著者
莵原 卓
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.p321-362, 1982-09

This essay investigates the actual conditions of the vizirate during the latter half of the Fatimid dynasty and systematically comprehends its character in an attempt to consider its historical significance. When one traces the transition of the latter vizirate, the following points are confirmed : first, that all the viziers had come from the military class ; secondly, that in most cases they had had direct or indirect recourse to military force in establishing their accession ; and thirdly, that the entire climate of the political process during the latter period mostly evolved around the vizier. Speaking from an institutional perspective, the vizier controlled the highest authorities of the army, the administrative organization and the organization for religious affairs. The vizier was the actual controller of the state. Their supreme position is also verifiable from other aspects, including their exceptional remuneration, supervision of the mazalim, high status in ritual ceremonies, hereditary political position, and title of malik. The latter viziers who possessed such a great jurisdiction, occupying such a supreme position, threatened the supreme spiritual authority of the caliph. So the rule of the Fatimid dynasty based on the ideology of Isma'iliyya became nominal by degrees. At the same time, however, there was also a limit to their power ; namely, their having established their economic base in a deteriorating traditional system of tax collection. For this reason, the control of the Fatimids was not yet completely overturned and was able to continue to exist, despite the viziers having seized actual political power until Salah al-Din had put the military iqta' system into effect to the extent of establishing a new state organization.
著者
安部 弘哉 奥 万寿男 高橋 将 藤井 由起夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.183-186, 1990-02-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
4

S-VHS VTRの, 輪郭部での色にじみ低減を目的とするカラーエンハンサを検討した.ディジタル信号処理を用い, 色差信号のエッジ部分で時間軸演算を行い, 信号変位を時間圧縮することにより, エンハンス効果を得る方式を開発した.
著者
永田 一範 藤庭 由香里 森藤 武
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab1342, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 骨格筋を構成する筋線維は遅筋線維と速筋線維に大別される。多くのヒトにおける研究では、骨格筋に対するスタティックストレッチングは、Ib抑制により伸張反射を抑制させ、最大筋力を低下させるといわれており、スポーツ競技のパフォーマンス直前には推奨されていない。しかし、動物モデルにおいて、遅筋線維では速筋線維と比較して、骨格筋の持続伸張によりCaイオン濃度が上昇し、筋張力は増大すると報告されており、筋線維タイプの違いによりストレッチング後の筋張力発揮に違いがあることが示唆されている。スタティックストレッチングは臨床場面、及びスポーツ現場で頻繁に使用される手技であり、遅筋線維と速筋線維に分けて、その影響を検証することは重要である。そこで、我々は、ヒトにおいて、遅筋線維優位のヒラメ筋と速筋線維優位の前脛骨筋に対してスタティックストレッチングを実施し、それぞれのストレッチング前後におけるピークトルクを体重で除したピークトルク値(%BW)とピークトルク値が検出されるまでのピーク時間(sec)の変化を検証した。【方法】 対象は、健常男性31名(年齢25.6±3.5歳)とし、除外基準は、下肢に整形外科疾患を有する者や腰部・下肢に痛みのある者とした。測定には、CYBEX NORM(Computer Sport Medicine社製)を使用した。測定肢位は背臥位とし、ヒラメ筋と前脛骨筋が主動作筋として関与する膝関節屈曲位での足関節底屈と背屈運動を、最大筋力にて3回反復させた。角速度は毎秒15°に設定し、ピークトルク値とピーク時間を測定し、3回中の最大値を採用した。そして、10分間の安静をとらした後、スタティックストレッチングを30秒行い、その直後に再び足関節底屈と背屈のピークトルク値とピーク時間を測定した。統計処理にはt検定を使用した。(p<0.05)【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の主旨および手順を説明し、参加の同意を得て実施した。【結果】 ストレッチング後の足関節底屈のピークトルク値は、ストレッチング前と比較して7%増大し有意に高い値を示した(p>0.05)。一方、足関節背屈のピークトルク値は、ストレッチ前後において有意差を示さなかった。また、足関節底屈と背屈のピーク時間においては、ストレッチング前と後の値では有意差を認めなかった。【考察】 本研究において、スタティックストレッチングは、ストレッチング前と比較して、足関節底屈のピークトルクを有意に増加させ、ヒラメ筋の様な遅筋線維の割合が多い骨格筋では、スタティックストレッチングは筋出力を増加させる可能性が示唆された。これは、ストレッチングにより遅筋線維の筋張力が増大したことによるものと考える。筋収縮は、筋小胞体から放出されたCaイオンが、トロポニンと結合するとアクチンフィラメントが活性化され、ミオシンフィラメント頭部と連結橋を形成し、筋張力の大きさは活動する連結橋の数に比例すると報告されている。また、遅筋線維は速筋線維に比べてCaイオンに対する感受性が高いと言われている。これらのことから、遅筋線維では、速筋線維と比べ、持続的筋伸張によりCaイオン濃度が上昇し、アクチンとミオシンの連結橋が増加した結果、筋張力が有意に増大したと予測される。本研究では、ストレッチングにおける効果をピークトルクにて評価したが、そのメカニズムを明らかにするため筋張力などの更なる検証が必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】 ヒトにおいても、ヒラメ筋の様な遅筋線維優位である骨格筋に対するスタティックストレッチングでは筋張力を増大させる可能性があると示唆された。このことはストレッチングを治療手技として用いる理学療法士にとって意義のあるもとと考える。
著者
中井 万知子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.193-200, 2007 (Released:2007-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

