著者
高木 恒一
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.52, pp.99-109, 1994

本稿では、1993年に実施した「教育と友人に関する調査」のデータをもとに、子どもの私立小・中学校進学の規定要因を検討する。分析に当たっては主として親の個人的要因(学歴、経済資源)と社会的文脈(両親の出身地)に着目し、これらの変数が子ともの私立小・中学校進学にどのような影響を与えるのかを検討する。主要な知見は以下の通りである。1.個人的な要因のうち、学歴に関しては両親の学歴が高いほど、私立小・中学校に進む子どもは多くなる。また、親が私立中学校に通った経験がある場合には、子どもが私立小・中学校に進学する傾向にある。2.経済資源に関しては、世帯収入が多くなるほど、子どもは私立小・中学校に進学する傾向にある。また、収入が中程度以上の場合に、資産としての住宅を保有していれば子どもは私立小・中学校に進学する割合が高くなる。3.社会的文脈としての両親の出身地についてみると、東京出身の親は、私立中学に進学している比率か高い。また、東京出身者は、収入中程度以上で持家を保有している傾向にある。従って親の出身地は、親の教育歴や経済状況を規定することを通して、子ともの私立小・中学校進学に影響を及ぼす。
著者
手塚 浩介 中原 久志 大津 春輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.257-258, 2020

<p>本研究では,高校生の持つ情報モラルに対する意識及びSNSの利用状況や意識,アカウントの捉え方等に関して探索的に調査を行った.調査の結果,情報モラルの意識に関しては学年間(1年生・二年生)や男女間で差異は見られなかった.しかし,一年生と二年生でSNSアカウントの非公開設定の認知や動画系SNSの利用時間に差があること,男女間でSNSでの投稿内容や公開範囲の意識に差があることなどが明らかとなり,情報リテラシー教育における示唆が得られた.</p>
著者
加藤 浩徳 村木 美貴 高橋 清
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.243-254, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
59

本稿は, 近年の英国の交通政策とそれに伴う交通システムの変化を調査し, 整理することを目的とするものである. 英国では, 1997年のブレア政権成立以来, 新たな交通政策が実施されてきた. 新交通政策の特徴は, 「総合化」, 「官民協力・調整」, 「経済的交通需要マネジメント」, 「地方分権」といった点に見られる. またその結果, 交通計画に関わる国, 地方自治体, 地域の役割が変化し, 交通システム全体にも変更がもたらされた特に, 前政権の規制緩和政策への反動と地方分権が大きな影響を及ぼしていると考えられるが, 英国内にも実効性が伴わないとの批判も強く, 今後の推移が注目される.
著者
新居 忠彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
no.11, pp.265-268, 1991
被引用文献数
1

大阪にある、仁徳陵、応神陵、履中陵、河内大塚古墳の全長300メートルを越す超巨大古墳について、この様な超巨大古墳を構築する為に必要な長年月と膨大な作業員。しかも超巨大古墳で4基、全長100メートルを越すものは数十基にも及び築造を可能ならしめた社会経済的構造を支えた技術。その中心的技術である土器製作技術、この技術の核心部分である土質工学的知識として可塑性の「のび」と「腰」。コンシステンシー限界の、液性限界、塑性限界、収縮限界などについて述べた。縄文時代の大阪としての「森ノ宮遺跡」及び弥生時代の大阪平野の稲作農業、土器製作に必要な窯の技術と金属製作。金属製作による農機具の鉄製化と、灌漑と稲作農業の発展が、超巨大古墳築造可能な経済の基礎作りになる事について述べた。
著者
田中 裕
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 = THE SHIRIN or the JOURNAL OF HISTORY (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.484-502, 1955-11-01

封建制度成立期の研究において、旧来兎もすれば、上部構造と下部構造とを夫々別箇に、切り離して取扱う嫌いがあつた。従ってレーエン制と農奴制とは、法制史研究と経済史研究という個々別々の研究分野に、跼蹐せしめられ勝ちであつた。然し乍らこれらは、互に切り離して扱うことを許さない、重要な一面をもつている。いわば両者は相互に、社会史を交渉の「場」としているのである。ここで「共同体」をその主要テーマとし、家父長的家共同体から秘密共同体、更に土地共同体への変貌過程を考察し、封建制度成立期の社会変革を示さうと試みたのである。「共同体」の段階的発展がこれであつて、この運動を媒介として、レーエン制と農奴制との結合が、美事に構築される。その担い手こそ土豪領主であり、彼等こそこの劃期における「村作り」の運動を、主体的に推進したのである。本稿の意図は、その過程の分析にある。
著者
渡植 彦太郎
出版者
富山大学経済学部経済研究会
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, 1959-03

