著者
Tetsuo Nakayama Shigeru Suga Kenji Okada Nobuhiko Okabe
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.49-52, 2019-01-31 (Released:2019-01-23)
参考文献数
23
被引用文献数
7

A follow-up serological study was conducted involving 47 subjects who received 4 doses of diphtheria and tetanus toxoids, combined with the acellular pertussis vaccine (DTaP) together with Salk-type inactivated polio vaccine (DTaP-wIPV), until 6 years of age. All antibody levels declined more rapidly than expected within 3 years after the completion of primary vaccination with the 4th booster dose, and titers persisted until 6 years of age. The positive rate of the IgG antibody against pertussis toxin (PT) was 31.9% (15/47) at 4 years of age, 41.0% (16/39) at 5 years of age, and 40.5% (15/37) at 6 years of age. A significant increase in anti-PT antibodies was observed in 6 subjects, suggesting subclinical infection. Positive rates of antibodies against other targets did not decrease; however, titers of neutralizing antibodies against poliovirus type III decreased in a few subjects. These data suggest the need for an additional preschool booster immunization using DTaP-wIPV.
著者
渡邊 淳子 恵美須 文枝 勝野 とわ子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-30, 2010
参考文献数
26

目的:本研究の目的は,熟練助産師の分娩第1期におけるケアの特徴を明らかにすることである。本研究においての熟練助産師とは,助産師として20年以上の経験をもち,さらに分娩介助の経験が1,000件以上ある助産師をいう。研究参加者は4名の助産師であり,それぞれの助産師が関わった9例の分娩を参加観察し,援助場面を中心に半構成的インタビューを実施した。分析の結果,<経過における特徴的な反応を生かしたケア><からだのバランスを調えるケア><自然な流れを尊重したケア><家族の出産を演出するケア><産婦自身の力を引き出すケア>の5カテゴリーとそれに含まれる12のサブカテゴリーが抽出された。熟練助産師は,自然分娩に対する自己の信念を持ち,経験から導かれた感覚を用いて判断し,それに基づいたケアを行っていた。
著者
舟田 裕史 小越 康宏 藤田 智司 帆谷 竜起 齋藤 秀明 荒木 睦大
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.239, 2011 (Released:2012-02-15)

近年、環境問題に関する問題意識が高まっている。我々のグループも大学の近くの川で清掃活動や環境問題の調査を行ってきた。川底には不法投棄されたゴミがたくさん存在し、その中でもスチール缶が意外と多いことを発見した。 そこで我々は川の清掃を目的とし、川底に沈む空き缶(スチール缶)を回収するためのロボットを開発した。開発したロボットは自動車のような形状をしており、ケーブルを介して陸上から遠隔操作により操縦する。 ロボット先端に取り付けられたカメラ映像を基に、水中の対象となる空き缶まで自動(あるいは手動)で走行し、空き缶の近くまで到達したら、先端に電磁石のついたアームを伸ばして空き缶をキャッチし、アームを戻して車体の回収BOXに収納する。
著者
寺田 恭子 赤井 綾美 小杉 知江 藤崎 亜由子 榊原 志保
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.379-390, 2014-12-25 (Released:2017-08-04)

本研究は,人が本来持ち備えている「主体性」に着目し,家庭での「しつけ」を地域の子育て家庭が共有することを通して,「子どもの主体性を育てる」地域の子育て支援の課題を検討することを目的としている。行動理論に基づき感情を抑制する親支援プログラムを活用しながら地域で「親の主体性」に働きかける「しつけ」に取り組んだところ,受講後の親アンケート調査から親の変化として「子どもの主体受容」「親効力感の向上」「自尊感情の安定」「自己のふり返り」という4つの因子が認められた。地域の子育て家庭が「しつけ」を共有することによって,自己の「しつけ」へのふり返りだけではなく,他の親やスタッフとの相互作用により「親の主体性」が育ち,さらに親と子の相互作用によって「子どもの主体性」が育つ芽が示された。
著者
杉本 敏樹 福谷 克之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.668-678, 2016-10-05 (Released:2017-04-21)
参考文献数
63
被引用文献数
1

