著者
辻 洋志 林 江美 池田 宗一郎 玉置 淳子
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2021-0012-GI, (Released:2022-02-08)
参考文献数
57

日本では2020年1月からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染拡大に伴い,職場では地域の感染状況や職場環境に合わせて適切な感染防止策を行う事が求められている.複数の学術・業界団体がガイドラインを発表し,防止策のアイデアが提供されているものの,現場ではすべての対策を講じることは現実的に困難である.効果の優れる対策を検討し,優先的に行う事が求められている.従来から職場の衛生管理では,複数の介入を組み合わせて,また介入は優先順位をつけて行う事を基本とする労働衛生管理モデルが広く利用されてきた.本稿では代表的な労働衛生管理モデルを改めて紹介する.また,それら労働衛生管理モデルを応用した,優先順位に基づく効率的な職場におけるCOVID-19対策について検討し,整理された対策視点を提案する.
著者
板倉 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.890-899, 2015-03-01 (Released:2015-03-01)

「紙の辞書」と「デジタル辞書」とは似て非なるものである。その視点に立つとまったく違う世界が見えてくる。2006年以来,国語辞典『大辞泉』はデータベースを使った常時改訂を実現し,年3回データを更新している。このデータベースシステムがなぜ生まれたのか。どのような考えで開発されたものなのか。そして,どのようなデータを作ることができるのか。さらに,このデータをどうやって商業ベースに乗せるのか。そしてその先に目指すものは何か。近年,辞書の編集が注目された。言葉を編集するという本質部分に変わりはないが,「デジタル辞書」の編集は書籍とはまったく違う発想が必要である。本稿では「デジタル辞書」と「紙の辞書」との違い,「デジタル辞書」の現状と,その可能性について紹介する。
著者
唐帆 健浩 安達 仁 大前 由紀雄 北川 洋子 田部 哲也 北原 哲
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1Supplement1, pp.S44-S47, 2006-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

嚥下反射の惹起性が低下していろ脳血管障害患者5例を対象に、口腔から挿入したチューブを舌根部に固定して、常温水・冷却水・冷却炭酸水を用いて、中咽頭への注水刺激での惹起注水量を検討し、さらに冷却炭酸水注水による嚥下訓練の可能性について検討した。口腔内にカテーテルを、口唇から約10cm挿入し、用手的にほぼ一定速度で舌根部に各種液体を注入した。注水する液体として、(1) 常温水 (21-23℃)、(2) 冷却水 (12-14℃)、(3) 冷却炭酸水 (12-14℃) を用いた。3回の嚥下にて惹起注水量を検討した。健常人の場合と同様に、嚥下障害症例においても惹起注水量は、常温水よりも冷却水さらに冷却炭酸水で有意に減少していた。これは、冷却炭酸水の冷刺激と、発泡性の物理的刺激が作用したためである可能性が考えられる。冷却炭酸水を用いると、1ml以下の、比較的少量の注水にて嚥下反射を惹起させ得うため、嚥下反射の惹起性が低下した患者に対する嚥下訓練への応用が可能であると思われる。
著者
守屋 純二 竹内 健二 上西 博章 赤澤 純代 元雄 良治 橋本 英樹 金嶋 光男 小林 淳二 山川 淳一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.87-93, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)は6ヵ月以上持続する,休息後も改善しない強い疲労感を主症状とする。発熱,睡眠障害,頭痛などの症状を呈し,著しく生活の質が損なわれる。原因として,ウイルスによる先行感染,免疫学的な変調,中枢神経系の,特に海馬における形態的・機能的変化などが報告されている。しかし,明らかな原因は不明で,診断マーカーや治療法は確立していない。今回報告する症例は16歳男子高校生で,インフルエンザ罹患後の持続する発熱と強度の倦怠感などを主訴とした。既に複数の医療機関において約1年間の精査・加療を受けるも原因は不明で,CFSと診断された。当科紹介時に再度CFSの診断基準を満たすことを確認し,三黄瀉心湯エキス7.5g/分3とデュロキセチンを併用したところ,4週後には疲労・倦怠感は軽減した。しかし,熱型は不変,食欲低下を認めたため,補中益気湯エキス7.5g/分3を追加したところ,劇的に症状が改善した。西洋医学的に治療に難渋するCFS のような疾患に対して,漢方治療が有効な治療方法として使用できると考え報告する。
著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.106-114, 2016-06-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
54

その2で述べたように, 最初にヒトでの脳波記録に成功してから5年間の年月をかけて, 自らが記録した脳波がアーチファクトではないことを検証して論文を出したにもかかわらず, Bergerの脳波は当時の神経生理学には受け入れられなかった。その3では, Adrianによる追試をきっかけにして脳波が神経生理学や臨床医学に受け入れられていった過程と, その後のBerger, 特にナチスとの関係と自殺の原因, テレパシーを信じるようになった経緯, Bergerがノーベル賞にノミネートされていたことなどについて述べる。
著者
江口 俊輔 中村 淳 名取 晃子
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集 第28回表面科学学術講演会
巻号頁・発行日
pp.92, 2008 (Released:2008-11-13)

