著者
大久保 敏子 丸山 貴美子 白木 康浩
出版者
信州大学医学部附属病院看護部
雑誌
信州大学医学部附属病院看護研究集録 = Annals of nursing research, Shinshu University Hospital (ISSN:13433059)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.60-67, 2018-03

医療材料の管理においては、病院経営の効率化に加えて感染防止と医療安全のリスク管理が重視されている。当院で使用している閉鎖式輸液ラインは、複数のメーカーの関連製品を組み合わせて使用しており、部署により異なっていた。そのため閉鎖式輸液ラインの関連製品の種類が多かった。そこで、関連製品を多く使用している部署の状況を調査し、部署の要望を取り入れながら、閉鎖式輸液ラインとその関連製品の標準化に取り組んだ。各部署で使用しているコネクターや延長チューブなどの関連製品を院内で標準化することにより、その品目数を減らし、すべてを在庫品として中央管理することが可能となった。これにより、輸液ラインの接続箇所が減り、専用のデバイスが必要なくなり看護業務の効率化につながった。今まで、部署ごとにおこなっていた取り扱い方法などの看護師への教育は、シンプルとなり病院全体でおこなうことができるようになった。また、閉鎖式輸液ライン関連製品の年間購入金額は、およそ167万円(関連製品の購入額合計の約15%に相当)を削減でき経済効果も得られた。
著者
青木 章通 佐々木 郁子
出版者
公益財団法人 メルコ学術振興財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.3-16, 2011

本研究は,日本の小売業者267社に対する質問票調査の回答結果に基づき,プロモーション手法であるポイント制度と値引き販売が顧客の年間購入額の増加および取引の長期化に及ぼす影響について分析した。本研究の目的は,回答結果の分析を通じて,プロモーション手法の費用対効果の測定やレベニュードライバーの解明に貢献する事項を導き出すことである。その結果,両プロモーション手法が顧客の年間購入額の増加および取引の長期化に貢献するための条件には違いがあること,両プロモーション手法の併用が顧客の年間購入金額の増加および取引の長期化に正の影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
武内 次夫 深沢 力 小田 昭午
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.86-92, 1961

バネ鋼(SUP6)製造の際その鋼塊に生ずる砂カミ(鋼塊表面および表面近くに生ずる非金属成分)の組成を明らかにするため,化学分析,X線回折,螢光X線分析など行ない,かつバネ鋼砂カミの生成原因について検討した。<BR>バネ鋼砂カミ成分は石英が極めて多く, その他クリストバライト, ムライトなどからなり造塊用耐火物の組成に似ていた。従来は鋼塊製造の際石英の生成は起りえないとし,このような場合砂カミは耐火物から来たものと判断されていた。しかしながら著者らの研究の結果,砂カミ成分中には耐火物に含まれていないマンガン,ストロンチウムなども含まれており,また石英:クリストバライトの比を考えると耐火物にくらべ極めて石英態ケイ酸分が多く,平均80:20で,最も多い場には92:8にも達した。一方,同じ方法により製造した炭素鋼に生じる砂カミは脱酸剤から生成したことが分析の結果明らかになった。<BR>以上の結果従来砂カミは鋼塊製造時耐火物その他から来たものと考えられていた見解に対し,砂カミ成分は大部分脱酸剤(フェロシリコンとシリコマンガンを用いた)の酸化生成物に由来するものと判断する。もしこの見解が正しいとすると脱酸過程において脱酸剤として用いたフェロシリコン,シリコマンガンなどから石英が生成するという新しい実験結果がえられる。
著者
鍛治谷 静 Shizuka Kajiya 四條畷学園短期大学保育学科 Shijonawate Gakuen Junior College
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.48, pp.25-29, 2015

