著者
浅田 豊 山本 春江 竹森 幸一 神 美保 石岡 幸子 三上 淨子 秋田 敦子 白戸 江美子 福嶋 真樹
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.53-61, 2004-03

The purpose of this study is to develop a new educational model : the TYA method 2002 for public health education, and to investigate the learning process of the participants in the salt restriction class held in S village in Aomori Prefecture. The subjects were 42 people in the class above mentioned. The model developed, the TYA method, means Try Angle : in other words, a trial to construct new theory, policy and strategy in health education. This method has the following two original features : 1) participants start and continue their learning based on a scenario, that is a story about one couple's daily life in which some problems of lifestyle are included. The learning process is self-directed. The learning comes from each participant's ideas and speech in group discussion, that is to say, from their rich knowlege and life experiences. 2) the learning is supported by a tutor who supports the learners' independent learning. Through this TYA method, the self-directed learning process of the participants was observed. The main results were that, in the learning process, 1) participants could learn through problem solving based on the scenario. 2) with the suppot of the tutor, participants could learn through independence and cooperation. 3) participants could learn because the contents of the scenario were closely connected to real life habits.
著者
古賀 昭人 川上 弘泰 野崎 秀俊
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1280-1284, 1958

酸性硫化水素泉と含食塩重曹泉とについて40℃, 60℃のおのおのに老化現象として認められるもの-pH, 含有ガス, 濁度, 酸化還元電位, 過酸化水素分解速度定数, 吸収スペクトルなどについて同時測定を行い, つぎの結果を得た。<BR>いずれも含有ガスの逸脱によって幾多の老化現象が起り, 高温になるほどはやくなる。また泉質により異なり酸化還元電位は酸性硫化水素泉は低く時間による変動も大きく強力なる還元力泉であるに反し, 含食塩重曹泉は変動はずっと小さい。また過酸化水素分解速度定数の泉温による違い, 泉質による違いや人工泉との差異もはっきり形が現われており, 種々の変化はおのおの関連性があって時間的に一致している。硫化水素泉の大きな特長は吸収スペクトルの吸収端が一方に動かず反転することである。つまり一度,短波長側にうつりつぎに反転して長波長側に吸収が移動する。含食塩重曹泉はこれに反し長波長側に移行するのみであった。これらの点につき種々考察を行った。
著者
矢野 一行
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.207-214, 2013-05-29
参考文献数
12

&nbsp;&nbsp;東京周辺にはボーリングで地下深く掘り、地温勾配による熱源で温められた深層水を汲み上げ、さらに、加温した新しい温泉が次々と誕生し、天然温泉と称して一般に広く利用されている。しかし、これらの温泉の医学的効果が古くから知られている火山性温泉に比べてどの程度のものであるか等の客観的評価については不明である。<BR>&nbsp;&nbsp;そこで、これらの点を明らかにするために、ナトリウム&mdash;塩化物泉として東京-Aと熱海温泉、ナトリウム&mdash;炭酸水素塩泉として東京-Bと鳴子温泉を選び、それらの温泉からランダムにインターネットを通して温泉成分表を入手し、それぞれの温泉水に含まれている成分を比較することで検討した。<BR>&nbsp;&nbsp;東京23区内の温泉はいずれも非火山性温泉であるので、火山性温泉に特有の硫黄化合物や二酸化炭素のような薬理作用の知られている成分の含量は少ない。また、これらの源泉の温度が低いため入浴には加温する必要があり、湧出後のこれらの操作による温泉成分の劣化は避けられない。これらのことより、東京の温泉(-A, -B)に火山性温泉と同様の薬理効果を期待することはできない。しかし、多量の海水成分を含む東京-Aには温熱、浮力、静水圧などによる物理的効果は期待できるが、炭酸水素塩以外の成分が殆ど含まれていない東京-Bではこの効果も少ない。<BR>&nbsp;&nbsp;さらに、大都会の真っただ中にある東京の温泉に熱海温泉のタラソセラピーや鳴子温泉の森林浴のような環境因子(自然&middot;気候)の変化によってもたらされる変調効果を期待することにも無理がある。<BR>&nbsp;&nbsp;温泉の医学的効果の本質は、活性酸素の産生を抑え、その働きを抑制するとともに、活性酸素等によって傷んだ組織を修復し、修復不能の細胞は分解&middot;除去することで、健康を取り戻すことにあると考えられる。これらの点からして、東京の温泉にはそれなりの癒し効果はあるものの古くから知られている火山性温泉のような医学的効果を期待することはできない。
著者
渡瀬 典子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<目的>近代の女子教育では「裁縫」に多くの時間が割かれ、余暇活動としてこれらの行為を行うことも奨励された。「社会生活基本調査」によれば「趣味・娯楽」として「編物・手芸」をする女性は32.4%(昭和61年)&rarr;19.3%(平成23年)、「和裁・洋裁」は28.7%&rarr;12.1%と減少している。しかし、昭和51年の同調査で「和裁・洋裁・手芸」を余暇活動に挙げた女性が9.0%だったことを考慮すると、バブル期前後にこれら行為を「余暇活動」として日常生活で楽しむ状況が生まれたと考えられる。本報告はNHK「婦人百科」(現在は「すてきにハンドメイド」)に焦点を当て、バブル期前後にあたる10年間に取り上げられたテーマと記事に付されたキャプションに注目し、「手芸」の意味付けについて考察する。「婦人百科」を分析対象としたのは80年以上に渡り手づくりに関する情報を提供してきたからである。<方法>「婦人百科」[No.241~336:1985年4月~1993年3月],「おしゃれ工房」[No.337~372:1993年4月~1996年3月]の記事にある「和裁・洋裁・手芸」のテーマ、各テーマについて付されたキャプションの内容分析を行った。<結果>「家族」のためだけではなく「自分」のため、「社会」のための手づくりという視点が見える。また、工程が複雑、高度な技術が必要な時間がかかる作品から「手軽に」作ることができるものへと変化している。
著者
金沢 英之
出版者
札幌大学
雑誌
比較文化論叢 : 札幌大学文化学部紀要 (ISSN:13466844)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.53-81, 2004-03-31
著者
田上 善夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.171, 2004

