著者
登内 真
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1177-1185, 1995-03-30

私は昭和23年に東京医学歯学専門学校を卒業し, インターン生活を1年送った後, 昭和24年4月, 母校第一外科の川島外科に入局し, 24年9か月大学生活を送った。川島教授は, 人格高潔, 真の教育者であると共に, 外科医として最高の技術をそなえておられた先生であった。<BR>この間, 私は医師としての基礎的教育と外科医としての手術手技の指導を受けた。また研究面では主として肝・胆・膵疾患の研究に携わった。<BR>其後, 昭和48年10月1日, 恩師川島健吉名誉教授の後任として土浦協同病院院長として赴任し, 満21年を経過した。<BR>赴任後, 常に念頭にあったのは, 川島先生の名声を傷つけないように心掛け, 先生の教えである患者に対する思いやりと, 後輩の育成及び健全なる病院経営であった。<BR>このように私の医師生活45年間を回顧すると大学時代, 土浦協同病院時代に区別することができる。<BR>[I 大学時代]<BR>大学時代, 専門として修業したのは, 腹部外科, 胸部外科であるが, 特に力を入れたのは, 肝・胆・膵疾患についてである。その主なものをあげると,(1) 胆道鏡の開発,(2) 肝・胆・膵の悪性疾患に対する治療,(3) 胆石症, 特に苺様胆嚢の成因に関する研究であった。<BR>[II 土浦協同病院時代]<BR>土浦協同病院時代には地域の農民, 並びに住民の最も必要とする医療をめざした。そのためには本格的医療完結型病院即ち, 専門化別のセンターの集合体を構築するよう努力した。<BR>(1) 農村健康管理センターの増改築,(2) 周産期センターの設立,(3) 救命救急センターの設立,(4) 茨城県地域がんセンターの設立,(5) サンテーヌ老人ケアハウスとの協力,(6) エイズ問題である。<BR>医師生活45年を回顧して, 大学時代指導していただいた恩師, 一緒に研究に励んだ後輩の顔が目に浮かびます。<BR>土浦へ赴任してからは, 病院経営の全責任を託してくれた, 茨城県厚生連の会長始め, 役員の方々, また, 私と一緒に病院発展に全力を尽してくれた全医療人に心から感謝します。<BR>日本農村医学会に入会してからはあらゆる問題に胸襟を開いて相談してきた友人方がおります。これらの友人と将来共に生きる喜びをわかち合いたいと思っています。<BR>最後に申したいことは, 今の若い人達は, それぞれ, 斬新な創造力があります。これらの人々のエネルギッシュな先見性, 創造的意見を尊重し, 活性化した学会・医学をめざしたいと思っている。
著者
Yu Komase Kazuhiro Watanabe Natsu Sasaki Norito Kawakami
出版者
Japan Society for Occupational Health
雑誌
Journal of Occupational Health (ISSN:13419145)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.e12185, 2020 (Released:2021-01-25)
参考文献数
44
被引用文献数
8

Objectives: Workplace gratitude is important for improving work-related outcomes and individual well-being. Although the gratitude at work scale (GAWS) was developed in the United States, it has not been corroborated in Asian countries with interdependent cultures. This study aimed to develop and validate the GAWS among Japanese workers.Method: Japanese workers completed online surveys at baseline (N = 206) and 2 weeks later (N = 103). The Japanese GAWS was developed according to the international guidelines. We measured (a) trait gratitude as comparison for the criterion-related validity, (b) work-related outcomes/factors (eg, work engagement), and (c) well-being (eg, eudemonic well-being at work) as comparisons for convergent validity. Cronbach's alpha, intra-class correlation coefficients (ICCs), and measurement errors were calculated to assess reliability; measurement validity was evaluated by correlational analyses and confirmatory factor analysis (CFA).Results: A total of 206 and 93 workers were included for baseline and follow-up analyses, respectively. Cronbach's alpha and ICCs of the Japanese GAWS ranged from 0.81 to 0.91. CFA showed that the 2-factor model (ie, gratitude for (a) a supportive work environment and (b) meaningful work) demonstrated a good fit (χ2 (34) = 67.58, CFI = 0.967, TLI = 0.956, RMSEA = 0.069, SRMR = 0.037), similar to the original version. As we had hypothesized, overall GAWS and the two domains were significantly correlated with trait gratitude, work-related outcomes/factors, and well-being.Conclusions: The Japanese GAWS demonstrated good reliability and validity. Future research should explore mechanisms related to workplace gratitude and further intervention studies among workers.
著者
末吉 昌宏
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.85-100, 2018

