著者
三井 梨紗子 北村 勝朗 水落 文夫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.141_3, 2019

<p> 多くのスポーツ競技で女性エリート選手の競技力は向上しているが、スポーツ競技現場の指導者およびスポーツ組織の意思決定機関において活躍する女性は依然として少ない(山口, 2013)。この課題の背景には、優秀な女性指導者の指導にみられる有利性の存在や、その特徴に対する不十分な認識があると考えられる。とりわけ、スポーツ集団の指導で優秀な競技成績を達成する例が注目されていることから、現状では優れた女性指導者による女性スポーツ集団および選手への指導を理解することが期待される。本研究は、スポーツ採点競技における女性スポーツ集団に対する優れた女性指導者の指導観および指導方略について、定性的な研究法を用いて可視化することを目的とする。この目的を達成するために、女性スポーツ集団および選手に対する女性指導者という関係で、長期にわたり世界トップレベルの競技成績を維持するアーティスティックスイミング競技(採点競技)に着目し、その指導者を調査対象として選定した。インタビューデータから37の標題が得られ、3つのカテゴリーと8つのサブカテゴリーに分類された。その結果、対象女性指導者の指導観および指導の視点が明らかになった。</p>
著者
Stephanie DANIELS
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.505-509, 2004-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
27

ヒトにおいて、大脳皮質の嚥下機能にかかわる部位を同定する試みは、主として傷害実験の手法、すなわち卒中患者の責任病巣がどの部位にあるかをCTやMRIを使用して調べる方法に基づいて行われてきた。嚥下研究の領域にこれらのニューロイメージング技術が登場し応用されるまでは、嚥下障害の責任病巣は脳幹かまたは両側の大脳半球にあるという考えが一般的であった。しかし、ニューロイメージング技術の利用を通して、一側大脳半球の特定の皮質領域が嚥下動作に寄与しているという概念が確立されてきた。また機能のイメージング方法を用いることにより、健康成人における嚥下運動の局在の研究が進み、テント上の領域が重要であることが確認されている。多様な画像技術を駆使して、嚥下運動にかかわる特定の部位が同定され、それには島回も含められる。島回、特にその前方部は嚥下運動を伝達する多数の皮質および皮質下領域と密接に双方向性に結びついている。島回の前方部の障害によって嚥下障害が引き起されるが、その機序としてanterior efferent cortical pathwaysおよびまたはvisceral sensorimotor pathwaysが妨げられるたあとの仮説がある。動物実験、卒中患者が示す病変部位の研究および健康成人における機能イメージング研究は嚥下機能の皮質局在説を支持している。大脳皮質による嚥下機能の情報の伝達と調整は、ヒトが安全にかつ機能的に嚥下を遂行するために求あられる十分な生理学的および生化学的特性を維持していくのに非常に重要である。
著者
森嶋 直人 中川 光仁 杢野 謙次
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.B0865, 2005

