著者
川崎 健太郎 大澤 正人 大野 伯和 小林 巌 藤野 泰宏 中村 毅
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2557-2560, 2008-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は50代男性.食道癌で右開胸胸部食道全摘,胃管による後縦隔経路再建を施行した.手術時Treitz靱帯より20cmの空腸に経腸栄養チューブを20cm挿入し,Stamm法で腸管に固定,刺入部を腹壁に固定した.術後経過良好であったが術後14日目に左下腹部痛が出現したので16日目にチューブを抜去した.その後も腹痛が持続,22日目に腹部CTを撮影し小腸の腸重積を指摘された.経過観察としたが27日目のCTでも腸重積が認められたため手術となった.開腹すると小腸を腹壁に固定していた部分より肛門側20cmの空腸に約10cmの順行性3筒性の腸重積を認めた.癒着で解除困難であったため小腸切除を行った.腸重積発生部は経腸栄養チューブが位置していた部分であり経腸栄養チューブが誘因になったと考えられた.経腸栄養チューブによる腸重積は非常に稀な合併症であるが,注意を要すると思われた.
著者
細谷 英一 橋本 佐由理 原田 育生 小野澤 晃 上田 繁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.2742-2756, 2008-08-15
被引用文献数
1

本文では,客観視点型遠隔講義システムを提案するとともに,被験者実験を通じてその有効性を評価した結果について報告する.提案システムは,遠隔地で撮影された映像に透明度を与え,実時間で半透明重畳した映像を合成するミラーインタフェースと,仮想的に同一の共有空間にいるユーザを客観視点から撮影したような映像を提供する共有空間設計を組み合わせることにより,ユーザに同一空間で対話しているような印象を提供して自然な対話を誘発することができる.この結果,グループ演習をタスクとする実験を通じて,視線理解容易性,対話容易性,同室感などにおいて,テレビ会議を用いた演習より高い評価を得た.また,提案システムは,市民サービス講座の場を利用した実証的実験においても有効性を示し,講座として直接対面方式の講座に匹敵する効果があったことも確認できた.A remote lecturing system that creates transparent remote images and superimposes them on each other using a mirror interface is proposed. This system allows a lecturer and his or her students to view their own appearance in a virtual shared space from an objective viewpoint. Experimental results from social skill lectures with exercises requiring student involvement showed that the proposed system made it easier to recognize gazings between individuals compared with conventional videoconferencing systems. It also improved communication between the remote lecturer and the local students. Another verification experiment performed as a public service trial also gave consistent results, proving that the lectures using the proposed system were equally as effective as ones held in the same real space.
著者
宇佐美 洋 岡本 能里子 文野 峯子 森本 郁代 栁田 直美
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.383-403, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

日本語教育関係者を対象に,フォーラム・シアター(FT)と呼ばれる演劇ワークショップを実施した後で,参加者に対するインタビューを実施し,各参加者にどのような変容があったかを分析した。その結果,ある参加者はFTへの継続的な参加を経て,ネガティブ・ケイパビリティ(すぐに答えを求めず考え続ける能力)を深化させていったことが確認されたが,一方でFTに明確な終着点を求めてしまう参加者もいたことが確認された。またある参加者は,FTでは「一人称的アプローチ」(自分の内観をそのまま他者に当てはめて理解しようとする)によって他者理解をしようとしていたが,その後他者から「二人称的アプローチ」(対象の情感を感じ取り,対象の訴え・呼びかけに答えようとする)を受けることで,一人称的アプローチから脱却していくプロセスが確認された。このことを踏まえ,この種のワークショップを運営する者に求められる配慮についても論じた。
著者
高山 詩穂子 田中 隆充
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