これは純粋な思弁哲学上の問題ではない。史的唯物論において存在が意識を決定するといわれる場合の存在と意識との関係を社会理論の視点から考えて見たい。この場合存在とは意識の外部にあってこれと独立しているものを指すと共に物質の社会的生産と関連して考えられている。したがって、それは単に自然的存在に止るものでなく、寧ろ社会的な存在としなければならない。ところが観念論の立場からは、社会的存在自体が既に意識の媒介なしに考えられないとするのであるから、存在が意識を決定するといっても、一つの意識的なものが他の意識を決定するという工合に解せられざるを得ない。更に史的唯物論は経済的なものを同時に物質的と見倣すが、観念論の立場からは、経済的なもの自体が既に文化として当然意識と関連すると考える。したがって経済的なものが下部構造として上部構造としての意識形態を決定するという命題を到底受入れることが出来ないことになる。否、更に進んで、逆に意識形態が経済的なものに大きく作用を及ぼすことを認めざるを得ない。マルクス主義もイデオロギーが或る種の反作用を経済的なものに及ぼすことを否みはしないが、究極的に決定するものは経済的なものであることを譲歩しはしない。そこで観念論の立場で、イデオロギー其の他の上部構造によって決定されるとする経済的なものと、史的唯物論において、上部構造を決定するとする経済的なものとは、同じ名称の下に相異るものを指していうのではないかという疑問が当然生じて来る。このような疑問は筆者がマルクス主義をよく理解していないが故の幼稚な疑問であるかも知れないが、一方ストレチーの如き一応マルクス主義者であった人迄が、上部構造としての政治が経済を大きく支配することを、主張するのを見れば、筆者の疑問は必ずしも幼稚なものとして斥けられてよいとは思われない。そこで以下少しくこの筆者の幼稚な問題を掘り下げて見て、識者の教えを乞い度いと思う。
著者
河野 吉男
出版者
長崎高等商業學校 研究館
雑誌
商業と經濟 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.47-73, 1933-03-01
著者
福本 勝清
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.462, pp.103-150, 2011-01
著者
木村 友子 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.151-159, 1991-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

鶏肝臓をマリネに加工して食べやすくする目的で, マリネ調味液 (食酢・サラダ油に醤油を付加し, さらに清酒を25, 50, 75%添加したもの) に5℃の冷蔵庫で168時間漬け込んだ.その間の望ましい調製条件ならびに清酒がマリネに及ぼす影響について検討した, (1) マリネ調味液の食塩水を醤油に置換したマリネは官能評価において有意に好まれる判定であった.(2) マリネの清酒の浸透は清酒添加量増加に伴いほぼ比例してアルコール量が増加することを認めた.(3) おいしいマリネの調製条件は食酢12.5%, サラダ油12。5%, 醤油25%, 清酒50%の調味液に24時間漬けたマリネで硬さ, 舌ざわりが好まれ, 肝臓特有の臭気が緩和され, かすかな酸味 (pH5.3) があり, 清酒無添加マリネよりタンパク質の含有量が多く遊離アミノ酸の増加が著しく, アンモニア量も少なく味も良好で, 色も赤味度と彩度の値が高く, Aw値0.95, 細菌数104/gで保存性も優れていた.(4) マリネの清酒添加の影響は, とくに物性の硬さの値や色相の赤味度が漸増し, 食味にも関与し無視できない要因であった.
著者
Imran FAROOQ Abdul Samad KHAN Imran Alam MOHEET Emad ALSHWAIMI
出版者
The Japanese Society for Dental Materials and Devices
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.393-398, 2021-03-25 (Released:2021-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
7

