著者
瀋 俊毅
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、中国におけるエコラベルの影響に関して、一般市民と企業を対象とするアンケート調査を行い、経済的実証分析を行った。まず、一般市民向けのアンケート調査で得られた結果は主に三つある。一つ目は、市民の所得水準・教育水準・年齢・性別などの社会経済的特性が彼らの環境への関心度に重要な役割を果たしていることである。二つ目は、中国のエネルギー効率ラベルが消費者の購買行動に大きく左右することである。三つ目は、消費者の年齢・性別・教育水準・所得水準などの社会経済的特性の相違が彼らの中国環境ラベルへの支払意志額の高低に影響を及ぼすことである。そして、企業向けのアンケート調査で得られた結果により、外国資本の企業、海外市場向けの企業、大規模の企業、市場競争が厳しい企業であるほど、中国環境ラベルまたは国際環境標準規格14001(ISO14001)を認証するインセンティブが高くなることが分かった。
著者
生野 正剛
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日韓両国の廃棄物政策では、廃棄物発生抑制およびリサイクルの推進による廃棄物減量化、資源節約を目指す方向性、およびその目的達成の手段としての経済的手法の大幅な導入廃棄物管理政策の優先順位で共通している。さらに、拡大生産者責任を、日本では、容器包装・家電リサイクル法等で、韓国では生産者責任再活用制度で導入し、製品の設計・製造段階からの廃棄物発生抑制・減量化・リサイクル推進・省資源を目指している。しかし、韓国と比較して、日本はそれらの政策を推進するための具体的な仕組み.制度において廃棄物発生抑制の仕組みが弱い。すなわち、韓国では、製品となっても、使い捨て用品使用規制および過剰包装規制によって、廃棄物の発生を抑制し、製品購入後にはごみ従量制(有料化)によって廃棄物の減量化を図るという具合に、製品のライフサイクルにおいて廃棄物の発生抑制、減量化に向けた諸制度が有機的に結びつけられている。一方日本では、生産者に対する、設計・製造段階からの廃棄物発生抑制へのインセンティブが弱く、大量リサイクル推進策に終っている。また、各個別リサイクル法を除けば、他の廃棄物発生抑制・減量化・省資源は事業者の自主的取組みとされており、ごみ有料化・レジ袋有料化の実施も地方自治体や事業者の判断に委ねられている。この相違によって、韓国では、一般廃棄物の減量化に一定程度成功しているが、日本ではリサイクルは進んだとしても、排出量は依然として高止まり状態である。したがって、日本においても、使い捨て用品の使用規制、過剰包装規制、容器包装リサイクル法の中での使い捨て容器包装のリデュースとリユースへの転換を図るシステムの導入など、廃棄物の発生抑制のためのより明確な手段を導入する必要がある。
著者
鐘ヶ江 健
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ホウライシダで発見された新規光受容体PHY3は、植物青色光受容体であるフォトトロピンに赤色光受容体フィトクロムの光受容部位が融合した構造をしている。その構造から、PHY3はフォトトロピンと同様の分子機構で、受容した光シグナルをプロセシングしていることが予想された。本研究の結果、PHY3はフォトトロピンの機能に重要なアミノ酸を置換してもその機能に大きな影響を受けなかった事から、PHY3独自の光シグナルプロセシング機構が存在することが明らかになった。
著者
洞口 治夫 松島 茂 福田 淳児 近能 善範 行本 勢基 松本 敦則 天野 倫文
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは、日本におけるイノベーション促進政策とクラスター形成政策の実態に焦点をあてた。実証研究の結果、知識マネジメントの方法がイノベーションの起点となっていることが明らかになった。また、政策担当者、産学官連携の実務家とのシンポジウムにおける対話を通じて、日本におけるイノベーション促進政策のあり方をまとめた。
著者
酒井 孝司 坂本 雄三 倉渕 隆 岩本 靜男 永田 明寛 加治屋 亮一 遠藤 智行 今野 雅 大嶋 拓也 赤嶺 嘉彦 小野 浩己
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,複雑な事象を総合的に評価する必要がある住宅の温熱環境を対象に,非定常気流・温熱環境解析手法を用いたバーチャルハウスシミュレータの開発を行った。異なる暖房方式を採用した居室の定常・非定常温熱環境の実測を行い,検証用データベースを作成した。実測を対象に各種解析モデルを用いて解析を行い,実測と比較して精度を検討した結果,本研究で開発したシミュレータが住宅の温熱環境評価として実用的な精度を有することを示した。
著者
高木 博志 伊従 勉 岩城 卓二 藤原 学 中嶋 節子 谷川 穣 小林 丈広 黒岩 康博 高久 嶺之介 原田 敬一 丸山 宏 田中 智子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本における近代「古都」を、歴史学・建築史・造園史などから学際的に研究した。奈良・京都・首里といった古都と、岡山・名古屋・大阪・仙台・江田島・呉・熊本など旧城下町や軍都とを研究対象とした。研究会の他に、各地でフィールドワークも実施しつつ、「歴史」や「伝統」と政治的社会的現実との、近代におけるズレや関係性を考察した。また学都や軍都などの都市類型も論じた。個別業績以外に、論文集『近代歴史都市論』を発刊予定である。
著者
尾崎 一郎 高橋 裕 濱野 亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

