著者
小野 守章 海津 享 真保 幸雄 樺澤 真事 佐藤 章仁 戸塚 和弘 中村 真一郎 玉田 健二
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.660-665, 1996-11-05 (Released:2009-12-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

New laser carburizing quench process using hydrocarbon gas as the assist gas was proposed to strengthen ultra low carbon steel sheet.In this paper, the effect of CH4 concentration and various laser radiation parameters on hardness and area of fusion zone was investigated. Tensile strength of laser treated specimen were measured. The results of the present work were summarized as follows, (1) By using CH4, fusion zone with vickers hardness of more than 400 was obtained.(2) Hardness and area of fusion zone were well controlled by CH4 concentration, laser power, focal position, beam scanning rate and so on.(3) Tensile strength of laser treated specimen was about 20% higher than that of base metal.(4) CO2 laser carburizing apparatus consisting of the nozzle head and the exhaust of CH4 was newly developed, which enabled to strengthen ultra low carbon steel without breaking focal lens and the combustion of CH4.
著者
寺島 健彦 山田 貴史 奥山 聡 横越 英彦
出版者
静岡県茶業試験場
雑誌
静岡県茶業試験場研究報告 (ISSN:03889114)
巻号頁・発行日
no.25, pp.61-67, 2006-03

茶の成分の一つであるテアニンの生理作用、特に脳機能が関係する生体反応(自律神経活動)や脳機能へ与える作用について、ラットを用いて研究を行った。(1)テアニンの投与は自律神経活動のマーカーである副腎からのアドレナリン分泌に影響を及ぼし、その作用様式は投与濃度により異なることが明らかとなった。(2)テアニンを摂取していることで、両側頸静脈閉塞によって引き起こされる学習能力の低下が抑えられた。(3)テアニンの長期摂取は、脳卒中の発症を遅らせ、その際に起こる組織障害を抑制することが明らかとなった。
著者
田中 信孝 登 政和 針原 康 進藤 俊哉 青柳 信嘉 今中 和人 出口 順夫 上野 貴史
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.319-325, 1991-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

昭和53年より平成元年までの12年間に手術施行した938例の良性胆道疾患中, 4.8%にあたる45例の壁肥厚著明な長径5cm未満の萎縮胆嚢症例45例の外科治療につき検討した.胆石の合併を44例に認めたが萎縮胆嚢の特殊背景病変として内胆汁瘻,合流部結石,内視鏡的乳頭切開術後などがあげられた. CTでは86%で描出可能であったが, USでは診断は必ずしも容易でなく, 61%は高エコー,音響陰影像で推定された.外科治療として基本的に胆摘ないし胆摘+T-ドレナージが施行されたが,標準的胆摘は5例のみに行われ,胆摘困難例では胆嚢部分切除後粘膜破壊を加えた.主たる合併症である胆管損傷を1例に認めた.胆嚢癌の合併は2例4.4%であった.萎縮胆嚢の手術は安全性を優先しつつ可及的に胆嚢切除を意図すべきで,その際癌併存の有無の術前診断が困難であるため術中迅速病理診断は不可欠と考えられた.
著者
石井山 竜平 上田 孝典 李 正連 西川 一弘 小山 竜司 山口 香苗 上野 景三 松本 大
出版者
東北大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本研究の目的は、本領域における心理学・社会学・文化人類学からなる一連の計画研究から得られた知見を、各自治体の社会教育・生涯学習の担当職員や教職員むけの講習・研修プログラム、およびこれからの生涯学習計画にパイロット的に実装化することにある。並行して、①隣国(東アジア)と日本における生涯教育政策・実践を比較検証しつつ、②地域主導の生涯発達支援の新展開や、学校教育を包含した統合的な地域人材育成計画の新展開に加担していくことで、政策と実践の双方への実装をめざす。
著者
柳澤 唯 安永 明智 青栁 宏 野口 京子
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
no.22, pp.27-34, 2014-01-31