全国書誌は,一般にある国で刊行された出版物の網羅的な書誌を意味する。日本では,国立国会図書館(NDL)が『日本全国書誌』の作成および提供の役割を担っている。2007年7月,『日本全国書誌』は印刷形態での刊行を終了し,Web上の提供へ移行した。本稿では,国際的な全国書誌の理念と発展,特にその国際書誌コントロール(UBC)との関連を振り返り,NDLが設立された1948年から2007年までの日本の全国書誌サービスの変遷を述べる。また,主に書誌コントロール,書誌情報の提供およびネットワーク情報資源との関連の観点から今後の展望を論じる。
著者
生田 好重
出版者
近畿大学短期大学部
雑誌
近畿大学短大論集 = The Bulletin of The Junior College of Kinki University (ISSN:03867048)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.47-57, 2008-12-01

従来から英語教育における問題点として、英単語の暗記の難しさとその記憶保持が指摘されている。そこで本論文では、効果的でより発展的な英語教育を行うにあたり障害となっている英単語の記憶再生及び保持に関して、学習者の精神的状態、特に肯定的感情に着目し、く肯定的感情が及ぼす英単語学習効果への影響を検討した。 (英文) The difficulty of memorizing the meanings of English words and attaining longer remembrance of them is considered one of the important issues in English teaching. In this paper, focusing on the mental states of students, an attempt to find an innovative way of memorizing the meanings of English words more easily and attaining longer remembrance of them by using the influence of positive effect on words learning.
著者
田中 一之 山崎 武 服部 哲弥 小澤 正直 黒田 覚 隈部 正博 服部 哲哉 小澤 正直 鈴木 登志雄 黒田 覚 隈部 正博 鹿島 亮
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主題は, 超準的手法の論理的基礎付けである. 従来集合論をベースに行われた超準的議論を, 計算可能性と結びついた2階算術の弱い体系において実行することにより, 命題の構成的な内容まで超準的に得られるようにする. 代表者が考案した2階算術の超準的方法論の改良と整備を行いながら, 2階算術の超準モデルを研究し, 同時に実数集合の計算構造について探査する. とくに, ランダムな無限列としての実数とその集合の性質を調べる.
著者
石橋 芳雄
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.147-149, 2009-07-30
被引用文献数
3

<I>Malassezia</I> は皮膚の常在真菌であるが,癜風,マラセチア毛胞炎,脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患にも関連しており,さらに<I>M. globosa</I> と<I>M. restricta</I> はアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)の増悪因子の一つとして注目されている.<I>Malassezia</I> の皮膚定着とADとの関連性を解明するため,この2菌種について主要アレルゲンの同定を試みるとともに,表皮ケラチノサイトのサイトカイン応答に及ぼす影響について解析した.AD患者血清IgEと反応する<I>Malassezia</I> 抗原を検索した結果,<I>M. globosa</I> の42 kDa,PI 4.8のタンパクが主要アレルゲンとして検出された.さらにプロテオーム解析により,この抗原はheat-shock protein 70(hsp70)ファミリータンパクの分解産物であることが明らかになった.表皮ケラチノサイトのサイトカイン応答に及ぼす影響については,ヒトケラチノサイトに<I>M. globosa</I> を暴露した場合,IL-5,IL-10,IL-13などのTh2型サイトカインの分泌が認められた.また,<I>M. restricta</I> 刺激ではTh2型サイトカインであるIL-4のみの分泌が認められた.これらの結果は,<I>M. globosa</I> と<I>M. restricta</I> は単にアレルゲンとして作用するだけでなく,ヒトケラチノサイトに対してそれぞれ異なるTh2型サイトカイン応答を誘導することを示しており,それぞれのサイトカインが相乗的に作用することによりTh2免疫応答の誘導を介したアトピー性皮膚炎の増悪に関与している可能性が示唆された.
著者
Luciana MYRRHA Fernanda SILVA Pedro VIDIGAL Maurício RESENDE Gustavo BRESSAN Juliana FIETTO Marcus SANTOS Laura SILVA Viviane ASSAO Abelardo SILVA JUNIOR Márcia DE ALMEIDA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.19-0090, (Released:2019-08-23)
被引用文献数
11