近時の日本の司法制度改革は、経済のグローバル化に応じた効率的な司法の実現や、法化した社会における人権救済の強化、市民の一層の司法参加といった、機能的要請との関係で説明される側面以外に、自律的・安定的・均衡的に発展してきた「制度」が歴史的展開過程において当該均衡を破綻させて大きく変化する瞬間を迎えることを指して新制度派歴史社会学がいう「断絶均衡」としての側面を有している。また、そうした歴史的コンテクストは「法文化」によって規定されている。
著者
福本 直之 永田 正義 菊池 祐介 花田 和明 宮澤 順一
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

磁化同軸プラズマガンであるコンパクトトロイド(CT)入射装置を用いて, CTプラズマを生成・加速し,ガスを注入したセルに入射する実験を行った.これで,荷電交換反応によりCTプラズマの中性粒子化を促進させ,高速ガスジェットの生成を試みた.その結果,現状では荷電粒子が一部に残るものの, CT速度相当の高速ガスジェット生成に成功した.これにより, CTプラズマと極超音速ガスジェットの選択的入射が可能となった.
著者
斎藤 博幸 田中 将史
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

血中や脳内での細胞外脂質輸送を制御しているアポリポタンパク質の遺伝子変異や多型は、脂質異常症やアミロイドーシスなどの疾患発症を引き起こす。その構造的機序解明を目的として、ヘリックス型アポリポタンパク質であるアポA-I及びアポE変異体の高次構造、安定性、脂質結合性並びにタンパク質凝集性などを調査した結果、変異によるN末ヘリックスバンドル並びにC末ヘリックス構造の破壊が疾患発症の構造的基盤であることが示唆された。
著者
野瀬 昭博
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

イネ紋枯病抵抗性は、解糖系の炭素分配クロスロードと名付けた、解糖系からのスクロース合成・澱粉合成・フェニルプロパノイド代謝への分岐部の炭素分配制御によってもたらされていることが明らかとなり、今後この部分における制御特性についての解明が代謝工学的な紋枯病抵抗性の実現に向けたターゲットであることが示唆された。また、現有するイネ紋枯病抵抗性を交配育種的に活用する2種類のQTLが同定され、抵抗性イネ育種に大きな可能性があることも明らかとなった。さらに、現有する抵抗性系統に多収性をもたらす遺伝子の連鎖が示唆され、紋枯病抵抗性と多収性の両立も可能である。
著者
厨 源平
出版者
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