The aim was to synthesize a toothpaste and analyze its effect on surface micro-hardness and roughness of enamel. Basic paste was prepared by using basic ingredients. Theobromine (0.2 wt%) and laboratory synthesized fluoridated-bioactive glass (F-BG, 4 wt%) were added to it. Post-demineralization, 36 enamel blocks were divided into six groups that were brushed with their respective toothpaste+artificial saliva (AS): group 1 (control): basic paste; group 2: basic paste+theobromine; group 3: commercial theobromine toothpaste; group 4: commercial BG toothpaste; group 5: basic paste+F-BG; and group 6: basic paste+theobromine+F-BG. On micro-hardness analysis, group 6 performed best, followed by group 4. Surface roughness results showed the maximum decrease in roughness values for group 6, followed by group 5. Treatment with toothpaste composition containing theobromine+F-BG resulted in the enamel’s increased micro-hardness and decreased surface roughness.
著者
山田 隼也 伊藤 雅流 福山 陽子 米田 實
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.48-54, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
8

超初期・初期の発育期腰椎分離症患者20例に対して,短期間の運動休止と段階的にスポーツの一部を行なわせるリハビリテーション・競技復帰プロトコールを前向き研究として施行した.結果,全20例のうち17例(85%)は約1.5ヵ月時点にてCT所見で分離部の亀裂進行は認められず,18例(90%)は約3ヵ月(2例:約4ヵ月)時点にて骨癒合傾向を認めた.全対象のうち12例(60%)が初診後約3ヵ月にて運動復帰も可能であった.特に超初期・初期例においては,約1.5ヵ月の時点で癒合傾向であれば短期間の運動休止のみで,早期の競技復帰と骨癒合を目指すことができる可能性がある.
著者
大嶺 俊充 瀧上 順誠 藤原 和喜 島田 永和
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.39-43, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
14

本研究の目的は,初期腰椎分離症骨癒合後に競技復帰した症例の,腰椎分離症の再発率,再発時期,再発症例の属性ならびに競技復帰前の身体機能から,再発予防のために着目すべき特徴を検討することである.方法は,治療開始後3ヵ月で骨癒合し,その後9ヵ月以上経過観察しえた21例を対象に再発率と再発時期,非再発群/再発群の属性を調査した.また競技復帰前の身体機能として,当院独自の評価方法を用いて,下肢柔軟性,腰椎骨盤帯安定性,運動制御機能を評価し,非再発群/再発群で比較検討した.再発率は9.5%であり,再発時期は競技復帰後4~6ヵ月であった.再発症例は,属性として女性,身体機能として腰椎骨盤帯安定性が不良であるという特徴が見受けられた.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.
著者
浅井 玲央 辰村 正紀 小川 健 万本 健生 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
19

腰椎分離症症例の男女における相違点を見出すことを目的とし,当院で腰椎分離症と診断された高校生以下の症例60例104ヵ所について解析した.性別の内訳は男性44例,女性16例で,罹患高位は男性でL5分離が多く(p=0.060),治療自己中断率は男性で高かった(p=0.095).保存療法が完遂できない男性症例を減らすための対策を検討する必要がある.平均受診年齢や骨年齢,SBO保有率,第5腰椎前弯角,初診時罹患部の末期例割合,骨癒合率,治療期間などは男女で相違がなかった.今後,調査項目を追加し前向き研究を行なうなどして,より詳細に男女の相違点やその原因を明らかにしていく必要がある.
著者
澤田 昂大 五十嵐 祐
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.177-189, 2020

<p>ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)において,私たちは様々な情報を発信し,周囲の人々とのコミュニケーションを行っている。その一方で,SNSで個人情報を含むセンシティブな内容を発信することは,プライバシーの懸念を高めうる。この問題に対処するため,多くのSNSでは利用者が情報の公開範囲に一定の制限を設けることのできるプライバシー設定機能が実装されている。本研究は,大学生のTwitterユーザーを対象として,ツイートの非公開設定機能の利用動機尺度を作成し,学年,性別および非公開設定機能の利用動機がプロフィール欄における個人情報の記載行動に与える影響について検討を行った。探索的因子分析の結果,「公開範囲のコントロール」,「不利益の回避」,「社会的影響」の3因子が抽出された。また,これらの下位尺度得点を含めた重回帰分析の結果,「公開範囲のコントロール」はプロフィール欄における名前の匿名化を促し,「社会的影響」は個人の特定を容易にしうる情報の記載を促進していることが示された。さらに,学年が上がるにつれてさまざまな情報の記載が抑制されていることや,女性がより積極的に情報の記載を行っていることも示された。</p>
著者
遊佐 昇
出版者
日本中国学会
雑誌
日本中国学会報 (ISSN:03873196)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p152-166, 1983