The Feline coronavirus (FCoV) can lead to Feline infectious peritonitis (FIP), which the precise cause is still unknown. The theory of internal mutation suggests that a less virulent biotype of FCoV (FECV) would lead to another more pathogenic biotype (FIPV) capable of causing FIP. In this work, the 7b gene was amplified from 51 domestic cat plasma samples by semi-nested PCR and tested through phylogenetic and phylogeographical approaches. The 7b gene of Brazilian isolates displayed high conservation, a strong correlation between the geographic origin of the viral isolates and their genealogy, and its evolution was possibly shaped by a combination of high rates of nucleotide substitution and purifying selection.
著者
西村 香奈絵
出版者
近畿大学全学共通教育機構教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 外国語編 = Kinki university center for liberal arts and foreign language education journal. foreign language edition (ISSN:21856982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.55-72, 2014-07-01

[要旨] 日本語の擬音・擬態語は, 表現数, 出現数が他言語と比べて多く, 創造性・生産性も高いと言われている. 本稿では, 擬音・擬態語が使用されやすいと言われている児童文学に分類されるBeatrix Potterの「The Tale of Peter Rabbit」等三つの物語とその日本語訳を取り上げ, それぞれで用いられる擬音・擬態語を抜き出し, その使用や表現方法を比較, 検討した. 英語原版では日本語より擬音・擬態語の表現数や出現数は少なかったが, 日本語にはない動詞語彙の意味の違いや文法的手段による表現の工夫が観察された. また, 英語原版で用いられた擬音・擬態語は, 語源がほとんど動詞であり, 上古の時代より音や様態などを表す語として副詞的に用いられてきた日本語の擬音・擬態語とは対照をなすことが明らかになった.
著者
大野 恭子 浦上 郁子 渡辺 真理 西川 隆 田伏 薫 柏木 敏宏
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.243-250, 1987 (Released:2006-11-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

失語症者を対象に, (1) 動物や物品の名称とそれに対応する擬音語の聴覚理解・語想起を比較し,更に, (2) 実際の音響 (環境音) の認知ならびに環境音からの擬音語・名称の想起を調べた.擬音語と名称の成績の間には,聴覚理解・想起とも正の相関が認められた.聴覚理解には失語症型による有意な差はなかったが,想起については, Fluent 群は Nonfluent 群に比べ擬音語が名称より有意に困難であった.また,環境音の認知に障害を示す症例があり,環境音と言語音の認知の成績の間には正の相関が認められた.擬音語が音と意味の繋がりがより直接的であるという特性にもかかわらず名称よりかえって想起が困難な傾向を示した要因として,擬音語も社会的な記号体系である言語の一部で,普通の名称と共通の音韻処理過程を経ること,擬音語の使用頻度の問題,及び失語症者は環境音とその対象との意味的連合に障害が及いでいる可能性があることを考えた.
著者
吉田 公記
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.31, pp.48-59, 2018-08-25 (Released:2019-08-29)
参考文献数
31

In Britain in the first half of the 2010s, support for the UK Independence Party (UKIP), an anti-EU immigration party, dramatically increased. Although a number of studies have been done to explain the party’s rise, less attention has been paid to the development of anti-EU immigration discourse among the British public. This article explains the shift from an inclusive discourse in the 2000s to an exclusive one in the 2010s by focusing on the welfare rights of EU immigrants and the compatibility of these rights with the contemporary workfare-oriented welfare state.
著者
荒川 昭弘 岡崎 一博
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.54, pp.185-188, 2003-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

福島県県北地方のモモでドウガネブイブイによる果実被害が多発傾向にあるので, その防除方法を検討した. 成虫の性フェロモントラップへの誘殺消長はモモ早生品種収穫期の7月中旬にピークとなり, 果実被害の発生時期と一致した. 周囲に発生源のない圃場とその周囲に生息する幼虫の防除を試みたが, 翌年の被害軽減にはつながらなかった. これに対し, 飛来する成虫に対する薬剤散布の効果は高く, 現状ではこの方法が効果的であると判断される.
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.Preface2-Preface8, 1979-05-01 (Released:2009-11-10)