著者
石森 大知
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.89, 2009

近年のメラネシアで顕在化したエスニック紛争や政治的不安定な状況下、公共宗教の観点から、キリスト教の教会が果たす役割に注目が集まっている。ソロモン諸島ニュージョージア島にクリスチャン・フェローシップ教会の教会ネットワークとは、聖霊憑依の経験を契機として親密圏が転化する形で創造された社会空間であり、そこに連帯意識や公権力への抵抗などの要素が潜在する。
著者
石森 大知
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.171, 2008

マナをめぐる議論は、19世紀末のコドリントンによる報告以来、大変な蓄積がある。しかし、太平洋の人々がキリスト教徒となった現在でも、マナは伝統的信仰の象徴として扱われる一方、同概念とキリスト教的価値観との関連性は不問にされてきた。そこで本発表では、ソロモン諸島の事例に依拠し、マナは、聖霊とも結びつき、名詞的または実体的な「超自然的力」と認識されていることを明らかにするとともに、その社会・歴史的背景について考察をおこなう。
著者
石森 大知
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、ソロモン諸島におけるバハーイー教徒とキリスト教徒の共生関係を考察するものである。バハーイー教徒は、改宗後もキリスト教徒の諸儀礼や行事に参加している。そこには2つの論理がみられる。1つは、彼らは自らを「見えない存在」とする実践を行っていること。もう1つは、彼らは「宗教(lotu)」と「伝統」を異なるものとみなし、後者の領域に親族的な事柄を置くことで、既存の社会関係の維持を図っていることである。これらの論理が村落部における二者間の共生関係の基盤にあることが明らかとなった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1268, pp.32-35, 2004-11-22

渡辺広康、元東京佐川急便社長。政治家や暴力団関係者と交友し、1991年7月に起きた「東京佐川急便事件」の中心となった人物だ。暴力団系列の企業に多額の融資と債務保証を実行し、会社に約400億円の損害を与えたとして特別背任容疑に問われ、昨年3月に最高裁で実刑が確定していた。
著者
軽野 宏樹 木實新一 上林 弥彦
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.49(2003-CE-069), pp.1-8, 2003-05-16

ALAN-K (Advanced LeArning Network in Kyoto)プロジェクトは京都大学が京都市教育委員会・京都市内の公立学校と協力し、コンピュータを用いた新しい学習環境の構築を目指して昨年9月に発足した。その活動の一つとして、昨年度はオブジェクト指向のプログラミング環境Squeakの機能の一つであるSqueakToysを用いたワークショップを2つの小学校で実施した。その活動で我々の目指すものはアラン・ケイ氏らの理念[1] [2]に影響を受け、実際に最初の2回のワークショップはアメリカから研究員を講師として招いて行い、その後には独自の課題を設定した連続ワークショップを実施した。本稿では、我々のプロジェクトの活動紹介とその考察を行う。
著者
田中 貴広 建内 宏重 田中 一成 楞田 眞弘 大野 博司 山口 淳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A0648, 2005