<p>シイタケ栽培地域の植生がキノコバエ類群集に及ぼす影響を明らかにするため,森林内の植生とキノコバエ類群集を調査した.また,菌床栽培施設のキノコバエ類群集を森林内のそれと比較した.大分県日田市内の菌床栽培施設3ヶ所,スギ・ヒノキ林9ヶ所(ホダ場3ヶ所を含む)および広葉樹林8ヶ所(ホダ場2ヶ所を含む)を調査地として,林内調査地の各所に10 m四方の1方形区を設置した.方形区内の胸高直径50 mm以上または樹高2 m以上の樹木の種と幹数,腐朽木体積,林床被度を記録した.マレーズ式トラップなど6種類の方法で採集されたキノコバエ類の属を単位とした非計量多次元尺度法による群集解析の結果は森林内の樹種構成や腐朽木量によってキノコバエ類群集が異なることを示した.原木シイタケ害虫であるナカモンナミキノコバエの分布はスギ・ヒノキ林ホダ場に集中していたため,生産現場で効果的に防除を行うことで被害が軽減すると考えた.森林内の根返りはシイタケトンボキノコバエの生息場所となっている可能性があるため,根返りが多く発生している林分に隣接する生産現場は警戒を要する.</p>
著者
長山 三男
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.10, no.117, pp.325-344, 1943

本研究の結果,摩擦圓盤装置が多少の誤差を伴ふも,對空射撃指揮具内の航速測定用計算機構として實用し得るを確認するのみならず,計算機の目的に應じ如何なる注意を拂ふべきやも明瞭にし得たものと信ずる.以上を一括すれば<BR>(1)機素の精度は現在の精密工作法にて充分である.尚送りネヂの中央部分を特に嚴密に工作し誤差を減ずれば一層良い.<BR>(2)組立誤差中,最も影響大なる摩擦圓盤の傾斜はその軸を長くし支持法を適當に改めれば除き得る.目的に應じ(24)式に依り檢討するの要あるは當然である.<BR>(3)滑りとHertzの彈性變形は,それ自身としては顧慮外に置き得る程度である.然し新しく轉動盤を設計するに際しては<I>r</I>/<I>R</I>を次の如く決定すると宜しい.即<BR><I>A</I>=§/μ<SUP>3</SUP>&radic;9/128θ<SUP>2</SUP>(1/<I>R</I>+1/<I>r</I>)<I>P</I><SUP>2</SUP><BR>を觀察するに,立方根内の1/<I>R</I>+1/<I>r</I>の項は,今迄考へてきたる程度の<I>R</I>の大さにては,1/<I>r</I>が遙に大きく,<I>R</I>を増すも餘り變化なし.然るにξ/μの方は表3を見ればτ=20°以以では急激に減少するを以て,τを極めて小にしてみる.即τ=10°とせば<BR><I>M</I>-<I>N</I>/<I>M</I>+<I>N</I>=1-<I>r</I>/<I>R</I>/1+<I>r</I>/<I>R</I>=cos10°=0・98<BR>從つて<I>r</I>/<I>R</I>=1/99.故に<I>r</I>=1・5mmなれば<I>R</I>=148・5mmとなる.これより<BR><SUP>3</SUP>&radic;9/128θ<SUP>2</SUP>(1/<I>R</I>+1/<I>r</I>)=1・05,<BR>又ξ/μ=0・423なるを以て<BR><I>A</I>=0・44<I>P</I><SUP>2/3</SUP>(μ)<BR>となり半減する.然し<I>R</I>=148・5mmの轉動輪は固定式に非れば使用困難であらう.<BR>設計に際しては最初<I>r</I>を決定し,摩耗の状態を實驗し,次に計算機の大さに應じRを適當に定むれば良し.<BR>(4)摩擦圓盤の表面仕上程度は極力良好ならしむ.<BR>(5)接觸壓は摩耗を顧慮しつつ増大するを可とす.<BR>(6)摩擦圓盤の角速度は小なるが良い.且その誤差は1/1000以下ならしめるが良い.<BR>(7)材料は徑年變化少きものを選定し,熱處理に注意を拂ふこと.材質は現在使用中のものにて良し.<BR>(8)最後の調整は計算と實驗とに依り轉動輪の徑を適宜縮少して行へば良し.<BR>要するに固有滑りの物理的基礎附けは未だしなるも,工業的,實驗的には本装置の適用範圍と研究方法とを究明し得たるなり.<BR>尚BushがDifferential Analyserに使用せる摩擦圓盤装置はトルク増幅器を使用する爲轉動輪の採るべきトルクは極めて小にて可なる爲,延いては接觸面積も小となり,Analyser全體にて精度を0・1%以内に收め得ると云ふ.此の精度には,本装置にては(1)乃至(8)項に亘る條件に注意し且2mm以上のρの範圍にて使用するが如き,固定式大型のものを設計製造せば到達し得る筈なり.<BR>又Hertzの彈性變形の基礎的實驗法を擴張應用する時,各種の精密測定器或はスフエロ計等の測定壓及測定端面の問題,又は球軸承の球の變形に伴ふ偏心運動の問題等の再檢討に役立つこと大なるものありと信ずる.
著者
近藤 公彦 中見 真也 白鳥 和生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.16-28, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
32

