出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1383, pp.66-69, 2007-03-19

匿名を条件に会ってくれた、その男は約束の1時間を過ぎてもしゃべり続けた。オールバックに撫でつけた髪をポマードで固め、スーツはダブル。年の頃は50代後半か。 交渉事の世界を長年渡ってきた知恵がそうさせたのだろう。風貌だけで初対面の相手を縮ませる術を心得ている。だが、この時は思いのほかに饒舌だった。 この男、ファンド経営者である。それも極めつき。
著者
澤山 英太郎 高木 基裕
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.441-446, 2010-12-20
参考文献数
22
被引用文献数
3

種苗生産場で生じたヒラメの逆位個体について,マイクロサテライト DNA マーカーを用いた遺伝的多様度の解析および DNA 親子鑑定により,発生要因の推定を行った。種苗生産には17個体の親魚を用い,96日齢時に正常個体52個体と逆位個体49個体を得た。ヘテロ接合体(観察値,期待値,観察値/期待値)およびアリル頻度において,正常個体群と逆位個体群で違いは見られなかった。マイクロサテライトマーカー座の多型により全ての親子関係を判別できた。親子鑑定の結果から,正常個体は7個体のメス親魚と5個体のオス親魚からなる14組から生じていることが分かり,また逆位個体は7個体のメス親魚と7個体のオス親魚からなる18組から生じていることが分かった。1個体のメス親魚は他の親魚よりも高い割合で逆位個体を産んでいることがわかった。以上の結果から,本異常の発生要因は後天的な影響が強いものの,一部のメス親魚は遺伝的もしくは他の母性要因により逆位個体を産生していることが示唆された。
著者
堤 修郎
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.537-545, 1981-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
26
被引用文献数
2

乳臼歯隣接面齲蝕は,その発見が困難であるばかりでなく,進行が速やかなため小児歯科臨床上重大な諸問題を生じさせる。したがって,乳臼歯隣接面齲蝕の抑制は,小児歯科臨床上重要な課題である。そこで著者は,乳歯齲蝕の進行抑制剤として本邦で臨床的に広く使用されているAg-(NH3)2Fに注目し,本薬剤による乳臼歯隣接面齲蝕の抑制効果を検討した。臨床試験対象者は,左右側乳臼歯隣接面が共に健全なものおよびエナメル質に限局した蝕を有する3歳-5歳の小児58名である。乳臼歯隣接面の一方に,Ag(NH3)2Fをデンタルフロスを用いて3分間,3カ月間隔で塗布し実験側とした。他側は,3カ月間隔のフロッシングのみとし,対照側とした。初診時より6 カ月間隔で視診, 触診および咬翼法によるX 線診を行い, 齲蝕の程度を判定した。18カ月間の観察結果,Ag(NH3)2F塗布側における齲蝕の発生は,対照側より有意に抑制されており,また,エナメル質齲蝕から象牙質齲蝕への進行も有意に抑制されていた。以上の結果から,Ag(NH3)2Fを乳臼歯隣接面へ局所塗布することにより,同部の齲蝕予防とエナメル質齲蝕から象牙質齲蝕への進行拡大を効果的に抑制出来ることが示唆された。
著者
鈴木 哲 松井 岳巳 安斉 俊久 孫 光鎬 菅野 康夫
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では,マイクロ波を用いた完全な非接触での生体計測手法を応用し,血圧変動を推定する手法の確立を目指すことを目的とした.手法の有効性の確認のための,①推定法の理論的検討,②システムの試作,③実験室内における試作したシステムの評価実験,を実施した.さらに,臨床的知見の蓄積とシステムの問題点の確認のため,④医療現場における心不全患者へ適用した実証実験,の4点の実施を目標とした.結果として,理論構築およびシステム試作,さらに評価実験を行い,ある程度良好な結果を得た.一方で,臨床的知見の蓄積のための調査については,安全性と精度に課題があったため十分な実施が出来ず見送る結果となった.
著者
前田英作
雑誌
情報処理学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.624-640, 2007
被引用文献数
1
著者
藤田 朋世
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.45-53, 2011-03