本研究では,青年期から高齢期までの女性を対象に,インターネットによる質問紙調査法を用いて,女性の化粧行動の目的(気持ちの切り替え,リラクセーション,身だしなみ,同性への意識・同調,異性への意識・魅力向上)と公的及び私的自意識の関連について検討することを目的とした。また,化粧行動の目的や自意識と個人の基本的属性(年齢,職業の有無,婚姻状況,1 ヶ月間に自由に使える金額)の関連についても検討を行った。本研究の結果から,以下のことが明らかとなった。①年齢が若いほど,同性や他者を意識して化粧を行う傾向が強く,逆に年齢が上がるにつれリラクセーションを目的に化粧をする傾向にある,②未婚女性は,異性への意識や魅力向上を目的として化粧を行う傾向が強い,③化粧をする目的には,公的自意識が関連する。特に,身だしなみ,同性への意識・同調,異性への意識・魅力向上などの他者から見られる自分を意識することに関連する目的に対して公的自意識は強い関連を示す,④私的自意識は,気持ちの切り替えなど自分の内面に関連する目的と強く関連する。本研究の結果は,化粧を行う目的は,年齢,婚姻状況などの基本的属性や自意識から影響を受けることが示唆された。
著者
廿日出 里美 Satomi Hatsukade
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.49, pp.125-136, 2021-02-28

本研究の目的は、来るべきAI化時代に備えてAIとは異なる生身の人間の「感覚力」に着目し、人とかかわる職に就く人々に向けた研修プログラムを開発することにある。大量の情報を瞬時に処理することに長けたAIは将来、職場でどのように活用され、人々の関係性にどのような変化をもたらすか、現時点での将来像を予測しておく必要がある。昼寝などの睡眠時の乳幼児の安全・見守りや送り迎え時の保護者対応、絵本の読みかたり等の業務にAIが登用された場合、そこで働く専門職の意味合いや養成、ならびに、研修内容にも大きな影響を及ぼすと考えられる。経済中心の原理や従来の仮説検証型の自然科学的方法とは異なる未来像を描く方途として、本論では人称の身体感覚を手がかりに、パフォーミング・アーツのワークショップにおける長期的フィールドワークを通して、対人関係専門職に就く人々を想定した感覚力の拡張を目指すプログラムの検討を試みる。
著者
藤田 郁代
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.968, 2003-10-10

著者のバーバラ・ウィルソンは英国の高名な神経心理学者であり,本邦でも「The Rivermead行動記憶検査」および「BIT行動性無視検査」を通じてなじみの深い方も多いであろう. 神経心理学は医学,認知科学,心理学,言語病理学,作業療法学等からの学際的研究が重要な位置を占める学問領域である.著者の学問的背景は心理学にあり,詳細な症状記述と行動変化の過程の分析にその特徴を見てとることができる.特に,各種の神経心理学的症状にリハビリテーションを行い,その効果を人生の質(QOL)の面から長期に渡り追跡し,記述した書としては他に類を見ないといってよいであろう. 本書では著者が約20年の間に出会い,リハビリテーションを行った600人以上の脳損傷患者の中から特に多くのことを教えてくれた20人が取り上げられている.症状としては記憶障害,失語,失読,失認,視空間無視等を呈した者である.これらの者は治療期間だけでなく治療後も長期的にフォローアップされ,また本書を著すにあたってインタビューも試みられており,その障害が彼らの生活にどのように作用し,著者の治療的介入がその後の人生にどのような変化をもたらしたかが詳しく記述されている.
著者
安岡 早穂
出版者
大阪歴史博物館
雑誌
大阪歴史博物館研究紀要 (ISSN:13478443)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-74, 2018 (Released:2021-04-01)