筆者は、ビニールやレジンなど透ける素材によって有機物を保存した作品を制作してきた。同様の素材を使用した先行研究として深堀隆介とダミアン・ハーストの作品を取り上げている。レジンは無色透明であるため人に見せられない部分を作ってはならない。そのため本稿で示す制作で特に留意したのが内容物の配置である。こうした視点から日常よく使用する製品について考えてみると、入れ物、つまりカバーや裏側、底が大きな役割を果たしていることに気付いた。デザインとは問題を解決するための手段であり、本研究ではカバーによって隠されてしまった本質的な問題を創作活動から発見し、可視化することで、デザイン行為を解決することが今後の課題であると考えている。
著者
小河原 アヤ
出版者
成城大学
雑誌
成城美学美術史 = Studies in aesthetics & art history (ISSN:13405861)
巻号頁・発行日
no.17, pp.133-140, 2012-03

2010年夏の北海道夕張市にて、映像と記憶に関するワークショップが行われた。このワークショップは、財政破綻以来変わりつつあるこの街の現在の様子を記録し、それを過去の夕張市の映像と共に編集して、そうしてできた作品を住民に見てもらうことによって、映画映像をきっかけに住民の記憶を呼び起こすことを目的とした。しかし、夕張市の歴史的状況を念頭に入れたこのワークショップ映画は、繁栄した過去/荒廃しつつある現在という紋切り型、既成のナラティヴに当てはめてこの街を表象する結果となり、個人的な記憶を呼び起こすのは難しかったと考えられる。夕張についての紋切り型の表象、既成のナラティヴは、映画『幸福の黄色いハンカチ』(山田洋次監督、1977年)に顕著である。この映画の中で夕張は、高度経済成長に取り残された「古き良き日本」の紋切り型で表象されている。またこの映画はフラッシュバックの技法を用いて登場人物の過去の回想を表すのだが、これは過去を、紋切り型と同様に、それが起った時の状態のまま変化しないもの、事物が或る時点の状態にとどまっているものとして理解し、記憶を、過去の振り返りとして表している。このような記憶理解は、過去の夕張を紋切り型、既成のナラティヴに当てはめて表した我々のワークショップ映画に共通する。ダミアン・サットン著Photography, Cinema, Memoryによれば、記憶の概念には二種類ある。一方は、過去に作られた記憶を現在の時点から振り返るというものであり、これはクロノロジカルな時間概念に基づいている。他方は、時間を現在と過去の「結晶」とする考えに基づく「創造的記憶」、すなわち、過去が現在と協働して、この現在の瞬間に新たな記憶を創造するというものである。サットンによれば、映画においては、線的な上映時間枠の中で複数の映像が次々に現れるゆえにクロノロジカルな時間表象がされやすいのに対して、写真においては、事物が一つの枠内で示され、撮影された時点(過去)とそれを見る時点(現在)とが不合理に結ばれるゆえに、時間の「結晶」において記憶が創造的になる。しかし、映画においても創造的記憶は可能である。例えば、上述のワークショップ映画には、或る夕張の風景の映像が突如として説明無しに現れるときがある。このような映像は、映画の線的な時間上に成立するナラティヴを拒み、映像そのものとして突出する。観客は、それを現在の瞬間に注視し、自ら新たなナラティヴを創造せざるを得なくなるだろう。このとき、映画映像において創造的記憶が働くと考えられる。
著者
福田 光佑 ラミレス イクシェル 山野辺 夏樹 プティ ダミアン 原田 研介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2A1-F17, 2018

<p>In this work, we propose a recognition system for assembly motions performed by humans, with the aim of generating and re-using robot motions stored in a database. An affordance model for each manipulated object is proposed to efficiently search for matching actions. Based on this model we design motion templates containing a set of basic motions associated to the manipulated objects. Recognition of motion data is done using the proposed motion templates and Hidden Markov Models. We verify the validity of the proposed method using three different assembly tasks.</p>
著者
新保 仁男 荒岡 史人 後藤 正直 高西 陽一 石川 謙 竹添 秀男 ゴレツカ エヴァ ポチーハ ダミアン ミエツコウスキー ヨゼフ
出版者
THE JAPANESE LIQUID CRYSTAL SOCIETY
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.190, 2007