_I_ カリブ海地域の島嶼<br> カリブ海には多数の島々があり,30ほどの国・地域が存在している。当該地域についてカリブ海沿岸国や南米ガイアナなどを含めることが多いが,以下では西インド諸島,すなわちカリブ海の島々を対象にする。大アンティル諸島は規模が比較的大きいだけでなく,小アンティル諸島にはない広い平野や丘陵が発達する。小アンティルでも風下諸島およびバハマ諸島,ケイマン諸島では,珊瑚礁が発達して山地も低い。一方風上諸島では,高度1000mに達する火山が連なっている。小アンティル諸島でも南米大陸沿岸は,著しく乾燥した気候である。こうした自然的基盤の差異にともない,サトウキビなどのプランテーション農園,カリブの海を中心とした観光,大陸から運ばれた原油の精製,バナナなどの熱帯果樹栽培,など各島の現在の産業構成に差異がみられる。またそれ以前より各島々への移住者の出身地域は異なり,現在も民族構成やそれにともなう宗教や文化的側面も,それぞれ特色あるものとなっている。<br>_II_ 近年の社会的変化<br> 一方現在ではこれらとは異なる地域的特色が,人々の流動などに表れている。カリブ海地域の住民は,15世紀よりほとんどが域外から流入したが,19世紀より大量に流出するようになった。現在も大半の島嶼から人口流出が続いているが,風下諸島など一部では人口が流入している(図1)。また1人あたりGDPも,35,000US$のケイマンから1,400US$のハイチまで,各島々で大きく異なっている。この格差には,一部の島では1990年代以降とくに発展が続いて主要産業になった観光をはじめ,オフショア金融や便宜置籍船などの果たす役割が大きい。ただし人口の流動との関係では,所得の高い島々に流入し,低い島々から流出しているわけではない。それにはカリブ海地域で従来からの宗主国との関係や現在大きな影響を受けている近隣諸国などとの関係がより大きくかかわると考えられる。<br>_III_ 地域内・地域外の移動<br> カリブ海地域内でもとくに旧・現英領の国・地域において,さまざまな経済連合などが結成されてきた。しかしそのほかにも仏蘭西米などと密接な関係を保つ,多くの非独立地域や半独立の地域がある。こうした宗主国が異なるのみならず,域外諸国との関係が島々で異なることは,貿易や援助受取の相手国などにも表れている。また域内や域外との地域的結びつきは,現在の交通にもみられる。多くの小島では島外との関係は重要で,交通や運送の手段は欠かせぬものの一つである。現在島嶼への人々の移動は主として航空路によるが,カリブ海地域内の主要空港間の路線数や便数は地域により異なる。大アンティル諸島では路線数・便数が少なく,小アンティル諸島では稠密な航空路線網がある。小アンティル諸島でも,風下諸島ではサンファンとの便数が多く,風上諸島ではトリニダードとの便数が多くなっている。カリブ海地域外の主要都市とでは,イスパニオラ島から西ではマイアミと,東ではニューヨークとのつながりが相対的に密接である。また大アンティル諸島ではアメリカとのつながりが強いのに対して,小アンティル諸島およびキューバではヨーロッパの比重が高くなっている(図2)。<br>_IV_ 交通変化の影響<br> カリブ海の各地域はハリケーンベルトにあたり,また地震および火山地帯であるため,近年も大きな自然災害があることで共通する。緩やかな弧状列島をなすもかかわらず多くの国・地域から構成されるのは,珊瑚礁地域を除いて多くの島々には火山があって各島は海峡で隔てられており,また海洋資源は豊かでなく,移民も大陸内部からきたため,陸上での農業が中心的に営まれて,各島間の交通が盛んでなかったことが大きい。しかし現在では食料の多くを輸入に頼る地域が多く,域外との交流は不可欠である。とくに航空路線の発達により,島嶼にも多くの観光客をよぶことが可能となると同時に,カリブ海観光のクルーズ船も多くの観光収入をもたらす。観光客のみならず住民の流動もまた盛んであるが,これらはカリブ海地域における諸島間の結びつきに変化をもたらしている。
著者
兼村 厚範 福田 航 前田 新一 石井 信
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.181-192, 2008-09-05 (Released:2009-01-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

