで,対象となる物理系が大きく広がるだけでなく,本来,トポロジカルな系の背後にある物理的構造も解き明かされつつある.
著者
西 直美
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.199-206, 2006-04-25 (Released:2015-01-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1