瀬戸内海沿岸地域では、漁撈活動の証拠として多彩な土錘が出土するが、これらがそれぞれどのような環境でどのように使用されたかについては未だ議論の余地がある。本稿では、古代以前に見られる土錘の各型式のうち、瀬戸内海沿岸地域を中心として分布する棒状土錘・有溝土錘の一部を抽出し、遺跡ごとの重量・大きさについて比較した。同一型式でありながらそれぞれ遺跡ごとに微妙な差異をもっている点は、使用される環境の影響を受けていると考えられる。また、管状土錘と共存する場合は各型式で重量分布が異なっており、複数の網を使い分けていることがわかる。 今後遺跡ごとの組成を比較することで、漁撈活動の規模や変遷などの様相について類推可能となる点を指摘する。
著者
佐藤 隆
出版者
大阪歴史博物館
雑誌
大阪歴史博物館研究紀要 (ISSN:13478443)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-18, 2018 (Released:2021-04-01)

延暦3年(784)に長岡京への遷都が行なわれた後、難波地域は大川沿岸と四天王寺周辺の2地区に大きく活動拠点が分かれて、中世に向けたまちの形成が始まる。そうした動きに対して、遷都によって失われた要素としては、細工谷遺跡における遺構・遺物の急激な減少から明らかとなった「百済尼寺」の廃絶をその代表例に挙げることができる。本論では同遺跡や田辺廃寺といった「百済郡」の範囲内と推定される遺跡の土器や瓦について、百済王氏のもうひとつの本拠地である河内国交野地域の百済寺跡の瓦と比較検討を行ない、新たな事実を指摘した。交野地域において百済寺の経営基盤となった禁野本町遺跡は、8世紀前半から東西、南北に道路を配した街区の形成が見られ、難波地域とともに百済王氏の拠点として整備されたことを、土器の年代観を再検討することであらためて明確にした。長岡京遷都前後に見られる百済王氏のふたつの本拠地における動向は、遷都という歴史的大事業がどのような背景で行なわれたかを知る重要な手がかりとなる。
著者
中田 登 星野 仁彦
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

クラリスロマイシン耐性肺MAC症に有効な薬剤の開発のため、肺MAC症患者由来クラリスロマイシン高度耐性のMAC株を用いて37種のアベルメクチン誘導体の効果を測定した結果、MAC41株全てに対して抗菌活性を示す誘導体5種を見出した。これら5種は、既存のマクロライドのターゲット部位である50SリボソームのDomeinⅤ2057-2059 部位ではなく、未知の分子を標的部位としていることが示唆された。これら5種の誘導体は細胞内のMACに対しても抗菌効果を発揮し、抗菌活性は既存のイベルメクチンよりも高いことが明らかとなった。
著者
松並 知子 西尾 亜希子 Tomoko MATSUNAMI Akiko NISHIO
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.32, pp.25-52, 2018-03-20

貧困化リスク要因が多い女性にとって大学在学中のキャリアプラン選択は重要なため、本研究は女子大学生の将来のキャリアプラン選択の傾向やその要因について検討することを目的とした。研究1では、女子大学生500名を対象にキャリアプラン選択と稼得意識、進路選択に対する自己効力、自尊感情との関連を検討した結果、半数以上がキャリアを中断・退職する予定であり、就業継続には稼得意識のみが関連することが示唆された。研究2では稼得意識の項目数を増やし、309名を対象に稼得意識と職業観との関連および就業継続の要因について検討した。その結果、稼得意識の下位項目である「結婚生活における経済的自立度」と職業観の下位尺度である「人間関係」「やりがい」「男女平等の環境」との間に弱い相関が、稼得意識のもう1つの下位項目である「結婚相手への非依存度」と職業観の「経済的安定」と「プライベート重視」の間に中程度の負の相関が見られた。また、就業継続の促進要因として結婚生活における経済的自立志向と男女平等な環境でのやりがいのある仕事を期待する職業観が、阻害要因としてプライベート優先と仕事を通じた良好な人間関係を期待する職業観があることが示唆された。経済的な自立志向ややりがいを求める職業観が稼得意識に関連する一方、プライベートを優先しすぎたり、職場での人間関係などを重視しすぎることが、稼得意識の喪失につながる可能性もある。したがって、稼得意識を高めるような新たなキャリア教育を開発する必要性が示された。
著者
花輪 剛久
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.575_2, 2015 (Released:2018-08-26)