IL-17を産生するTh17細胞は新しいヘルパーT細胞サブセットであり、関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患モデルでは、これまで、その病態の主役はTh1細胞と考えられてきたが、現在、Th17の重要性が報告されている。1型糖尿病においても、病態の中心はTh1細胞であると考えられてきたが、発症前(10週齢)のNODマウスに対し、抗IL-17抗体の投与により糖尿病発症抑制効果が報告され、自己免疫性糖尿病の病態へのTh17/IL-17の関与が示唆されている。そこで我々は、1型糖尿病の病態へのTh17細胞/Th1細胞の関与を検討した。IL-17欠損NODマウス(IL-17-/-NOD)、IL-17/IFNγRダブル欠損NODマウス(IL-17-/-/IFNγR-/-NOD)を作成し、野生型(wt-NOD)との、膵島炎レベル、累積糖尿病発症率を検討した。IL-17-/-NODとwt-NODのCD4+エフェクター細胞のNOD-SCIDマウスへ養子移入実験を行った。50週齢までの累積糖尿病発症率は、IL-17-/-/IFNγR-/-NODで50%であり、IL-17-/-NOD;80%、wt-NODマウス;86%との3群間で有意差を認めた(p<0.05)。若年のIL-17-/-NODマウス由来のエフェクター細胞の養子移入において明らかな発症抑制を認めた。Th17/Th1細胞は協調して糖尿病進展に関与しており、Th17の若年期の重要性が示唆された。
著者
中田 智恵海
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

セルフヘルプグループ(以下SHG)の援助の特性として認知されている接近容易性や即応性がリーダーを疲弊させ、スムースな交代を困難にしている。後継者の育成にはメンバーのエンパワメントを諮る中でリーダーが育っていく。そのためにはピアサポート研修が必要であることが明らかとなり、ピアサポート研修のテキストを作成、改善しつつ、研修を重ねて一定の成果を得た。
著者
木下 俊則
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

フォトトロピンに制御される葉の横伸展と気孔開口へのFTの関与これまでの研究により、phot1 phot2二重変異体の葉の横伸展と気孔開度の復帰突然変異体であり、早咲きの表現型を示すscs 1-1変異体の原因遺伝子はELF3(EARLY FLOWERING 3)であること、さらに、この変異体では、花芽形成においてELF3の下流因子として機能することが知られているフロリゲンFTが孔辺細胞を含め植物体全体で顕著に高まっていることがわかり、FTが、葉の横伸展や気孔開口においても機能していることが示唆された。そこで、本研究では、FTを過剰発現(CaMV35S::FT)、表皮組織特異的(pCER6::FT)、または、主に孔辺細胞(pKAT2::FT)に発現させたphot1 phot2二重変異体の形質転換埴物を作製し、表現型の解析を行った。その結果、これらFT形質転換植物は、早咲きで、気孔が顕著に開口しており、気孔開口は細胞膜H^+-ATPaseの阻害剤により抑制された。さらに、孔辺細胞でのFTの発現を確認するためにpCER6::FT-GFPを作製した結果、孔辺細胞にFT-GFPが発現すると気孔が顕著に開口した。一方、FT機能欠損変異をもつft-1-GFPを発現させた場合は、気孔開口が誘導されなかった。また、葉の伸展では、表皮組織特異的にFTを発現させると葉は伸展するが(pCER6::FT)、主に孔辺細胞に発現させても葉は伸展しなかった(pKAT2::FT)。よって、表皮細胞でFTを発現させることが葉の横伸展に必要であることが明らかとなった。
著者
馬田 一郎 鈴木 紀子 鳥山 朋二
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

共同作業における作業ミス予測のため、視線検出装置・モーションキャプチャー装置などのセンサによるデータと発話データを用いてミスコミュニケーションが起こりやすい状態を推定することを目標とした。分析の結果、ミス予測については、各作業者が並列で作業を行う状態が続いている状態で共同注視の発生頻度が低い場合、ミスコミュニケーションの発生頻度が高くなる可能性が示唆されたが、共同注視が起こらない場合には必ずミス発生につながるという訳ではないことが観察された。この結果から、現状ではミスを起こしやすい作業チームを共同注視推測データから分類する可能性は有望であるものの、このデータを作業現場でのリアルタイムのミス予防にそのまま応用することは困難であることが示された。
著者
木下 俊則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