【はじめに】球脊髄性筋萎縮症(spinal and bulbar muscular atrophy ; SBMA)は、伴性劣性遺伝形式をとり、通常30~50歳頃に男性にのみに発病し、緩徐に進行する遺伝性の下位運動ニューロン疾患である。性腺機能異常、顔面筋・舌筋・四肢近位筋優位の萎縮と筋力低下、筋攣縮を特徴とする。今回、我々は遺伝子診断によってSBMAと診断された2症例を経験した。長期にわたり筋力測定を行い、筋力低下の特徴と自覚症状の訴えが多い季節変動について考察したので報告する。<BR>【症例】症例1、43歳・男性。 29歳頃より下肢の脱力に気づき徐々に進行、34歳時当院神経内科受診、四肢特に下肢近位優位の脱力・顔面筋の脱力・舌の線維束攣縮を指摘されSBMAと診断。35歳時より理学療法開始、以後外来通院中である。<BR> 症例2、53歳・男性。43歳頃より右上肢の筋力低下が出現、44歳時当院神経内科受診、四肢近位筋の脱力・顔面筋の脱力を指摘されSBMAと診断。同年より理学療法開始。本症例は筋無力症候群を合併し、発症から5年経過した48歳時には、急性呼吸不全により入院。気管切開・人工呼吸器管理となったが、徐々に回復。約3か月の入院管理で人工呼吸器離脱、嚥下困難も回復し、以後外来通院中である。<BR>【評価方法】症例1は平成8年6月から平成16年11月までの約8年間、症例2は平成7年11月から平成16年11月までの約9年間、運動療法を指導し、1から2か月に1度の外来受診時に筋力測定を行った。筋力測定には、HOGGAN社製microFETを用い、運動方向を両側肩外転・肘屈曲・肘伸展・股屈曲・膝伸展・足背屈として筋力測定を行い、同時に握力測定も行った。測定方法はBohannonらの方法に準じ、等尺性筋力を測定した。<BR> 解析方法として、各筋力の経年変化をみるために、各筋別の年平均値を算出し理学療法開始年と比較した(年別減少率)。季節変動として各評価の年平均値からの変動を算出した。<BR>【結果と考察】年別減少率は、症例1で5年後まで大きく、特に左右肘屈曲・肘伸展、右股屈曲、右足背屈では5年間で50%以下に減少した。対して握力は右71%、左79%であり、8年経過しても右78%、左79%と減少率は低かった。症例2では急性呼吸不全で入院した年度を経て、特に左右肘屈曲・伸展、右股屈曲、左右足背屈では5年間で50%以下に減少した。握力は右65%、左58%であり、9年経過して右59%、左50%と症例1に比べ減少率は高かった。2症例とも季節変動の訴えが多かったが、変動はするものの、特に同時期に有意な変化を認めなかった。<BR> 今回の結果よりSBMAの筋力低下の特徴として、経年変化の早い段階で筋力低下を起す筋が明らかになり、遠位筋である前脛骨筋にも及ぶ可能性があることが示唆された。今後、運動指導には近位筋以外のトレーニングにも注意の必要性があると考えられた。
著者
清水 芳忠 若倉 正英 新井 充
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.77, 2007 (Released:2007-11-23)

貯蔵を目的とするか否かにかかわらず,堆積された廃棄物は内部に熱を蓄積する可能性があり,悪条件が重なった場合には大規模な火災事故に発展することも少なくない。これは,野積みされた余剰の廃棄物だけではなく,廃棄物を燃料として再利用する目的で製造されている,ごみ固形燃料(RDF)や木質系バイオマス燃料の貯蔵時においても事故例が報告されている。これらの堆積廃棄物火災の抑制や廃棄物の蓄熱発火危険性評価手法の構築を目指し,さまざまな廃棄物について初期発熱の起こる条件や発熱が蓄積する過程,酸化反応の開始温度や促進される条件など,各種熱分析や化学発光測定を利用して検討を行った。
著者
渡部 和
出版者
〔信号処理学会〕
雑誌
信号処理 (ISSN:13426230)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.363-380, 2005-09
被引用文献数
5
著者
渡部 和
出版者
〔信号処理学会〕
雑誌
信号処理 (ISSN:13426230)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.285-294, 2005-07
著者
木村 知世 鈴木 春佳 今井 悠瑚 海老名 理紗子 玉利 舞花 中澤 聡美 横森 千佳 田中 あゆみ
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.175-184, 2020-03-31

服飾造形学科では産学官連携の一環として、2019年7 月15日に和洋九段女子中学校高等学校講堂で開催されたコンサート「瞳みのるOne Dayひとりタイガース」の衣装製作を行った。この取り組みは、1967年に発売されたザ・タイガース3枚目のシングル「モナリザの微笑」の衣装を完全に再現し、現在に蘇らせるというものである。当時実際に着用された衣装は現存不明なため、写真などの資料から素材やパターンを推測し製作を行った。これらの活動を通して、専門分野の知識や技術の活用と連携、スケジュール管理や人材育成の経験を積むことができ、大きな教育効果を期待できることが確認できた。 本稿ではザ・タイガースのメンバー瞳みのる氏を中心としたOne Day special bandメンバーのフィッティングの様子を含め、素材の検討、パターン作成、トワル組み、本縫い、ベルトの製作、仕上げ完成までの様子を報告する。
著者
今野 穂
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.166-171, 2006-04

札幌医科大学総合情報センターは2006年4月,附属図書館と附属情報センターの統廃合により新設された組織である。当センターは北海道立の機関の使命として学内所属員はもとより,北海道内に在住する地域医療従事者の学術コミュニケーション活動を支援することを目的としている。目的達成のために当センターが取り組む事業は,医学医療情報発信のための学内ネットワークなどのインフラ整備や学術コンテンツシステムの整備をはじめさまざまなものがあるが,学術コミュニケーションの推進の点において特に旧附属図書館が実施してきた文献情報提供支援を重要な事業として位置付けている。本稿では当センターが実施する文献情報提供による地域医療従事者サービスについて学術ポータルシステムPIRKAの概要を交え,報告するとともに,今後の文献情報提供支援の推進において当センターが取り組むべき課題について述べることとする。
著者
田邊 稔 山田 雅子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.257-264, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
1