ひと昔前,CMにも出てきたこの言葉の意味について検索してみた.英語では“honest injun”と表現し,Marc Twainの“Adventures of Tom Sawyer”で使われているが,起源は更に古いと考えられていることが分かった(www.alc.co.jp;アルクより).また,その背景としては「ネイティヴアメリカンにとって言葉は神聖なもの,絶対的なものであり,言葉をもって他人と約束をするということは神と約束を交わすのと同等で,それを破ることは神を欺くことになる.」という概念にあるとされているのが一般的な解釈である.私は学生時代,大切な恩師からこの言葉を幾度となく聞いた.それはゼミ中だったり,酒宴の席だったり様々であったが,現在でも事あるごとに思い出される貴重な言葉となっている.
著者
今西 錦司
出版者
中央公論新社
雑誌
中央公論 (ISSN:05296838)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.80-89, 1961-10
著者
遠藤 駿 横川 慎二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J104-D, no.4, pp.318-327, 2021-04-01

IoT技術の進展により,環境に関する多次元の時系列データを収集し,利活用する機会が増えている.ところが,多次元データの構造を可視化して把握することは容易ではない.従来法では,分析結果の図や表の数が増えてしまうことや,元データとの対応を考えることが困難になるという課題がある.このような多次元データの構造を可視化して比較的容易に把握することができれば,その結果を利用して様々なアクチュエータの制御に活用することや,深層学習の効率的な学習への応用が期待される.本論文では,大学附属図書館の施設内に設置された大量のセンサーから取得される多次元データに対して位相的データ解析(Topological Data Analysis; TDA)を適用し,対象エリアと近隣エリアのデータの関連性を可視化し,CO2濃度の上昇に寄与する要因を抽出した.本研究で提案する,TDAを用いたデータ構造の可視化によって元データとの対応を簡潔に表現する方法は,多次元時系列データの視覚的利用や応用に有用な結果を与えることがわかった.
著者
橘 ゆり 入江 亘 菅原 明子 名古屋 祐子 林原 健治 塩飽 仁
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.9-16, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
15

医療的ケアが必要な重症心身障害児を亡くした親が、子どもと在宅生活をともに過ごしてきた時から子どもが亡くなった後の日常生活をどのようにとらえて過ごしてきたのか、家族一人ひとりの語りから体験を明らかにし、支援のあり方を検討することを目的とした。東日本の小児専門病院をかかりつけとし1年以上在宅で医療的ケアを受けながら過ごした重症心身障害児を20歳未満で亡くした親を対象に半構造化面接を行った。子どもとの死別時の状況、死別後から現在までの生活、子どもと在宅で過ごした時の生活やそれに伴う心境などを中心にインタビューを行い、Giorgiの現象学的アプローチを参考に分析を行った。親は複雑性悲嘆に陥りやすい要因がありながら子どもを亡くした悲しみと能動的に向き合い子どもとの新たな絆を結び直す体験をしていた。そこには、在宅生活で培われた親の高いレジリエンスが存在し、在宅生活からつながりが続いていたことが考えられた。
著者
Masato Yamashita Minoru Nakazawa Yukinobu Nishikawa Noriyuki Abe
出版者
Information Processing Society of Japan
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.239-246, 2020 (Released:2020-03-15)
参考文献数
19

Recently, the technology of BMI that communicates with humans and operates a robot using human brain information has been actively studied. The authentification function using BMI has been studied by previous research. Although many studies focus on feature extraction and learning model creation, there are few studies that discuss the effectiveness of preprocessing. In this study, we implemented an EEG biometric function using image stimulation method. In this paper, we proposed biometric authentication system system using EEG at time of image stimulus. At the same time, we evaluated the change in authentication accuracy in order to verify the preprocessing (digital filter, artifact countermeasure, epoch) method in the authentication system. As a result, authentication accuracy is improved by performing the proposed preprocessing. In addition, it was shown that convenience and security were improved when using the system.