本研究は、「音律から音楽について考える授業」を開発し、高等学校1年生を対象に実験授業を行うことで授業プランの有効性を検討するものである。音楽で使う音を低い音から順に並べたものを音階とよび、音階を構成する各音相互の関係を数理的に表したものが音律である。西洋のクラシック音楽では、ドレミファソラシドの各音の高さをどのように決めるのかというルールが音律である。音楽教育ではピアノが大きな存在となっているが、ピアノの音は厳密には美しくハモることはない。しかし、子どもにとってピアノでのドレミファソラシドは絶対的な音程であり、当たり前のものとして存在しているのではないだろうか。これらのことから、私たちが普段接するピアノの音以外にも音の高さの決め方があることや、音と音とが美しく響く方法があることを子どもが知り、経験する必要があると考え、授業プランの開発を行った。

1 0 0 0 IR 語源俗解考

著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城国文学論集 (ISSN:02869063)
巻号頁・発行日
no.25, pp.187-212, 1997-03
著者
安藤 英紀 石田 竜弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.19-24, 2020-02-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
15

標的遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA干渉(RNA interference;RNAi)医薬品は、patisiran(Onpattro®)が2018年に世界で初めて販売されたことを契機に、これまで以上に高い注目を集めている。筆者らは臨床での実用性を考慮したRNAi医薬品の開発を試み、すでに量産が可能な工業化技術を確立し、体腔(胸腔および腹腔)内直接投与により悪性胸膜中皮腫や承認薬のない胃がん、卵巣がん、膵臓がんの腹膜播種転移の治療剤としての有用性を前臨床レベルで確認した。本稿では、すでに本格開発段階に移行している体腔内投与型RNAi製剤(開発コード:DFP-10825)について、これまでの開発経緯を紹介する。
著者
鈴木 巧 柿本 益志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
熱工学コンファレンス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.39-40, 2013

A numerical study has been done for natural convection heat transfer in the joint part of a cylindrical thermal insulation structure with a metallic outer shell. If the joint is relatively narrow, the effect of natural convection which occurs inside the joint on the thermal insulation performance is small. Although the heat transfer rate increases as joint width becomes large, the increase in the heat transfer rate is less than 10 percent, even when the joint width is 10mm.
著者
田口 博之 森谷 友昭 勝村 大 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-12, 2007

3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)で復元された町の中で行き交う人々を表示する手段として,ビルボードアニメーション技術と3DCGモデルを用いている.しかし,歩行者は視点の移動による見た目の変化が大きい.本研究では,ビルボードにより視点の移動に対応した歩行者の擬似3Dモデルを表現する手法を検討した.歩行者を周囲のあらゆる角度から撮影して得たテクスチャ画像を用いて,見る角度に応じて切り替えることで表現した.テクスチャ画像枚数と物体の回転速度,カメラと物体の距離によって,ビルボードによる擬似3Dモデルと3DCGモデルとの比較評価を行ったので,報告する.
著者
ヤーッコラ伊勢井 敏子 広瀬 啓吉 堀田 典生 板井 陽俊 越智 景子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

言語差は発話時の呼吸の制御や腹筋・胸筋と切り離せないことや下腹部の筋肉は呼吸筋とは異なる動きをすることが明らかになった。発話時の呼吸回数に差はほぼないが,呼気量の制御に言語差が見られた。さらに,男女差は言語によるが腹筋・胸筋の使い方に出る。ポーズ制御に言語差が大きく出る。文法的単位や韻律単位になり,文・節・句以外に複合語や単語レベルにも及ぶ。また,母語と学習外国語の差は,母語で使う呼吸方法や腹筋・胸筋の使い方の影響が出る。加えて,喉頭制御は腹筋・胸筋の動きとは必ずしも連動しないことや,肺活量に基づく年齢(肺年齢)と実年齢では大きな不一致があり喫煙との相関はほぼないということも確認できた。
著者
田口 博之 森谷 友昭 谷村 知洋 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会年次大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.73-74, 2006

