著者
田口 栄一 小林 靖 都築 秀典
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001731, (Released:2022-07-22)
参考文献数
20

誤嚥性肺炎で入院歴のある多系統萎縮症(multiple system atrophy)患者3例に誤嚥防止目的で誤嚥防止術を施行した.2例に喉頭閉鎖術,1例に喉頭気管分離術を実施し,全例術後約2年の経過観察で誤嚥性肺炎の再発は認めず,夜間の吸引回数が減ったことで本人のQOLが向上し介護者の負担が軽減した.2例は経口摂取を継続できていた.手術の時期は音声言語でのコミュニケーションが困難になった時期が適切である.誤嚥防止術は経口摂取期間を延長して患者のQOLを維持し,呼吸器感染症の合併を減らすことで生命予後延長にも寄与できる可能性があり,有用な治療法の選択肢になりうる.
著者
小森 祥太 坪井 崇 鈴木 将史 中村 友彦 勝野 雅央
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001740, (Released:2022-07-22)
参考文献数
15
被引用文献数
2

症例は71歳女性.63歳でパーキンソン病を発症し,66歳からウェアリングオフ,その後ジスキネジアも出現した.3日前からジスキネジアの増悪,前日から発熱あり,高クレアチンキナーゼ血症を認め入院.筋強剛を伴わず覚醒中に持続する重度ジスキネジアを認め,dyskinesia-hyperpyrexia syndrome(DHS)と診断した.全身管理と抗パーキンソン病薬の大幅な減量を行い,2週間で改善した.イストラデフィリンの過量服薬がDHSの誘因と考えられた.DHSは稀ではあるが致死的となり得る合併症であり,早期の診断が求められる.治療として,全身管理とともに抗パーキンソン病薬の減量が重要である.
著者
須見 洋行 佐々木 智広 矢田貝 智恵子 小崎 泰宣
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.1259-1264, 2000-11-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17
被引用文献数
6 7

納豆の水抽出熱処理物中には線溶酵素に対する強い賦活物質(FAS)が存在し,それをトリプシンーフィブリン平板を用いて測定することができた.この簡易法で市販7社の納豆100g (湿重量)中には平均7.41±5.45万単位(サーファクチンμg換算) (平均±標準偏差)という非常に高い活性が検出された. FASはプラスミン,トリプシン,あるいはミミズ酵素のような直接のフィブリン分解酵素だけでなく,ウロキナーゼのようなプラスミノーゲンアクチベーター,あるいはナットウキナーゼなどのプロ-ウロキナーゼアクチベーターに対しても強力な賦活効果を示すことがわかった.本物質は納豆抽出液から酸処理(pH 2.0沈殿)およびエタノール処理(可溶分画)の組み合わせで容易に分離でき, 1kgの納豆からの収率は約81.7万単位(乾燥品4.6g),純度は177.6単位/mg (乾燥重量)であった.
著者
田中 千晴 佐々木 彩乃 笹山 哲央 小谷 弘哉 藤澤 英二 近藤 和夫 西野 実
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.47-51, 2021-05-31 (Released:2021-09-01)
参考文献数
12

三重県のゴマ圃場で多発するミナミアオカメムシNezara viridula(Linnaeus)の加害が収量および油脂の成分品質に及ぼす影響を調査した。登熟期間を通して成幼虫10頭/株を加害させたところ,精子実重は顕著に低下し,しぼんだ形状の未熟粒が多数発生した。また,精子実重および粒数の減少は登熟後期よりも登熟初期の加害において顕著であった。精子実の油脂の酸価は登熟後期よりも登熟中期に加害された場合に上昇した。無農薬栽培圃場では開花直後から成幼虫が発生し,開花5週目に成幼虫数は最多となった。
著者
丸山 勝己 吉田 靖之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, 1980-03-15
著者
古川 康一 升田 俊樹 西山 武繁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.545-552, 2012-02-15 (Released:2012-02-27)
参考文献数
8

チェロのスピッカートは,その習得が非常に困難なことが知られている.本論文では,はじめに,スピッカート奏法の力学モデルとして,強制振動モデルを導入し,その妥当性を検証する.さらに,同モデルの代表的な例であるブランコ漕ぎとまりつきを取り上げ,それらの運動のアナロジーから,二つの重要な力学的条件,すなわち,強制振動におけるエネルギーの補充のタイミング,および,力を加える際のショックを吸収するクッション動作の重要性を指摘する.さらに,練習とメタ認知,および専門家との意見交換を通して,それら二つの力学的条件を満たすための奏法上のコツを明らかにする.最後に,スピッカート奏法の要素技術間の関係を推論図式によって明らかにする.
著者
妹尾 栄一 大原 美知子
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

成人男性における妥当性が確立された診断基準といえども、女性群にまったく同様に適用するにあたっては慎重さが求められる。また依存症者に特異的な所見が男女同列に扱えるかどうかも、今回の検討課題の一つである。本研究では様々な対象手段で、性差の観点からの特徴を究明し、合わせて先行研究も参照しつつ、はたして女性の依存症者にもっともふさわしい治療システムはいかにあるべきか、今後の検討課題を整理した。
著者
大場 百香 三輪 忍 進藤 智司 津邑 公暁 八巻 隼人 本多 弘樹
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLDM-179, no.28, pp.1-6, 2017-03-02

マルチコアニューラルネットワークアクセラレータでは,メモリとコア間のデータ転送時間がボトルネックとなっており,ニューラルネットワーク計算を効率良く行うことができない.そこで本論文では,このデータ転送をブロードキャスト化することでボトルネックを解消するアクセラレータを提案し,性能分析およびハードウェアコストの評価を行った.