植物の表皮に存在する気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散、酸素の放出を調節し、陸生植物の生存に必須の働きを担っている。しかしながら、気孔の開口や閉鎖がどのようなシグナル伝達を経て引き起こされているかは、未だ多くの部分が不明のままである。本研究では、青色光による気孔開口に着目して研究を進め、その分子機構の一端を明らかにした。また、この研究過程で気孔閉鎖との関連性、さらに閉鎖に関わる因子を発見し、その機能についても明らかにした。
著者
山崎 京美
出版者
いわき短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

縄文時代の生業を復元する上で、貝塚から出土する貝殻や動物骨(動物遺体)の種名を同定することは動物考古学的研究方法の中で最も基本となる。特に魚骨は多量に出土するにもかかわらず、一個体中の構成部位が多く種数も豊富なために他の脊椎動物よりも同定が難しい。そこで、本研究では遺跡(主に関東)から高頻度に発見される魚種を対象に、同定に有効とされる顎や第1~3脊椎骨の骨格図を作成した。また、遺存体出土情報も加え、インターネット上で検索可能なデータベースを構築した。
著者
牛島 廣治
出版者
東京大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究は、治療的ワクチンを含めたワクチンを植物を利用することで開発しようというものである。ワクチンの投与法については経口、経鼻法といった簡便性、日常性をもった方法の検討も研究の目的とする。平成10年までに既に次のことが可能となった。(1)組み込む遺伝子領域とウイルス株の選定:HIVのエンベロープ(gp120)にはエピトープとなる部位が複数あり、抗原性の高い領域である。このgp120遺伝子を組み込む領域とした。マクロファージ親和性ウイルスの1つの株であるBAL株を選んだ。(2)遺伝子の増幅:プライマーの存謹下でPCRをし、目的遺伝子を増幅した。(3)ベクターへの挿入:目的遺伝子をpUC12-35S-NOSプラスミドBamHI切断部位に挿入した(35SプロモーターとNOSターミネーター間に挿入次に、EcoRI、HindIIIで切断し植物細菌アグロバクテリウムのベクターBin19のT-DNA領域に挿入した。(4)細菌への導入と植物への導入:アグロバクテリウム ツメファンテス細菌は自然界では、根頭癌腫病を引き起こし、独特の共存関係を営む。この現象は、アグロバクテリウムが植物に感染するとベクターBin19のT-DNA領域が植物のゲノムに移入されることによるものである。遺伝子を挿入したベクターBin19をアグロバクテリウムに導入した後、アグロバクテリウムを植物に感染させると、先の原理により目的遺伝子は植物のゲノムに移入された。(5)植物の分化・生育:今回は食用植物としてのレタスにHIVエンベロープ(gp120)遺伝子を導入し、カルスから分化させ形質転換植物を得た。(6)レタスの蛋白を葉から抽出し、ELISA法、ウエスタンブロット法でその発現を調べた。HIV抗体陽性血清と反応する蛋白の分画を認めた。このような粘膜免疫システムを応用したワクチン法は、HIVの感染者が増加している国内はもとより、感染が拡がり続けている開発途上国においても重要な戦略になりえるものと考える。
著者
森田 公一 城野 洋一郎
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は現在アメリカなどで増加傾向にあるWest Nileウイルス(以下、西ナイルウイルス)感染症の効果的な予防法確立の基盤を確立するため、ヒト用ワクチンとしての組織培養ウイルスを用いた不活化ワクチンと動物用ワクチンとしてのリコンビナントワクチンを試験的に作製しその効果を検証することを目的としている。ウイルス材料として米国のニューヨークで分離された西ナイルウイルス株(NY99-35262-11)を日本脳炎組織培養ワクチン製造に用いられるVero細胞プラットフォームを用いて大量培養を行った結果、10^9PFU/ml以上という高いウイルス価が得られた。このウイルス原液を日本脳炎ウイルスワクチン製造方法と同様の精製、ホルマリンによる不活化方法により、ヒト用の日本脳炎ウイルスと同程度の純度(1Dose当たり1ng以下の宿主DNAの混入など)をもった試作ワクチンを試作した。マウスを用いた免疫試験をにおいてはワクチン未接種群は全て脳炎を発症して死亡したが、ワクチン接種群は全てが生残し、本ワクチンの有効性が証明された。また動物用のリコンビナントウイルス作製については同じくNY99-35262-11株のPrM-E遺伝子領域をクローン化し、現在日本脳炎動物用ワクチン株ML17株とキメラcDNAを構築が完了した。今後、不活化ワクチンについてはヒトでの安全性試験と有効性確認試験が必要であり、動物用ワクチンについてはキメラウイルスの回収が必要となる。