保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診の子どもは「グレーゾーン」と呼ばれる。医療と連携が進み、診断を得ることで子どもの個別ニーズが関係者に広く知られるようになったが、同時に「診断を得ていないこと」がことさら問題視されるようになった面もある。2013年のDSM-5の改訂のうち発達障害に関わる部分を取り上げ、これらグレーゾーンと呼ばれる子ども達の支援と関連づけて考察した。支援に必要なのは「個別性を見る目」と「そこからニーズを読み取ること」であり、これは保育者や教育者の専門性である。診断は子どもを理解するためのひとつの情報に過ぎない。保育者や教育者が「分からないこと(診断;医療)」があったとしても、「分かっていること(自らの専門性)」を生かすことで支援は十分可能である。
著者
高石 浩一
出版者
京都文教大学
雑誌
臨床心理学部研究報告 = Reports from the Faculty of Clinical Psychology Kyoto Bunkyo University (ISSN:18843751)
巻号頁・発行日
no.12, pp.109-124, 2020-03-31

This article focuses on the criticism against the Freud's patriarchal psychoanalysis from the feminist psychoanalysts, such as Deutsch, Horney, Mitchell, Gallop, Chodrow, Irigaray, Kristeva and so on. Referring to Hirsh's literature study from the feminist standpoint, the hypothesis of female consciousness development is proposed.
著者
遠藤 辰雄 谷口 恭
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

電気ゾンデとして降水粒子の電荷と雲内の大気電位傾度の二要素を交互に時分割で測定して送信するものを製作した。これをレーダにて予め到来時を予測した降雪雲に合わせて飛揚し、それを自動追尾するラジオゾンデ受信機の空中線制御の方位角に合わせてレーダの縦断面の走査をしながら追跡した。得られた観測結果の7例中6例について、降雪雲の下部半分や雲底近くは正の電位傾度であるのに対して、上半分や雲頂近くでは、逆に負の電位傾度であることが共通していた。このことは降雪雲の電気的性質の一つとして特筆すべきことである。例外のケースはレーダエコーから判断して、一連の攪乱の末期のものであったと判断された。電気ゾンデとレーダの同時観測については、最も条件の良い例から順に詳しく解析してみた。そのレーダのRHI図の縦断面図によるとエコーが尾流雲の形で風のシャーによって進行方向に対して約2/3の勾配で前傾しているのがわかった。これは海上から上陸すると、さらに前傾が進んでいくが、電気ゾンデは幸いに、その尾流の中をつらぬく様に飛航した。その中で雲の下部は正電場で、そこの降水粒子の電荷の負が卓越していた。また雲の上半分の電場は負で、そこの電荷は正で逆相関である。電場の符号の変り目には空間電荷密度が算出されるので、雲層全体の中層付近は正の空間電荷が存在していることになる。また雲頂近くには負の空間電荷が同様に計算される。冬の雷は通常の落雷と異って正の電荷が落ちることで注目されている。この研究によって得られた電気的構造によると、その正電荷は雲の中層の空間電荷か、またわ雲の上半分に存在する降水粒子の正電荷のいずれかであるが、それらに対する反対符号の電荷と単に重力分離しているだけでなく風のシヤーによって水平にひきはなされていて、これが大地に対し露出するために正極性落雷になると考えられる。
著者
佐藤 新
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.495, pp.98-105, 2005-12-12
被引用文献数
1

カード会社によると、携帯電話会社のWebサイトで、プリペイド携帯電話を延長して使えるようにするリチャージ(利用料の追加支払い)5000円分が、Aさんのカード番号を使って決済されたという。Aさんにとっては寝耳に水の話だ。カード会社側では「通常のご利用と異なる決済が行われたようなので」との説明だった。確かにその通り。
著者
福田 恒康 遠西 昭寿
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.45-52, 2016
被引用文献数
3