デジタル・トランスフォーメーションとコロナ禍という劇的な環境変化は,消費者行動と小売業にきわめて大きな影響を及ぼし,ニューノーマル時代に適応した新たな小売ビジネスモデルの構築が求められている。この論文では,まずデジタル・トランスフォーメーションが小売業をどのような方向に進化させようとしているのか,ならびにコロナ禍が小売業の活動をどのように激変させたのかを主要な文献を通じて概観する。次に,そうした要因が消費者行動をどのように変え,またどのような小売業の新しい取り組みを促しているかを博報堂生活者総合研究所,経済産業省,アクセンチュア等による消費者調査,およびビームス,カインズ等の小売業のトップマネジメントへのインタビューを通じて明らかにする。こうした議論を踏まえ,ニューノーマル時代の小売業の新しいビジネスモデルをネオリテールと名づけ,その全体像を顧客関係性(顧客識別性,ターゲット設定,タッチポイント,顧客関係ボンド),価値の創造と提供(提供価値,方向性,店舗の役割と位置づけ),活動システム(商品供給システム,業務システム,組織内・組織間関係),および収益フォーミュラの観点から提示する。
著者
宮治 裕 飯島 泰裕
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.4-10, 2010
被引用文献数
1

青山学院大学社会情報学部では,2009年5月に学部生全員,専任教員と関連職員の合計560名にiPhoneを配布した。そのねらいは,ICTやネットビジネスの体感・情報感度の向上・モバイルネット社会を調査提案する場を実現することにある。また,授業・学習の側面から,スマートフォンの有効活用を目指している。本来のねらいの実現には数年を要する為,その実現度合いを測ることは難しいが,その実現を目指して講演会・企業との研究教育連携・実証実験参加等の取り組みと環境提供・サポート体制構築等を行った。一方,授業においては,前期の一ヶ月強の試験運用経て,後期半年間の教材配布・授業配信・e-Learning利用等でのiPhone活用を行った。授業・学習の面では,場所にとらわれない活用とすきま時間の活用の点から,その有効性が確認できた。
著者
増田 進也 小高 知宏 黒岩 丈介 白井 治彦
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.639-640, 2016-03-10