超解像は,複数枚の観測画像を利用することで高解像度の原画像を推定する 画像処理手法である.超解像においては,高次元変数の推定という計算コストの 問題があったが,近年の計算機の発達と変分ベイズなどの近似手法の開発によって それが克服されつつある.本稿では,我々が行ったベイズ統計の枠組みに基づいた 超解像アルゴリズムについて述べる.
著者
Tetsuo Nakayama Shigeru Suga Kenji Okada Nobuhiko Okabe
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
pp.JJID.2018.314, (Released:2018-10-31)
参考文献数
23
被引用文献数
7

A follow-up serological study was conducted involving 47 subjects who received four doses of diphtheria and tetanus toxoids combined with acellular pertussis vaccine (DTaP) together with Salk-type inactivated polio vaccine (DTaP-wIPV) until 6 years of age. All antibody levels declined more rapidly than expected within 3 years after the completion of the primary vaccination with 4th booster dose and titers persisted until 6 years of age. The positive rate of the IgG antibody against pertussis toxin (PT) was 31.9% (15/47) at 4 years of age, 41.0% (16/39) at 5 years of age, and 40.5% (15/37) at 6 years of age. A significant increase in the PT antibody was observed in 6 subjects, suggesting subclinical infection. Positive rates of antibodies against other targets did not decrease but titers of neutralizing antibodies against poliovirus type III decreased in only a few subjects. These data suggest the need for an additional preschool booster immunization using DTaP-wIPV.
著者
米井 嘉一 石井 裕正 楠原 正俊 若林 剛 神谷 利明 加藤 真三 土屋 雅春
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.615-619, 1983
被引用文献数
1

ボリビア共和国サンファン移住地の居住者484名(日系人300名,ボリビア人184名)を対象とし,その血清につきB型肝炎ウイルス(HBV)の抗原・抗体について検索した.成人では,HBs抗原は日系人の7.1%に認められたが,ボリビア人には認められなかった.HBs抗体は日系人で45%,ボリビア人で27%にみられた.これに対し小児では,HBs抗原の陽性率は日系人で10%であったが,ボリビア人では全く認められなかった.HBs抗体陽性率は日系人24%,ボリビア人3.8%であった.<BR>次にHBs抗原陽性の日系人26名について検索したところ,HBe抗原は成人(11名)の9.1%に陽性であり,小児(15名)では53%に陽性であった.これに対してHBe抗体は成人では91%,小児では40%に陽性であった.これらのHBs抗原subtypeは,adw型80%,adr型20%であった.
著者
Pournelle Jerry E.
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.236, pp.139-147, 2003-01

混沌の館で最も新しいマシンは,2002年11月14日にリリースされた新しいIntel D850EMVR Desktop Board(バス速度は533 MHz)上のIntel 3.06GHz Pentium 4だ。チップとメインボードは,Windows XP(HomeとProfessionalの両方)によってサポートされるHyper-Threading Technologyをサポートしている。Hyper-Threading Technologyは未来の新しい波だ。
著者
渡辺 護 荒川 良 山口 勝幸
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.275-277, 1990-09-15 (Released:2016-08-26)

The distribution of larvae of Hirosia iyoensis was surveyed at the forest floor along a small branch of the Oyabe River of Toyama Prefecture. A total of 129H. iyoensis larvae was collected from leaf litter and soil at six different stations within 200m of the blood-sucking sites (a wide space opened at the main course of the Oyabe River) for H. iyoensis. Most of the larvae were collected within an 80m area of the blood-sucking sites. A total of 102 larvae was also collected at four stations with different altitudes (5,25,50 and 75m above the surface of the stream). The number of larvae collected tend to decrease in accordance with the elevation. This survey suggested that the breeding-places of larvae of H. iyoensis were the forest floor near the bloodsucking site of adults.
著者
渡辺 護 品川 保弘
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.14-20, 1997-09-25
参考文献数
5
被引用文献数
3