【目的】<BR> 本研究の目的は、物的環境の違いが側方リーチ動作およびその際の自覚的安定性に与える影響を明らかにすることである。<BR>【対象】<BR> 健常者13名(男性3名 女性10名)、年齢26.1±4.6歳、身長161.5±6.5cmを対象とした。<BR>【方法】<BR> 左側方リーチ動作を測定条件1)テーブル設置なし、2)テーブル設置ありで測定した。順番は無作為とし、測定前に十分な練習を行った。テーブル端は左第5趾から30cm外側、高さは被検者の大転子の位置とした。<BR> 測定には三次元動作解析装置(oxford metrics社製VICON460)と床反力計(AMTI)を使用した。左第3中手骨頭部、左肩峰、左上前腸骨棘、左大転子、左足関節外果に反射マーカーを取り付けた。<BR> 左上肢を肩関節90°外転位に保持した立位姿勢(裸足、開脚10cm、開足15°)から検者の合図でできるだけ遠くに左上肢をリーチさせて、最大到達点で3秒間保持した。課題施行中にはできるだけ前方をみること、左上肢を肩峰の高さに保持すること、反対側上肢は体側につけ外転させないこと、膝を屈曲しないこと、両足底を床に接地していることを遵守した。また左側方リーチ動作施行前に両脚に均等に荷重し、両上肢とも肩関節90°外転位保持した立位(上肢外転立位)を3秒間測定した。<BR> 各測定条件において開始位置(上肢外転立位)から終了位置(左側方リーチ動作終了時)までの運動学的パラメータ(リーチ距離、骨盤移動距離、体幹傾斜角、下肢傾斜角、足圧中心移動距離)を求めた。測定は3回行い、その平均値を用いて分析した。<BR> 自覚的安定性の測定はvisual analog scale(10cm)を使用した。左端(0cm)を最低、右端(10cm)を最高とし、各測定条件での側方リーチ課題終了時の自覚的安定性を評価した。<BR> 検討項目は各測定条件での運動学的パラメータ、自覚的安定性の比較(対応のあるt検定)、各運動学的パラメータの変化率と自覚的安定性の変化率との関係(Peasonの相関係数の検定)とした。<BR>【結果】<BR> 各測定条件での運動学的パラメータの比較では体幹傾斜角を除く全ての項目において測定条件1)に比べ、測定条件2)で有意に大きかった(p<0.05)。<BR> 安心感は測定条件1),2)それぞれ5.9±1.4cm、6.6±1.6cmであり、測定条件1)に比べて測定条件2)で有意に大きかった(p<0.05)。<BR> 各運動学的パラメータと自覚的安定性との関係では明らかな相関関係は認められなかった。<BR>【考察】<BR> 力学的補助がない状況でも側方リーチ距離が増加した。またその増加は体幹の傾斜ではなく、下肢や骨盤の移動量増加により達成される傾向にあった。自覚的安定性についても同様に増加した。しかし運動学的パラメータと自覚的安定性には明らかな相関関係が認められず、物的環境が無意識下に側方バランス能力に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
著者
川床 裕香 植野 拓 本多 亮平 太田 祐子 塩貝 勇太 小峠 政人 大和 枝里 永淵 郁 森松 明彦
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.138, 2008

【はじめに】<BR> 生態心理学領域において視覚情報が身体にもたらす影響が論じられており、臨床上、周辺視野内の情報が患者様の多様な身体反応を引き出す場面をしばしば経験する。側方にテーブルを設置すると同側へのリーチ距離が有意に延長したという先行研究報告もあり、視野内の物的環境を手がかりに身体にも変化をもたらすことがうかがわれる。<BR> 今回、周辺視野内のテーブル設置の有無やその設置条件の違いで前方リーチ距離や自覚的安定感に影響があるかを測定・検証し、リハビリテーションアプローチへの展開の可能性を検討する。<BR>【対象】<BR> 健常者44名(男性15名、女性29名、平均年齢26.04±4.22歳、平均身長161.79±9.22cm)を対象とした。<BR>【方法】<BR> 被験者は閉脚裸足立位で、両肩屈曲90度・肘伸展・前腕回内位の開始肢位から足底全面接地のまま水平方向に前方リーチを行い、TOEI LIGHTファンクショナルリーチ測定器T-2795を用いて、両中指を指標に測定を行った。<BR> 測定環境は、前方10m空間内にテーブル、測定器以外の視覚的要素の無い状態を設定した。<BR> 測定条件は、2回の前方リーチ練習を行った後、テーブル設置なし、テーブル設置ありで高さ2通り(膝蓋骨・大転子)、足尖からの距離2通り(30cm・60cm)の計4通り、合わせて5条件で行った。また、測定を行った後、自覚的にはどの条件下がもっとも前方リーチが行いやすかったかを、被験者に聴取した。<BR> 各測定条件下でのリーチ距離の比較についてはFriedman順位検定後多重比較検定(Bonferroni法)を、自覚的安定感の比較についてはカイ2乗検定を用いて統計解析を行った。<BR>【結果】<BR> テーブルの有無やそれぞれの設置条件間において、リーチ距離や自覚的安定感に有意差はなかった(p>0.05)。<BR>【考察】<BR> 今回の検証では、テーブル設置の有無や設定条件にかかわらず、前方リーチ距離や自覚的安定感の間には有意差はなかった。各々の設定条件は、被検者個々人の身体運動能力や主観に一律の影響を与えるような周辺視野情報とはなり得なかったと考えられる。リハビリテーションアプローチとして視覚情報を用いるとき、個別性を考慮した介入が必要であることが示唆される結果となった。今後も、臨床に活かすために他のテーブル設置の条件などを検討し、臨床場面への応用の糸口を探っていきたい。
著者
合原 一究
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.167-172, 2019