授業や講義において,学生の学生証と出席登録機器を用いた出席管理システムや点呼を行っている大学は多くある.しかしそのような従来の方法では,学生が他者の学生証を使用したり、代わりに返事をする代返行為が発生する可能性があり,その解消のために数多くの研究が行われてきた.本研究では,学生が所持している携帯端末のBluetooth機能を用いて,端末の所有者の顔写真と本人を教師が閲覧・照合できる出席管理システムを検討する.本システムでは,各学生の所持している端末のBluetoothDeviceアドレスと学生の情報を関連付けしてデータベース化し,教師のPCで閲覧ができるようにした.
著者
関口 恭毅
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.67-94, 1981

組合せ最適化問題を解くための代表的手法として、分岐一界値法(Branc-and-Bound Method)、動的計画法、後戻り法(Backtrack Programming)などがあげられる。しかし、これらは、解法というよりは解法開発のための接近法とでも言うのが適当で、具体的な問題に応じた効果的解法を学習しておこうとすると極めて多数のアルゴリズムを習わねばならない。一方で、各接近法の原理だけを学習しても実用的な価値が乏しいという事情がある。しかも、NP完全性の検討によって、このような事態が暫定的たものとは考え難いことが強く示唆されている。この困難を打開する一方策として、原理的解法を問題に応じて具体化する技術を体系化すること、具体的には、各種接近法を包括する統一的枠組を確立し、その特定化の内容と得られる具体的アルゴリズムの効率の関係を明らかにすることが有効と考えられる。そこで本報告では、上記3つの接近法をはじめ、完全列挙法、解析解(例えば、フローショップ問題のジョンソン規則)、整数線形計画の切除平面法などをも含む"木型計画法"なる統一的枠組を提案し、その正当性一有限性と正確性(求められる解の良さ)一の分析を行った。木型計画法は選択則(列挙の順番を定める規則)、分岐則(問題をより易しい問題に分解する規則)、上界関数(列挙の各時点での最善解を判定するための道具)、廃棄則(最善解より良い解を持たない部分問題を発見しその後の列挙の対象からはずす規則)ならびに終了条件の5つの基本要素から構成される。列挙の対象が無限集合であっても良いこと列挙に重複が許されること、廃棄則の定義が包括的であることなどが、この枠組の特色と言える。正当性の分析は最も一般性の高い場合に対して行い、有限性と正確性のための十分条件を明らかにした。結果は、有限性については選択則と分岐則が、正確性については終了条件が支配的要因であることを示している。さらに、完全列挙法、分岐一界値法、動的計画法、加算的陰伏的列挙法および切除平面法を木型計画法として完式化しなおし、提案した枠組の汎用性を例示した。
著者
杉浦 令人 鈴木 美保 村田 元徳 亀頭 千鶴 江島 幸子 小野 早智子 佐藤 ゆかり 花輪 千草
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0162, 2006