外国雑誌における電子化の動きは年々加速しており, 大学図書館では煩雑な管理を強いられている。慶應義塾大学においても, ここ数年で電子ジャーナルを取り巻く環境が急激に変わってきている。また, 利用者から見ても, 利用形態が多岐に渡っていることや, オフキャンパスからのアクセス制限など不便を感じている。このような変化を受け, 慶應義塾大学において, 電子ジャーナル管理の現場担当がどのように取り組んでいるか, 今後どのようなシステムモデルを描いているかを示した上で, さらにアクセス管理の現状と展望について言及する。
著者
新妻 靖章 高橋 晃周 黒木 麻希 綿貫 豊
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.145-150,165, 1999-10-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
21
被引用文献数
14 14

野外調査において対象としている鳥種の性を判別することは重要である.しかし,ウミスズメ類は明らかな性的二型を外部形態に,またどちらかの性のみによる繁殖ディスプレイを示さないため,外見から性を判別することは難しい.北海道北西部,日本海に浮かぶ天売島に繁殖するウトウ,73羽(雄34羽雌39羽)の外部形態を計測した後,内部生殖器によって性を判別した.嘴高,頭長とフショ長において,雄の方が有意に大きいという性的二型が認められたため,増加ステップワイズによる判別分析を試みた.その結果,以下の式が得られた.D=114.22-3.25BD-0.64HL(F2.70=71.96,p<0.001,BD:嘴高,HL:頭長)判別式が,D<0のとき雄,D>0のとき雌とウトウは性別され,雄,雌の判別率はそれぞれ91.2%と100%であった.しかし,外部形態は同一種であっても繁殖地間で異なることが知られているので,天売島以外で繁殖する個体にこの判別式を適用するには注意する必要がある.外部形態から性を判別することの利点は,野外調査において,その場で性を判別し実験操作を可能とするところである.
著者
Kouji Shibata
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Electronics (ISSN:09168524)
巻号頁・発行日
pp.2020ECP5025, (Released:2020-08-14)
被引用文献数
4

A method for the calibration of S11 at the front surface of a material for a coaxial-feed type cut-off circular waveguide with three reference materials inserted and no short termination condition was proposed as a preliminary step for dielectric measurement in liquids. The equations for jig calibration of S11 with these reference materials were first defined, and the electrostatic capacitance for the analytical model unique to the jig was quantified by substituting the reflection constant (calculated at frequencies of 0.50, 1.5 and 3.0 GHz using the mode-matching (MM) technique) into the equivalent circuit, assuming the sample liquid in the jig. The accuracy of S11 measured using the proposed method was then verified. S11 for the front surface of the sample material was also measured with various liquids in the jig after calibration, and the dielectric constants of the liquids were estimated as an inverse problem based on comparison of S11 calculated from an analytical model using EM analysis via the MM technique with the measured S11 values described above. The effectiveness of the proposed S11 calibration method was verified by comparison with dielectric constants estimated after S11 SOM (short, open and reference material) calibration and similar, with results showing favorable agreement with each method.
著者
須藤 義人
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-64, 2006-10

現在、子どもをめぐる諸問題が多発してきている。本研究の目的は、その問題解決の手掛かりを<子ども像>の元型(アーキタイプ)に求め、民俗雑誌に記録された先人の知恵と知識を振り返り、<子ども像>の諸相について研究することにある。そのために、様々な民俗祭祀を事例として<子ども像>について比較し、過去の<子ども像>を浮かび上がらせることを重視している。このような研究姿勢は、「<子どものあるべき姿>を追いかける郷的愁(ノスタルジック)な視点である」と椰楡されるかもしれない。しかし、<子ども像>の過去形を踏まえた上でしか、<子ども像>の現在形や未来形をも内包する「子ども文化」を描き出せないであろう。結論部分では、このような視座に基づき、民俗学的な考察を踏まえて「子ども文化」の定義を提言してみたい。さらに各論の中では、現代の「地域教育」の観点から見て、子どもが民俗祭祀に関わることの重要性についても検討する。