1 0 0 0 日本神話

著者
倉野憲司 著
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
1952
著者
栗嶋 クララ 桑田 聖子 金 晶恵 梁 明子 岩本 洋一 石戸 博隆 増谷 聡 先崎 秀明
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】Fontan術後の高い中心静脈圧(CVP)はリンパの鬱滞を惹起し,リンパ浮腫やリンパ漏,酸化ストレスや炎症性サイトカインの活性化からFailing Fontanの病態に関与しうる.実際に我々は近赤外線カメラによる下肢のリンパ管投影にてリンパの鬱滞を呈するFontan患者が多数存在することを報告した.従って,リンパ鬱滞を改善するリンパマッサージはFailing Fontanの予防や治療の一つとなる可能性がある.しかし,リンパマッサージのFontan循環への影響は不明である.【目的】Fontan循環におけるリンパマッサージによる急性期の効果と血行動態学的変化について検討する.【方法】現在までに,説明と同意を得て,希望者にリンパマッサージを施行したFontan術後患者4名を対象とし,リンパマッサージ中に心拍数,血圧,心係数(CI),末梢静脈圧から算出したCVP,心拍変動解析を持続的にモニターし評価した.また,リンパマッサージ前後の血液量も比較検討した.【結果】リンパマッサージ前後で,交感神経系の活動(LH/HF)は抑制され,心拍数は著明に減少(mean 95→85bpm)し,収縮期血圧,CIも低下した(各々100→97mmHg,3.0→2.7L/min/m2).リンパマッサージは循環血液量の増加をもたらした(92→112ml/kg,Ht 44.0→43.2%,Alb 7.0→6.9g/dl)が,CVPは上昇しなかった(各々14→14,10→8,9→10,14→11mmHg).【考察】Fontan術後患者におけるリンパマッサージは,リンパの静脈への還流量増大に伴う体液量増加が,心拍数減少によるCI減少,静脈キャパシタンス増大により代償され,CVP上昇を伴わずに施行される安全な手技と思われる.従って,リンパマッサージはリンパ鬱滞の改善という直接効果に加え,交感神経抑制効果による心拍数減少,静脈キャパシタンスの増大(静脈機能改善)によりFontan術後患者の予後改善に寄与しうる非薬物療法としての可能性が示唆され,今後長期効果を含めた検討に値すると思われた.
著者
Federica POLI Maurizio CALISTRI Valentina MEUCCI Gianfranco DI GENNARO Massimo BARONI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.22-0210, (Released:2022-07-26)
被引用文献数
5

Intervertebral disc extrusion associated with extensive epidural hemorrhage (DEEH) is a well-documented pathological condition in veterinary medicine. This retrospective study aimed to evaluate the prevalence and clinical features of DEEH in a population of French Bulldogs affected by intervertebral disc extrusion (n=75), compare the findings with those from a group of Dachshunds (n=98) and identify possible predictive factors of DEEH and outcomes in surgically treated patients. The study showed that the prevalence of DEEH observed in Dachshunds (11.2% [95% confidence interval [CI]: 5.7–19.2%]) was significantly lower than that observed in French Bulldogs (41.3% [95% CI: 30.1–53.3%]). The multiple logistic regression model highlighted that the patients presenting with an acute onset of clinical signs (>24 hr) (odds ratio [OR]: 13.08; 95% CI: 4.63–37.03, P=0.00), presence of clinical signs progression (OR: 5.04; P=0.01), and French Bulldogs (OR: 5.15; 95% CI: 1.71–15.54, P=0.00) were at increased risk of developing DEEH. Secondary analysis showed that patients with DEEH were at an increased risk of being non-ambulatory at discharge (OR: 3.43; P=0.017). Overall, the surgically treated patients had favorable outcomes.
著者
冨田 仁美 奥田 真也 松本 雄志 鴨川 賢二 岡本 憲省 奥田 文悟
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.340-345, 2012 (Released:2012-09-26)
参考文献数
19

症例は65歳,男性.突然の左片麻痺と構音障害にて当科へ入院となった.左片麻痺のほかに左核上性顔面神経麻痺,左舌下神経麻痺,頸部以下の左半身で深部感覚障害がみられた.頭部MRIでは右延髄上部から中部の腹側から被蓋部に梗塞巣を認めた.3週間後も左舌下神経麻痺は続いたが,線維束攣縮や筋萎縮はみられないため,左核上性舌下神経麻痺と診断した.本例の顔面神経麻痺と舌下神経麻痺は病巣と反対側にみられたため,両神経核への核上性線維が延髄において交叉する前に障害されたと推測された.核上性の顔面神経および舌下神経線維の交叉部位には延髄上部から下部にかけてバリエーションが存在することが示唆された.