【目的】脳卒中後遺症患者の大腿骨頚部骨折の発生率は、一般高齢者にくらべ4から12倍といわれている。大腿骨頚部骨折後のリハビリ訓練においても、脳卒中後遺症が阻害因子となり、骨折前の状態に復帰するまでに長期間かかる傾向にある。今回、当院回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)における脳卒中後の大腿骨頚部骨折患者の特徴を調査し、脳卒中後の大腿骨頚部骨折リハビリ訓練の強化点を検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2003.4.1から2005.8.31までに、当院回復期病棟入院の大腿骨頚部骨折患者で、脳卒中既往のある37例(以下、脳卒中群)中、脳卒中に対しても当院でリハビリを行った7例を対象に、詳細な調査・検討を行った。年齢は平均73.7±9.4歳、全員女性、脳梗塞6例、くも膜下出血1例であった。また、この期間内に当院回復期病棟に入院した脳卒中の既往のない大腿骨頚部骨折患者は13例(以下、既往なし群)であった。<BR><BR>【方法】当院データベースをもとに、大腿骨頚部骨折の受傷側、受傷事由、入院期間、麻痺側運動機能変化、関節可動域変化、ADL変化、歩行率、歩行速度などについて調査した。また、脳卒中退院時評価と、大腿骨頚部骨折退院時評価の比較もおこなった。麻痺側運動機能はBrunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)、関節可動域はRange Of Motion(以下、ROM)、ADLはFunctional Independence Measure(以下、FIM)にて評価した。<BR><BR>【結果】7例について受傷側は7例とも麻痺側、受傷事由はトイレへの歩行移動時での転倒6例、ベッドからの転落1例、入院期間101.1±51.0日、BRS下肢II:1例、III:3例、IV:1例、V:1例、VI:1例、ROM膝関節伸展脳卒中退院時0°:7例、頚部骨折退院時0°:2例、-5°:2例、-10°:3例、FIM運動合計脳卒中退院時71.7±5.4点、頚部骨折退院時72.3±8.5点、認知合計脳卒中退院時31.9±3.8点、頚部骨折退院時31.4±3.2点、歩行率脳卒中退院時60.424.2step/min、頚部骨折退院時43.3±15.2 step/min、歩行速度脳卒中退院時13.6±8.2m/min、頚部骨折退院時8.9±2.7 m/minであった。脳卒中群と既往なし群の比較では、入院期間は脳卒中群86.3±41.0日、既往なし群67.8±40.6日であり脳卒中群が18.5日長かった。FIMは、運動合計入院時:脳卒中群55.9±17.2点、既往なし群58.3±24.1点、退院時:脳卒中群68.3±16.1点、既往なし群71.1±21.8点であった。<BR> <BR>【考察】受傷側は、7例では100%麻痺側、脳卒中群全体でも92%であり、諸家の報告どおりであった。女性が多いのは、骨粗鬆症の関与も考えられるが、受傷事由も考え合わせると、介護者への遠慮により能力以上の行動をしがちな状況の可能性がある。今回の調査から、脳卒中後の大腿骨頚部骨におけるリハビリの強化点としては、不十分な関節可動域および効率の悪い歩行・歩容の改善が挙げられた。また、家屋改修や介護指導も、再度評価しなおす必要があると思われた。 <BR><BR>
著者
松本 正知 加藤 明 林 典雄 吉田 徹 浅野 昭裕
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.307-313, 2003-08-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

我々は,梨状筋症候群と診断された症例,およびそれを疑われた3症例に対し,積極的な運動療法を試みた。梨状筋症候群は,坐骨神経の絞扼性神経障害の一つであり,様々な発生機序が報告されている。本症では,手術療法を選択されることが多く,坐骨神経の除圧,癒着の剥離および坐骨神経の移動性の獲得を目的としている。今回我々は,これらの達成を運動療法の効果として期待した。治療法は,深層外旋六筋に対しリラクゼーションを目的として,痛みを伴わない程度の軽い筋収縮の反復を行い,坐骨神経の除圧を目的として等尺性収縮を行った後の他動伸張を行った。そして,下肢伸展挙上(straight leg rising: SLR)に左右差が認められたり,ハムストリングスの短縮が存在した場合,ハムストリングスに対しても同様に等尺性収縮後の他動伸張を行い,坐骨神経の除圧とともに,可動域拡大に伴う癒着の剥離,移動性の再獲得を期待した。治療終了時には,3症例ともに疼痛の改善が得られ,そのうち跛行を呈した2症例においては,歩容の改善も得られた。また,再発も認めていない。本法は,梨状筋症候群に対する治療法として,手術療法の選択の前に試みられるべき保存療法の有効な一手段と考えられた。
著者
島野 諒 戸森 央貴 宮永 隆史 中村 太郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2014 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._2A1-X01_1-_2A1-X01_4, 2014-05-24 (Released:2017-06-19)