核スピンの存在は,量子力学創成期,電子スピン発見から2年後の1925年に証明された.その画期的な発見は,コペンハーゲンのBohr研究室に留学中の堀健夫(朝永振一郎の義兄)による水素分子の分光研究に端を発する.堀は,電子励起スペクトルにおいて,回転量子数が偶数を起点とするスペクトル強度と奇数を起点とする強度に違いがあり,その比が1対3となることを発見した.この実験事実に基づき,Dennisonは陽子が大きさ1/2のスピンを持つフェルミ粒子であることを明らかにし,水素分子には核スピン量子状態が異なるオルト・パラ異性体が存在することを証明した.このように,水素分子は量子力学の発展に大きな貢献を果たす一方で,宇宙に最も豊富に存在する分子種として星間空間における物理・化学過程に重要な役割を果たしている.近年,遠赤外線天文観測技術の進歩によって星間分子雲中の水素分子の分光が行われ,オルト/パラ比から求まる核スピン温度が回転温度と一致しないという観測結果がしばしば報告されている.回転温度と核スピン温度は観測した分子雲環境の現在と過去の温度を反映していると考えられており,これらを解析することで星間分子雲の熱履歴や年齢,さらには星形成メカニズムの解明につながると期待されている.水素分子の核スピン温度を星間分子雲の過去の温度計として使用する場合,核スピン温度が「具体的にどの程度の時間スケールの過去の温度」を反映しているのかを知る必要がある.核スピン多重度の変化を伴う水素分子のオルト–パラ転換は気相の孤立系では非常に遅く実質的には起こらない.しかし,物質との相互作用によって転換が誘起されるため,種々の星間物質表面での転換確率を実験で明らかにする必要がある.応用上も,水素は燃焼時に温室効果ガスや有害ガスを発生しないクリーンな燃料として家庭用や自動車用の燃料電池で利用されるほか,ロケット燃料としても利用されてきた.水素を大量に貯蔵する方法として液化貯蔵があるが,オルト水素が混在する水素ガスを液化する際にはオルト–パラ転換に起因するボイルオフが問題となる.これを回避するため,オルト水素をあらかじめパラ水素に転換させてから低温貯蔵する必要があり,そのために古くから磁性体を利用したオルト–パラ転換触媒の開発が進められてきた.磁性体表面に吸着した水素分子は,表面電子スピンの磁気双極子に起因した不均一磁場でオルト–パラ転換が促進されることが1933年にWignerによって理論的に示されている.それ以来,電子磁性を持たない反磁性物質の表面ではオルト–パラ転換は誘起されないと信じられてきた.1980年代に入り真空技術が進歩するのに伴い,原子レベルで構造や電子状態を規定した清浄表面が得られるようになると,従来は転換を誘起しないと考えられてきた銀・銅等の反磁性金属表面や,極性を有する水分子が凝集したアモルファス氷等の反磁性絶縁体表面においてもオルト–パラ転換が促進されることが次々に明らかになってきた.近年の実験・理論研究によって表面の局所磁場のみならず電荷移動や表面の局所電場によってオルト–パラ転換が誘起されることが示され,固体表面と吸着子が織りなす多彩な磁気・電気的相互作用の全容が解明されつつある.
著者
渡辺 聡子
出版者
大阪外国語大学
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13431382)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.29-40, 2007-03

ПpeдcMeрtHoe BидeHиe repoя paccкaзa ЧexoBa <<Apxиepeй>> ocTaBяeT CилbHoe BпeчaTлeHиe. BикapHbIй apxиepeй ПeTp, CbIH дepeBecHcкoro дьяKоHa, <<доCTиг Bcero, чTo бbIлo дocTyпHо чeпoBeкy B ero пoлoжeHии>>. Ho пepeд CMepTbю eMy пpeдcTaBляeTCя, чro <<OH, yжe пpOCTOй, oбьIKHOBeHHbIй чeлоBeK, идeT по пOлю бьICTpo, Beceло, паCTyKиBaя naлоKой>> пOд CолHeчHbIM HeбoM. ЭTOT BeceльIй H CBeTлbIй Oбpaз, изMeHяющий TpeзBоCTи BьIcшero CBящeHHиKa, иHTepпpeTиpOBaли до Cиx пop no-paзHOMy, кaк пpeдcMepTHoe пpoэpeHиe, BOпрC peлигии, BопроC yXодa H T. п. HaM KaжeTCя, чTо B paccкaз BплeTeHьI paэHьIe TeMьI, CoзpeBaBшиe B paзMьIщлeHияX aBTopa пocлeдHиbIx rодоB: TeMьI CBoбодbI, CMepTи, пpиpодьI и чeлоBeкa. Toлкyя эTOT oбpaз, Mь oбpaITиM BHиMaHиe Ha cooTHошeHиe иHдиBидyaдьHorо Mиpa repoя H гpoMaдHоro Mиpa, cToящeгo зa HиM. <<ПpocTOй, обьIкHоBeHHbIй чeлоBeK>> яBляeTCя KлючeBоM CлоBоM эTоrо paccKaзa. Гepoй cTpaдaeT оT oTчyждeHия. HиKTо, дaжe pодHaя MaTb, He гоBоpиT C HиM иCKpeHHо, попpoCTy, пo-чeлoBeчecкH. Bce бoяTCя ero и poбeюT пepeд BьICшиM CaHоM. B <<CKyччHой иCTоpии>>, поCBящeHHой Tой жe TeMe, repoй, зHaMeHиTbIй пoφeccop, xoчeT, чIoбbI блHэKиe люди любили B Hero <<He иMя, He φиpMy и He яpлbIK, a oбbIKHоBeHHoгo чeлoBeкa>>.<ПpоCTой, oбbIKHоBeHHbIй чeлоBeк>> озHaчaeT He пpоCTоTо MоHaXa, дepeBeHCKого дьячKa, коTоpbIM XоTeл CTaTb apxиepeй, a CиMBоличeCKого чeлоBeKa, oCBoбoждeHHoro OT иMeHи, caHa, φиpMbI, оT Bcex φyTляpоB. Ecли бьI paccкaз KоHилCя бeз φиHaлa, изoбpaжaющero Mиp пocлe cMepTи repoи, oбpaз чeлoBeKa, идyщero пo пoлю Beceлo и CBoбoдHo бbIл бbI He бoлbшe, чeM cчacTлиBoe личHoe пpeдcTaBлeHиe. Ho aBTOp пpиaeT eMy yHиBepcaльHocTь, изoбpaжaя paдoCTHyю, Beceлyю Пacxy, CBeTлyю пpиpодy, и cоBepшeHoe зaбBeHиe o cyщeCTBоBaHии apxиepeя. ЭTо гоBориT o Tom, чTo rpoMaдHbIй Mиp пpиHял ero CMepTb кaк cMepTь пpоCTого, обbIкHоBeHHого чenоBeKa. B Mиpe HичTо He изMeHиnоCb и BCe блaoполyчHо. ABTоp HeCKоnbKо paз гоBориT B pacCKaзe o пpиpoдe, жиByщeй CBoeй ocoбeHHOй жизHbю, о BeчHоM BpeMeHи, o бeCKоHeчHой чepeдe чeлоBeчeCKиX жHзHeй. Для общero Mиpa BCе люди пpocTbIe oбbIKHоBeHHbIe cyщecTBa. ABTоp пpeдлаraeT Boпpoc: пoчeMy людH He MогуT бbITb пpоCTbIMи oбbIKHоBeHHbIMи люbMи, поKa oHи жиByT. ИзBeCTHо, чTо y caMoгo aBTopa бbIлa Meчra <<C KоTоMочкой xoдиTb пo бeлy CBeTy>>. ПpeдCMepTHoe BидeHиe apxиepeя-ero бeccoзHaTeлbHoe жeлaHиe, MeчTa ЧexoBa и <<HOpMa>> чeлoBeKa.
著者
豊国
出版者
佐野喜
雑誌
相撲錦絵
巻号頁・発行日
1857
著者
武田 昌一 横里 恵 比嘉 誠 村岡 輝雄 山田 麻衣子
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.429-440, 2004-08-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
24