酸化グラフェンは両面に酸素が吸着すると蛇腹状の構造で安定となることがわかった。この酸化グラフェンを積層させた物質の安定性について発表する。積層酸化グラフェン内の酸化グラフェン同士の位相を空間的に変えた構造を比較し酸化グラフェン積層物質の構造安定性について密度汎関数理論に基づく第一原理計算を用いて求めた。
著者
石原 洋平 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.829-834, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
5

近年、わが国では公共交通が見直されつつあり、公共交通のさらなる利用を求める声も高まっている。公共交通の利用を促すためには利便性の向上が不可欠であるが、運行本数の増加などの施策を直ちに実行することは難しい。そこで、運行間隔や所要時間だけでなく出発時刻の偏りといった要素まで考慮して、現状のダイヤをできるだけ改善することが重要となる。本研究では、単独もしくは複数の系統を利用できる状況に注目し、先述の要素をすべて考慮できる指標である「期待所要時間」を用いて、都市内公共交通のダイヤを分析する。そして、分析から得られた知見に基づいて実際の都市内公共交通のダイヤを改善し、改善前後の期待所要時間を比較すると同時に、期待所要時間が増加した場合はその原因を明らかにする。
著者
清水 唯一朗
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_13-2_36, 2016 (Released:2019-12-10)
参考文献数
24

日本の選挙区制度は, 1889年の小選挙区制にはじまり, 大→小→中→大→中選挙区制と転変を経て, 今日, 小選挙区比例代表並立制に到達している。 他方, 個別の選挙区割りは, 明治以来, 相応の連続性をもって現代に維持されている。選挙区を空間的な政治制度として捉え, その歴史的展開を論じることは日本の選挙制度を理解する上で欠かせない作業となろう。よって本稿では, 選挙区を空間的政治制度として捉える第一歩としてその始点となる1889年の選挙区がどのような考えのもとでどう線引きされたのかを, 当時の議論から明らかにする。そこでは内閣, 内務省, 府県知事だけが策定に関与した結果, 選挙事務の実施という行政的な側面と, 選挙を安定的に運営すべく旧藩域を極力維持する方法が取られた。とりわけ旧秩序の継承と小選挙区の選択は選挙に対する地方名望家の影響力を残し, その後の立憲政治の展開に大きな制約を与えることとなった。
著者
冨永 敦子 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.156-165, 2014-03-30 (Released:2014-12-24)
参考文献数
57
被引用文献数
2 9

本研究では最近のeラーニングに関する実践的研究の進展を概観した。情報通信技術の進展とともに,eラーニングと呼ばれる,ネットワークとパソコンやモバイル端末を利用した教育が一般的になりつつある。本稿ではまず,従来の教育とeラーニングを活用した教育を比較した研究を取り上げ,eラーニングが従来の教育方法と同程度かそれ以上の効果があることを示唆した。次に,eラーニングがより効果的となる特質として,反復学習の最適化が可能であることと学習者に対するフィードバックがシステムとして可能であることを取り上げた。さらに,ドロップアウトが比較的多いと言われるeラーニングの短所を補うための方策として,ドロップアウトしやすい時期や学習者の特定,講師のプレゼンス,ブレンド型授業の採用,メンタリングといった観点から工夫していくことが必要であることを主張した。最後に,これからのeラーニングの課題について述べた。
著者
堀江 靖 加藤 雅子 永見 光子 杉原 千恵子 八島 正司
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.274-275, 2000-07-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
3

A case of BCG-related lymphadenitis is presented. After BCG vaccination, an enlarging mass was noted in the left axillary region of a 1-year-old boy. Imprint smear cytology of the extirpated lesion revealed aggregates of epithelioid and tingible-type histiocytic cells without a necrotic background. Histologically, the lesion showed granulomatous nodules composed of epithelioid histiocytic cells and Langhans' giant cells without associated caseous necrosis. Immunohistochemically, the epithelioid histiocytic cells were positive for and-BCG antibody, lysozyme and CD 68. It is necessary to distinguish this BCG-related lymphadenitis from tuberculous lymphadenitis.
著者
兵藤 哲朗 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.110-112, 2021 (Released:2021-06-20)
被引用文献数
1

新型コロナウイルス感染症,いわゆるCOVID-19の感染拡大は,土木計画学分野の研究者が研究対象としてきた都市活動,交通行動,経済・産業活動に対して大きな影響をもたらした.ついては本特集は,土木計画学研究委員会が主催し2020年8月8日に開催した「COVID-19に関する土木計画学研究発表セミナー」での発表論文を中心として,COVID-19の感染拡大に伴うそれらの諸行動,諸活動,ならびに諸対策にまつわる各種の土木計画学研究を掲載するものである.
著者
武者 賢一
出版者
日本地理教育学会
雑誌
新地理 (ISSN:05598362)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.12-23, 2000-09-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3