Recently, the development of mobile robots is actively pursued. These robots are expected to have high mobility, allowing them to work in various scenarios such as rescue and exploration. Therefore, we focused on the hexapod robot for stable operation in an irregular terrain. We developed a leg using the parallel linkage mechanism and pneumatic rubber artificial muscles, and constructed a model of the legs. The model reproduced the experimental result. Then, we developed improved hexapod robot which can support its weight mechanically using these legs. Furthermore, the robot is assembled all system for walking. Also, we demonstrated that the robot could walk with high load of 300[N].
著者
長山 尭拓 石原 ひかる 奥井 学 山田 泰之 中村 太郎 名波 正善 岡村 成浩 原 以起
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会 2016 (ISSN:24242667)
巻号頁・発行日
pp.S1510201, 2016 (Released:2017-06-19)

To achieve dynamic motion, such as jumping and running, generating large instantaneous force and decreasing impact force at the time of the landing are needed. However, when increasing the instantaneous force of actuators such as motors and hydraulic actuators, the weight of robot also tend to increase. Therefore, in this study, we focused on the variable viscoelastic element with the human muscle. In this paper, we developed a bipedal jumping robot with variable viscoelastic joints. In this robot, we adopted straight-fiber-type artificial muscle as a variable elastic element and the magnetorheological fluid (MR) brake as a variable viscous-friction element. Moreover, we conducted the bending and stretching operation experiment by this robot. In this experiment, we used the experimental parameters which were determined based on human bending and stretching operation. As a result, it was confirmed that this robot realized the bending and stretching operation.
著者
安藤 真吾 戸森 央貴
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2018 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1P2-H10, 2018 (Released:2018-12-25)

Pneumatic rubber Artificial muscle (PAM) has high back drivability and high output. However, PAM's Repetitive durability is low and not less well understood. Observing broken PAM which was made of carbon and latex rubber, there were breakage of fiber in it. Thus, we focused Aramid fiber that has high maximum shearing stress and abrasion resistance. Then, we compared load characteristics and repetitive durability between PAMs using carbon fiber and aramid fiber. Experimental result showed that load characteristic of PAM using aramid fiber is equal to PAM using carbon fiber. Furthermore, repetitive durability of PAM using Aramid fiber is 6times better than one using carbon fiber.On the other hand, we tried to develop reparable PAM using thermoplastic elastomer (TPE). And load characteristic experiment and repetitive durability experiment were conducted. As a result, load characteristic of PAM using TPE was equal to previous PAMs. For future works, we are planning to simulate PAM from the viewpoint of material mechanics. Meanwhile, we are planning to improve repetitive durability of PAM using TPE.
著者
馬籠 純 竹内 邦良 金丸 茂男 石平 博
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
no.46, pp.295-300, 2002

The purpose of this study is to understand the potential impact of reservoir induced water storage on the basin scale water cycle. In this study, the increase of the basin scale residence time of river water is used as the index of the effect of reservoir on water cycle, and its spatial and temporal distribution in Japan are demonstrated. The results of analysis show that the potential increase of residence time by dam reservoirs in Japan has gradually increased from 1960's and reached to 14.5 days in 1995. The actual residence time increase is also estimated in the Tone river basin where operation and seasonal variation of river discharge are taken into account. It is shown that the estimated actual residence time is much smaller than the potential, in the case of the Tone river basin, 45%.
著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 三浦 輝 青山 道夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
アイソトープ・放射線研究発表会 第58回アイソトープ・放射線研究発表会 (ISSN:24364487)
巻号頁・発行日
pp.45, 2021 (Released:2021-09-06)

福島第一原発敷地からの直接漏洩は大幅に減少したものの、引き続き継続している。海洋分散シミュレーションを2020年9月まで延長した。年平均表層放射性セシウム濃度分布の観測結果とシミュレーション結果は、よく一致した。敷地からの直接漏洩の影響が大きいが、特に2019年10月の豪雨時には、河川からの粒子態による放射性セシウムの供給の影響が大きいことが示唆された。