全日本かるた協会公認の男性読手1人が朗詠する小倉百人一首100首の音声の韻律的特徴を解析した。その結果,基本周波数に関しては,(1)発声開始あるいは小節開始時に立ち上がり後ほぼ一定の値であること,(2)局在する基本周波数の跳ね上がり下降,(3)基本周波数の概周期的揺らぎ,が全首に共通の特徴であることが分かった。ただし,他の読手音声との比較により,(2),(3)は読手に依存することが分かった。時間構造の特徴としては,(1)単語の区切り部分におけるモーラの伸長,(2)歌の終わりの極端な伸長,更に(3)上の句と比較して下の句において平均モーラ持続時間が伸長していること(有意水準1%),が認められた。
著者
山部 こころ 苔口 進 前田 博史
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.463-470, 2010-07-01 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18

口腔内に生息するメタン生成古細菌 (Methanobrevibacter) が歯周病(歯槽膿漏)の病態に関与していることが示唆されるようになった.古細菌には,膜脂質や抗原分子において,真正細菌にはない特徴がある.これまで,歯周病の病態はグラム陰性桿菌を主体とした,いわゆる歯周病原細菌の感染とそれらに対する免疫応答から説明されていた.メタン生成古細菌の参戦によって,歯周病の病態がこれまでにはない側面から解明される可能性がでてきた.
著者
中野 俊二
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.170-177, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
15

レーザー光による皮膚表面外科治療では,常にselective photothermolysisに基づいたthermal relaxation time(TRT)を考慮する必要がある。TRTより照射時間が長くなると,chromophoreに発生した熱の拡散により周囲の熱損傷が大きくなる。炭酸ガスレーザーではそのような危険度が大きく,蒸散組織周囲に必ず認められる蛋白変性層が厚いほど創傷治癒は遅れる。特に東洋人では創傷治癒遷延が2週間をこえると肥厚性瘢痕を形成することが多い。また,肉芽増殖が不十分にもかかわらず上皮化した,陥凹を伴う萎縮性瘢痕などにも注意を要する。今回は肥厚性瘢痕と萎縮性瘢痕に対し波長595nmのロングパルスダイレーザー(Vbeam®,Vbeam Perfecta®)を用い,パルス幅20~30msec,出力6J/cm2,cooling/delayを30/30ないし40/20とまったくの同条件下で治療した。肥厚性瘢痕は平低化し,萎縮性瘢痕の消失や軽減が観察された。さらに,肌理の出現などskin textureの改善が認められ,真皮浅層においてコラーゲンの再構築が行われたことが示唆された。