3DCGによる歴史的町並みの復元に関する研究を行っている。3DCGで復元された町並みのリアリティを向上するには、多くの人が行き交う様子を映像として生成する必要がある。数百人規模の大人数を扱うため、処理量が少なくかつリアリティを損なわない技術であるビルボードアニメーション技術を採用することにした。歩行者数とビルボード画像の画素数から描画速度を計測し、リアルタイム処理性能の評価を行った。リアルタイムで生成できる枚数には、テクスチャ画像の画素数が影響を及ぼすため、用意した画像から歩行者が映っていない部分をトリミングして画素数を減らして、生成できる枚数を増やした。また、カメラからの遠近に応じてテクスチャ画像を使い分けることにより、大人数(数百人)の歩行アニメーションをリアルタイムで生成することが可能になった。
著者
能登谷 武紀
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.661-670, 1978-12-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
130
被引用文献数
17 15

This article is a review of recent literature on corrosion inhibitors for copper and copper alloys. Inhibitors are divided into two categories; (i) inorganic inhibitors, such as chromates, phosphates, and ferrous ions and (ii) organic inhibitors which include heterocyclic organic compounds, i. e., benzotriazole (BTA) and mercaptobenzothiazole (MBT) and their relative compounds. At present these are the most effective and widely used inhibitors in a variety of systems. The BTA derivatives such as tolyltriazole (TTA) and benzotriazole carboxylic acid will be the most promising inhibitors for copper and copper alloys. It is suggested that dimercaptothiadiazole (DMTDA) and triazinedithiol (TDT) and its derivatives may be used as a substitute of BTA. Effectiveness of both DMTDA and TDT is found to be better than BTA in some corrosive environments. Significant role of oxide films present on the metal surfaces is stressed in order to clarify the mechanism of protection performance of inhibitors. Long chain thio-compounds as film forming inhibitors are also described
著者
長内 和弘 栂 博久 高橋 敬治
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

肺胞II型上皮細胞で産生される肺サーファクタントは肺の恒常性維持に不可欠な物質であり、複数の脂質・アポタンパク質から構成される。本研究により、肺サーファクタントのリン脂質主成分であるフォスファチジルコリンは小胞体で合成後、ゴルジ装置を介さない経路で層状封入体へ輸送され貯蔵される。一方、アポタンパク質成分であるサーファクタントプロテイン-Aは小胞体で合成後、ゴルジ装置へ輸送され糖修飾を受け、層状封入体へは輸送されずにそのまま連続的に細胞外へ分泌され、エンドサイトーシスにより細胞内へ再び取り込まれ、層状封入体へ輸送されることが判明した。また肺胞II型上皮細胞内にはゲル濾過カラム上分子量約110kDにピークを有する、サーファクタントのエキソサイトーシスを誘発するタンパク質が存在することを発見し、その性質分析を行った。さらにコレラトキシンによる肺胞II型上皮細胞のアデニレートサクレース連関3量体Gタンパク質の活性化は予想に反してサーファクタントの分泌を強力に抑制することが明らかになった。これらの結果はこれまで信じられてきたサーファクタントの輸送経路が誤ったものであることを示し、肺サーファクタントの分子生物学に新知見をもたらした。さらに肺胞内水分クリアランスにおよばす肺虚脱の影響、薬剤の効果を明らかにした。これらの知見は今後急性呼吸不全の病態解明、治療法の開発に役立つと思われる。これらの研究成果は医学雑誌、学会・研究会での口頭発表、医学誌への著作などを通じて随時公表した。とくに欧米の医学雑誌に掲載されたもののImpact Factor(1999 Jounal Citation Reports,ISI社)は合計11.295であった。
著者
野村 和博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.226, pp.63-69, 2008-08

未収金の回収や発生予防に向けた取り組みが活発化している。債権回収会社や法律事務所など、第三者に回収を委託する動きが広がっているほか、マニュアルを作成して対応する病院も増えている。今秋からは保険者徴収が始まる見込みで、未収金対策のメニューは広がりつつある。取材・文◎野村 和博 「食い逃げなら警察が動いてくれるのに、医療費不払いは全部病院の責任。