多くの動物にとって,音は周辺環境を把握するための重要な手がかりである.本稿では,音を活用する夜行性動物であ るカエルに注目する.カエルは多くの種でオスが鳴き声を発し,メスはオスの鳴き声を聞きつけて近寄ってくる.著者らは, ニホンアマガエルのオス同士の音声コミュニケーションを対象に,室内実験と野外調査を実施した.その結果,室内と野外の 両方で,近くのオス同士が交互に鳴く傾向を見出した.このような鳴き方には,タイミングをずらして自分の鳴き声が他個体 の鳴き声でマスクされないようにして,自分の存在をメスに効率よくアピールする機能があるものと予想している.次に,パ ナマ共和国でトゥンガラガエルとケヨソイカの関係を調べた.トゥンガラガエルのオスはメスを呼ぶために鳴くのだが,その 鳴き声は捕食者や寄生者に盗み聞きされてしまう.ケヨソイカもトゥンガラガエルのオスの鳴き声を聞いており,鳴き声を手 がかりに近づいてカエルの血を吸う.著者らはトゥンガラガエルの鳴き声と,その鳴き声に寄ってくるケヨソイカの行動を野 外環境で計測した.その結果,たくさん鳴いているオス,一声あたりに複雑な音声成分を多く含むオスのほうが,ケヨソイカ に狙われやすいことがわかった.トゥンガエルのオスにとって鳴くことは「メスへのアピール」と「捕食者・寄生者に狙われ るリスク」 という2つの側面があり, それらのトレードオフによって適切な鳴き方が決まっているのではないかと予想している.
著者
伊東 盛夫 有田 真 佐伯 和之 田上 三雄 福島 勇 矢永 尚士 真柴 裕人
出版者
THE PHYSIOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
The Japanese Journal of Physiology (ISSN:0021521X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.174-189, 1967-04-15 (Released:2011-06-07)
参考文献数
35
被引用文献数
39 46

The sequence of spread of sinus node impulse to the venae cavae and the mechanisms of delay at the sinocaval junctional areas were studied with the microelectrode methods.The impulse from the pacemaker located in the sinus node spreads slowly in the nodal tissues (1-10cm/sec) and excites the crista terminalis. Spread is rapid in the crista (50-120cm/sec). Then the impulse spreads from theupper and lower ends of the crista through the sinocaval junctional areas (SC areas) to the right and left superior venae cavae. Conduction velocity is decreased in the SC areas (10-25cm/sec) and again increased in the superior venae cavae (40-80cm/sec). In the inferior vena cava, the conduction of impulse is always completely blocked in the vicinty of the ostium.The features of superior vena caval action potentials are closely similar to those of cardiac action potentials, showing the constant diastolic level, the rapid upstroke, the high amplitude, the clear plateau and the rapid conduction.The fibers in the SC areas apparently show a transitional stage from the nodal fibers to the superior vena caval fibers. The action potentials of the SC areas are intermediate in the amplitude and rate of rise between those of sinus nodal and superior vena caval action potentials, and often reveal a step on the upstroke. The activation of right atrium at high rate produced a delay and block localized to the SC areas. The action potentials of the SC areas show three different types of changes associated with the increased atrial rate: I) the decrease in the amplitude and rate of rise, II) the separation into two discrete spikes and III) the widening of the step-like prepotential.Several evidences were presented which suggest that the SC areas are the latent pacemakers.
著者
雨宮 護 齊藤 知範 島田 貴仁 原田 豊
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.7, 2008

わが国における「子どもの防犯」は,その必要性が主張される一方で,取り組みの基盤となる実証的な知見に乏しい状況にある.そこで本研究では,兵庫県神戸市の5つの小学校を事例に,小学生の日常行動と犯罪被害の実態を把握し,さらに既存の子どもの防犯を目的とした施策の評価を試みた.2396名の児童と1875名の保護者を対象とした調査の結果,以下の3点が明らかとなった.a)児童の放課後の単独歩行行動は,児童の歩行行動全体の約四分の一を占め,時間的には下校後の外出先への行き帰りに,空間的には通学路など少数の領域に集中する傾向がある.b)児童の単独歩行の集中する時間・空間に,犯罪被害も集中する傾向がある.c)既存の防犯対策は,児童の単独歩行が集中する領域を有効にカバーできていない可能性がある.以上の結果は,既存の子どもの防犯を目的としたまちづくりに,子どもの行動特性を反映させることの必要性を示唆するものと考えられた.今後は,例えば,子どもの単独歩行の集中する領域で,具体的な場所の改善を図るなど,場所だけに特化しない取り組みが必要と考えられた.

1 0 0 0 OA 山鹿語類

著者
山鹿素行 著
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1 巻第1−12 君道第1−12, 1911