<p>概念転換は, 新しい理論を受容し古い理論を放棄することであるが, 古い理論の放棄は忘却ではなく, 保持する理論に対するコミットメントの順位の入れ替わりである(ストライク・ポスナー, 1994)。理解は, 理論に対するコミットメントの形成であり(ヘッド・サットン, 1994), 概念や理論に対して自信や信念を持つことである。概念転換は, 理論の切り換えと新しい理論に対するコミットメントの強化からなる(遠西・久保田, 2004)。本研究では授業をとおして概念転換の詳細な過程を, 運勢ライン法(White and Gunstone, 1992; ホワイト・ガンストン, 1995)を用いて調査した。授業では, 高等学校物理における「力のモーメント」の課題が実施された。その結果, 学習者によって概念転換が極めて多様な認知的過程を経て生じるにもかかわらず, 既有の理論に対するコミットメントの弱化, 理論切り換えによる新しい理論の受容, 新しい理論へのコミットメントの強化という共通のパターンが存在することが明らかになった。さらにこの過程は「既有の理論に対するコミットメントの弱化とそれに続く理論切り換えによる新しい理論の受容」と「新しい理論へのコミットメントの強化」という独立した2段階の構造を持つことが明らかになった。理論切り換えは, 理論の競合とコミットメントの弱化を前提とするので, 生徒どうし・生徒と教師による社会的相互過程において生じる。これに対して実験は, 理論からの予測と結果との一致・不一致によってコミットメントを変化させる。実験は, 理論を創造したり理論を変えることはないが, コミットメントを変える。これらは, 遠西・久保田(2004)が中学校において行った概念(理論)転換の実践的研究の正当性を強く支持するものであった。 </p>
著者
大津 晃
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.1291, 1991 (Released:2014-08-11)

チメロサール皮膚炎の13例を検討し,その抗原決定基による分類は,チオサリチル酸(S群)8名,チメロサール(T群)3名,水銀系(H群)1名,チオサリチル酸と水銀(HS群)1名であった.チオサリチル酸感作高度例にピロキシカムの光貼布試験以外に貼布試験も陽性となるものが存在した.254名の外来患者についてチメロサール感作基による分類を試み,同時にピロキシカム光貼布試験を検討したところ,70名のチメロサール貼布試験陽性者を認め,その構成は,S群17名,HS群4名,H群37名,T群12名であった.ピロキシカム光貼布試験陽性者はチオサリチル酸陽性群(S+HS群)21名中13名に認められた.ピロキシカム光線過敏症はチメロサール皮膚炎の42.8%に発生する可能性があることを示した.またチメロサールの陽性率および貼布試験の施行方法の問題点について述べた.
著者
山下 幹也 三浦 誠一 羽角 華奈子 深尾 良夫 勝又 勝郎 小平 秀一
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.111-118, 2013-04-01
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,マルチチャンネル反射法地震(MCS)探査は海底下のみならず海洋微細構造イメージングに適用できることが知られ,&ldquo;Seismic Oceanography&rdquo; という新しい分野として国内外で研究が進められている。しかしながら用いられるデータの多くが地下構造調査を目的としたデータの二次利用であり,必ずしも海洋微細構造を対象としたものではない。そのため様々な調査仕様のデータが存在するため,統一した評価をするのが困難である。そこで本研究では同じ測線に沿った複数のMCS 探査を行ったデータに対してイメージングを行い,調査仕様が海洋微細構造イメージングにどのような影響があるかを評価することを目的とする。仕様によって構造に与える影響を考慮して断面を評価することが可能になることにより,これまでに地下構造探査で得られた膨大なレガシーデータを有効利用することが可能になる。<br> 本研究ではこれまでに取得した既存MCS探査測線の中から海洋中の反射面が卓越している伊豆小笠原海域に着目し,共通する測線のデータで比較を行った。用いたのは同一海域において3つの調査仕様によって得られたデータ,および同一測線・同一MCS 仕様でエアガン・ストリーマー深度が異なる場合のデータである。しかしながら本研究で用いたデータは調査時期が離れているため海洋構造自体の評価は困難であるため,イメージングによって得られる反射断面の特徴にのみ着目して比較を行った。それぞれのデータを用いてイメージング比較を行うことにより,海洋微細構造イメージングに対してMCS探査仕様の違いによる影響が明らかになった。<br>
著者
大黒 俊二
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2004

18920