Since 1995, we have conducted the research for the control of Ororo-tabanidfly, Hirosia iyoensis at some mountainous areas in Toyama Prefecture, central part of Japan, where a great number of Ororo-tabanidflies occur every year. The effect of traps baited with CO_2 gas to H. iyoensis was studied. These canopy traps were effective in mass-capturing Ororo- tabanidflies. The performance of pyrethroid insecticides and a repellent were also investigated. Pyrethrum extract, pyrethrin and prallethrin showed fast knock down effects against Ororo-tabanidflies. And, also deet had a repellent action.
著者
山口,茂治
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬學雜誌 : shoyakugaku zasshi : the Japanese journal of pharmacognosy
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, 2011-02-20

We investigated agrochemicals which were actually being used for cultivation of Citrus Unshiu peels in 5 prefectures in China. As a result, varieties of agrochemicals were found at each cultivating farm. Therefore, we further conducted a test for residual pesticides on Citrus Unshiu peels from 4 cultivating districts in China. Although a number of pesticide residues was detected, their amounts were one-fourth or less of their maximum residual limits in spices under the Japan Food Sanitation Law.
著者
Pournelle Jerry E.
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.231, pp.142-149, 2002-08

ジェリー・パーネル(Jerry Pournelle)氏は心理学で博士号を得たサイエンス・フィクション(SF)作家である。同氏はまた,コンピュータの現在と未来について執筆活動をしている。 混沌の館にある最新のマシンはPrincipessaだ。533 MHzのFront Side Bus(FSB)速度を持つIntel D850EMV2マシンである。現在のところ,その速度で走らせるにはRAMBUSメモリを選ぶ必要がある。
著者
浅川 育世 内田 智子 小貫 葉子 前沢 孝之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】2006年の介護保険改正以降,介護予防が重視されるようになり,地域包括ケアシステムの実現に向けて介護予防の推進が施策に盛り込まれた。一方,介護予防について介護予防の提供者が,活動や参加に焦点をあててこなかった等の指摘もある。特に参加は活動のより高次のレベルであり,参加レベルを維持・向上させることは介護予防に重要である。しかし,参加についての概念は難しく個人によって捉え方も異なる。本研究は,介護予防における一次予防の対象者がどのような項目を重要視しているかICFコードに基づき調査した。【方法】茨城県が介護予防事業のプロジェクトとして取り組むシルバーリハビリ体操の指導士より500名を無作為抽出し,自記式郵送調査を実施した。調査項目はICF Core Setsの活動と参加の項目より第6章から第9章までの第2レベル36項目から下1桁の数値が8及び9のものを除外し24項目に絞った。24項目については対象者が理解し易いよう注釈を加えた。その際に別に扱うより,1つにまとめた方が理解が容易と判断された2項目については1つに集約し23項目とした。23項目を「今現在の生活において,生きがい,家庭や社会生活での役割を形成するためにどのくらい重要ですか」について「全く重要でない」;0,「あまり重要でない」;1,「やや重要」;2,「とても重要」;3の4件法で質問した。また年齢については別に質問した。各項目について選択肢の回答者数を集計した。前期高齢者と後期高齢者の回答状況の比較にはU testを実施した。【結果】368名より返送され,回答に欠損がある,要介護認定を受けている,64歳以下であることを除外基準とし,262名分(52.4%)を有効回答とした。回答者の平均年齢は70.2±4.3歳であり,内訳は前期高齢者が226名(86.3%),後期高齢者は36名(13.7%)であった。なお,回答について「全く重要でない」,「あまり重要でない」を否定的な回答とした場合,回答が半数以上あった項目は,d730【よく知らない人との関係】(回答者の割合;53.1%),d845【仕事の獲得・維持終了】(同;58.4%),d850【報酬を伴う仕事】(同;62.2%),d865【複雑な経済的取引】(同;56.5%),d930【宗教とスピチュアリティ】(同;59.9%)であった。逆に肯定的な回答が多い項目は上位からd710・720【基本的な(複雑な)対人関係】(回答者の割合;96.2%),d760【家族関係】(同;95.4%),d750【非公式な社会関係】(同;94.6%)であった。前期高齢者と後期高齢者の回答の状況は有意差を認めなかった。【結論】第8章主要な生活領域,特に仕事と雇用(d840-d859)に否定的な回答が多く見られた。回答者の多くが,すでに定年退職を迎える年齢以上の者であることに起因するものと思われる。一方,第7章対人関係については肯定的な回答の割合も高く,他者との関係を構築し維持することは生きがい形成につながる重要な参加であることが伺える。