著者
生田 和良 小野 悦郎 岩橋 和彦 LUFTIG Ronal RICHIT Juerg 鐘 照華 ARUNAGIRI Ch
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1)HIV-1はウイルス遺伝子変異が容易である。実際、HIV-1は幾つかのサブタイプに分かれる。しかし、これまでの大部分のHIV-1に関する知見は欧米や日本に蔓延しているB型ウイルスを用いて行われた結果である。HIV-1感染により引き起こされるAIDS病態を理解するためには、サブタイプ間に共通する現象とそれぞれのサブタイプにのみ認められる現象を正確に把握する必要がある。タイにおけるHIV-1E型感染者から得られた末梢血単核球(PBMC)と健常者由来PBMCとの共培養により2株のウイルス(95TNIH022および95TNIH047)を分離した。これらのウイルスを感染させたPBMCから抽出したプロウイルスDNAを用いて、HIV-1全長にわたりPCR増幅を大きく3領域に分けて行った。これらのPCR産物を用いて全長のHIV-1E型の遺伝子配列を決定した。さらにこれらのPCR産物を用いて、HIV-1E型ウイルスの感染性DNAクローンを作製した。また、このウイルスのnef遺伝子を大腸菌で発現し、Nef蛋白に対する免疫応答能を検討した結果、B型感染者の約40%で検出されたが、その大部分がB型HIV-1に特異的な抗体であった。一方、E型感染者での大部分では抗Nef抗体が極めて低かった。2)コスタリカにおいて、ウマおよびうつ病患者においてボルナ病ウイルス(BDV)感染例が認められた。また、中国の精神分裂病患者末梢単核球内のBDV遺伝子検出を試み、約40%に認めた。これらの多くに抗BDV抗体も検出した。3)米国の神経疾患患者の剖検脳サンプルを入手し、現在BDVおよびHIV-1遺伝子の検出を行っている。
著者
岡田 全司 大原 直也 吉田 栄人 鈴木 克洋 井上 義一 源 誠二郎
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.結核菌症のキラーT細胞分化機構:(1)抗結核キラーT細胞から産出されるGranulysin〔15kdのGranulysin(15KGra)〕が結核殺傷に極めて重要な役割を果たしている発見をした。GraはMφ内結核菌を殺傷した。(2)結核患者キラーT細胞から分泌されるkiller secretory protein(Ksp37)が血清中で低下していることを初めて明らかにした。(3)15K Gra DNAワクチンは結核予防効果を示した。(a)15K Granulysin DNAワクチン(b)9K Granulysin DNAワクチン(c)分泌型9K Granulysin DNAワクチン(d)Adenovirusベクター/15K Granulysinワクチンをすでに作製した。(4)15K Gra Transgenicマウスを初めて作製し、Granulysin transgenicマウスは生体内の抗結核菌殺傷作用のみでなく、結核に対するキラーT細胞の分化誘導を増強した。また、結核菌に対するT細胞増殖能増強作用とIFN-γ産生増強効果を示した。2.新しい結核予防ワクチンの開発(1)新しいDNAワクチンの開発(1)BCGワクチンより1万倍強力な結核予防ワクチン(HVJ/Hsp65+IL-12DNAワクチン)開発に成功した。(2)カニクイザルの系で世界で初めて、結核予防ワクチンの有効性を示した。(Vaccine 2005)これらのワクチン効果とキラーT誘導活性は相関した。3.新しい結核治療ワクチンの開発(Hsp65DNA+IL-12DNAワクチン)上記のHsp65+IL-12DNAワクチンは結核治療ワクチン効果も示し、世界で初めて結核治療ワクチンを創製することに成功した。これらの治療ワクチン効果と、IFN-γ産生細胞の増殖(Elispotアッセイで測定)活性は相関した。