ウレア液晶の極性カラムナー相(ColhPA相)において、極性構造を高速に緩和するモードが報告されている。我々は、ポリカテナーベントコア液晶の極性カラムナー相においても同種の高速緩和が存在することを確認し、光第二次高調波発生(SHG)によりダイナミクスの詳細な解析を行った。その結果、本モードの緩和速度は7マイクロ秒より高速であることがわかった。
著者
佐藤 裕仁 三武 裕玄 長谷川 晶一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.275-279, 2017-09-09

物理エンジンの普及やオープンワールドゲーム等の高い自由度を持つゲーム世界において、キャラクターは多様な力学的制約を受けつつ自在に行動することが望ましい。そのために、物理シミュレータによって動作をその場で自動生成する手法が提案されているが、自然さが十分ではない。本研究では、キャラクターの姿勢変化時に、反復計算によりトルク変化最小軌道でリアルタイムに生成し適用することで、多様なキャラクター動作を自動生成する手法を提案する。
著者
武田 尊徳 山崎 弘嗣 田代 英之 中村 高仁 星 文彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.62-67, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
13

本研究は歩行中の重心移動のパターンを評価するための基礎的な指標を得ることを目的とし,jerk最小モデルから予測される運動軌道との差を検討した。対象は健常成人女性8名とし,3次元動作解析装置を用いて歩行時の重心移動を計測した。jerk最小モデルを用いて計算される1歩行周期の重心移動の最適軌道を基準とし,軌道波形のピークの位置から定性的な一致度を調べ,前後,左右,上下の3方向で実測値との差の実効値を算出した。前後,左右方向の実測軌道と最適軌道は波形が類似しており,上下方向においては軌道のパターンの差が顕著であった。重心変位の最大値で正規化した実効値は左右方向15.7%,前後方向2.4%,上下方向70.1%であった。左右,前後の2方向において健常成人における実測軌道は予測した最適軌道に近似し,本研究で示した数値を用いて歩行動作の機能的制限を定量化することが可能である。本研究は歩行動作における重心移動解析の基礎的資料となり得る。
著者
長谷川 昭彦
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1-2, pp.133-149, 1971-10-31 (Released:2017-12-09)
著者
青野 修 西郷 敏 原田 三男 柴山 修哉
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.328-329, 1997-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
幸地 省子 井上 直彦
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.142-149, 1986 (Released:2010-10-27)
参考文献数
10

As one of the approaches for improving the maternal and child health care system, it was attempted to review the dental part of the maternal and child health handbook. Our recommendations are as follows:As a basic philosophy, all considerations regarding dental health should be on the same basis and at the same level as holistic health care. Therefore, the dental examination chart and the instructions for dental health care should be arranged in the same page as the general health examination and education at each stage of the physical and mental development.It is strongly advised to pay attention to the development and underdevelopment of occlusion. It is essentially important to start the dental health examination program specially refered to the type and pathogenic factors of malocclusion as early as possible, so that the developmental changes of maticatory system can be well understood. For this purpose, new criteria for the occlusal examination of deciduous dentition are presented. In the dental health education, instructions for bringing up the morphologically and functionally sound, and traumaresistant masticatory system should be most important, including the informations on effects of breast feeding to the basic growth of the masticatory system, and on the influence of the physical properties of foods on its growth in and after weaning period.The role of the maternal and child health handbook should be clearly defined as to record all the evidence through the developmental stages, as well as to motivate the mother and child complex towards the self care for health. The influences of mother's diseases and of the affecting stress caused by the treatment of these diseases should be mainly concerned about for fetus, rather than for the maternal body. Spaces must also be provided for recording the child's diseases and preventive care and treatment.Eruption times of all deciduous teeth have better to be graphically illustrated for the mother to compare her own child's tooth eruption with. Code numbers may be advisable for the easy and accurate extract of the data, when necessary epidemiological investigation would be carried out.